2026年6月29日月曜日

第27回NHK全国俳句大会④&第27回全国短歌大会④

熱き日よしがみつくでは反発が

陶枕(とうちん)や神に試され見放され

夏の風音色違えてサヌカイト

サヌカイト金属音を奏でけり

サヌカイトカンカン石と呼ばれをり

 

NHK俳句 第27NHK全国俳句大会④

大会選者 西村和子 星野高士 夏井いつき 

大会リポート:庄司浩平 司会:小林千恵

 

選者 夏井いつき 星野高士 西村和子 堀田季何 小川軽舟 

井上弘美 小澤實 岸本尚毅 神野紗希 阪西敦子 和田華凜 高野ムツオ

龍太賞 選考委員 髙柳克弘

 

題詠 自由題 龍太賞

 

自由題

岸本尚毅選

三十の牛へ十五の扇風機   高尾一叶(いちか)

(季語は扇風機 新しい季語ができて古い季語がなくなるということで

 「牛馬冷やす」ということで夏の季語があるので この句を歳時記に

入れる時に「扇風機」に入れるのが素直だがもしかすると「牛馬を冷やす」

の例句で入れてもいい 岸本)

 

坂西敦子選

芹ぬきし砂のひとすぢ流れけり   坂本たか子

(そこにずっとあるのに自分が今気づいた時の詠嘆が「けり」「あっ流れた」

という瞬間の感動を「けり」ですくい取っている 夏井)

 

神野紗季選

蝶生まる万の複眼万の日矢   葦屋蛙城(けいじょう)

 

和田華凛選

万緑の中に緑の勢力図   宮尚(みやなお)

 

星野高士選

ゆつくりと夜をまはしてゐる金魚   可笑式

(時の巡りもまんじられる 西村)

 

当日句 テーマ詠「坂」 選者 木暮陶句郎

油照の坂やマイケルの余裕   庄司浩平

 

特選

花時やむかし渋谷に富士見坂   

https://www.youtube.com/watch?v=Uvh2s2AX8VI

 

龍太賞 

選者 岩岡中正 宇多喜代子 片山由美子 高柳克弘

 

「晴を待つ」会田繭

https://www.n-gaku.jp/public/life/zenkokutaikai_27th_haiku

 

連作を鑑賞するポイントは?

お互いの句がもたれ合ってないのが良い 

一句一句が独立しているそれが重なっている 底辺にあるものは一緒 星野

同じような地域で作った句を季節の移り行きに従って纏めている 西村

一句目の世界が脳の中 眼球の中に残っていることを踏まえて

次どの句を持ってくるとどちらも得する世界を紡いでいけるかが

基本の考え方だと思う 夏井

 

大会大賞

大口の真神の息や月氷る   清正風葉

ゆつくりと夜をまはしてゐる金魚   可笑式

三十の牛へ十五の扇風機   高尾一叶

 

次回の題「間」

 

NHK短歌 第27 NHK全国短歌大会④

俵万智 荻原裕幸 寺井龍哉 司会:石井かおる

 

選者 

永田和宏 俵万智 山崎聡子 荻原裕幸 小島ゆかり 小池光 

木下龍也 佐佐木頼綱 永田紅 松村正直 米川千嘉子 寺井龍哉

 

自由題

荻原裕幸選

躾けられ覚えし箸の持ち方で小さき母の骨を拾ひぬ

森田文康(人生の短さと残していくものの長さが交錯している

     躾けていた時の母は大きな存在だった 

絶対的な存在が小さくなっている 寺井

     一場面だけれど長い時間が表現されている 俵)

俵万智選

対岸の母は手を振る父の撮る動画にゆれて残る二人は

水の眠り

 

動詞の使い方についてのアドバイスは?

(動詞は)3つまでとよく言われるが歴史的名歌でも破っている歌もたくさんある

大海の磯もとどろによする波われてくだけてさけて散るかも 源実朝

散々動詞を重ねてそれによって迫力が出ている

セオリー 作法はいろいろあるかもしれないがあえて破ることにも可能性がある

動詞は強いので1つ入れるだけで歌の方向性が決まってしまうところもあるので

選ぶのが難しい 寺井

佐佐木幸綱先生が「現代は短歌が運動不足だ」もので語ることは割とあるが 

動きで語ることは中々難しい それができた時の躍動感 

すごく作り甲斐のある事 俵

動詞の数を常に数えるくらい慎重な感覚でやった方が良い 荻原

 

永田紅選

紙の辞書引いて寄り道右左そして私が編まれていった 永田加代

(三浦しをん著「舟を編む」が選者のく力出てこなかったことに吃驚…。

以外でしかなかった…。)

 

近藤芳美賞(151組での作品として審査)

選者 大辻隆弘 栗木京子 小島なお

受賞作「しずくを進む」鈴木ベルキ

https://www.n-gaku.jp/public/life/zenkokutaikai_27th_tanka

 

3首目 

父の手の皮膚は冷たくやわらかい和菓子のようだ薬を塗れば

6首目

楽器屋の前を通ればいつだってちょっと無敵な自分を思う

10首目

言い訳をいくつかほかに用意して父の両手に塗りこむニベア

13首目

銀色のしずくを進むかたつむり明日のことはひとまず置いて

 

連作を作る時のポイントは?

歌を置く場所によって歌の見え方や輝き方がよりよくなる場所を探す

足し算ではなく掛け算になる並べ方が出来たらベスト

ストーリーがあると読みやすいがつきすぎるとつまらなくなる

歌と歌の間のジャンプの加減もあった方がより良い 俵

連作の場面とか状況を説明するためにあった方が良い歌もある

それをどう配合配列するか 寺井

あまり良くない歌があると読んで楽しい気分にならなくなっちゃう 荻原

説明のために作りました という歌はやめておいた方が良い 俵

 

木下龍也選

一枚の紙が手紙になるようにあなたに会って人間になる

中戸えさう(心憎い大きな言葉の発見 普遍的なことを表現しているうまい歌 俵

      助詞の「に」が結構多い歌 「に」の粘着性があってこそ つないで

      最終的に「人間になる」に着地できるから必然性のある助詞 木下

      この歌の「に」は「と」に置き換えられる

      「に」自然な流れを表す「と」意外性結果を強調したい時人為的な時 俵

      同じ音が積み重なることによってリズムを持って突飛にも思えるような

比喩が「に」の繰り返しによってすんなり受け止められる)

 

山崎聡子選

あなたから届いた文の束副葬品の箱に入れたり

屋敷和賀子(「手紙」ではなく「文」

      「副葬品」という言葉も古代の埋葬を想像させる

      名詞の斡旋でこの人が「あなた」の死を凄く尊く思っている

      「入れたり」の「たり」も効いている 

      文語で収めたところも生き届いた表現だと思った)

 

大会大賞

笠智衆が洗濯物を干してゐるラストシーンのやうな秋の日

荻原信子

野菜室の奥のおくから一本のぼんやりとした茄子が出で来ぬ

松浦富美子

出席簿の欠席理由に「あわび口開け」の文字あり水産高校

髙鳥ふさ子

 

・いちご摘み

地に落ちて蜂の棲まない蜂の巣に染みこんでいく早春の雪

武田歩

たましいを祈りを時を託さんとトックリキワタの白が舞い落つ

屋良健一郎(好きな歌人 佐々木幸綱)大学教授

トックリキワタの木が白く綿を揚げているという姿を見て

(木が聞いてきたこの土地の時間 人々の祈りみたいなものを

託されているような気がした 自分も受け継いでいけたらなと…。)

和歌を通じた日本と琉球の交流史

26回現代短歌新人賞

どれくらい食べれば傷を癒せるか「食べなさい(かめー)

食べなさい(かめー)と迫る嫗(おばあ)

屋良健一郎歌集「KOZA(ながみ書房)より

摘んだのは「落ち」平和への祈りが聞こえます

 

次回の題「間」

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