出藍や嬉しくもあり夏の霧
夏の月感情が老いてゆく
笑顔乗せ新町川を過ぎ航(ゆ)かん
風鈴や原始反射を緩めけり
NHK短歌
題「地」
選者 佐々木定綱 ゲスト 宅間孝之 司会 星野真里
■冒頭の短歌
生きるって最高だよなくそったれ」地球に惹かれる体が吐いた
佐佐木定綱
(寺山修司に影響を受け、人生の矛盾を詠んだ歌。)
■入選九首 題「地」
人間が埋めた地雷を探すとき鼠の眼は静かに光る
愛知県名古屋市 山田由美子
水色のバランスボールに子を乗せていともたやすくたわみし地球
静岡県静岡市 田北明大
記入するたびに空き地をもてあます姓名漢字ふた文字の人
神奈川県川崎市 山口正剛
もっともっと春の地面をゆきたくて遠回りしたがるスニーカー
神奈川県平塚市 風花雫
愛情の地熱のような苦しさにぐらつき耐えて我、母をする
東京都稲城市 山田香那
地下鉄は鯨のごとく息を継ぎ我らプランクトンの面持ち
東京都世田谷区 長井めも
問3で買わされる土地50万ヘクタール分の夢をください
千葉県千葉市 星野珠青
古書店を本の地層とするならば人差し指はピッケルとなる
埼玉県上尾市 佐藤研哉
ベランダに無地の白シャツばかりあり反射するたび休日が好き
宮城県仙台市 古川柊
■佐佐木先生の短歌というドラマ
歌の背景を通して一首を深く味わう!
五百トン牛糞買ひぬ作付図D地六町歩ビートを植ゑむ
時田則雄「北方論』より
仕事を詠んだ歌=職業詠
数詞と動詞の組み合わせに注目
この歌は独特な用語と非常にスケールの大きな数詞
それに対比してそっけない動詞の組み合わせが
作者の住んでいる世界を見事に表現しています。
作者が背負う仕事、作者にだけ見える景色が見えてくる。
■題「地」であなたの「仕事」を詠んでください
地響きのような拍手や笑い声そのためならば血反吐吐いても
宅間孝行 添削(単語のチョイスがとてもいいなと思いました。)
地響きのような拍手を追い求めペンの先より血反吐を垂らす
地下鉄が求めつづける陽光のようだカーテンコールの拍手
星野真里(地下鉄みたいに進み続けるみたいに役者としての
覚悟というか矜持みたいな強さを感じます。)
職業詠とはその人にしか実感できない仕事の世界を伝えてくれる歌!
今日の歌について
その人が仕事に生きる唯一無二の地点から詠う
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