2025年11月8日土曜日

あの本、読みました? 北方謙三

冬の風三階へ影落とす木々

冬の雲沸き出でる創作意欲

冬の雨受けて日に日に伸びる木々

あと少し指を折りたし冬景色

遮断機の音響きをり冬の夜を

 

■あの本、読みました?

三国志・水滸伝・新シリーズ森羅記【北方謙三】歴史小説特集

北方謙三 鈴木保奈美 山本倖千恵 林祐輔P


最新シリーズ「森羅記-狼煙の塵」北方謙三著/集英社

 

「何が一番広いか 人の心の中ですよ」 北方謙三

「背中の毛を触ったら売れる」は本当? 朝井リョウ

選考委員は親も同じ 北方謙三

吉川晃司との交流

読者を魅了する理由

登場人物の生死を決めるファン投票 

死んだ時はごんべんの記 生き返った時はいとへんの紀

一人のことを書く時はいとへん いろんな場所を書く時はごんべん

創作人物の作り方 自己表現 デフォルメしている 無限にある 分身でもある

大陸と日本を舞台にした理由 私の先祖が命を落としたに違いないから

唐津と佐賀は違う 北方氏は唐津出身 唐津藩と鍋島藩

佐賀は有明海 唐津は玄界灘

 

「森羅記―狼狽の塵」の一文 北方謙三著/集英社

「そうか。タケルがいた水軍は、玄界灘というところにいるのか」

「玄界灘を庭にしていますが、俺がいたところはちょっと外れて、

宇久島というところです。五島という列島があります」

「行ってみたいものだ。西はかなりのところまで旅をした。

肌の白い女しかいないところだ。東は、ここまで来た。

しかし、さらに東に倭国があるのだな」

「俺は、あの国の西の端を知っているだけですよ。東へ行くと、広大だって

話は聞いています。実際、東へ行ったやつは何人も知ってます」

白い光が走った。

クビライが、短剣をタケルの顔に突きつけていた。

太刀は、船上では邪魔になるので、預かって船尾楼の下の部屋に置いてある。

クビライがなぜ短剣を抜いたか、ザルギスは考えていた。

いまのところ、王族の理不尽としか思えない。短刀の先が、

タケルの顎の先に触れた。わずかだが、血が滴ってくる。

「おい、倭人。おまえはいま、あの国と言ったな。

お前にとっての祖国とは何なのだ」

「短剣を突きつけられて、答えなきゃならないことですか」

「そうだ、倭人。たとえ逃げてきているにしても、自分の国ではないのか」

ザルギスは止めず、タケルの答え待った。クビライの問いかけが、

なにか意味のあるものかもしれないと感じたのだ。

「俺に、国なんてありませんよ。国って言われりゃ、そうです。

故郷はありますよ。五島の宇久島ってとこがそうです。

故郷は忘れませんが、国なんてもともとないも同然ですから、俺にとって」

クビライが、短剣を鞘に納めた。「それでいい。故郷が祖国というなら、

俺にはよくわかる。故郷とは、そういうもんだ。祖国は頭で考えただけの

ものだろう」「そんなんでいいんですか。宇久島なんて、ちっぽけな島です。

それに較べて、大モンゴル国は途方もなく広大です」

クビライが、懐から布を出し、拭け、と言ってタケルに差し出した。

受け取ったタケルは無造作に顎を拭った。

「だから幻なんだよ、タケル。お前の足は地に着いていて、

俺の足は雲を踏んでいるようにあてどない。

もう、十年近く旅を続けているのだがな。

俺には祖国が見つけられず、故郷だけが心にある」

 

祖国への思い たかが地球 

「何が一番広いか 人の心の中ですよ」 北方謙三

無限です…。

水軍を描いた理由 もの人だけでなく思想も運ばれた

「森羅記」シリーズのこれから 

 

北方謙三おすすめ本 自信作

「望郷の道(上・下)」北方謙三著/幻冬舎文庫

北方自身の祖父母をモデルとし、

明治時代の九州と台湾を舞台にした一代記。

任侠ものから始まり、経済小説、そして家族の物語へと

展開する壮大スケールの物語。

 

正太 石炭を運ぶ船問屋の三男

瑠瑋 佐賀で賭博を仕切る任侠稼業の一人娘

 

「望郷の道 上」の一文 北方謙三著/幻冬舎文庫

障子を開け放って、外を見た。庭のむこうに、古場川の土手が見える。

並木の桜が、満開であった。しばらく瑠瑋はそれに見とれていた。

風が吹き、桜吹雪が舞った。その中を、行列を告げる声が聞こえてきた。

さらに、桜吹雪が舞う。行列の先頭が見えてきた。

「あ、来た」瑠瑋は思わず声を出した。行列の先頭は、正太である。

父親と並んでいてその後ろに二人の兄がいた。

桜吹雪が一瞬、正太の姿を隠しそうになった。

その中から、また、正太が現れる。

自分の人生が、いまこちらにむかって近づいてくる。

気づくと瑠瑋は涙を流していた。景色全体が、かすんでいた。

桜吹雪の中の正太の姿を、それでも瑠瑋は

見失うまいと、しっかりと眼を見開いた。

 

「思いはいつも故郷、情熱の大切さを書きたかった」北方

 

「森羅記―狼狽の塵」の一文 北方謙三著/集英社

クビライは、自分の肉のむきを変えた。

タガチャルも部下の手をはねのけ、自分でむきを変えた。

大人の拳よりまだ大きな肉で、しっかり焼くには

火はそれほど近づけず、時をかけることだ。

「俺にもください」タガチャルが、香料のことを言っているのだと

すぐわかり、クビライは袋の中に手を入れさせてやった。

ひとつまみの香料が肉にかけられ、匂いがたちのぼった。

「おう、たまらんな」

 

料理描写へのこだわり

北方謙三の手料理

渡哲也に言われた一言

「男が自分のために料理なんかする訳ないだろう。誰と料理したか言え!」

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