2025年11月27日木曜日

あの人に会いたい 大宮エリー

インフルエンザ猛威振るわん冬紅葉

阿波踊り冬のお江戸でひと踊り

冬空をぞめき響かせさくら坂

朗々とよしこの節が冬の街

尺八やよしこの響く江戸の冬

 

■あの人に会いたい 大宮エリー(作家・画家・映画監督)

1975-2025(令和7)年 49歳没

 

読み終わったあと 見終わったあとに 少し前向きな気持ちになれる

ハッピーな気持ちになれるものしか 私は作るつもりはない

終わったあとにドーンってなるのは ちょっと嫌なんですよね

 

ちっちゃいころは昆虫採集をしたり 何かストローの切れ端とかに

何か文字を書いて 家の片隅に隠したりとかしていたらしいんですけど

母親が掃除のときに「何だろう」と思って 何かこう

「お母さんいつもありがとう」って書いてあって 「フフッ」みたいな

そういうのが好きな子だった

 

いじめの記憶ってつらすぎて あんまり覚えていないんですよ

だけど 私こんな嫌な思いするんだったら これを人に

自分が嫌な思いをするのはいいんだけど 

人には絶対したくないって誓った 人を傷つけるのだけはやめようって

そのとき思って 

 

1999(平成11)年 東京大学薬学部 卒業

広告代理店に入社

 

何か変わっていると思われたのか 仕事が来なかったんですよ

そんなに それでコンペに参加したり あとは 本当に実際に

クライアントに自分で作品集を作って売り込みに行ったり

あとは営業に部署に行って 「クリエーティブセクションで

断られたようなちっちゃい仕事はないですか」とか

「つまらない仕事はないですか それ私 つまらなくてもやります」

「それをいかに面白くするかで頑張ります」とか言って

 

たまたま見ちゃうものじゃないですか 広告って タダだし

そのときに何かすごく つらい思いをしている人が たまたま

見たもので 何か「あっ面白そうだな」って 「面白い」って

見ていたのに ふっとね 何か考えるきっかけを与えられた

止めるっていうよりも きっかけになったらいいなと思って

 

人生の素敵なことは、だいたい最後のほうに起こる。

 

私はずっといじめられたままなのかなって思ってた 今思えば

トンネルだった 必ず出口があったんだなっていうか 

出てみて分かるというか それをいじめられている渦中の人に

教えてあげないと ずっとこのままだと思った

ちょっとしんどいじゃないですか

 

2005年 TCC新人賞受賞 翌年退社

 

あるとき ホワイトボードに行き先を書くのが

すごく嫌なことに気づいちゃった

自分の居場所を知らせることが すごく嫌だったの

自分が企画をするのに デスクではできないわけ

電話も鳴ってるし気が散るから 「じゃ家でいいか」

みたいな感じで家で企画していた 向いていなかったんでよね 

組織が それに気づかなくて 7年間も勤めちゃったんですけど

 

映画「海でのはなし。」映画監督デビュー

(俳優はテストから)本気でやってくるから その一回きりの

奇跡的な演技を 拾ってあげないといけないと思った

そこですごい いいのができたとき 「もう一回お願いします」

って言って もう一回やったとしても 何かが失われていく

感じがするっていうか 「”今“と撮りました!」っていうのは

私という監督の仕事かなと思っていた 

 

「生きるコント」エッセーを始める 2006年週刊文春

 

あんまり自分に興味がないので 

書いたことを覚えていないっていうか

この話 面白かったよとか 気功師の話 面白かったよとかね

ブラジルのビキニの話 面白かったよとか言われると 

「ああ書いたな」っていうのを思い出すんですけど

ブラジルに行って「郷に入れば郷に従え」ということで

街なかをビキニで歩いてしまって 走ったんですけどね

 

私はあんまり表現欲がなくてですね 受け身っていうか

依頼があってそこから考える その人が何を望んでいるかと

まず 私は取材しますね 取材してそれと見合ったものを出す

アンド プラスアルファ 例えば「天丼を食べたい」と

言っているのに「カレーがいいよ カレーの方がいいよ」

って出したら 「いや…」ってなるじゃない 天丼を出すんだけど

ちょっと「添え物はすごい いい」とかさ 何か「こんな

天丼なかったよ」みたいなものを出すとかさ そういうことで

また頼みたいな あの人は期待に応えてくる アンド

それプラス想像を超えるものを やってくれたみたいなさ

 

プライベートだと思いを伝えることができなかったり

自分の気持ちにうそをついちゃったり 押し殺しちゃうことが多いんで

それをどうやって克服したりすれば いいんだろうって考えたとき

色々アイデアが浮かんだんですよ それをちょっとビジュアル化した

体験してもらうっていう 個展というか 場なんですよ

これはね「心の箱」なんですよ 手を突っ込んでもらってね

心の肌触りを感じる ちょっと怖いじゃないですか

何が入っているか分からない 哀しみとか いろんな 切なさとか

孤独とかいろいろあるんです 

喜びの心模様をこう感じるみたいな 裏にまわると中身がわかるっていう

チクチクしたのは たわしだったんだとかね あとから来た人が

心の触れているのが見えるんですよ こわごわ 誰かが 

今誰かの心に触れていますよっていうのが 後で見えるみたいな 

自分もみられていたみたいな

 

ただ描いているとき すごい楽しい 唯一楽しい

むしろ楽しくないと 描かないようにしているんですよ

「楽しい!」って描いたものを見て みんなが

何かその楽しい波動を受け取るじゃないか

自分は“モノ作り”をしてきて みんなが喜ぶものを作りたいって

いうのがあるわけですよ こういう時代だからこういうものを出したら

みんながほっとするかなとか ちょっとこう笑ってもらえるかなとかね

落ち込んでいる人にはこういう元気を出すものがいいかなというふうに

考えてやっているんですけど 

 

私は生きていることを表現活動だと思っていて

人生が一つの作品って思っているから

つらいときは今つらい章なんだなとか

そのあとに転換期があって 最後 歓喜の章があればいいと思うから

そうすると少し楽しめるんじゃないですか

いいドラマチックな人生を生きているよ今って

そういうテーマを切り取って

作品を作っていきたいと思っている

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