2022年5月6日金曜日

NHK全国俳句大会 題詠「行」

食べないと心がやせる春の鵙(もず)
春の闇確かめながらまた一歩
マイナスの健康法よ春あした
一回の感動たるや春月夜
妄想を怒りで発散春の塵(じん)

第23回NHK全国俳句大会 題詠「行」
特選作品

■題詠「行」
宇多喜代子選
もう風に乗り行く高さ鳥渡る   千葉県 時田満

宮坂静生選
花野行くここが真中思うまで   東京都 坂東文子

岸本尚毅選
💮雨雲の行く手や蕎麦の花明り   広島県 貝原玲子

鴇田智哉選
川は行き山椒魚はとどまれり   神奈川県 川田潔

(上記の四句は季語が主役に立っている。動かない季語。)

小沢實選 
行く秋やパステル擦(こす)る指の腹   香川県 堀家正俊

坊城俊樹選
真夜中の鞦韆行方不明の愛   福岡県 嶺井緑

神野紗季選
どこへ行くこともなかりし石涼し   福岡県 古賀紀子

片山由美子選
行く秋やラジオの告(つ)ぐるスターの死   北海道 伊藤哲

岩岡中正選
目を伏せて行きしはもしや雪女郎   埼玉県 瀬川節子

(Do not enterの柵神の留守   池田宏陸は瀬川節子女史の孫)

(上記の五句は着地に工夫がある。下五の変化球は印象的になる。
 アンテナを外に向ける。
 大事なものは外にあるので五感のアンテナを外に向けておく。)

堀本祐樹選
春宵(しゅんしょう)や母の行李(こうり)に吾の写真   神奈川県 宮崎玲子

西村和子選
島中に行進曲や運動会   東京都 山田あや子

夏井いつき選
決行のしらせ兄へ檸檬投ぐ   長野県 古瀬まさあき

(小さな文芸上の虚構。ウソのサジかげんも大事。
 俳句を「遠ざけない」常に回路に何か通しておく。)

■自由題
岩岡中正選
うすらひと言えば微かに動きたる   埼玉県 南保順子

片山由美子選
引く波に石のころがる晩夏かな   神奈川県 中村みつる

堀本祐樹選
雑踏の顔重なり来寒波急   神奈川県 片桐亮子

神野紗季選
💮人はまだ君の死知らず冬の虹   兵庫県 杉本美佐子

(コロナ禍で詠んだ夏井の一句 
 「プロフェッショナル」で紹介されていました。
 青き踏めマスクを鳩として放て   夏井いつき)

宇多喜代子選
初暦まずは農事と誕生日   愛知県 横井美代子

鴇田智哉選
柿百個ひとつの空に吊しけり   群馬県 多胡恵美子

西村和子選
小さくとも掲げて帰る熊手かな   千葉県 飯嶋政江

宮坂静生選
卒業や幾たび夕日見し部室   埼玉県 高田みづ杞

夏井いつき
💮一斉に灯し聖樹を驚かす   北海道 すずきなずな

坊城俊樹選
父いまだ母に恋してパナマ帽   長野県 宮澤羅夢

岸本尚毅選
往来を見る父の椅子秋高し   京都府 根来美知代

小沢實選
土偶似の三人姉妹豊の秋   神奈川県 浅木ノヱ
(一号久保訓子(徳島)二号浅木ノヱ(神奈川)三号青木久子(滋賀)
 三姉妹の故郷は徳島県神山町だとか…。)

さりげない生活の一齣を楽しむのが俳句。
自分の人生を豊かにするために身近に置いて欲しい。
決して受賞を目的としない。と夏井いつき組長。

私は俳句を最高に楽しませて貰っています。
益々俳句が好きになっています。

第24回NHK全国俳句大会の題は「千」
募集は7月から…。

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