夏の夜に叫声(きょうせい)上げるスマホかな
台風最中(さなか)避難しろとはこれいかに
真夜中の避難命令過疎の夏
台風に愛車水没午前二時
夜明け前台風去りて高湿度
吹き返し梅雨の晴れ間となりにけり
■NHK俳句 第27回NHK全国俳句大会①
大会選者 西村和子 星野高士 夏井いつき
大会リポート:庄司浩平 司会:小林千恵
選者 夏井いつき 星野高士 西村和子 堀田季何 小川軽舟
井上弘美 小澤實 岸本尚毅 神野紗希 阪西敦子 和田華凜 高野ムツオ
龍太賞
選考委員 髙柳克弘
題詠 自由題 龍太賞
題詠「口」
星野高士選
シーサーの口の奥まで大西日 花輪朋子
井上弘美選
箱わなの口の大きく冬ざるる 村山恭子
小澤實 「大きく冬ざるる」切れない
穴の中に引きずり込まれるような怖さが書かれている
岸本尚毅 「箱わなの大きな口や冬ざるる」だったら特選にはならない
夏井いつき ぼんやりとした映像しかない季語を主役に立てようと
したんじゃないか ワンカメショーだったら 中七で「や」で
切ったりしたら意図が変わってくる 西村和子 ポイントがずれる
星野高士 「大きく」が少し常套的 言葉を置きにいっちゃった
「箱わなの口は黙(もだ)して」とか
小澤實選
吹替と口ずれてをり夜の秋 根岸哲也
西村和子 夜の秋:夏の季語だけど次の季節を予感するような季語 季節の
行合(ゆきあい)の季語を巧く使うとニュアンスを含んだ良い俳句になる
「秋の夜」だったらとらなかった
星野高士 「夜の秋」だと読書の秋とかいろいろかかる
夏井いつき 吹替と口がずれていることはどうでもいい些細なこと
俳句をやっている人たちは面白みとして捉える その小さなズレと
秋という言葉が入っているのに夏の季語という小さなズレ それが
この作者が取り合わせとしてやりたかったことだと思う
西村和子 とても説得力があります 夏井いつき やったぁ
庄司浩平 大きな季語をどう使う?
西村和子 取り入れようとしちゃいけない 今年の夏の終りに実感して
ほしい 実感した時の事を詠めば自然といい句は出来ます
星野高士 関わりがあるものを持ってくると俳句は説明っぽくなってしまう
関わりがないもの 場面を想像する
夏井いつき 残りのフレーズの中にほんのひとかけらでいいから映像だったり
音だったり匂いだったり具体的なものを盛り込む
小川軽舟選
竜天に登るや河口波立ちて 坂本たか子
春分:竜天に登る 秋分:竜淵(ふち)に潜む 両方とも想像のもの
「河口波立ちて」は現実 その取り合わせがさすがだなと思った
空想力を働かせて作りたいと思う季語の一つ 「や」の切れ字は
ただ「竜天に登る」に「や」をつけただけではない
言葉の勢いで「登るや否や」(ととれる)登るや否や地上の河口は波立っている
星野高士 言葉はわかるが季節感として見えない 「登る」と「立つ」
両方勢いがある 勢い同士のぶつかりになっている
西村和子 壮大に季語はこのくらい勢いがなければ使いこなせない
夏井いつき 壮大な面白い季語だと思う 「竜天に登る」は春の季語
春としての季節感が残りのフレーズで具体的に何かあって欲しい
「河口波立ちて」は想像の部分の波立ち
春のくさびを1本打ってくれれば良かった
神野紗希 高野ムツオ選
大口の真神の息や月氷る 清正風葉
西村和子 「大口の真神」という言葉は万葉集にも使われている
とても文学的 想像力空想力の豊かな作者
「月氷る」はかっこよすぎますよね
星野高士 現実感があまり感じられない
夏井いつき 「月氷る」までやっちゃうと リアリティーの部分が
少し食い足りない かっこいいけど…みたいな
星野高士 狼は冬の季題 剥製の狼を見たんだけど そこにはおのずと
季節感が出ちゃう 「月氷る」も仮想の季題っぽい 実体験を
もう少し追いかけてもらいたかった
西村和子 天体も凍るような寒い時期の季語だから仮想ではないと思う
夏井いつき 高野さんと神野さんが(特選に)とるのはよく分かる
庄司浩平 想像力を働かせて作る場合 どういうアプローチで作る?
西村和子 高浜虚子は客観写生が大事と説いていたけれど虚子の句は
物凄く空想の句 季語が生きていれば空想の句も作りたい
夏井いつき 「絶滅寸前季語辞典」何割かはもう今の段階で
見ることも体験することもできない 脳内吟行 脳の中で
吟行ができれば小さなリアリティーのひとかけらを
とってくることはできると思う リアリティーって物事の細部に
宿っている リアルの想像したら小さな材料を持って帰れる
■NHK短歌 第27回 NHK全国短歌大会①
俵万智 荻原裕幸 寺井龍哉 司会:石井かおる
選者
永田和宏 俵万智 山崎聡子 荻原裕幸 小島ゆかり 小池光
木下龍也 佐佐木頼綱 永田紅 松村正直 米川千嘉子 寺井龍哉
今年の特選受賞作品
幼き日「夜の口笛は河童呼ぶ」と言われし真夜の風呂のしたたり
羽田任木子
出席簿の欠席理由に「あわび口開け」の文字あり水産高校
髙鳥ふさ子
「ええやん」と「なんでやねん」が口癖の人に「なんでやねん」と言われる
竹中英雄
三人の息(そく)を育てしこの乳房 両手に抱けば口よみがえる
森﨑美栄子
死火山の火口のような父だった解けない問いをただただ抱いて
稲山博司
「それじゃあ」と短き旅に出るような口ぶりで子は嫁ぎゆきたり
芳賀真由美
題詠 自由題 近藤芳美賞
題詠「口」
小島ゆかり選
幼き日「夜の口笛は河童呼ぶ」と言われし真夜の風呂のしたたり
羽田任木子(まきこ)
佐佐木頼綱選
出席簿の欠席理由に「あわび口開け」の文字あり水産高校
髙鳥ふさ子
俵万智選
「ええやん」と「なんでやねん」が口癖の人に「なんでやねん」と言われる
竹中英雄
大会の選者トークでも「」の使い方が議論になった
永田紅 「」をつけるとわざとらしくなってしまう場合と
つけて生きてくる場合 両方ある
俵万智 「」だけに頼っていてもだめ 私は大好きです
会話を生け捕りにする感じ
「」の中はFreshな言葉が入っていますよという目印
寺井龍哉 「」は使わないで句読点を打つ
〈〉山括弧 ()丸括弧は可能性がある
当日詠
特選 バス代が足りずに歩く帰り道月よ100円貸してください
雨雨雨汰
米川千嘉子選
三人の息(そく)を育てしこの乳房 両手に抱けば口よみがえる
森﨑美栄子
山崎聡子選
死火山の火口のような父だった解けない問いをただただ抱いて
稲山博司
小池光選
「それじゃあ」と短き旅に出るような口ぶりで子は嫁ぎゆきたり
芳賀真由美
松村正直 「ような」「ごとき」などの直喩は短歌ではよく使われる技法
小池光 比喩は物凄く大事 短歌の核心と言ってもよい
「ような」「ごとき」が比喩と言われるけれどもそれに限らない
すべての言葉が比喩であることを避けられない
比喩の歌でなくても比喩の歌になっちゃうところがある
松村正直 短歌に使われる言葉は普通の言葉でも比喩的な意味合いを帯びている
永田和宏 例えることは比喩の本来の使い方ではない
「風のように髪をなびかせる」は出来合いの言葉
歌の中では比喩にならない 読者にいろいろな想像をさせる「喩」
これが歌の中でとても力を持つ「喩」だと思う
俵万智 「AのようなB」と言った時 AとBの距離感があまりにも
ありふれてつけすぎていると比喩としてはおもしろくない
ただあまりにも遠いと伝わらない 腑に落ちる距離感を探ることが大事
石井かおる ありふれていない
その人だからこそ発見できた比喩を見つけるのが難しい
俵万智 それひとつあったら一首できる すごい比喩が見つかったら
いらんことしないで それを盛り立てるように他の字数を使っていい
寺井龍哉 読者に想像の余地を与える 勝手に想像していいわけではなく
少し手がかりを与える
荻原裕幸 「旅する」と言うときに実際に旅行に行ったのか
抽象的な意味でいっているのか違いがある 混ざっていて面白い歌もあるが
どちらなのかはっきりわかるように書かないと読者に伝わりにくいところがある
・いちご摘み
眼はつづく体育館の式典の翼を模した黒い楽器へ
瀬口真司
⇩
のこぎりや鍋も楽器になる星で君のため吹く淡き口笛
本条恵(好きな歌人 笹公人)
「星とアスパラ」本条恵(短歌研究社)より
どんな陽を風を言葉を浴びてきたチリ産アスパラ98円
ご近所短歌サークル たらちねmama
0 件のコメント:
コメントを投稿