春かなし心の叫び閉じ込めん
花菫忘れし事の大かりき
社会的事実持たずも春の海
目に見えぬ道徳あらん春疾風(はやて)
春陰や陽射しを避けて吹き荒れん
■NHK俳句 兼題「春セーター」
選者:西山睦 ゲスト:三石知左子 司会:柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」
春風に白衣の翼広がりぬ 西山睦
風光る新病院の大玻璃戸(おおはりど) 三石知左子
春の雲霊安室は最上階 三石知左子
日脚伸ぶ保育器の児(こ)も足伸ばし 三石知左子
三石知左子さんの優しい手 俳句三選 救 女 母
母 桜草十代の母健気なる 三石知左子
女 三椏(みつまた)の花よ女よ俯(うつむ)くな 三石知左子
救 阿蘇緑雨赤き救護の合羽着て 三石知左子
・今週の兼題「春セーター」
春セーターそのものを詠むのと春セーターを着ている人を詠む
・特選六句
ドアノブはいまだ冷たし春セーター 尾﨑光洋
春セーター腕を組んでもいいですか ふくいよしこ
海に行くはずだつた日の春セーター 須坂大寒
病室を菜の花色に春セーター 神尾(かんのお)孝
春セーター育休明けの初仕事 平井明
「東京の空はせまい」と春セーター 建部芋水(たてべうすい)
・特選3句
一席 合掌のブレス春セーターの胸 鈴木仁(ひとし)
二席 柔らかき頬(ほほ)ねむる胸春セーター 米内(よない)君子
三席 先生を青年にして春セーター 千葉水路(すいろ)
・俳句やろうぜ
俳人 若手俳人探査隊長 黒岩徳将
俳句歴4年 2024年 第12回俳句四季新人賞
史上最年少19歳の若さで受賞 関灯之介(とものすけ)
2022年第24回俳句甲子園 個人優秀賞
個人優秀賞の句
潺々(せんせん)と清水に浸(ひた)る鹿の骨 関灯之介
(潺々:さらさら水が流れること
湧き出る夏の清水に鹿の骨がポツンと浸っている)
「生」「死」澄み切った世界観
俳句四季新人賞とかにも投稿している
クロイワ推しの一句
はつふゆの海に挿し消す花火かな 関灯之介
関灯之介さんがよく使うモチーフ 海 漁船 汐 河 蛸壺
水をテーマにした俳句が多い
心の中に水のある風景が句になっている
関灯之介談⇩
大きさ スピード 形を変えて存在する
心(気持ち)=水の感じ 自分の心にある水は枯れないような気がする
その枯れない水をずっと見続けなければと思っている
心を見つめて詠む
・柴田の歩み
俳句は自分自身を見つめ直す良い機会
■NHK短歌 テーマ「春」
選者:俵万智 ゲスト:安田登 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」
盲目の猫轢殺(れきさつ)の如弾劾(がい)せよ
顎(くび)掠(かす)めつつ飛ぶ繊月(つき)の匕口首(あいくち) 安田登
(知らないうちに誰かに自分の罪を暴いて欲しい)
「恋」と並んで「季節」を詠むのは大きなテーマ
能は全ての演目が何の季節なのか決まっている
自分と風景が溶け込んで初めて能ができる
・入選九首 テーマ「春」
雪国は逃げてはじめてふるさとになるちぎり絵のようなぼた雪
毛糸
一席 飛び石の最後であなたが待っていて抱きとめられに行くよ三月
青木菓子(かこ)
春の日を蹴散らしてくる流鏑馬(やぶさめ)のように迷いのない恋だった
前川泰信
この春に時給が上がるときいて今からだのなかに温泉がある
高原すいか
菜の花はお金で買える春だから出会えば迷わずカートに乗せる
久家(くげ)雅子
あたらしい街で自転車買ってから坂の名前を覚え始める
久藤さえ
二席 春先まで着られる服を買ってみる先があるのは春だけだから
大岩真理
三席 私 春になる少し手前に年をとる母は百年くり返してる
村田英俊
私 自転車で桜吹雪へ斬り込めばリップグロスにひとひら留まる
麻倉遥(リズムと映像の切り替えが素晴らしい)
安田 和歌と漢詩の関係の重要性を言っている
「そんなこと考えているんですか?」という
和泉式部とまひろとの対比が面白い
一はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける
紀貫之
【万智訳】
人間の心はどうか知らないがふるさとの花の香り変わらず
花は変わらないけれどあなたの心はどうでしたか?
「人はいさ」というのんびりした感じ
「花ぞ」「にほひける」というきっぱりした感じ
人のぼんやりした感じと自然のきっちりした感じ
リズムの上でも対比になっている
前半 さ行「い」強い音 後半 あ段 広い音
前半のぼんやりした中に強い音
後半の強い中に明るい音を入れている
年年歳歳花相似 歳歳年年人不同
人生の無常を歌っている詩から
まひろは人の心の無常を引き出している
光る君から学べる短歌づくりのポイントは?
古典を栄養にする
古典の表現を踏まえて詠むことで歌に奥行きが生まれる
安田登氏 「サラダ記念日」で心に残った二首
ゆく河の流れを何にたとえてもたとえきれない水底(みなそこ)の石
「方丈記」をたとえながら最後に現代的なものを入れていく
あいみてののちの心の夕まぐれ君だけがいる風景である
「あひみてののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり」
という和歌がベース
古典があるからこそ現代語が効いてくる
短歌を作る方も味わうほうも古典を間に置くことで世界が豊かに広がる
安田 読む本の90%は古典 能は会話が古典 世界が詩になる
明治以降の現代文は世界を散文化する
古語は現代生きている同じ言葉でも古語だと全く違う意味になる
「かなしい」古語の「かなし」=「かわいい」
「かなし」は全員で共有できる感覚だった
集合的な存在に自分が入っていくのが古語の世界
俵 近代以降は己に捉われての表現
自分を広げて世界との境を無くすような言葉づかいが大事
安田 日本の最古の古典が「古事記」「笑う」の語源は「割る」
閉塞状態を割ることができるのは「笑い」だけ
・言葉のバトン
見た目より脱ぐとすごいぜメンチカツ
スーパーマーケット社長 那波秀和
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八ッのフモトでげん氣売るかナ
絵本作家 まつむらまさこ
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