2023年8月22日火曜日

題「夏の虫」

台風禍燃やせるゴミや道を這う
台風禍鉢横倒し草の香
(眉山)ひこばえの折り重なりて秋の風
夏野菜鮮やかにして盂蘭盆会(うらぼんえ)
殺気立つスーパーのレジ盆支度

NHK短歌 題「夏の虫」
第3週の年間テーマは「実感的 表現力アップ」
今月は「比喩の冒険」
選者 吉川宏志 ゲスト 金井真紀 司会 尾崎世界観

フィラメントのごとく後肢を光らせてあしなが蜂がひぐれに飛べり
吉川宏志

入選九首 テーマ「夏の虫」
三席 父という樹を両腕で挟み込み吾子はクワガタみたいに眠る
てぃも
二席 虫籠と網をしっかり握る手にもうてつなぎはいらぬと知る夏
蔵石妃織(ひおり)
夏の日の今一瞬を反射してもう消え去っている銀蜻蜒(やんま)
小川拓馬
一席 裏山に日射しも声も吸いとられヤンマの顎が指に食い込む
森岡さや
 箱背負(はこしょ)いと教えてやれど絵日記を見たればミヤマクワガタとあり
原田浩生(ひろお)
 ベランダでわれが毎日見る空が最期の景でよかったのか、蝉
星田美紀
学生に紛れ入りたるカナブンか飛びつつ夜学の黒板を打つ
大多和義(いさお)
熊蝉の鳴く街海が近い街あなたと生きるために来た街
横縞
少しまえへ少しうしろのとんぼうと川土手をゆく白南風(しらはえ)のなか
新納玲子

▪入選あと一歩
青菜喰う青虫を殺し「はらぺこあおむし」を孫に読むうしろめたさ
片伯部りつ子 添削
青菜喰う青虫殺したる夜に孫に読みゆく「はらぺこあおむし」

▪表現の最前線
麻雀(マアヂャン)の牌(ぱい)の象牙(ざうげ)の厚さほど山のつばきの葉につもる雪
与謝野晶子

▪尾崎世界観 表現の最前線
この気持ちもいつか手軽に持ち運べる文庫になって
懐かしくなるからそれまでは待って地面に水をやる
「栞」より

▪金井真紀 表現の最前線
「やりかたはいくらでもある」と、
おばあちゃんは猫で
テーブルを拭きながら言った
フィンランド語/フィンランド
意味は意外なところにも道がある
解決策は一つではない。と、いう諺。

玉子は石とは相撲を取らない
ウォロフ語/セネガル

(言葉には)触ることによって伝わるものがある

草野新平氏の経営していた店のメニュー
卵の味噌漬け⇨満月
ボルシチ⇨夕日
どぶろく⇨白夜
メニューが詩 いい比喩
みんなが知っている言葉しか
使ったいないけどおしゃれ

▪ことばのバトン
上の空グラスホッパーならばただ   
短歌AI&開発者 浦川通

触角で穴をあければ雷雨
ダンサー 振付家 涌田悠
ないことのあること秋のあじさいの遅れて届く声の手触り
短歌とダンスがこう絡まり合いながら
何か一緒に生まれてきている感じ

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