青嵐不定(ふじょう)という真実
夏の石時間を超えた存在感
夏の星遠き記憶を想起せん
夏の小屋鎮座する火成岩
夏の空庭に独座の赤玉石
言葉にできない、そんな夜。より
テーマ「とてつもなく面白いときの気持ち」
■「超ウケる」に代わる表現
最高潮! 腹筋崩壊!
涙が出るくらい 笑い疲れちゃうんだ
なにしよか? なにをしましょうか?
しりとり レッツゴー! わお!
ななななななな
ヒャダイン「ヒャダインのじょーじょーゆーじょー」
一同が今度も、
笑ったのは、いうまでもない。
それが言わせたさに、
わざわざ念押した当の利仁に至っては、
前よりも一層可笑しそうに
広い肩をゆすって、哄笑(こうしょう)した。
芥川龍之介「芋粥」
(哄笑とは大口をあけて笑う。どっと大声で笑うこと。)
●新しい言葉を作ってみよう
怒笑(どしょう) 墳笑(ふんしょう) 月笑(げっしょう)
噛笑(ごうしょう、ぎょうしょう)
みんながものすごく笑っている。
みんながものすごく笑うたびに
僕だけが笑えなくなっていく。
面白くないんじゃない。
面白すぎるのだ。
笑ってる場合じゃないと思うのだ。
それでも僕はそんな笑えなくなるものを
もっと体験したいとも思うのだ。
小沢一敬
■おごってもらえると思ったら割り勘だった
ですよね! シシド・カフカ
自分へのあまえ 桐山照史
あたりまえって奴はたまにそっぽを向く 石崎ひゅーい
(おごる側おごられる側どっちの目線でも言える)
一人前に扱われた証、と思っても、
財布も胸の裡(うち)も帰り道はやけに涼しいのだった。 村山由佳
自腹八分目 小沢一敬
■寝落ちする直前の気持ち
眠りに落ちるときの気持ちって、
へんなものだ。鮒か、うなぎか、
ぐいぐい釣り糸を引っ張るように、
なんだか重い、鉛みたいな力が、
糸でもって私の頭を、ぐっとひいて、
私がとろとろ眠りかけると、
また、ちょっと糸をゆるめる。
太宰治「女生徒」
■寝落ちする直前の気持ち
ベッドのうえで
眠りに落ちる瞬間の抵抗、
ものうくここちよい寝返りの刹那に
私たちをおそう、
あの透明ではげしい拡張感に
かえられるものがあるだろうか。
開高健「留亡記」
有給の理由を探る部長の脇汗、
十年前に死んだ実家のエース、
いつまで自分が地球を
守ればいいんだと
電車内に響き渡る悲鳴、
ボトルを咥えた
推しのワイシャツを濡らす
給料の半分するシャンパン。
走馬灯みたいだけど、
たぶん明日はくる。
金原ひとみ
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