2023年6月26日月曜日

題「予約」

色の無い人生を行く梅雨の山
Passionとスクラム組まん梅雨の月
時として変わる心や菖蒲酒
十薬や雨に向かわん白き花
蘭奢待(らんじゃたい)憧れられて切り取られ(無季句)

■NHK短歌 題「予約」
選者 岡野大嗣 ゲスト 山本一成 司会 尾崎世界観

第4週の年間テーマは「グッとくる瞬間」

いきのびるSinger/Songwriterのニュアンスで朝/夜を迎えて
岡野大嗣

▪岡野大嗣の❝グッときた九首❞テーマ「予約」
北へゆく特急券で予約する硬いアイスを溶かす時間も
藤原はるか
会議室を予約した頃まだ俺がみえてなかった沼がひろがる
西鎮(しゃあちん)
空高く育つマンションそれぞれの部屋に成約する人が居て
八号坂唯一(はちごうざかただひと)
ご予約はいただいてますかと受付がにっこり笑う、いいえと答える
野上卓(たかし)
三席 連休は砂糖みたいに溶けてゆく予約した映画で外に出る
早月くら
子供向け心療内科の「ご予約」が二ヶ月先までいっぱいなこと
北清水麻衣子
二席 私「じゃあ俺は歯医者の予約があるから」とオールバックにまとめて君は
小野愛加(まなか)
一席 はる君はいちごショートに唾つけるこれはぼくのだよ、さんじにたべる
本那榮子
「いえ、ただの倉松です」と訂正す上客と間違いたる店に
倉松こずえ

▪表現者の原点
山本一成氏
私の人生最初の表現はプログラマーだった
「プログラムは誰が書いても同じ」というイメージがあると思うが
実は違う
(プログラム)人間が出る
真面目な人は真面目なプログラム
私は気が抜けた感じで
「力を抜くこと」を一生懸命がんばっている
短くスッとした感じで(プログラム)書きたい
ポリシーが出てくる
「私とか無視して自分で賢くなってね」
というプログラムを書く
親の介入を減らす方向自分の知識を押し付けない
私の将棋の知識を入れて
私が理解できるプログラムは強い?
アマチュア五段と同等くらい…
自分を超えてほしいなら
自分が理解できるものではだめ
本当に良い創作物は
作った人と使い手が分かれる
作った人の理想を超えなければ
素晴らしいプロダクトではない

▪それぞれの「予約」それぞれの「表現」
自動運転ハンドル捌き(さばき)穏やかに心ざわめく歯医者の予約
山本一成

短歌のたね
短歌を詠む動機となった心の動きが大事
対比がわかりやすく書かれているので
AIも感想を言いやすかったのかも

テクノロジー(機械)に対して山本さんが抱いている思いとは?
機械の良いところ=いつも全力
あの子たちはかわいいんですよ
本当に頭が固い
でもいう事はちゃんと聞いてくれる
こんな素直な人間はいない
こわい部分止まらないとかそういう部分に
フォーカスしてしまいがちだが
しっかり言っていることをやっているということ

たましいをやすめて車を走らせる抜歯を終えて蛻(もぬけ)の帰路に
岡野大嗣
この歌を作るときに(「たね」とともに)着想のもとになった歌がある
抜歯して埋めようのない喪失感歯はたましいの一部ならねど
杉崎恒夫「パン屋のパンセ」

人の気持ちをどう入れるかが
短歌のひとつのキーワード 山本一成

技術を使うのは人
最初自動運転の機能だけを歌に書いていたら
全然面白くなかった
そこにある風景を書くと良い短歌になる

▪ことばのバトン
苦しくても今ぼくらは始まる   高山邦男

区役所で出生届型破り FUNI(郭正勲)
郭言葉サーナ

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