2022年5月27日金曜日

言葉にできない、そんな夜。

不利益な時間と費用夏霞
永遠の不可逆を生く星涼し
青時雨感じるままを言の葉に
青嵐刻む鼓動や近未来
初茄子や亡母の味の味噌炒め

言葉にできない、そんな夜。 より

朝井リョウ「何者」知人のSNS
短い短い言葉で
紡ぎだされる毎日の記録は、
余分な部分が削げ落ちているから、
一口でもうお腹いっぱいになるくらいに、
濃い味がする。

吉澤嘉代子が書き下ろす❝充実した人のSNSを見たとき❞
私が今笑っているか泣いているのかが
私にしかわからないように
あの子のほんとうの笑顔も涙も結晶は映さない。

小沢一敬 曰く
夜に書いたラブレターをみんなは読みたいの。

夏目漱石「彼岸過迄」
裕福な友人・須永を訪れたときの気持ち

青年があんなでは駄目だと考えたり、
またあんなにもなって見たい
と思ったりして、
今日も二つの矛盾からでき上った
斑な興味を懐に、
彼は須永を訪問したのである。

朝井リョウ 曰く
抱きしめながら骨折れる

広末涼子
カントさん、
今夜だけ、私にだけ、
時間の法則をFreeに!
Please!!

小野花梨
「この後どうする?」きく女の子が好き?
きけない女の子が好き?
そこを知るには「この後」が
絶対必要なのに

吉澤嘉代子
「帰りたくない」なんて
ドラマみたいな台詞
のどの奥から零れそう

朝井リョウ
いま口を開けば、この時間に名前がついてしまう。
この空間に輪郭が引かれてしまう。
できればこのまま時空の座標から抜け落ちて、
何もない場所を漂っていたい。

小沢一敬
告白線の内側

村上春樹「TVピープル」
時計の音が耳につくようになる。
タルップ・ク・シャウス・
タルップ・ク・シャウス、
とその音が雨だれのように
周りの事物を少しずつ削り取っていく。
タルップ・ク・シャウス・
タルップ・ク・シャウス。
日曜日の午後には何もかも少しずつ
擦り減って縮尺が少しずつ縮んで見える。

太宰治「正義と微笑」16歳の少年の葛藤
日曜日の胸の内

あすは又、月曜日だ。
あすから又一週間、学校へ行くんだ。
僕は、かなり損な性分らしい。
現在この日曜を、
日曜として楽しむことができない。
日曜の陰に隠れている月曜の、
意地わるい表情におびえるのだ。

月曜は黒、火曜は血、
水曜は白、木曜は茶、
金曜は光、土曜は鼠、
そうして、
日曜は赤の危険信号だ。
淋しい筈だ。

朝井リョウ
言葉で書けないものが世の中にはある。

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