2025年2月17日月曜日

兼題「梅」&テーマ「雪」(麻布競馬場)

迫り来る凍てつく飛沫黒滝よ
青白き輝き放つ春の(黒)滝
春光や日除け直撃きらっきら
新調の遠近眼鏡朧めく
春動く吾の細胞もぼちぼちと

■NHK俳句 兼題「梅」
選者:木暮陶句郎 ゲスト:野崎海芋(かいう) 司会:柴田英嗣
年間テーマ:季語を器に盛る

木暮陶句郎先生は高校時代、落語研究会に所属しておられたとか…。
「二代目 不二家見留木」と呼ばれていたそうです

梅は日本人に古くから親しまれてきた
桜よりも先に咲く「花の兄」とも呼ばれる
春を告げる花なので今回の兼題に選んだ と木暮陶句郎先生

・梅の名句
梅一輪山を圧して咲けりけり   山口青邨
この山のエネルギーが一輪の梅に集約されている
一番最初の一輪が咲いた瞬間を山口青邨は見て
山がすーっと向うへ行ってしまうようすを詠んだ
奥深い句であり梅に対する最高の讃美

・特選六句発表 兼題「梅」
梅真白誓ひしことをまた誓ふ   浜口芙蓉
盆梅の兜太と汀子日に並べ   野々宮哲也
夜の梅ベテルギウスは消えるのね   平岡卯訪(うみ)
梅固し風のヒルズの碧き玻璃(はり)   小西謙作
梅日和けふは喧嘩をせぬと決め   古口(こぐち)栄子
梅ふふむデブリそのまま十四年   黒澤正行

・特選三席
一席 梅が香や夢の欠片(かけら)のふと疼(うず)く   田中和行
二席 子が触れる幼き我を知る梅に   辻佐和子
三席 五分咲きの梅を残して引越せり   横堀正雄

・俳句やろうぜ
若手俳人探査隊長 黒岩徳将

俳句歴4年2024年第12回俳句四季新人賞
史上最年少19歳の若さで受賞の関灯之介(19)さん

影響を受けた俳句
春や有為(うい)の奥山越えてダンスダンス   柿本多映
この歌は 
いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ 
うゐおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす
(人生の険しい山を越えて) 今春の中で踊っている
「俳句の音」の感じ 句のリズム 韻律(音声の高さ・強さ・長さ・
似た音のくりかえしで作られる言葉のリズム) 口に出して楽しい句
音楽で言うとラップ

秋草に犬や水飲み水散らす   関灯之介
胎児を大樹と言へば晩夏の光のなか   関灯之介
「韻律」で一句
ふゆばれの中ひびわれの救命具   黒岩徳将
千代に八千代に橋は潮を響かしむ   関灯之介

良い俳句は韻律が良い

・ゲストの一句
陶句郎さんへの挨拶句
梅一輪伊香保焼の鉢に活けんかな   野崎海芋
陶句郎さんへの返句 往復存問(そんもん) 挨拶
料理とは心のかたち梅香る   木暮陶句郎

海芋さんの心が料理に表れて私の心が器に表れている

・柴田の歩み
俳句でお返事

■NHK短歌 テーマ「雪」
選者:大森静佳 ゲスト:梶よう子 司会:尾崎世界観
年間テーマ「❝ものがたり❞の深みへ」
雪は人間の命とイメージがつながりやすい

・歌に❝ものがたり❞あり
入選九首 テーマ「雪」
方舟からあぶれし人がぱらぱらと座って雪の終電しずか
田中雉鳩(きじばと)
南国に生まれ育って雪を踏む気球に乗るより地球が遠い
中矢尚(たかし)
一席 撮っても撮っても足りなかったね初雪が未来のようにまぶしい浜で
石村まい
 天使って輪っかに雪積もるんすかね、てかこのリフト、遅くないすか
右手のハンマー
三席 人間の赤ちゃんが見るペンギンの赤ちゃん人口の雪が舞う
古橋紗弓
人と人と人と人と人と人が円陣を組む雪の結晶
榎本(えのもと)ハナ
二席 人類の滅びたあとの地球にも雪合戦は残って欲しい
富尾大地
マンモスの親子が確かに通り過ぐ吹雪のなかで雪かきすれば
松木乃り
 真っ直ぐなキリトリ線が雪道にきっと真面目なイヌなのだろう
絹真結子(まゆこ)

・❝ものがたり❞あり
東海道五拾参次之内 蒲原 夜之雪
静岡県の蒲原宿を舞台にした夜の夜景
広重の創作した心象風景とも言われている

梶よう子著「広重ぶるう」
広重はつまらない人間 人間臭い部分
北斎のようには生きられないけど
広重のように生きられる人はたくさんいたかもしれない

「おれはな、おれの見た眼で画を描いているからさ。
人の目で見える景色だからだよ、わかるかい?
おれが見ている風景を、そのまま画にする。
けれど、それだけではない。雨、雪、風、霧、花、
そして流れる時を その風景に載せて描き出す。例えば、蒲原宿だ」
(中略)
「雪が降らない蒲原だからこそ、逆手に取った。
雪のない場所が白一色に染まる景色は誰も眼にしたことがない。
それを表してみたいと、思ったのさ」
「広重ぶるう」

天候 雨、雪、風、霧
四季 春、夏、秋、冬
時間 朝、昼、夜

画力に加え 情緒、抒情、既視感を広重は持っていた
既視感とは驚きと懐かしさ
史実と史実の間を埋めていき1本のストーリーにする

・心象風景で一句
あおむけのこころでひとを思うから夜のバスタブに雪降りつづく
大森静佳
仰向けの心とうつ伏せの心
雪が降りつづけるような終わらない思いや寂しさをイメージした短歌
客観的には見えるはずのないものが心の中にある方の目では見える瞬間
短歌は幻想や心象風景を受け入れてくれる形

・言葉のバトン
八ッのフモトでげん氣売るかナ
絵本作家 まつむらまさこ

志望校僕だけ落ちて歯を見せる
麻布競馬場(小説家)

いい会社に就職して30歳くらいで結婚して
ペアローンでタワマン買って子どもが生まれたら
学習塾に入れてエリートサラリーマンを
再生産するみたいな同じようなコースを
走らされ競わされ消耗させられているなと思った時に
東京って大きい競馬場みたいだなと思った

間違いと別の間違いとの間終電はいつも乗り換えばかり
麻布競馬場
(短歌は)お互いに余白を注ぎ合ったりすくい合ったりする
短歌の詠み手も受け取り手も余白を尊重し真摯に向き合っている
短歌始めてから小説の中でも勇気を持って
余白を作れるようになった気がします

0 件のコメント:

コメントを投稿