2022年5月10日火曜日

テーマ「名物」

夏の宵海老茶袴の闊歩せり
音羽屋の配りうちわを握りしめ
さりげなく振る舞う所作や走馬灯
対岸の深川眺む夏の空
マルトリ(マルトリートメント)と気付いた時や八重葎(やえむぐら)

NHK短歌
選者 笹公人 ゲスト はるな愛 
レギュラー出演 カン・ハンナ 司会 星野真里

冒頭の短歌
「銀だらの西京焼き」なる文字見ればファミレスに燃え落ちる朱雀門
笹公人

グルメで一首
しろたえの千枚漬けの一枚をかけて眠りたし真夏の夜は
笹公人
しろたえの千枚漬けの一枚をあなたに譲る真夏の夜は
カン・ハンナ
しろたえの千枚漬けの一枚をすかして見上げる真夏の夜は
はるな愛
しろたえの千枚漬けの一枚をおでこに貼った真夏の夜は
星野真里

入選九首 テーマ「名物」
五月ってもう夏じゃんときみが言うデーゲームにはみかん氷を
久藤さえ
たこ焼きに熱燗添える夕まぐれ通天閣は真っ赤に染まる
影山博
カチワリがたちまち溶けてしまうような熱戦続け夏の甲子園
布施無門
饒舌な仲間も毛ガニを食べるとき深海のごと静かになりぬ
雪柳
これもまた名物だろうスプーンを拒む固さののぞみのアイス
芍薬
お土産は木刀よりもその土地の名物買へと言ひし校長
大島康正
軍手してアテンダントがするめ焼く津軽鉄道ストーブ列車
麻倉遥
できるだけ古いパーカー着て向かう牛越橋の芋煮会場
夏野あゆね
北国の回転寿司は東京の回らぬ寿司と肩を並べる
住吉和歌子

選者のお話 歌人のグルメ
葛切りを食む初夏まひる幽体の離脱体験談聞きながら
大塚寅彦

短歌ボナペティ キーワード クセ
明洞(みょんどん)の路地の店にてクセになるマンドゥは我らの思いで包む
カン・ハンナ
クセ強きマンドゥ頬張る日までまた空を見上げてしまうのだろう
星野真里
クセになる薄皮餃子百皿を平らげ韓国また行くよね~
笹公人

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