2022年5月31日火曜日

未央柳の読み方とNコン2022作詞者の言葉

夏浅し高きへ向かうマネーかな
円で借りドルに転換薄暑かな
購買力は価値交換ぞ夏の霧
国内回帰待機応変ハンモック
雲の峰金利上がりて強き米

■夏井いつき俳句チャンネル より
【一句一遊】兼題『未央柳』読み方は「びようやなぎ」「びょうやなぎ」?

韻律としてビヨウヤナギと読んだ方が
この句にとって得なのか
ビョウヤナギと読んだ方が得なのか
考えながら番組をやっている。

缶蹴りや未央柳の裏にゐる   一富士リリー
風に蘂差し出す未央柳かな   洒落神戸
蘂たかくひかりを生みて未央柳   座花酔月(ざかすいげつ)
未央柳先生たどり着けぬ家   穂積天玲
未央柳の雨に夫人を見失ふ   令ちゃん
未央柳聖(ひじり)の素足明るくす   紫水晶

■Nコン2022参加しよう より

◆DISH 北村匠海氏の言葉
リプレイってできない。
リプレイできない毎日を重ねることが
どんなにかけがえのないことなのか
みんなティスタンスは
とらなきゃいけないかもしれないけれど
(歌うことで)心と心が手をつなぎ合う
時間になればいいなと思って書いた。

◆谷川俊太郎氏の言葉
子ども一人一人がなんか言う時や歌う時に
相手に「届いているか」を一番気にしていないといけない。
言いたいことが相手に届いているかどうかが
ことばの一番大事なところがあると思っています。

◆住野よるの言葉
自分の中には「声になるまえの心」がたくさんあって
自分にしか聞こえていない「無音」がある。
それを大事にしてほしい思いを込めて
「無音が聴こえる」と言うタイトルにした。

2022年5月30日月曜日

歳時記食堂 奥田暎二

深き海霧(じり)グロース株の大試練
降ろせない脱炭素の旗螻蛄(けら)鳴く
交差する強気と弱気雨蛙
魂の入った器草茂る
大切なものは見えない月涼し

NHK俳句 増刊号 
歳時記食堂 ~おいしい俳句いただきます~
女将 宇多喜代子 看板娘 南沢奈央
常連客 古坂大魔王 本日の客 奥田暎二(俳号 寂明)

■一品目
そら豆はまことに青き味したり   細見綾子
(「そら豆」空に向かって直立するので❝そら豆❞という 歳時記より)

俳人 細見綾子とは
明治40年(1907年兵庫県氷上群 現在の丹波市)生まれ
裕福な家で育ちましたが20代で
肺を患い長い療養生活を余儀なくされました。
「来る日も来る日もただ横たわっていた。
 ひどく虚無的で心身のどこにも力はなかった。」
細見綾子著「私の歳時記」より
病に伏した綾子に医師が勧めたもの
それが俳句でした。
この俳句も療養生活の中で詠まれたものです。
「そら豆を茹でて食べたら、青い味がした。」
俳句を作ることによって少しずつ生の肯定をはじめた、
ということになろうか。
「俳句研究」昭和61年3月号より

宇多喜代子が選ぶ細見綾子の代表句
チューリップ喜びだけを持ってゐる
ふだん着でふだんの心桃の花
つばめつばめ泥が好きなる燕かな

■二品目
大粒の雨が来さうよ鱧の皮   草間時彦
「鱧」口が大きく鋭い歯を持つ
主に関西で食用にされ夏が旬

俳人 草間時彦 とは
大正9年(1920年)東京生まれ
出張先で食べた食事を句にしました。
この背景は大阪の夕凪の暑さの中で、
はもきゅうで一杯やっているのである。
大粒の夕立が来てくれないかと
雲の様子を見ているのだが、降らず仕舞いが多い。
今日はどうだろう。なんとか一雨欲しいという心である。
草間時彦著「食べもの俳句館」より

宇多喜代子が選ぶ草間時彦の代表句
ぐい呑(のみ)を小鉢代わりの木の芽和(あえ)   草間時彦

■三品目
単純な蜜豆でしたわが青春   上原恒子

昭和22年銀座での初デートでご主人と
召し上がったことを詠まれたそうです。
俳句を教えてくれたのもご主人だったとか…。

珊瑚礁暮れゆく年の波の音   上原信一郎

好きな句をお聞きするとまだないそうです。
これからだそうです。

そら豆のさやをはがして口づける   寂明

最高に素敵な番組をありがとうございました!

2022年5月29日日曜日

ワルツの起源と半藤末利子女史!

自己暗示かけては解く夏の潮
夏の宵夢中になりて時が過ぎ
カラフルな食卓囲む夏の風
風青し視点を変えて俯瞰して
万緑や根源的に生きゆかん

■世界の国境を歩いてみたら より
Waltzはインスブルック周辺の農民のダンス
「ヴェッツラー」という音楽がもとになっていた。
ハプスブルク家の後押しを受けた作曲家たちが
優雅にアレンジしてWaltzとして世界に広めました。
インスブルックは舞踏会の街と呼ばれています。
「オーストリアとドイツの国境を歩いてみたら
舞踏会のダンスが好きな若者たち(16歳)と会った。」渡辺早織
今でも冬のオーストリアでは大小合わせてたくさんの舞踏会が行われています。
この日も街の中ではたくさんの人たちが踊っていました。

■徹子の部屋より
半藤一利氏の妻 末利子女史(夏目漱石の孫)への遺言は
「墨子を読みなさい。」だったとか…。
半藤一利&末利子ご夫妻に乾杯❣
理想のご夫婦を拝見したような…。

墨子の名言10選|心に響く言葉
https://live-the-way.com/great-man/history/bokushi/

2022年5月28日土曜日

待てで一句

新しきもの受け入れられず髪洗ふ
相手した吾の愚かさや草茂る
夏めくやアップできずにまた削除
不出来な子親を看取らん過疎の夏
玉葱と蕎麦粉不足の夏来る

プレバト纏め 2022年5月26日
待てで一句

永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
まろび来る仔犬に夏の陽の香り
添削(「まろび来る」は転がるように来る様子)
まろび来る仔犬は夏のの香よ

永世名人への道
千原ジュニア
帰省して貼られたままの犬シール
(「して」は「せり」が定石。
 「して」「まま」としたことで感情表現が上手くできた。)

横尾渉
夕立晴モップのごと微睡む犬
添削(「ごと」は五六六の韻律と密接に関係。中七は定石。
   添削の字余りは余韻の効果を持つ。)
夕立晴モップのような犬微睡む
夕立晴モップのように犬微睡む

1位 的場浩司
老犬や腹見せ眠る薄暑光
(衰えた老犬の哀れな感じを出すならとアドバイス。)
老犬は眠る薄暑の腹さらし

2位 小池美波
五月晴れ肉球あつし初散歩
添削(三段切れ。
   「厚い・熱い」が曖昧で季語がぼんやりしてしまった。
   語順を変え句またがりにする。)
肉球あつし五月晴れの散歩

3位 蛙亭イワクラ
ソーダ水結露が染みる珪藻土
添削(表現したいことが自分でもわかっていない。)
待てできぬ仔犬とソーダ水の結露

4位 三田寛子
初口上頭垂れ見る若楓
添削(読解不能。
   具体的な映像をどれだけ丁寧に描写出来るかが俳句。)
若楓初口上の健気な手

次回のお題は「突然の雨」

2022年5月27日金曜日

言葉にできない、そんな夜。

不利益な時間と費用夏霞
永遠の不可逆を生く星涼し
青時雨感じるままを言の葉に
青嵐刻む鼓動や近未来
初茄子や亡母の味の味噌炒め

言葉にできない、そんな夜。 より

朝井リョウ「何者」知人のSNS
短い短い言葉で
紡ぎだされる毎日の記録は、
余分な部分が削げ落ちているから、
一口でもうお腹いっぱいになるくらいに、
濃い味がする。

吉澤嘉代子が書き下ろす❝充実した人のSNSを見たとき❞
私が今笑っているか泣いているのかが
私にしかわからないように
あの子のほんとうの笑顔も涙も結晶は映さない。

小沢一敬 曰く
夜に書いたラブレターをみんなは読みたいの。

夏目漱石「彼岸過迄」
裕福な友人・須永を訪れたときの気持ち

青年があんなでは駄目だと考えたり、
またあんなにもなって見たい
と思ったりして、
今日も二つの矛盾からでき上った
斑な興味を懐に、
彼は須永を訪問したのである。

朝井リョウ 曰く
抱きしめながら骨折れる

広末涼子
カントさん、
今夜だけ、私にだけ、
時間の法則をFreeに!
Please!!

小野花梨
「この後どうする?」きく女の子が好き?
きけない女の子が好き?
そこを知るには「この後」が
絶対必要なのに

吉澤嘉代子
「帰りたくない」なんて
ドラマみたいな台詞
のどの奥から零れそう

朝井リョウ
いま口を開けば、この時間に名前がついてしまう。
この空間に輪郭が引かれてしまう。
できればこのまま時空の座標から抜け落ちて、
何もない場所を漂っていたい。

小沢一敬
告白線の内側

村上春樹「TVピープル」
時計の音が耳につくようになる。
タルップ・ク・シャウス・
タルップ・ク・シャウス、
とその音が雨だれのように
周りの事物を少しずつ削り取っていく。
タルップ・ク・シャウス・
タルップ・ク・シャウス。
日曜日の午後には何もかも少しずつ
擦り減って縮尺が少しずつ縮んで見える。

太宰治「正義と微笑」16歳の少年の葛藤
日曜日の胸の内

あすは又、月曜日だ。
あすから又一週間、学校へ行くんだ。
僕は、かなり損な性分らしい。
現在この日曜を、
日曜として楽しむことができない。
日曜の陰に隠れている月曜の、
意地わるい表情におびえるのだ。

月曜は黒、火曜は血、
水曜は白、木曜は茶、
金曜は光、土曜は鼠、
そうして、
日曜は赤の危険信号だ。
淋しい筈だ。

朝井リョウ
言葉で書けないものが世の中にはある。

2022年5月26日木曜日

平塚らいてうの句と選者の句と「筍流し」

五月田(さつきだ)へ勢いつけて風の舞う
夏の道種は飛ばされ来世は
混沌とした日常を柿若葉
夏の月これは地震か強風か
燕の子ひもじき時間を過ごしけり

◆川面吹き青田吹き風袖にみつ   平塚らいてう 

◆夏井いつき俳句チャンネル
■【第4回尻二字三角パス】
後半戦!組長は尻二字「チェロ」にどう返す?

ペンパルは鍛冶屋ウクライナは向日葵
わり合わん仕事よ釘鍛冶屋の朧   家藤正人
ぼろんぼろん爪弾きの花のチェロ   ローゼン千津
ちぇ論外の春だぜ綿菓子はべとべと   夏井いつき
ベトネベートよつぶらなる汗のふぐり   家藤正人
ぐりぐらもう一回読んで端午の節句   ローゼン千津

■【NHK学園 秋の誌上俳句大会】
正人が選者をします!他3人の選者に正人が萎縮?

水は木に気はまた鳥に春のくる   家藤正人
風まとふ大つぶの雨吾赤紅   井上康明
きのふとは一日限り鳥雲に   片山由美子
一書抜き十書が梅雨の書架   能村研三

◆一分季語ウンチク 筍流し
「流し」という言葉は湿気を含んで
雨を伴うことの多い南風のことです。
この「筍流し」とは天文の季語になります。
「筍」が生えてくる初夏に頃に吹く「流し」ということで
「筍流し」と呼ばれています。
「茅花(つばな)流し」と言う季語もあるのですが
「茅花流し」は茅花が咲く頃に吹く南風のことです。

2022年5月25日水曜日

方丈記と徒然草 7&8回

夏に出会ったレナペの文化ひかた
生命体を守り伝えんレナペ族(無季句)
諍(いさか)いは「ワニシ」がなくす雲の峰
走馬灯子孫が伝播レナペ族
髪洗ふ言葉通じぬ人のをり

「方丈記」と「徒然草」より
担当講師 放送大学教授 島内裕子

一人、燈火(ともしび)の下に、文を広げて、
見ぬ世の人を友にするぞ、
こよなう慰む業(わざ)なる。
「徒然草」第十三段

双(ならび)の岡に無常所、設けて
傍らに桜を植ゑさすとて
契り置く
花とならびの
岡の上にあはれ幾世の
春を過ぐさむ
「兼好法師集」

月添ひて
悲しきこぼる
萩すすき
服部土芳(松尾芭蕉の弟子)の句碑

ありとだに
人に知られぬ身の程や
三十日に近きあけぼのの月
伝兼好歌

ありあけも
三十日に近し
餅の音
松尾芭蕉

いかにして
慰むものぞ
憂き世をも
背かで過ぐず
人に問はばや
兼好法師集 出家間近

住めばまた
憂き世なりけり
よそながら
思ひしままの
山里もがな
兼好法師集 初句は「ここもまた」とも

世の中を
渡り比べて
今ぞ知る
阿波の鳴戸は
波風もなし
伝兼好歌

新鮮でなければ古典でなくて
そのことだけが
その生命を保証している。
吉田健一

心、更に、答ふる事、無し。
方丈記

一人の主にも逢わなかった。
森鴎外「妄想」

遍歴(へめぐ)りて
いづくにか行く
わが魂(たま)ぞ
はやも三十(みそぢ)に
近しといふを
中島敦「通歴」

2022年5月24日火曜日

題「地」

真夜中の独りぼっちのシャボン玉
出藍や嬉しくもあり夏の霧
夏の月感情が老いてゆく
笑顔乗せ新町川を過ぎ航(ゆ)かん
風鈴や原始反射を緩めけり

NHK短歌
題「地」
選者 佐々木定綱 ゲスト 宅間孝之 司会 星野真里

■冒頭の短歌
生きるって最高だよなくそったれ」地球に惹かれる体が吐いた
佐佐木定綱
(寺山修司に影響を受け、人生の矛盾を詠んだ歌。)

■入選九首 題「地」
人間が埋めた地雷を探すとき鼠の眼は静かに光る
愛知県名古屋市 山田由美子
水色のバランスボールに子を乗せていともたやすくたわみし地球
静岡県静岡市 田北明大
記入するたびに空き地をもてあます姓名漢字ふた文字の人
神奈川県川崎市 山口正剛
もっともっと春の地面をゆきたくて遠回りしたがるスニーカー
神奈川県平塚市 風花雫
愛情の地熱のような苦しさにぐらつき耐えて我、母をする
東京都稲城市 山田香那
地下鉄は鯨のごとく息を継ぎ我らプランクトンの面持ち
東京都世田谷区 長井めも
問3で買わされる土地50万ヘクタール分の夢をください
千葉県千葉市 星野珠青
古書店を本の地層とするならば人差し指はピッケルとなる
埼玉県上尾市 佐藤研哉
ベランダに無地の白シャツばかりあり反射するたび休日が好き
宮城県仙台市 古川柊

■佐佐木先生の短歌というドラマ
歌の背景を通して一首を深く味わう!

五百トン牛糞買ひぬ作付図D地六町歩ビートを植ゑむ
時田則雄「北方論』より
仕事を詠んだ歌=職業詠
数詞と動詞の組み合わせに注目
この歌は独特な用語と非常にスケールの大きな数詞
それに対比してそっけない動詞の組み合わせが
作者の住んでいる世界を見事に表現しています。
作者が背負う仕事、作者にだけ見える景色が見えてくる。

■題「地」であなたの「仕事」を詠んでください

地響きのような拍手や笑い声そのためならば血反吐吐いても
宅間孝行 添削(単語のチョイスがとてもいいなと思いました。)
地響きのような拍手を追い求めペンの先より血反吐を垂らす

地下鉄が求めつづける陽光のようだカーテンコールの拍手
星野真里(地下鉄みたいに進み続けるみたいに役者としての
     覚悟というか矜持みたいな強さを感じます。)

職業詠とはその人にしか実感できない仕事の世界を伝えてくれる歌!

今日の歌について
その人が仕事に生きる唯一無二の地点から詠う

2022年5月23日月曜日

テーマ「ファッション」

夏の星試さるる日へ羽ばたかん
せめぎ合う流行と個性ハンモック
夏怒涛相互理解やなきままに
夏の風異国の文化伝播せり
それぞれの色に意味あり風薫る

NHK俳句 テーマ「ファッション」
選者 堀本裕樹 ゲスト 祐真朋樹(すけざねともき) 司会 武井壮

冒頭句
投函のあとはつとする単衣かな   堀本裕樹

■あなたのエピソードを俳句にします
テーマ「ファッション」
情景をきちんと見せる

ポイント①切れ字を使って情景をハッキリさせる
夏服の君が振り向く坂の上   西ケ開公一   
添削(詠嘆・感動を置くポイント)
夏服の振り向く君や坂の上

ポイント②エピソードが伝わるようにしよう
コーディネーター最後に選ぶ夏帽子   伝田幸男
添削
妻任せシャツもズボンも夏帽も

ポイント③生かす部分をハッキリと描く
緑さす黒き服のみ着る二十歳
(色の対比をハッキリさせる)

■入選六句 テーマ「ファッション」
夏帽子シガーケースの光りけり   田尻武雄
サンドレスするり飲み干すギムレット   井上志津
亡き祖父の懐中時計巻く立夏   今西富幸
アロハシャツ娘の土産なれば着る   村瀬利明
夏帽の古希の恩師と神楽坂   金井憲一郎
ロールアップの踝(くるぶし)やハンモック   橋口賢一郎

■ゲストのエピソード俳句にします
「Beau Garcon!」とは我のことか夏の宵   堀本裕樹
Beau Garconとは美青年と言う意味。

2022年5月22日日曜日

名言と尻文字三角パス

吉野川主役演じる夏の鳥
潮風よ浜昼顔の群生よ
潮干狩り陽光受けて吉野川
夏が来たひょうたん島を舟遊び
夏の香よ新町川クルージング

■夏井いつき俳句チャンネル
【第4回尻ニ字三角パス】
組長の妹(ローゼン千津)が参戦!最初の尻二字は『ん○』!

胃で感ず白湯の形やちゃんちゃんこ
ん、こんな妹でして猫の恋   夏井いつき
来い、⑦-①!ダービーの熱津波   家藤正人
波立ちて桜の下の鯛まんじゅう   ローゼン千津
(十年の汗を道後の温泉尓洗へ   正岡子規)本歌取り
十年の汗を流せる湯や柳   夏井いつき
(退屈なガソリンガール柳の芽   富安風生)
凪の春包帯の吸ふ潮の粒   家藤正人
つぶらなる捨猫の目に花一片(ぺん)   ローゼン千津

次回後半戦!まだまだ続きます!

■名言
ウィルストン・チャーチル 曰く
「楽天家は、困難の中にチャンスを見出す。
 悲観論者は、チャンスの中に困難を見る。」

二宮尊徳 曰く
「世の人が、生きているときは人で、
 死んでから仏となるというのは間違っている。
 生きている時から仏であるから
 死んで仏になるのである。」

バーナード・ショー 曰く
「人生とは自分を見つけることではない。
 人生とは自分を創ることである。」

2022年5月21日土曜日

町中華で一句

夏霞円の時代の到来か
円安が米経済を破壊する(無季句)
糞ころがしやしなやかにしたたかに
輸入から輸出へ変わる企業なし(無季句)
汗みずく円安活かす企業たれ

プレバト纏め 2022年5月19日
町中華で一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
舌先を花山椒に噛まれけり
添削(「けり」は前から続いていた状況に
今、気づいたと言うという時に使う。のだとか…。)
舌先を噛まれ花山椒ぴりり
舌先を噛まれ花山椒かおる

永世名人への道
村上健志
空焼きの中華鍋背に胡瓜噛む
添削(「空焼き」「中華鍋」と調和する季語を選ぶべき。
   質量のバランスが悪い。対比より中和の方向が良い。)
中華鍋空焼き蒜(にんにく)を剥きつつ

藤本敏史
夏めくやこれより打ち出す中華鍋
添削(「打ち出し」とは1枚の鉄板をハンマーで叩き
   鍋の形にまげていく製法。五四四五のリズムだとか…)
これよりの夏や打ち出す中華鍋

1位 久代萌美
こどもの日ロボット削る刀削麺
(「刀削麺」とは中国から伝来した包丁で生地を削り作る麺のこと。)

2位 篠原ゆき子
二度見かな嫗(おうな)の盛り飯扇風機
添削
嫗食う山盛りの飯扇風機

3位 大友康平
暖簾越し胃袋つかむ夏座敷
添削(季語の選択ミス。「夏座敷」とはふすま・障子などを
   取り外した風通しの良い座敷のこと。)
夏きたる町飯店のスープの香

4位 板東龍汰
青山河シビレ驚き走り出す
添削(「青山河」とは夏の青葉が生い茂る山川のようす。)
山椒の実噛んでシビレて走り出す

次回のお題は「待て」

2022年5月20日金曜日

辞世の句と言葉と名言

春の野や野草ほのかに香りけり
船窪の自然群生オンツツジ
オンツツジ赤と緑の高越山(こうつざん)
皮脱ぎて宙へ宙へと今年竹
見守らん加茂の大クス村の明日

■偉人・素顔の歴史書 より
辞世の句
お市
さらねだにうち寝るほども夏の夜の夢路をさそふほととぎすかな
柴田勝家
夏の夜の夢路はかなきあとの名を雲井にあげよ山ほととぎす

■言葉
ロッチと子羊 より
西田幾太郎
自分探しをする必要はありません
自分が本当にやりたいことは
純粋経験を大切にすれば
おのずと見えてきます

ラッセル
趣味や仕事で
人生を充実させるための
最強の方法は‟中庸„である。

■名言
前田裕二 曰く
「単に『詳しく知っている』というだけではなくて、
 知識を得る中で研ぎ澄まされていった
 独自の『視点』こそが
 価値として定義され、消費されていくのです。」

■俳句
まて己咲かで散りなば何が梅   野口英世

2022年5月19日木曜日

兼題「白鷺」

夏点前水の流れよ静けさよ
青き空凛と時つ(そばだつ)三嶺(みうね)かな
陽に向かう茅花(つばな)流しのしなりかな
苔むした轟の滝しぶきあぐ
滴れり緑さわやか風かすか

ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場 より
兼題「白鷺」
「白鷺」は白い鷺の総称。
初夏の頃に、高い梢(こずえ)などに巣を作り、雛(ひな)を育てる。
俳句では繁殖期を主として、夏の季語としている。

選句のポイント
白鷺のどの種類かわかる

ギュッと!特選
さざ波くふくふ白鷺の早歩き   あいむ李景

私のお気に入り秀作
白鷺の翔つとき消ゆる川の音   古賀
白鷺の影の伸びれば揺れる水   花紋
白鷺は発(た)つみづの輪をひからせて   げばげば
揺る糸を見る釣人も白鷺も   井納蒼求
白鷺や雨の波紋のすこしづつ   一港
白鷺の佇(たたず)むだけの田の日暮れ   浦野紗知
白鷺の一考長し堰(せき)の昼   加田紗智
白鷺の佇(たたず)む岸を見て日暮   小池令香
白鷺佇(たたず)む旧赤線の川   西村小市
白鷺のこんもり群るる大樹かな   平本魚水
白鷺や路肩の蛇の腐敗臭   定位置

NHK松山放送局さま 
今回も勉強させていただき感謝です!
https://www.nhk.jp/p/gyuttoshikoku/ts/7MXVZZ52K3/blog/bl/pKyjJXApJB/bp/pQ4kdlPA6M/

2022年5月18日水曜日

言葉にできない、そんな夜。

茹小豆見る目涼しく味わわん
夏衣所作の反復あどけなく
夏座敷視線の先の憂いかな
夏羽織憂いに満ちた表情よ
夏の月柔軟性が消えてゆく

言葉にできない、そんな夜。より

■阿部公房「牧草」より 不条理な展開 夢の逃走
私と同じく見違えるほど成長した景色が
なんとなく大人びてはにかんでいるような
気がするのをおかしく思った。

■小沢一敬
成長って矛盾を抱いているかもしれない。 

■町田そのこ(苦しみ、孤独に優しく寄り添う作家)
置いていかれた。
ぼくというパーツが消えた街は、
ぼくなしでも進み続けていたのだ。
分かっていたことなのに立ち尽くしてしまう。
ぼくの嵌っていた場所にはもう辿り着けない。
空に差し出した手を、ゆっくりおろした。

■朝井リョウ「逆算」
高校球児のサッカー日本代表。箱根駅伝のランナー。
オリンピックの金メダリスト。ごくせんのヤンクミ。サザエさん。
今ではだれもが、今の私よりもずっと、子どもでいていい
場所に立ったまま、大人の目をしてこちらをずっと見つめている。
そして、すぐ目の前には追い抜きたくない最後の陰がある。

■吉澤嘉代子
こんなに心細い腕で、頼りない胸で
小さな私を抱きしめていたんだな。
正解と不正解に戸惑いながら一日が無事に
終れることを奇跡のように祈りながら
お母さんはお母さんになった。

2022年5月17日火曜日

題「片思い」

夏点前緩みと遊びそこかしこ
縁蓋(えんぶた)に思いを込めて夏の筆
紗の羽織ぼかした線の生き生きと
秘儀持ちて肌の質感単足袋
麻暖簾奥行きに風緑かな

NHK短歌 題「片思い」
選者 江戸雪 ゲスト 沙羅 
司会 星野真里 レギュラー出演 カン・ハンナ

冒頭の短歌
片恋がカタコト音をたてながらこの胸にあり春を見送る
江戸雪

恋のフレーズ短歌
片思いのイメージを七音に

いつからか(江戸雪)
私ではない(星野真里)
五月なり(江戸雪)
執着心は(沙羅)
ひまわりのよう(カン・ハンナ)

■入選九首 テーマ「片思い」
好きだって言えないままで消えていく炎を分けてもらった花火
和歌山県和歌山市 千代田環
最近はほとんど声も聞いてない息子に2つ増やす唐揚げ
奈良県奈良市 竹上言ふと
大空に林檎がひとつありました君の後ろを駆けていきます
大阪府大阪市 川田裕加里
切れ味の落ちたハサミで指先をはさむみたいな恋をしている
大阪府堺市 シノノメユフ
「じゃあわたしこちらにいきます」その「じゃあ」が空に染めゆく駅の夕暮れ
神奈川県横浜市 古関聡
夢だから告白できる汀にてあり得るほどの桜貝散る
神奈川県横浜市 小俵鱚太
「彼女が」と君の口から飛び出した言葉がパフェを台無しにする
東京都大田区 今井遼
なんどでも逆さまにする砂時計君との現在が終わらぬように
埼玉県鴻巣市 新井聡子
次の世は君が片恋する番で私は花のように微笑む
茨木県筑西市 宮川礼子

■選者のお話 
江戸雪先生のテーマ「恋をしたなら」

さわらせてほしい背中の骨格のどこかに春のスイッチがある
北山あさひ

■恋バナ短歌
沙羅さんの片思いを短歌にしました!

花咲かぬ永い冬さえ乗り越えて訪れたのは散り急ぐ春
カン・ハンナ 添削
花咲かぬ永い孤独を乗り越えて訪れたのは散り急ぐ春

両思いのち片思い可愛いと言ったあなたが背負う太陽
星野真里 添削(余白を入れる)
両思いのち片思い可愛いと言ったあなたが背負う太陽

だれに似てまた似なくても君は君だけの春風ひかせていた日
江戸雪

2022年5月16日月曜日

兼題「羅」鈴木真砂女

月涼ししどけなさの中の気品
風吹くや女と菖蒲魅かれあい 
緑陰に佇む女眩し気に
ソーダ水言葉にする鍛錬
新茶効く緊張感と解放感

◆NHK俳句
選者 星野高士 ゲスト宮本真希 司会 武井壮
兼題「羅(うすもの)」

冒頭の俳句
羅や人悲します恋をして   鈴木真砂女

■星野高士先生のテーマは「会いたい俳人12人」
今回は鈴木真砂女の生涯が取り上げられました。
真砂女は愛を貫いた俳人と星野高士先生…。

明治39年(1906年) 千葉県鴨川の生まれ 2003年没
23歳 初恋の人と結婚
29歳 夫が蒸発 同じ年に姉が他界。
両親の説得で亡くなった姉の夫と再婚し、旅館を継ぎ女将となる。
31歳の時、定宿としていた海軍士官と道ならぬ恋となる。

■鈴木真砂女の言葉
人様のようにただね
会ってうれしいとか他の死とかばっかりじゃない
やっぱり罪の意識がありますからね
(51歳の時、決断を迫られ遂に家を出ることとなりました。)
だけど恋をとるって言ったって
相手は奥さんも子どももある方ですから
自分は自分で
やっぱり一人で生きていかなきゃいけない
不安なんて考えもしなかった
ただ無我夢中でやる
これから自由に会える方がうれしかったですね
(全てを捨て上京した真砂女は上京して
 銀座に小料理屋を開きました。
 真砂女の一途な恋はその人が亡くなるまで続きました。
 40年に渡る恋でした。)

姉が俳句をやっていたことから、姉の亡き後に俳句を始める。
平成6年から「NHK俳壇」選者 読売文学賞・蛇笏賞受賞

わが路地の帯のごとしや暮の春   鈴木真砂女

死なうかと囁かれしは蛍の夜   鈴木真砂女
(この俳句のようなことがあったのかと
星野高士先生がお聞きしたら合ったと答えられたとか…。
それを受けて星野高士先生が詠まれた俳句は⇩)
二三粒苺を食べてよりのこと   星野高士

■入選九句 兼題「羅(うすもの)」
羅やこれからひとに会ふところ   石川総一郎
羅に女盛りを包みたる   荒木信夫
風のやう影のやうにも薄衣   和泉金子
羅の袖引つ張ってする話    沖野充
羅や今日は一日農休日   高栁しずか
羅に星のまたたく音が降る   前田由美子
羅がふわりと昇る昇降機   石浜西夏
うすものに空かるくなる一日かな   多々良海月
羅の裾の乱れや京の宵   植松俊一

宮本真希さんが鈴木真砂女女史の俳句で一番好きな作品は…。
今生(こんじょう)の今が倖せ衣被(きぬかつぎ)   鈴木真砂女

■鈴木真砂女の有名な俳句
雑踏に捨てし愁ひや柳散る
朝顔やすでにきのうふとなりしこと
ゆく春や身に倖せの割烹着
あるときは船より高き卯浪(うなみ)かな
熱燗(あつかん)やいつも無口の一人客
蛍の死や三寸の籠の中
秋の芽やみづみづしきは恋の顔
落雷の近しと鯵(あじ)を叩きけり
鏡台にぬきし指輪や花の雨
冴返る(さえかえる)すまじきものの中に恋
髪に櫛とほりよき朝夏燕(なつつばめ)
女老い仏顔して牡丹見る
戒名は真砂女でよろし紫木蓮(しもくれん)
人生きて残すは梅や簾(すだれ)巻く
突然死望むところよ土筆野(つくしの)に
来てみれば花野の果ては海なりし
夏帯や一途といふは美しく
九十年生きし春着の裾捌き
鯛よりも目刺のうまさ知らざるや
鵙の贄罪ある者をさらすごと
落葉焚き人に逢ひたくなき日かな

鈴木真砂女女史の俳句に夢中になっている私がいます。
出会わせてくださった星野高士先生に感謝申し上げます。

2022年5月15日日曜日

種田山頭火の俳句と「筍」と名言

移住者の守る伝統過疎の夏
夏が来た神山すだちの鶏天
仕留めたり残る羽音や越冬蚊
解体後佇む門や夏の空
憂いある視線の先の夏の庭

■夏井いつき俳句チャンネル

【ベンチで山頭火】
夏井いつきが山頭火の句に辛口コメント?
句集『草木塔』から100句選します

炎天をいただいて乞ひ歩く
鴉(からす)啼いてわたしも一人
生死の中の雪ふりしきる
木の葉散る歩きつめる
踏みわける萩よすすきよ
この旅、果てもない旅のつくつくぼうし

■一分季語ウンチク 「筍」

「筍」竹の芽になってくるわけなのですが
竹は地面の中を横に横に根をはる習性があります。
初夏の頃になって出てくる新芽が「筍」です。
あれだけ立派に食べるものが芽とは驚きますが
初夏の風物詩です。

■名言
シドニー・J・ハリス 曰く
「忙しすぎるときこそが、休むべき時である。

福田敬子 曰く
「強く、やさしく、美しく。」

種田山頭火 曰く
「無理をするな、素直であれ。
 すべてがこの語句に尽きる、
 この心構えさえ失わなければ、
 人は人として
 十分に生きてゆける。」


2022年5月14日土曜日

時計で一句

ハイテクが集う古民家夏の空
移住者の縁側オフィス風薫る
発想がカタチになりて夏の陣
空想をデジタル化せん夏の星
熱き日や過疎のデジタル甲子園

プレバト纏め 2022年5月12日
時計で一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
公園の夕焼煮詰まれば帰る
添削(工夫が中途半端)
夕焼が煮詰まるまではまだ遊ぶ

特待生昇格試験
北山宏光
夏蒲団軸足のミサンガの跡
添削(中七以降のフレーズと引き立て合う季語の選択)
夕涼や軸足のミサンガの跡

犬山紙子
午後も片乳出したまま窓は初夏
添削(発想力は凄いが措辞がまず過ぎ誤読される。)
窓は初夏寝ぬ子と授乳の片乳と

1位 YOU
蝉時雨時もかき消すアスファルト
添削(難しい事はせず日常の些細な事を掬い取ればよいの典型。)
蝉時雨時かき消すアスファルト

2位 ZAZY
蝦蛄(しゃこ)の山拓きし祖母の指の反り
添削(過去「し」では季語の鮮度が落ちる。)
蝦蛄の山剥く祖母の指反り歪(ゆが)む

3位 郷ひろみ
初夏や白球と母の握り飯
添削(別の季語でも置き換えられる。
   ハの韻を踏んでいるが「春」など他の季語でも成立する。
   音数が余っている。句またがりで17音にするとよい。)
初夏白球母の握り飯

4位 貴島明日香
夏の灯に子を眺めいる時計台
添削(時計台の擬人化が陳腐。「や」詠嘆したほうが良い。)
夏の灯子ら帰りゆく時計台

次回のお題は「町中華」

2022年5月13日金曜日

種田山頭火の自由律俳句

夏浅し伝統繋ぐデジタル化
デジタル国家田園都市構想薫風
老いも若きも神山バレー(サテライトオフィス)二重虹
デジタルで人の交流夏の月
過疎の夏すだち増し増しすだち鶏

種田山頭火(1882年12月3日 - 1940年10月11日)
58歳脳溢血のため一草庵にて死去

気まぐれの旅暮れて桜月夜なる
霧島は霧にかくれて赤とんぼ
しぐるるやしぐるる山へ歩み入る
ふるさとはあの山なみの雪のかがやく

今日の道のたんぽぽ咲いた
夕立やお地蔵さんもわたしもずぶぬれ
分け入っても分け入っても青い山
ほろほろほろびゆくわたくしの秋
酔うてこほろぎと寝ていたよ
焼き捨てて日記の灰のこれだけか
どうしようもないわたしが歩いている
まっすぐな道でさみしい
うしろすがたのしぐれてゆくのか
ついてくる犬よおまへも宿なしか
生死の中雪ふりしきる

あるけばかつこういそげばかつこう
へうへうとして水を味ふ
一羽来て啼かない鳥である
うしろすがたのしぐれてゆくか
どうしようもない私が歩いている
生まれた家はあとかたもないほうたる
音はしぐれか
ゆうぜんとしてほろ酔へば雑草そよぐ
酔うてこほろぎと寝ていたよ
鴉啼いてわたしも一人
笠にとんぼをとまらせてあるく
笠も漏り出したか
けふもいちにち風を歩いてきた
この旅、果もない旅のつくつくぼうし
こころすなほに御飯がふいた
鈴をふりふりお四国の土になるべく
霧島は霧にかくれて赤とんぼ
また一枚脱ぎ捨てる旅から旅
まつすぐな道でさみしい
ふるさとはあの山なみの雪のかがやく
すべつてころんで山がひつそり
また見ることもない山が遠ざかる
松はみな枝垂れて南無観是音
分け入つても分け入つても青い山
鉄鉢の中へも霰
山へ空へ摩訶般若波羅密多心経
水音の絶えずして御仏とあり
ほろほろほろびゆくわたくしの秋
生死の中の雪ふりしきる
おちついて死ねそうな草萌ゆる
濁れる水の流れつつ澄む

Wikipedia より

2022年5月12日木曜日

葛飾北斎と萩原朔太郎の句と尻文字三角パス

ヘリコプター轟音残し夏の雲
白日傘明石縮(ちぢみ)の凛として
夏の帰路赤い襦袢の見え隠れ
白檀の傷の修復古扇(ふるおうぎ)
噴水やシャツ脱ぎ捨てて肌と肌

夏井いつき俳句チャンネル より
【尻二字三角パス】第4回のゼロ番句候補を発表!

呆れるの北風さんは服ぬいで   兼光

出でよ当たり福引回すガラガラと
胃で生きるピロリ三月のドックに
胃で感ず白湯の形やちゃんちゃんこ
胃で混ぜる脂と塩と秋思かな
胃で溶けて胸にしみこむバレンタイン
胃で足す英気余花よきイエスタディ
井出せんせい食ぶ立春のささみ天
井出らっきょサイン黄ばみしぶりしゃぶ屋
「遺伝子レベルで無理」捨て台詞凍つ
遺伝かな祖母が教科書ストーブへ
異伝あり母に我にも花野径
出でよ龍春の湖面のまろければ
いで潮や月夜の蟹を踏みつくす(蛙)
胆(い)でろんと垂れ土匂う熊の腹
胃で育つ菌糸それから春の闇
胃で混ぜて多分濁酒(だくしゅ)は禍の色
出光が安いか春の夜のラヂヲ

悲(ひ)と魂(たま)でゆくきさん(気散)じや夏の原   葛飾北斎 辞世の句

人間に火星近づく暑さかな   萩原朔太郎

2022年5月11日水曜日

名言と哲学サプリの言葉

生活の手触り遺る夏蒲団
夏怒涛昨日の自分を超え行かん
重たげに翼広げん緑雨かな
春日傘背と膝曲げてピンヒール
春の蚊やついに仕留めん有頂天

■哲学サプリ より
アリストテレス 曰く
「親友は作ろうとしても 
 そう簡単にできるものではないのです。
 むしろいつの間にかかなっている
 そんなものです。」

アリストテレスは友情のことをフィリアと呼びました。
フィリアには3つのタイプがあるとも…。
① 有用ゆえのフィリア
② 快楽ゆえのフィリア
③ 善ゆえのフィリア
善ゆえのフィリアこそが親友であると言いました。

およそ52ℓ(31年)の塩を一緒に食べたのち
でなければお互いを知る事ができないとも…。
親友を作るには長い時間が必要。
目の前にいる友人を親友に育てよう。

セール 曰く
「世の中に無駄なことはありません。
 ノワーズの中に無限の可能性があるのです。」

ノワーズ=ノイズ 世の中のノイズに注目
ノワーズ=あるがままの多
ノワーズは新たな可能性を広げるきっかけになりうる。
無駄に思える人付き合いも可能性を生むノワーズだよ!

■名言
ウィリアム・ハズリット 曰く
「さらにやれば、さらにできる。」

マザー・テレサ 曰く
「優しい言葉は、たとえ簡単な言葉でも、
 ずっとずっと心にこだまする。」

2022年5月10日火曜日

テーマ「名物」

夏の宵海老茶袴の闊歩せり
音羽屋の配りうちわを握りしめ
さりげなく振る舞う所作や走馬灯
対岸の深川眺む夏の空
マルトリ(マルトリートメント)と気付いた時や八重葎(やえむぐら)

NHK短歌
選者 笹公人 ゲスト はるな愛 
レギュラー出演 カン・ハンナ 司会 星野真里

冒頭の短歌
「銀だらの西京焼き」なる文字見ればファミレスに燃え落ちる朱雀門
笹公人

グルメで一首
しろたえの千枚漬けの一枚をかけて眠りたし真夏の夜は
笹公人
しろたえの千枚漬けの一枚をあなたに譲る真夏の夜は
カン・ハンナ
しろたえの千枚漬けの一枚をすかして見上げる真夏の夜は
はるな愛
しろたえの千枚漬けの一枚をおでこに貼った真夏の夜は
星野真里

入選九首 テーマ「名物」
五月ってもう夏じゃんときみが言うデーゲームにはみかん氷を
久藤さえ
たこ焼きに熱燗添える夕まぐれ通天閣は真っ赤に染まる
影山博
カチワリがたちまち溶けてしまうような熱戦続け夏の甲子園
布施無門
饒舌な仲間も毛ガニを食べるとき深海のごと静かになりぬ
雪柳
これもまた名物だろうスプーンを拒む固さののぞみのアイス
芍薬
お土産は木刀よりもその土地の名物買へと言ひし校長
大島康正
軍手してアテンダントがするめ焼く津軽鉄道ストーブ列車
麻倉遥
できるだけ古いパーカー着て向かう牛越橋の芋煮会場
夏野あゆね
北国の回転寿司は東京の回らぬ寿司と肩を並べる
住吉和歌子

選者のお話 歌人のグルメ
葛切りを食む初夏まひる幽体の離脱体験談聞きながら
大塚寅彦

短歌ボナペティ キーワード クセ
明洞(みょんどん)の路地の店にてクセになるマンドゥは我らの思いで包む
カン・ハンナ
クセ強きマンドゥ頬張る日までまた空を見上げてしまうのだろう
星野真里
クセになる薄皮餃子百皿を平らげ韓国また行くよね~
笹公人

2022年5月9日月曜日

兼題「立夏」

満天星(どうだん)や雨に打たれて落とされて
石楠花やモノクロームの街に咲く
アメリカやシンコ・デ・マヨを日本食
亡き母の手触り残る浴衣かな
母の日の半値となったブーケかな

NHK俳句 より
選者 井上弘美 ゲスト マツモトクラブ 司会 武井壮
俳句ナビ「立夏」掛け替えのない今日

■冒頭の俳句
夏立つや杉戸余さず白象図   井上弘美

二十四節気
立夏は5月5日から8月7日まで

花立てにカーネーションと感謝とを   マツモトクラブ
添削(母の日を使わないで母の日を表現できている。
動詞を使っていない。対句的表現ができている。)
一束のカーネーションと感謝かな

■入選九句 兼題「立夏」
巣篭もりと書く筆圧や夏来る   大多和義
掌に立夏の海のひと雫   平本雅子
立夏なり旅に真白き美術館   山内彩月
子午線(しごせん)の塔の垂直夏来る   古田几城
夏立つや水に潜(くぐ)らすガラスペン   北埜めぐみ
一灯のマリアのあをむ立夏かな   星野将江
まつしろな波の断面夏は来ぬ   岸根明
山頂の独り弁当夏来る   杉山裕之
百名山百の頂夏来る   野口利夫

■俳句ナビ 添削コーナー
ナビゲーション・ポイント
季語の位置と使い方

上五 夏に入る
中七 立夏の○○○
下五 立夏かな 夏来る

野生馬の背に日差し濃き立夏かな
(野生馬に立夏の日差し濃くなりぬ)
わが影に魚影散りたる立夏かな
(わが影に散って立夏の魚影かな)
ランナーの坂折り返し夏に入る
(ランナーの立夏の坂を折り返す)
太陽が緑の間立夏かな
(太陽は木と木の間夏来る)

2022年5月8日日曜日

種田山頭火の句と「魚島」

夏の朝ぽつんと感に支配され
迫りくる気持ち抑えん薄暑かな
怒りのスピード感深山翡翠(みやましょうびん)
海霧(じり)深む貯蓄の敵はインフレぞ
満天星(どうだん)の花こぼれけり染めゆかん

■夏井いつき俳句チャンネル より
【ベンチで山頭火】句集『草木塔』から名句を100句選びます

松はみな枝(えだ)垂れて南無観世音   種田山頭火 
松風に明け暮れの鐘撞いて   種田山頭火
ひさしぶりに掃く垣根の花が咲いてゐる   種田山頭火
💮分け入っても分け入っても青い山   種田山頭火
しとどに濡れてこれは道しるべの石   種田山頭火

■一分季語ウンチク 魚島(うおじま)
晩春 動物

魚が産卵のためなどに群がったり、外敵から襲われて
ひと所に逃げ惑ってワーっと集まってきたり
そういった魚が集まることによって
海面が盛り上がった状態になる。
この事を「魚島」というのだそうです。
なぜ季語なのだというと
春、瀬戸内海で産卵の盛りになっている鯛が
「魚島」を形成すると言ったことや
イカナゴたちが鳥や他の大型魚に襲われることによって
ひと所に集まって盛り上がるということがあるからです。
集まっている様子が遠目にも分かる瞬間って
心が惹かれる瞬間かもしれません。

2022年5月7日土曜日

動物図鑑で一句

鋭き怒り鈍き怒りよ夏の潮
夏の月ベッドは吾のテリトリー
十五歳は心身乖離夏めく
夏浅し脱出不能反抗期
くすみ入る先の緑よ夏の樹よ

プレバト纏め 2022年5月5日
動物図鑑で一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
桜蘂降るハシビロコウ瞬く
(動くものと動かないものの対比。嫌味のない巧さ。)

特待生昇級試験
千原ジュニア
開き癖図鑑の虎に春夕焼
添削(助詞「し」を活かすのであれば語順のイージーミス。)
春夕焼図鑑の虎に開き癖

皆藤愛子
夏近し恐竜回鑑踏むチワワ
(イメージの対比が巧い。初夏への期待・喜びが表現されている。
時候の季語を使う時のお手本のような俳句。)

1位 ファーストサマーウイカ
夏近し書肆(しょし)の森ゆく子象かな
(書肆とは本屋さんのこと。上質のアニメーションのような俳句。)

2位 おいでやす小田
胸躍る図鑑に百獣春の宵
添削(「胸躍る」は書かず読者に想像させなくてはいけない。)
百獣の図鑑や春の夕焼けはや

3位 宮田俊哉
ノスタルジー鱒あてに読む魚図鑑
添削(ノスタルジーも懐かしやも同じ。)

4位 研ナオコ
懐かしやタケノコ掘りを兄たちと
添削(季語は原則として漢字で記す。添削した所で何の魅力もない俳句。)
筍を掘りしかの日や兄二人

次回のお題は「時計」。

2022年5月6日金曜日

NHK全国俳句大会 題詠「行」

食べないと心がやせる春の鵙(もず)
春の闇確かめながらまた一歩
マイナスの健康法よ春あした
一回の感動たるや春月夜
妄想を怒りで発散春の塵(じん)

第23回NHK全国俳句大会 題詠「行」
特選作品

■題詠「行」
宇多喜代子選
もう風に乗り行く高さ鳥渡る   千葉県 時田満

宮坂静生選
花野行くここが真中思うまで   東京都 坂東文子

岸本尚毅選
💮雨雲の行く手や蕎麦の花明り   広島県 貝原玲子

鴇田智哉選
川は行き山椒魚はとどまれり   神奈川県 川田潔

(上記の四句は季語が主役に立っている。動かない季語。)

小沢實選 
行く秋やパステル擦(こす)る指の腹   香川県 堀家正俊

坊城俊樹選
真夜中の鞦韆行方不明の愛   福岡県 嶺井緑

神野紗季選
どこへ行くこともなかりし石涼し   福岡県 古賀紀子

片山由美子選
行く秋やラジオの告(つ)ぐるスターの死   北海道 伊藤哲

岩岡中正選
目を伏せて行きしはもしや雪女郎   埼玉県 瀬川節子

(Do not enterの柵神の留守   池田宏陸は瀬川節子女史の孫)

(上記の五句は着地に工夫がある。下五の変化球は印象的になる。
 アンテナを外に向ける。
 大事なものは外にあるので五感のアンテナを外に向けておく。)

堀本祐樹選
春宵(しゅんしょう)や母の行李(こうり)に吾の写真   神奈川県 宮崎玲子

西村和子選
島中に行進曲や運動会   東京都 山田あや子

夏井いつき選
決行のしらせ兄へ檸檬投ぐ   長野県 古瀬まさあき

(小さな文芸上の虚構。ウソのサジかげんも大事。
 俳句を「遠ざけない」常に回路に何か通しておく。)

■自由題
岩岡中正選
うすらひと言えば微かに動きたる   埼玉県 南保順子

片山由美子選
引く波に石のころがる晩夏かな   神奈川県 中村みつる

堀本祐樹選
雑踏の顔重なり来寒波急   神奈川県 片桐亮子

神野紗季選
💮人はまだ君の死知らず冬の虹   兵庫県 杉本美佐子

(コロナ禍で詠んだ夏井の一句 
 「プロフェッショナル」で紹介されていました。
 青き踏めマスクを鳩として放て   夏井いつき)

宇多喜代子選
初暦まずは農事と誕生日   愛知県 横井美代子

鴇田智哉選
柿百個ひとつの空に吊しけり   群馬県 多胡恵美子

西村和子選
小さくとも掲げて帰る熊手かな   千葉県 飯嶋政江

宮坂静生選
卒業や幾たび夕日見し部室   埼玉県 高田みづ杞

夏井いつき
💮一斉に灯し聖樹を驚かす   北海道 すずきなずな

坊城俊樹選
父いまだ母に恋してパナマ帽   長野県 宮澤羅夢

岸本尚毅選
往来を見る父の椅子秋高し   京都府 根来美知代

小沢實選
土偶似の三人姉妹豊の秋   神奈川県 浅木ノヱ
(一号久保訓子(徳島)二号浅木ノヱ(神奈川)三号青木久子(滋賀)
 三姉妹の故郷は徳島県神山町だとか…。)

さりげない生活の一齣を楽しむのが俳句。
自分の人生を豊かにするために身近に置いて欲しい。
決して受賞を目的としない。と夏井いつき組長。

私は俳句を最高に楽しませて貰っています。
益々俳句が好きになっています。

第24回NHK全国俳句大会の題は「千」
募集は7月から…。

2022年5月5日木曜日

池波正太郎の俳句と名言

奇声上げ枠を飛び出せ小鳥の巣
心通えば言葉は不要春の月
春の日銀連続指値オペ実施
砂あらしいつもリートに過熱感
資源株とブラジルレアル逃水

■ロッチと子羊 より
モンテーニュ 曰く
「子供の将来を心配するのは
 本当に愛情か?
 クセジュの精神で
 父親の真の役割を考えましょう。」

セール 曰く
「世の中にはムダなことはありません。
 ノワーズの中に
 無限の可能性はあるのです。」

■ベーブ・ルース 曰く
「簡単ではないかもしれない
 でもそれは
 できないという理由にはならないんだ。」

■質札をひろげ五月の更衣から   池波正太郎

2022年5月4日水曜日

ミルトン・フリードマンの名言と尻文字12句

終霜心映した画像かな
蜃気楼儚きものの渦巻かん
風光る共感覚や音の色 
感情を色で例えん春の空
見過ごされゆく強さと気品春の月

■夏井いつき俳句チャンネル より
【尻二字三角パス】前回の尻二字から作った作品を自慢したい

呆れるの北風さんは服ぬいで   兼光

組長が作られた「いで」から始まる12句

「いで熊」はもう肉売らず雪の果
出光で灯油を買うて梅ほめて
井出端に洗ふ水菜の百把(ひゃっぱ)ほど
遺伝子のかたちに春の白鳥は
胃でつかむハート余寒のタンシチュー
イでなけりやウだが大試練の三択
イデオロギーかかげ潮望(しおまねき)の忙し
出湯小唄がデビュー曲柳の芽
伊手さんの座る花見茣蓙(ござ)が狭い
いで立ちて春のプードル尻尾(しっぽ)つん
イ殿下と妃に日本のさくらかな
いでよ竜みなもの花の明るさに

■ミルトン・フリードマン 曰く
「政府は決して学ばない。
 学ぶのは国民だけである。」

「自分のお金を自分のために使う時は真剣に考えるが
 他人のお金を他人のために使う時は
 それほど真剣に考えない。」

「自由は、責任ある個人だけが主張できる。」

2022年5月3日火曜日

題「スマホ」

風光る計り作らずあるがまま
見る人に余白与えん春の雨
行く春やフォルムの中の様式美
緑立つ無から有を生まれけり
隙間から見る芸術や鳥曇(とりぐもり)

NHK短歌 題「スマホ」
選者 栗木京子 出演 本髙克樹 矢花黎 司会 小沢一敬

冒頭の短歌
スマートフォンあやつる人ら満載し電車は夜の馬喰町(ばくろちやう)過ぐ
栗木京子

ライバルと肩書き追加した友も明日は昨日と同じ親友
本高克樹 添削(言葉数が多すぎる。)
ライバルという肩書きは増えたけど友は明日もずっと親友

題「スマホ」今日のポイント
定型(5.7.5.7.7)は日本人と相性のよい5音、7音で詠まれている。
リズム、調べを意識して読んで欲しい。

■短歌のリズム(調べ)
① 短歌をブツブツ切らない。切れ・切るとは名詞、述語で終わること
② 主語、述語(主語を受けて文末に来る 動きや状態を表す)
名詞で終わること=体言止め

悪い例
はぐれたか 切れ①述語
だったらおいらが
見せてやる 切れ②述語
肩車点火 切れ③体言止め
打ち上げ笑顔 体言止め
井戸田潤

切れが多過ぎる。
切れは2個までにする。
リズムが良ければ字余りも許容

良い例
雨音をスマートフォンで録ってみて【熱唱】という見出しをつける
土岐友浩

■エピソードを短歌に
「スマホ」を使わず詠んで欲しい
テーマ詠 テーマに沿っていればOK 題を詠み込む必要はない

写真より小さな画面の中だけどいつでも見れる娘の笑顔
矢花黎 添削
写真より小さな画面に並んでるでも取り出せる娘の笑顔

花嫁の笑顔咲かせたカメラマンパシャリと鳴らす親指は母
本髙克樹 添削(「カメラマン」「親指は母」2か所、体言止めで切れている)
花嫁の笑顔咲かせたカメラマン母の親指パシャリと動く

母さんが見つけて撮った幸せな笑顔ばかりの小さなアルバム
小沢一敬
母さんが見つけて撮ったチャペルでの笑顔ばかりの小さなアルバム

■入選6種
PSA検査結果を待つ間今日はスマホのゴシップも見る
鹿児島県鹿児島市 小森寿生(ひょっとして薩摩狂句の達人では…❓)
手のひらに小窓は開き爆撃に怯える異国の子どもを映す
宮崎県宮崎市 馬乗園寛子
このたびが最後の帰郷と山あいの学びし母校スマホに収む
大阪府東大阪市 池中健一
パソコンやスマホと距離を置いてから月の明るさルクスでわかる
東京都世田谷区 檀上りく
小津映画をスマホに見いる二時間は入院せねば得られなかった
東京都東村山市 瀬賀一香
友達のスマホの中に入ってる三年前の変顔写真
大谷高等学校 川村莉央

■本髙克樹のエピソードをもとに短歌を作る
題詠 必ず題を詠み込む

バキバキに割れた画面のスマホから父さんに打つ「ごめん」のメール
小沢一敬

ひび割れたスマホ見つけた通学路隣の父に何を言おうか
本髙克樹 添削
ひび割れたスマホ見つけた通学路隣の父も僕も無言で

ひび割れて黒く静かなスマートフォン画面の奥には悲しげな僕
矢花黎 添削
ひび割れて黒く静かなスマートフォン画面の奥に僕を沈めて

■短歌対決
ポイントは歌のリズム、切れ過ぎないよう…。

これからも傍に一緒に居て欲しい願えどスマホは見つからなくて
矢花黎 添削
これからも一緒に居てと願うけどスマホは意地悪見つからなくて

お互いにスマホ向け合う両親に自撮り教えた家族記念日
本髙克樹 添削
お互いにスマホ向け合う両親に自撮り教えた連休初日

朝七時洗面所で会う自分より先に目が合うスマホの画面
小沢一敬

2022年5月2日月曜日

テーマ「四十雀(しじゅうから)」

百均の老眼鏡や春惜しむ
インフレや家計直撃春時雨
ばっさりと見放されけり佐保姫(さおひめ)に
必然の出会ひに涙春心
(ルノワールへ) 78で遺した言葉アネモネへ

NHK俳句 「俳句と映像」テーマ「四十雀(しじゅうから)」
選者 高柳克弘 ゲスト 高柳明音 司会 武井壮

冒頭の俳句
求人誌笑顔まみれや四十雀   高柳克弘

春の季語
囀 恋愛の鳥の鳴き声
百千鳥 様々な鳥が1か所に集まって囀っている様子
四十雀 胸から腹の黒いネクタイのような模様が特徴
    ネクタイが太いのが雄
(鳥は水遊びをして汚れや寄生虫などを落としている)

例句
追ひすがり追ひすがり来て四十雀   石田波郷

高柳明音さんの初めての俳句
四十雀あの子に会うためおしゃれして   高柳明音

■入選9句
金婚へぼけとつっこみ四十雀   泉勝明
四十雀鳴き声だけが渡る川   坂口眞一
四十雀開店急かす森のカフェ   翠簾屋信子
スコップに掬ふ亡骸四十雀   船岡房公
四十雀植木の町をよいことに   山田ひふみ
我が庭の所属タレント四十雀   園部光
デニムよく乾くし四十雀来るし   陽光
枝しなひ戻りて四十雀空へ   比良田トルコ石
四十雀可愛やボウイスカウトも   西川由野

■お題動画で一句「攻撃的な四十雀」(可哀そうな花鶏)
吾が陣地ここぞと立ちて四十雀   武井壮
急襲の足直角に四十雀   高柳克弘

2022年5月1日日曜日

ベンチで山頭火

怒りなき時間へ戻れ山笑う
巻き戻せない時と感情笑う山
春の土子どもの権利知りてこそ
伊東屋の華やぐ文具春の風
伊東屋でつづる言の葉風光る

夏井いつきの俳句チャンネル より
【山頭火の世界】新企画『ベンチで山頭火』始まります

山頭火の句では取り合わせが
しばしば快いリズムを生じる。
「歩けば郭公(かっこう)急げば郭公」
対句的取り合わせはその典型だが
とくに有名な
「分け入っても分け入っても青い山   種田山頭火」
を見てみよう。
この句は対句のリズムが生じ、そのリズムの勢いが
「青い山」で倍加する感じだ。
そのリズムの勢いに乗って青い山の風景が出現する。
取り合わせとリズムは相乗的であり
両者が見事に働いているのがいわゆる名句である。
この句には前書きがついている。
「大正十五年四月 
解くすべもない惑ひを背負うて行乞流転の旅に出た」
解くすべもない惑いなどをこの句の勢いは
吹っ飛ばしているのではないか。
ぐんぐんと山中を行く、いや青い山々をかき分けて進む
例えば鉄人28号的存在さえも感じられる。

「うしろ姿のしぐれてゆくか   種田山頭火」
この句にも自嘲という前書きがあるのだが
この句の後ろ姿と時雨の取り合わせは
自嘲をほとんど感じさせないのではないか
時雨の中を行く後ろ姿は侘しいけれども
同時にある種の潔さというか格好の良さを感じさせるのだ。
事件を片付けて立ち去るスクリーン上の
高倉健のような格好良さ。
要するに前書きにある作者の思いなどは無視しても良い。
作者の思いや事情よりも表現そのもの、具体的には
取り合わせとリズムに注目してその句を読みたい。
そのような読み方によって山頭火の言葉の世界が
新しく開けるのではないだろうか。

坪内稔典氏が読者に投げかけたアプローチである
取り合わせとリズム(韻律)を
夏井いつき組長と家藤正人氏が紐解いてくださるとか…。
楽しみです…。