2023年8月3日木曜日

100分de名著 金子みすゞ ④

(宮本祖豊師)
吾をなくし自然と一体化蒿雀(アオジ)
全ては我の中に夏の暁
利他願い日々を暮らさん夏終わる
己輝き一隅照らす花氷
我なくし自然そのまま秋を待つ

■100分de名著 金子みすゞ ④

「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」という。
(中略)
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
金子みすゞ「こだまでしょうか」より

1930年3月死去
1935年雑誌「少女倶楽部」に西城八十がみすゞの詩を掲載
1957年「日本童謡集」にみすゞの「大漁」が掲載される
1970年ガリ版刷り詩集「繭と墓」刊行
1982年弟・雅輔がみすゞの詩の手帳3冊を矢崎節夫氏に渡す
    「童話」全75冊の復刻版が刊行
1984年「金子みすゞ全集」刊行
1996年小学校国語教科書にみすゞの詩が掲載される

不思議 金子みすゞ
私は不思議でたまらない、
黒い雲からふる雨が、
銀に光っていることが。
私は不思議でたまらない、
青い桑の葉食べている、
蚕が白くなることが。
私は不思議でたまらない、
だれもいじらぬ夕顔が、
ひとりでぱらりと開くのが。
私は不思議でたまらない、
誰に聞いても笑ってて
あたりまえだ、ということが。
「さみしい王女」

私と小鳥と鈴と 金子みすゞ
私が両手をひろげても
お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥は私のように
地面を速くは走れない
私がからだをゆすっても
きれいな音は出ないけど
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ
鈴と、小鳥と、それから私
みんなちがって、みんないい
「さみしい王女」

こだまでしょうか 金子みすゞ
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「ばか」っていうと
「ばか」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。

言葉には力がある

明るい方へ 金子みすゞ
明るい方へ
明るい方へ。
一つの葉でも
陽の洩(も)るとこへ。
薮かげの草は。
明るい方へ
明るい方へ。
翅(はね)は焦(こ)げよと
灯(ひ)のあるとこへ。
夜飛ぶ虫は。
明るい方へ
明るい方へ。
一分(いちぶ)もひろく
日の射(さ)すとこへ。
都会(まち)に住む子等は。
「愛誦」昭和二年一月号

童謡は歌になったことで100年を超えて歌い継がれた

このみち 金子みすゞ
このみちのさきには、
大きな森があろうよ。
ひとりぼっちの榎(えのき)よ、
このみちをゆこうよ。
このみちのさきには、
大きな海があろうよ。
蓮池(はすいけ)のかえろ(蛙)よ、
このみちをゆこうよ。
このみちのさきには、
大きな都があろうよ。
さびしそうな案山子(かかし)よ、
このみちをゆこうよ。
このみちのさきには、
なにかなにかあろうよ。
みんなでみんなでゆこうよ、
このみちをゆこうよ。
「空のかあさま」

心に響くみすゞの詩を見つけてほしい

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