2024年1月28日日曜日

歌会始 2024 お題「和」&今野寿美女史の短歌

終わりなき化学反応冬の潮
尊厳を守る戦い霜柱
離散者の生まれた祖国枯野原
正義を持ちて闘わん月氷る
凍空や理解のための言い聞かせ

■歌会始 2024 お題「和」
をちこちの 旅路に会へる(あえる)人びとの 笑顔を見れば心和みぬ(なごみぬ)
天皇陛下

広島をはじめて訪(と)ひて 平和への深き念(おも)ひを 吾子(あこ)は綴れり
皇后さま

早朝の十和田の湖面に 映りゐし 色づき初めし樹々の紅葉
秋篠宮さま

鹿児島に集ふ(つどう)選手へ 子らの送る熱きエールに場は和みたり
秋篠宮妃 紀子さま

幾年(いくとせ)の難き時代を乗り越えて和歌のことばは我に響きぬ
愛子さま

待ちわびし木々の色づき赤も黄も小春日和の風にゆらるる
秋篠宮家 佳子さま

わが君が退院されて常盤松明るくなりぬ心も和む
常陸宮妃 華子さま

病人(びやうにん)になりたる我を支へくれしまなざし優しき人等(ひとら)に和(なご)む
三笠宮寬仁親王妃 信子さま

道真公遷られたまふ御祭りに頬にふはりと和風の吹く
三笠宮家 彬子さま

仁和寺のお堂にひびく声明(しやうみやう)の音ふくらみて我をつつみぬ
高円宮妃久子さま

突然に和鳴(わめい)にぎやか秋空を 烏もどりて夕暮れを知る
高円宮家 承子さま

来年の歌会始のお題は「夢」で、「夢中」や「夢路」のような熟語にしてもかまいません。

⇧参照:https://news.yahoo.co.jp/articles/30b021b90b37bb72b85343fc2b4086409deafb4e

召人
歌木簡(うたもくかん)かかげ三十一(みそひと)文字をよむ温(ぬく)き響きに座は和みたり
栄原永遠男

選者
友垣に夕焼け空に咲く花に和(こた)へて遠く歩みつづける
三枝昴之

ひと滴(しずく)の檸檬に紅茶は色変へてはるかなり中和滴定曲線
永田和宏

琴は琴でもこの国に生まれたる和琴(わごん)といへり六弦と知る
今野寿美

海山の怒りの風を和らぐる言葉教へよ樹の中の鳥
内藤明

きたにしの風和ぐなへに冬の陽はわが頬を刷くいたくやさしく
大辻隆弘

入選者(年長順)
己が手で漉きたる和紙の証書手に六年生は卒業となる
古橋正好

かの日々に移り来し人等耕しし大和と呼ぶ里アマンドの花
川崎ハルコ

呼びに来てくれたる人を追ひ越して電話に急ぎし昭和の夜道
臼許喜行

和菓子屋をなりはひとして五十年寒紅梅に蘂をさす朝
岩倉由枝

和ダンスは母のぬくもり大島に袖をとほせば晩年に似る
高橋祐子

風琴の和音のやうに柔らかに多言語混じりあへる教室
川添さとみ

見逃した小さな小さな違和感の粒で自分が作られていく
小野文香

花散里(はなちるさと)が一番好きと 笑(え)みし友 和服の似合ふ(にあう) 母となりぬる
宮村瑞穂

目を瞑り一分間を祈るとき皆が小さき平和像となり
小池弘美

『それいいね』 付和雷同の私でもこの恋だけは自己主張する
神田日陽里

⇧参照:徳島新聞

歌会始を初めてテレビで拝見いたしました。
私ごときには解らないと思っていたのですが解りました。
新聞から転記しているとまたまた勉強になりました。
表現がますます理解できました。
来年からが楽しみでなりません。
今野寿美先生にすっかり憧れてしまいました。素敵…。

今野寿美先生の初期の短歌
http://tobasan88.blog.fc2.com/blog-entry-494.html

今野寿美(こんのすみ)の短歌 17首【朗読】
https://www.youtube.com/watch?v=k6Vb4g8QbuA


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