油照(あぶらでり)止むに止まれずのめり込み
夏の雨無垢なる石の佇まい
そびえ立つ波打つ石よ夏の空
菊芋にしがみつく蝉力尽く
夏の虫日に日に若芽食べて肥ゆ
言葉にできない、そんな夜。
今夜のテーマは悶悶スペシャル
学生時代を振りかえったときの気持ち
「キャーッ」と叫んで
ひっくり返りたくなるような
恥ずかしいこと、というのは
どんな人にもある。
私など女学生時代の
想い出と言えば、
思いだすだけで
ひっくり返りたくなるような
事で満ちている。
佐藤愛子「キャッと叫んでひっくり返る話」
若いということは、とっても
恥ずかしいことである。
十年もたってから
その時のことを思い出すと
うひいーッと叫んで
死にたくなるようなことを、
平気でしてしまう。
原田宗典「生まれて初めてのデート」
主人公が
一方的に別れた女性の様子を
友人から聞かされた時の気持ち
友人を鳥にたとえて描いている
忘れかけると、
怪鳥(けちょう)が羽ばたいてやって来て、
記憶の傷口を
その嘴(くちばし)で破ります。
たちまち過去の恥と罪の記憶が、
ありありと眼前に展開せられ、
わあっと叫びたいほどの恐怖で
座っておられなくなるのです。
太宰治「人間失格」
今さらどれだけ悔やんでも、
時は巻き戻せない。
あんなにも彼女を傷つけた奴を、
二度と立てないくらい
殴りつけてやりたいのに、
それが自分だというのが
いっそ笑える。
息をするたび、
血の中を無数の針が流れる。
心臓が、ゆっくりと
する潰されてゆく。
村山由佳
もうなにをやってもあかんわ
もうなにをやってもな
もう実際問題あかんと思った時点で
もうあかんわ
もうなにをやってもあかんわ
もうなにをやってもな
もう一体全体なんなんだ
もういっそ一生寝たろかな
岡崎体育「なにをやってもあかんわ」
突然、身も心も萎えるような、
暗い、みじめな虚脱感におそわれ、
俯向けに寝返ると、
両手で敷き寝具を掴み、
呻(うめ)き声を抑えるために、
顔を寝具へ押し付けた。
山本周五郎「ながい坂」
快速の窓に映る不甲斐ない顔、
お決まりのシーン。
SF映画の主人公みたいに
よれたバンT、
イヤファンからギターソロ、
チューニングは狂ってる。
でもさ、そんな時ほど、
夜空ってやつは
異常に綺麗なんだ。
俺らは出来損ないの宇宙人、
ダメなら星に帰ればいい。
石崎ひゅーい
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