2019年9月24日火曜日

表記を考える「飯田蛇笏」

強さなど 持ちて悲しき 穴惑ひ
秋彼岸 葛籠に眠る 宝物
呼吸困難 猛暑日続く 秋彼岸
秋彼岸 現成受用 あるがまま
繰り上げて 貰う祝いや 蚯蚓鳴く

俳句さく咲く! 名句ミュージアム より
飯田蛇笏
テーマ 表記を考える

をりとりて はらりとおもき すゝきかな 飯田蛇笏

全てひらがな表記されています。
蛇笏は一本の芒のしなやかさを
字面でも見せたかったのでしょう。
はらりと軽やかに、おもきとくっつけた表現。
芒を手折った時の感触としなだれる様子が
読み手にリアルに伝わってきます。
実はこの俳句、最初に発表した時は
「折りとりて はらりとおもき 芒かな」
「折り」と「芒」が漢字で表記されていました。
そして次は
「折りとりて はらりとおもき すゝきかな」
「すゝき」をひらがな表記に!
最終形として全てひらがな表記になったのです。
蛇笏がいかにこの句を大切にして
字面のこだわったかが良く解ります。
このように俳句はその内容と表記が相まって
完成することを覚えておきましょう。

以上、堀本裕樹先生のお言葉でした。

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