2023年8月15日火曜日

テーマ「怒っていたこと」

秋声やサンドバックにされたよな
父嫌うDNAよ月渡る
秋の朝遮光シートで応戦す
(エゴン・シーレ)悩んでも病んでいないおけら鳴く
分裂から崩壊へと月更(ふ)くる

■NHK短歌 テーマ「怒っていたこと」
選者 山崎聡子 ゲスト 関取花 司会 ヒコロヒー
第二週の年間テーマは「伝えられなかった思い」

そうか、僕は怒りたかったのだ、
ずっと。
樹を切り倒すように話した
田村穂隆

あの子はいいな 作詞・作曲 関取花
あの子はいいな あの子はいいな
高い部屋 高い服 高い飯食って
満たされてんだ 満たされてんだ
なんでそんな金持ってんだ
見てりゃわかるさ 身の丈以上だ
持て余してるから絶妙にダサいな
なんか臭うな 内緒にするから
一杯飲みに行かないか

▪つぶやきを短歌に
sekitorihana
髪を切った時
すぐに「失恋した?」と
聞かれたりすると
なんかイラッとする
痩せた時真っ先に
「好きな人でもできた?」と
聞かれるのとかも
勝手に決めつけるなよ!

すみずみまで私のからだ切りたての髪の手櫛で整えてゆく
山崎聡子

▪テレビ歌会
入選九首 テーマ「怒っていたこと」
「お姉ちゃんでしょ」と言われて奪われたケーキのいちごは心臓の色
君村類
怒っていることを忘れてゆくまでの吾子よ炎のように生まれて
西鎮(しゃぁちん)
いつもより硬く仕上げたリゾットの芯に埋め込むあなたへの違和
奈々帆
大声を制したことのただ一度あって我が身の氷河に気づく
鳥原さみ
二席 私 母にあるウェルニッケ野が火事になりまた兄の名でぼくは呼ばれる
雨雨雨汰(ウェルニッケ野 脳の領域の一部 言語を理解する役割を持つ)
一席 言わないでいる優しさを選んだ日あさりの味噌汁ひどくうるさい
芍薬
 いつもとはちがう食器を洗う音を結界として母の不機嫌
石川真琴
三席 自分への怒りだんだん胃に溜まり反芻動物になっている午后(ごご)
稲山博司
頷いてカウンセラーは抜いてゆく一つまた一つ怒りの破片
藤田晋一

▪関取花さんの「怒っていたこと」
「思ってたよりもお綺麗ですね」って逆に今までどう思ってた?
関取花

▪ことばのバトン
盤駒がある生まれたる家   先﨑学

上の空グラスホッパーならばただ
(短歌AI 朝日新聞社 メディア研究開発センター)浦川通

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