2025年11月3日月曜日

兼題「神の留守・神の旅」&テーマ「固有名詞を入れる」

 

還暦や腕の振袖秋を舞う

根拠より言霊の秋「運がいい」

香しき銀木星や東福寺

東福寺銀木星の甘き香

目に優しつくばいの苔秋の風

 

NHK俳句 兼題「神の留守・神の旅」

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間のテーマ「俳句のコリをほぐします」

 

今週のテーマ「地名」

地名には共通のイメージがある「イメージの共有」を大切にしたい

地名をいかした句

   鎌倉を驚かしたる予寒あり   高浜虚子

余寒:春の季語 立春を過ぎても残る寒さのこと

鎌倉幕府が感じられ足利が襲ってくるのでは❓

元寇(げんこう)が起こる そういうストーリーが全部鎌倉にかかる

「鎌倉」だからイメージが広がって句が生きる

   歯痛はげしまるで東京の若葉   高野ムツオ

若葉:夏の季語 東京に出てきたばかりの若い人たちのイメージ

痛みのようなもの 思ったよりうまくいかない

輝かしいイメージと痛みのようなもの 五・七・五の定型でない破調

それが気持ち

   木枯や宇田川町を梯子して

地名を限定していない句

   みづうみに四五枚洗ふ障子かな   大峯あきら

障子洗う:秋の季語 作者の住まいの一番近かった所が琵琶湖

淡海:琵琶湖及び周辺を表す 一般名詞の「みづうみ」を入れている

千年位詠まれ続けている歌枕・俳枕

そのイメージの句にしたければ使った方がいい

読者にとってはどこのみづうみでもよい あえて地名を入れなかった

 

ツボポイント

地名は「イメージの共有」が不可欠

 

星野高士 

星野高士の祖母 星野立子 

星野立子の父 高浜虚子

鎌倉に長年お住まいだった

虚子がそこに君臨しているイメージがある

 

   の鎌倉②の東京のことを「俳枕」という

その土地の歴史 地名の由来 風景

共有したイメージを呼び起こすことができる

 

   はコリコリの句

読者が限定されてしまう 

 

・実践

地名を入れた十二音のフレーズを考えよう

地名+■■■■■■■

例 横浜でレイトショーみる

  熱海の旅館で居眠り

  イタリアのスーツ長持ち

*季語は極力入れない

 

季語 秋の風との取り合わせ

 

柴田

アフリカで動物を見る秋の風

(秋の風より 爽籟(そうらい):秋の季語 爽やかな秋風の音)

秋の風オーストラリアでっかいぞ

 

庄司

エジプトのラクダに乗って秋の風

(ラクダがメインだったら地名は不要 

添削 エジプトのミイラになって秋の風)

大阪で万博帰り秋の風

(大阪は不要)

 

まとめ

イメージの共有ができ地名を選び生かすことが重要

 

・今週の兼題 神の留守・神の旅

どちらも冬の季語 旧暦の10月 新暦だと11月のどこか

全国の神様が出雲に集まる 神無月 出雲は神在月(かみありづき)

普段見ているけど神がいないと思えばもしかしたらこうかな

「神の旅」は神様が移動していることを思わせる何かが必要

 

・特選六句発表 兼題「神の留守・神の旅」

神の旅この子はあのときの子です   山口晴輝(はるき)

タクシーが乗車拒否する神の旅   嶋村純

コーヒーに沈むミルクや神の旅   大山圭海(けいかい)

シュレッダーの中に氾濫神の留守   髙田祥聖(しょうせい)

神の旅名刺千枚では足りぬ   オキザリス

すれちがふ暖簾の文字や神の旅   葉村直(なお)

 

・柴田 庄司の歩み

地名で致命傷にならない様に   柴田

我々がコリコリだったのは神の留守   庄司

 

 

NHK短歌 テーマ「固有名詞を入れる」

選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河・横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「三十一音で扉が開く」

 

固有名詞:人名 地名 書名 曲名 商品名など 

あるものにつけられた特定の名称のこと

 

白湯といふやさしきものを飲むゆふべストックホルムの雨を見てをり

横山未来子「午後の蝶」

 

地名は名前を聞いただけで町や地名の持つイメージや歴史が広がる

どの町を入れるかによってイメージが変わるのが面白い

 

セザンヌのリンゴや瓶や玉葱も息をしてゐるしづかな聖夜

永井陽子「モーツァルトの電話帳」

 

固有名詞が持っているイメージが作者にも読者にも共有できる

 

麦藁帽子を野に忘れきし夏美ゆえ平らに胸に手をのせ眠る

寺山修司「寺山修司青春歌集」

 

夏美 広く知られていない固有名詞ですが この歌では

夏美さんという個人名によって親しみや愛情が感じられる

作者との距離もとても近く感じられ仕草や存在感が強く迫ってくる

 

・入選六首 テーマ「固有名詞を入れる」

久々に猫の夏子が膝に乗りそれが秋への合図となりぬ

明星有子(みょうじょうありこ)

「幸子」とふ名を持ちし人たぶんみな「さっちゃん」と呼ばれこの世いき行く

羽染(はそめ)幸子

無言館の画集を捲(めく)る暑き昼準録(じゅんろく)さんの静物画やさし

那須桃子

一席 具を換えて夫と食べたラーメンを一人で食べる三平食堂

佐藤順子(よりこ)

デザートにパンダ・プリンの添えられて精養軒は秋のにぎわい

玖嶋(くしま)さくら

人生を半分ほしい願い込めあなたにあげる雪見だいふく

塚柊那(しゅうな)

 

・銀河と真子の歌人への道

固有名詞を入れた短歌に挑戦!

細路地でふとすれ違う落武者の影も日常鎌倉の街

菊池銀河 添削

真昼間にふとすれ違う落武者の鎌倉の細い路地にて

歌人への道 ポイント

「地名」は自分の発見も大切にしよう!

 

天気予報見ずともわかる明日の雲卑弥呼の如く我もなりたい

横田真子 添削

目をとじて明日の雲を予想する卑弥呼の如く我もなりたい

歌人への道 ポイント

「人名」はその人物のイメージを生かそう!

 

The Lomg and Winding Road」聴き私は帰路でまた旅に出る

菊池銀河

The Lomg and Winding Road (長く曲がりくねった道)

以前詠んだ句⇩

ザ ロング ワインディングロードが身体中に染みる旅の帰路

今回本人が推敲した

 

・ことばのバトン

こぼれないよう握ったバトン

秋田県立秋田北高等学校 村田成実 佐々木乃愛 村上響

炎天下刹那(せつな)の想い受け取って

岩手県立大船渡高等学校 髙橋咲絵 菅生暖喜 柴田芽依

 

息止めてラリーの末に打ち込んだサイドラインを突き抜ける球

菅生暖喜

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