2022年5月16日月曜日

兼題「羅」鈴木真砂女

月涼ししどけなさの中の気品
風吹くや女と菖蒲魅かれあい 
緑陰に佇む女眩し気に
ソーダ水言葉にする鍛錬
新茶効く緊張感と解放感

◆NHK俳句
選者 星野高士 ゲスト宮本真希 司会 武井壮
兼題「羅(うすもの)」

冒頭の俳句
羅や人悲します恋をして   鈴木真砂女

■星野高士先生のテーマは「会いたい俳人12人」
今回は鈴木真砂女の生涯が取り上げられました。
真砂女は愛を貫いた俳人と星野高士先生…。

明治39年(1906年) 千葉県鴨川の生まれ 2003年没
23歳 初恋の人と結婚
29歳 夫が蒸発 同じ年に姉が他界。
両親の説得で亡くなった姉の夫と再婚し、旅館を継ぎ女将となる。
31歳の時、定宿としていた海軍士官と道ならぬ恋となる。

■鈴木真砂女の言葉
人様のようにただね
会ってうれしいとか他の死とかばっかりじゃない
やっぱり罪の意識がありますからね
(51歳の時、決断を迫られ遂に家を出ることとなりました。)
だけど恋をとるって言ったって
相手は奥さんも子どももある方ですから
自分は自分で
やっぱり一人で生きていかなきゃいけない
不安なんて考えもしなかった
ただ無我夢中でやる
これから自由に会える方がうれしかったですね
(全てを捨て上京した真砂女は上京して
 銀座に小料理屋を開きました。
 真砂女の一途な恋はその人が亡くなるまで続きました。
 40年に渡る恋でした。)

姉が俳句をやっていたことから、姉の亡き後に俳句を始める。
平成6年から「NHK俳壇」選者 読売文学賞・蛇笏賞受賞

わが路地の帯のごとしや暮の春   鈴木真砂女

死なうかと囁かれしは蛍の夜   鈴木真砂女
(この俳句のようなことがあったのかと
星野高士先生がお聞きしたら合ったと答えられたとか…。
それを受けて星野高士先生が詠まれた俳句は⇩)
二三粒苺を食べてよりのこと   星野高士

■入選九句 兼題「羅(うすもの)」
羅やこれからひとに会ふところ   石川総一郎
羅に女盛りを包みたる   荒木信夫
風のやう影のやうにも薄衣   和泉金子
羅の袖引つ張ってする話    沖野充
羅や今日は一日農休日   高栁しずか
羅に星のまたたく音が降る   前田由美子
羅がふわりと昇る昇降機   石浜西夏
うすものに空かるくなる一日かな   多々良海月
羅の裾の乱れや京の宵   植松俊一

宮本真希さんが鈴木真砂女女史の俳句で一番好きな作品は…。
今生(こんじょう)の今が倖せ衣被(きぬかつぎ)   鈴木真砂女

■鈴木真砂女の有名な俳句
雑踏に捨てし愁ひや柳散る
朝顔やすでにきのうふとなりしこと
ゆく春や身に倖せの割烹着
あるときは船より高き卯浪(うなみ)かな
熱燗(あつかん)やいつも無口の一人客
蛍の死や三寸の籠の中
秋の芽やみづみづしきは恋の顔
落雷の近しと鯵(あじ)を叩きけり
鏡台にぬきし指輪や花の雨
冴返る(さえかえる)すまじきものの中に恋
髪に櫛とほりよき朝夏燕(なつつばめ)
女老い仏顔して牡丹見る
戒名は真砂女でよろし紫木蓮(しもくれん)
人生きて残すは梅や簾(すだれ)巻く
突然死望むところよ土筆野(つくしの)に
来てみれば花野の果ては海なりし
夏帯や一途といふは美しく
九十年生きし春着の裾捌き
鯛よりも目刺のうまさ知らざるや
鵙の贄罪ある者をさらすごと
落葉焚き人に逢ひたくなき日かな

鈴木真砂女女史の俳句に夢中になっている私がいます。
出会わせてくださった星野高士先生に感謝申し上げます。

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