ヤマセミや山女魚(やまめ)捕らえる夏の山
2秒でゲット名手ヤマセミ夏の川
生くるため夏山今日もハンティング
限界を日々生き抜かん夏の鳥
大瑠璃(おおるり)や青をまといてピカソめく
■100分de名著 金子みすゞ ②
「金子みすゞ詩集」
そうして、そうして、神さまは、
小ちゃな蜂のなかに。
視点の逆転
轍(わだち)と子供 金子みすゞ
轍は轢(ひ)くよ、
すみれの花を、
石を轢くように。
田舎のみちで。
子供はひろう、
ちいさな石を、
花を摘みように。
都のまちで。
「空のかあさま」
おとむらい 金子みすゞ
ふみがらの、おとむらい、
鐘もならない、お伴もいない、
ほんに、さみしいおとむらい。
うす桃色のなつかしさ、
憎い、大きな、状ぶくろ、
涙ににじんだインクのあとも
封じこめた花びらも、
めらめらと、わけなく燃える、
焔(ほのお)が文字になりもせで、
すぎた、日のおもい出は、
ゆるやかに、いま
夕ぐれの空へ立ちのぼる、
「婦人画報」大正十二年九月号
上山雅輔(1905~1989)金子みすゞ(本名テル)の弟
昭和の喜劇王・古川ロッパ一座の脚本家
歌謡曲の多数作詞
さよなら 金子みすゞ
降りる子は海に、
乗る子は山に。
船はさんばしに、
さんばしは船に。
鐘の音は鐘に、
けむりは町に。
町は昼間に、
夕日は空に。
私もしましょ、
さよならしましょ。
きょうの私に
さよならしましょ。
「美しい町」
蜂と神さま 金子みすゞ
鉢はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに。
そうして、そうして、神さまは、
小ちゃな蜂のなかに。
「空のかあさま」
もういいの 金子みすゞ
―もういいの。 現実の世界
―まあだだよ。
枇杷の木の下と、
牡丹のかげで、
かくれん坊の子供。
―もういいの。 比喩・ファンタジー
―まあだだよ。
枇杷の木の枝と、
青い実のなかで、
小鳥と枇杷と。
―もういいの。 夏と春のかくれん坊
―まあだだよ。
お空のそとと、
黒い土のなかで、
夏と、春と。
「童話」大正十五年五月号
キネマの街 金子みすゞ
あおいキネマの
月が出て
キネマの街に
なりました。
屋根に
黒猫
居やせぬか。
こわい
マドルス
来やせぬか。
キネマがえりに
月が出て
見知らぬ街に
なりました。
「空のかあさま」
女の子 金子みすゞ
女の子って
ものは、
木のぼりしない
ものなのよ。
竹馬乗ったら
おてんばで、
打(ぶ)ち独楽するのは
お馬鹿なの。
私はこいだけ
知ってるの、
だって一ぺんずつ
叱られたから。
「空のかあさま」
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