2026年6月24日水曜日

わたしの日々が、言葉になるまで 金原ひとみ 松居大悟

生きる為ひたすら前へ慰霊の日

夜露落つ木々の暗がり音と消ゆ

空が闇拒むかのよう夏の朝

丁寧に護花鈴(ごかれい)描いた紫紅かな

川沿いを赤紫へ小町草(こまちそう)

 

■わたしの日々が、言葉になるまで レモンの表す心情とは?

劇団ひとり 金原ひとみ 久保史緒里 松居大悟 桐山照史

高校1年生 春 呪いが解ける そのレモンソーダで

村田真優「ハニーレモンソーダ1巻」(集英社)

 

胸に残り離れない苦いレモンの匂い

雨が降り止むまでは帰れない

米津玄師「Lemon

 

俺と秋本の間に、本物のレモンよりゆるくて甘い、

つくりもののレモンの香りが漂っていた。

豊島ミホ「檸檬のころ」

 

甘酸っぱさ 苦しみ 

様々な感情を込められる不思議な果物

なぜレモンは多くの作り手の心を引き付けてきたのだろう?

 

「カルテット」坂本裕二著/河出書房新社

2017年放送「カルテット」

から揚げにレモンをかけるかけないで揉める男女4人の食事シーンが話題に

人間性が立ち現れている

 

豊島ミホ「檸檬のころ」幻冬舎

ルパンとレモン

秋元はいつだって綺麗でーそれはもう、耳たぶや膝頭や爪の先まで綺麗でー

そうして、すれ違うとレモンの香りがするのだ。

秋元が使っているリップクリームの香り。

それは鼻先でぱちんとはじけて、一瞬にしてあの日の空気で俺を包んでしまう。

 

レモン=青春

 

米津玄師「Lemon

あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ

そのすべてを愛していた あなたとともに

胸に残り離れない 苦いレモンの匂い

雨が降り止むまで帰れない

 

レモン 苦い存在 わたしの光 久保

苦いレモンはむいてない状態 皮の香り 切り分けた時に果実がはねたり

Freshなものが出てきて そこには希望が抱ける 金原

最後の二行で執着のようなものレモンって苦いけどずっと鼻の奥に残っている

青いレモンとかまだ熟していないレモンの感覚が浮かんだ 松居

 

レモンはネガとポジ 両方併せ持つ

米津玄師が最初につけたタイトルは「形見」=「メメント」

作っている途中で「死への直接的な表現が鼻につきすぎる」

との思いから「Lemon」に変更

 

メメントだったら親和性の高い曲にならなかったんじゃないか 金原

敷居が高い曲になったんじゃないか

レモンが一度も入っていなかったら息苦しい曲になっていた 金原

レモンが耐え難い息苦しさを解放 金原

 

林檎

「妻はりんごを食べない」「林檎の国のじょな」

「林檎殺人事件」「林檎の樹」「臨穂の殺意」

 

1983年放送連続ドラマ

「ふぞろいの林檎たち」山田太一脚本

 

「苺をつぶしながら」「ストロベリーライフ」「いちご100%」

ドラマ・映画化もされ大人気警察小説

「ストロベリーナイト」誉田哲也著

 

オレンジ

「オレンジデイズ」「ママレード・ボーイ」「きまぐれオレンジ☆ロード」

 

さくらんぼ

「さくらんぼ」「CHE.R.RY

 

舞城王太郎著「私なあなたの瞳の林檎」講談社

舞城王太郎著「されど私の可愛い檸檬」講談社

心を射抜かれました 金原

 

「高嶺の林檎」NMB48

手の届く 枝になった林檎は 君じゃない 誰かも手を伸ばす

みんなが あきらめてるような 高い木の上 探さないのか?

 

言語化のヒント

みんなが持っているイメージを使うことも裏切ることもできる

果物をタイトルにすると不意を衝く効果がある

 

なぜ選ばれるのか?

レモンは存在がエクストリーム 金原

名監督によってレモンはベンチ入りできた ひとり

 

梶井基次郎著「檸檬」新潮社 昭和の文豪

米津玄師に少なからず影響を与えている

結核 借金 憂鬱な気持ちで生きる「私」レモンを購入し書店に置いて帰る

 

梶井基次郎「檸檬」

一体私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して

固めたようなあの単純な色も、それからあの丈の詰まった紡錘形の格好も。

あの檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった。

(中略)

握っている掌から身内に浸み透ってゆくようなその冷たさは快いものだった。

(後半では)

そしてふかぶかと胸一杯に匂(にお)やかな空気を吸い込めば、

ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には

温かい血のほとぼりが昇って来てなんだか身内に

元気が目覚めて来たのだった。…

 

レモンは五感を刺激する 久保

レモンを爆弾だと思っている 病弱で借金があって弱々しい主人公

病弱だからこそひかれたレモンの存在の強さ 金原

人を死に至らしめたり破壊したりする力のある者の象徴 金原

 

悲しみ終わり始まり ひとつの物語にするとレモンと結びつきやすい 松居

亡くなったと思っていた父親が生きていると

わかって会いに行ったところがレモン畑 松居

 

愛しい妻に捧げる「生」の象徴としてのレモン

詩人・彫刻家 高村光太郎 が 亡き妻 智恵子との最後を綴った詩集

妻が亡くなる直前 最期にレモンを求めた様子が描かれている

高村光太郎著「智恵子抄」新潮文庫

 

高村光太郎「レモン哀歌」

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた

かなしく白くあかるい死の床で

わたしの手からとつた一つのレモンを

あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ

トパアズいろの香気が立つ

その数滴の天のものなるレモンの汁は

ぱっとあなたの意識を正常にした

 

妻・智恵子に死が訪れ作品はこう結ばれる

 

それからひと時

昔山巓(さんてん)でしたやうな深呼吸を一つして

あなたの機関はそれなり止まつた

写真の前に挿した桜の花かげに

すずしく光るレモンを今日も置かう

 

山巓(さんてん)=山頂

 

爆弾 詩の象徴 生の象徴

どうしてレモンはこんなにモチーフとして使われる?

レモンは余白でストーリーに寄り添う果物

 

レモンを使って今の気持ちを表現

「レモンのような大人」になりたい。 桐山

青いレモンのまま。きっと色づいても酸っぱいレモンのまま。 久保

この中のレモンになれただろうか。 松居

あの日から私は勝手にレモンをかけなくなりました。

あなたの言葉が私の中に生き続けていることに

レモンをかけないたび気づかされます。金原

レモン黄色は注意 ひとり 意味は後付け?

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