心では人を見下す冬の雨
筋肉の衰え早し冬の雲
消えそうで消えぬ羽音よ冬の蚊よ
悪意なき支配はびこる冬の夜
寒き夜や見えない毒を振り撒かれ
■NHK俳句 兼題「町・街」
年間テーマ「描写の工夫」
選者:岸本尚毅 レギュラー:紅甘(ぐあま) 司会:柴田英嗣
ディテールが集まって町になっている
そういうものを大づかみにとらえる
俳句のタネを育てましょう
子どもらが落ち葉を蹴って道作る
落ち葉:冬の季語
添削
町の子ら落ち葉を蹴って道作る
町に子ら落ち葉を蹴って道作る
描写のポイント
「落ち葉」や「子どもたち」という具体的なものの背景として
「町」という言葉を取り入れる町の雰囲気や様子が思い浮かぶ句に
わが橇の馬が大きく道かくす
⇩推敲 虚子
わが橇(そり)の馬が大きく町かくす
高浜年尾(1900-1979高浜虚子の息子)
・今週の特選句 兼題「町・街」
寺町に無くして帰る冬帽子 鈴木研児
老迷子ひとりハロウィンの地下街に 山口樺風(かふう)
凹(へこ)みたるガードレールや町小春 大野兼司
孫と乗る百円バスや街小春 萩原豊彦
降灰やかつて焼かれし冬の町 篠原和義
母惑(まど)ふ街角すでに冬ざれし 宿里(やどり)とも子
特選三席
一席 町へ飛ぶ脚の欠けたるいぼむしり 麻木ちゑ
いぼむしり=カマキリ この虫でいぼをさすれば消えるという俗説から
二席 病窓に未踏の街や秋夕焼(あきゆやけ) 品川雅史
三席 短日や部品行き交う町工場 田中祥治(しょうじ)
・はみだせ!教室俳句
山口県聖光高校 吉田稔先生
進路選択 進路決定
ポイント
切実なテーマを設定することで感情を乗せやすくなる
深掘り質問
面接試験で受け答えに対してさらに踏み込んだ質問が飛んでくること
深掘りの質問ラッシュ玉の汗 水越颯太
溶接もできる言葉も紡げる生徒たち
・「見どころあり!」の一句
原句
天守閣残し町並み霧沈む 板倉富士夫
⇩推敲
天守閣残し町並み霧に沈む
⇩推敲
天守閣見えたり町並み霧に沈む
⇩推敲
天守閣見えたり町は霧の中
・紅甘のつぶやき
町/街にもいろんな顔がある!
■NHK短歌 テーマ「好きな色」
年間テーマ「時代の波に乗って」今月のテーマ「朗読して面白い歌をめざそう」
選者:荻原裕幸 ゲスト:Pippo 司会:ヒコロヒー
みづいろの楽譜に音符記されずただみづいろのまま五月過ぐ
荻原裕幸
私が20歳の歳の5月に好きだった寺山修司が亡くなった
・入選九首 テーマ「好きな色」
優しさを補うための蒼い箱40錠のバファリン買いに
熊谷香織
私 古書店の棚に並んでゆっくりと木だった頃の色になる本
秋野茜
私 球場への道には赤い人だらけ途中で赤いローソンに寄る
三月とあ
三席 おじさんと子どもがものすごい青に取り囲まれた丸い標識
古橋紗弓
自己紹介白川譽十九歳将来の夢は林家パー子
白川譽(ほまれ)
あと一つ坂を超えれば天空は伊勢の蒼(あお)から熊野の碧(あお)へ
北村保
夏終わり徐々にまつざきしげるいろから薄くなる肌が切ない
ゆっくんがあらわれた (まつざきしげるいろがあるとは…。)
一席 果実にうすく刃を入れたように光りだす夜明けの色がまぶたに染みて
中山史花(あやか)
二席 中央線特別快速高尾行き乗れば真っ赤な他人に帰る
今井遼 (不倫を想像したヒコロヒーさん凄い。)
・荻原流 詠み方指南
今月の詠み方指南
朗読しておもしろい歌を目指そう
声を出して読んだ時におもしろい歌は楽しい歌につながっていく
さくらからさくらをひいた華やかな空白があるさくらのあとに
荻原裕幸
詩では音や響きをどのように意識していますか? ヒコロヒー
作者の心が自分の心に入ってくるような感じがある Pippo
「昨日は何処にもありません」三好達治
昨日は何処にもありません
あちらの箪笥の抽斗(ひきだ)しにも
こちらの机の抽斗しにも
昨日はどこにもありません
それは昨日の写真でせうか
そこにあなたの立つてゐる
そこにあなたの笑つてゐる
それは昨日の写真でせうか
いいえ昨日はありません
今日を打つのは今日の時計
昨日の時計はありません
今日を打つのは今日の時計
昨日はどこにもありません
そこにあなたの立つてゐた
そこにあなたの笑つてゐた
昨日はどこにもありません
そこにあなたのいた「昨日」はもうないということが
繰り返されることで実感が伴って加速度的に切なさが増していく Pippo
伝えたいことを絞って簡潔にしていくということ? ヒコロヒー
短歌づくりのコツ
音や響きをおもしろく味わえるうたにするには
伝えたいことをシンプルに整理する
庭に寝( い)ぬ犬犬猫よそちらにも夜明けはあるか色は同じか
Pippo
短歌のタネはどんな時に生まれてくる? Pippo
締め切りがあると書ける 荻原
思いついたらメモをする 荻原
小説で書いてみたいテーマは? Pippo
依頼と締め切りがあれば ヒコロヒー
外からの刺激と言うのは自分の中にある何かを掘り起こすきっかけになる
・ことばのバトン
炎天下刹那(せつな)の想い受け取って
岩手県立大船渡高等学校 髙橋咲絵 菅生暖喜 柴田芽依
⇩
秋には冷めた恋心その他
殿内佳丸
愛犬が石田ゆり子の家の猫になりたいと吠え世田谷ぬ向かう
殿内佳丸
このスタイルでいっても大丈夫って言っていただいた感じがします
荻原さんの歌集で”その他”っていう文字をよく入れているのを見て
リスペクトを込めて入れました
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