2022年10月31日月曜日

歳時記食堂~おいしい俳句いただきます2022秋~

国宝の持つ美のエネルギー秋高し
財の力浴びてこその(美術)展覧会 降り注がれて
美術展見返り美人のお見送り
我が子より若い女(こ)連れて秋の芝
痛みから解き放たれん秋曇

NHK俳句
「一橋桐子の犯罪日記」とのコラボ月間!
歳時記食堂~おいしい俳句いただきます2022秋~
女将 西村和子 お客様 松坂慶子 常連客 古坂大魔王 若旦那 加藤諒

台風や今日は一日セット撮影   松坂慶子

一品目(鱸の昆布じめ)
大鱸(おおすずき)なり鱗(うろこ)金鱗銀   清崎敏郎
息をつぎ息をつぎては法師蟬(ほうしぜみ)   清崎敏郎

二品目(林檎の炊き込みごはん)
林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき   寺山修司

同人集に書かれていた寺山修司の俳句
草笛を吹けり少女に信ぜられ
頬つけて楡の木ゆする別れ来て
うつむきて影が髪梳く復活祭
わが夏帽どこまで転べども故郷

中学から高校へかけて
最も大きい比重を
占めていたのは、俳句だった。
寺山修司著「誰か故郷を想はざる」より

少年歌
万緑へよごれし孤児が火を創る
燕の巣母の表札風に古り
秋の曲梳く髪おのが胸汚す
花蕎麦や雲の日向は故郷めく

海唱抄
望遠鏡かなし雪崩は日の果てへ
山鳩啼く祈りわれよりも母ながき
雪おろす望郷の果て海青し

古い字が多用されていたため全ては残すことができませんでした。

葱坊主どこをふり向きても故郷   寺山修司

三品目(干し柿のクリームチーズ挟み)
柿百個ひとりの空に吊るしけり   多胡恵美子

お支払い
おかあさん今年も柿がなりました   松坂慶子

2022年10月30日日曜日

辞世の句と遺言川柳とおしゃべり俳句

傷持つ人に傷つけられて茨の実
晩秋や何はともあれ黙に伏す
秋うらら容儀神妙満たしをり
星月夜技は無限スクラッチ
スーパーへベンツ横づけ秋日和

■【成田悠輔vs無念の死】社会人のための「死」入門【なんで最期に、それ呟いたんですか?】
https://www.youtube.com/watch?v=Xq10eQ34m2Q

辞世の句
つひにゆく道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを昨日今日とは
在原業平
思ふこと言はでぞただにやみぬべき我と等しき人しなければ
在原業平
身はたとい武蔵の野辺に朽ちるとも 留めおかまし大和魂
吉田松陰

■日本財団 遺言の日.jp: 第7回遺言(ゆいごん)川柳応募サイト
https://xn--u9jv32nhwwqof.jp/

これむっちゃ面白そう考えますとも…。

2021年第6回 ゆいごん川柳受賞作品
大賞
思い出に 浸ってペンが よく止まる
ペンネーム:すみれさん 69歳/愛知県

入選
遺言を 書いたはいいが どこいった
ペンネーム:ごんぬさん 19歳/岡山県
訂正印 だらけの父の 遺言書
ペンネーム:永井径さん 56歳/福島県
あの世とも 出来たらいいね オンライン
ペンネーム:ホタルさん 68歳/自営業

佳作
AIじゃ 書けない愛の 遺言書
ペンネーム:リンさん 44歳/滋賀県
恋文に 似た感ありき 遺言状
ペンネーム:恋文子さん 52歳/愛知県
遺言書 読めば親父の 声がする
ペンネーム:MSさん 61歳/千葉県
相続の 家族会議も オンライン
ペンネーム:もえぴーの夫さん 60歳/東京都
叙勲無し けれど遺贈に 名を刻む
ペンネーム:松風さん 75歳/東京都
人生の 感謝のしるし 遺贈寄付
ペンネーム:アオキテラヒさん 57歳/埼玉県

政治犯が最後に残す漢詩 「臨刑詩」
王朝時代の中国では、政治犯として処刑される要人が多かった。
そうした中で、もし政治犯として処刑される際には、
自分の思いをきちんと整理し漢詩として残すことが、
ある種の作法として定着していった。
https://www.sougiya.biz/kiji_detail.php?cid=442

■夏井いつき俳句チャンネル
おしゃべり俳句 第9回 後編
【おしゃべり俳句ベスト5】第9回のベスト5の中に人生の応援句がありました

そんなときもあるよね!秋の空   友達の次女(5歳)
ふゆにはわたしも犬になるはず   アダム(5歳)
はるちゃん、金魚ちゃんになっちゃったねぇ   日々の茶めしの息子(2歳半)
にぎやかなはたけもんしろちょうがいる   大史華家(5歳)
羽化した蛾さびたおうちのいろでした   小物打楽器

2022年10月29日土曜日

セルフのうどん店で一句

腰の低いR指定秋日射
ひらがなに託す国宝秋の夢
(三日月宗近)刀剣に連なる夕日秋の暮
機能美よ隠した苦労秋の声
短刀のリサイクルをや秋懐

■プレバト纏め 2022年10月27日
セルフのうどん店で一句

永世名人富美男のお手本
秋寒や焦げた天麩羅箸の先   梅沢富美男
(「焦げた」の語順が映像をフォーカス。
 小林一茶「秋寒や行く先々は人の家」と同様の
 1つの世界が描けている。)

特待生昇格試験
露の世のいつぽん長きうどんかな   春風亭昇吉
(「露」だけで秋の季語。
 「露の世」に人生の儚さ・思いが意味に乗っかってくる。
 元々「かな」は読み手に投げかける詠嘆。
 昇吉さんの俳句大好きです。本当に素敵です。)

更待(ふけまち)やぶっかけすすり出港す   中田喜子
(さりげない時間の経過を表現。
 陰暦9月20日夜10時頃に出る半分欠けた月。
 夜が更けて出る月。)

1位 二階堂高嗣
夕月夜一人暮らしの光熱費

2位 こがけん
行く秋やうどん繰る子の箸高く
添削
箸高くうどん繰る子や秋は行く

3位 森迫永依
秋の夜たゆたう湯気メガネ曇らせ
添削
秋の夜のうどんに曇る眼鏡かな

4位 勝村政信
出番待つ揚げ物軍隊秋の宵
添削
揚げ物も万端うどん屋の秋宵(しゅうしょう)

次回のお題は「スーパーの鮭」

■勝村の舞台に感動して詠んだ12句
汗と薔薇   夏井いつき
舞台には椅子と机と夏の月
若臭き汗もまぶしきネクタイも
汗疹華やか騎士の衣装の首苦し
夏星やにせの剣に紙の雛
椅子蹴って喚(わめ)けば第三場の薔薇
金髪のカツラを叩きつけ裸
台詞ふつ飛ぶドライアイスの霧深く
煙草ふかしふかす暑苦しき暗転
鏡引き寄せれば吾の汗に曇る
それ俺のブラシ楽屋に臭ふ汗
薔薇老いてお疲れさまといふ哀しび
喝采のかすか手のひらには胡蝶

2022年10月28日金曜日

世界脳卒中デーということで…。

10月29日は世界脳卒中ディだそうです。
ということで大学病院にて頂きました。
トートバックとボールペンとティッシュペーパーです。
長年、通っているのですが初めていただきました。
嬉しい…。



名言と「火恋し」

持ち寄った知を組み合わせ秋惜しむ
彫眼の先を見つめん秋の寺
秋の雲何故に玉眼浄楽寺
秋深む威圧を持ちて巳神像(みしんぞう)
うすら寒メモに残らん筆圧の文字

■名言
王陽明 曰く
「人の才能や気性は
 みな同じということはない。
 立派な人は人を型にはめたりしない。
 進取の気性に富む人はそれを生かし、
 律儀な人はその頑なな性格をいかして
 立派な人物に育てるのがよい。」

スティーブ・ウォズニアック 曰く
「幸福になることが
 人生の唯一の目的です。
 そして一日に何回微笑むかが、
 その人の人生を測る
 唯一の尺度です。」

ベンジャミン・フランクリン 曰く
「幸福であるには二つの路がある。
 欲望を減らすか持ち物を増やすか
 どちらでもよろしい。」

■一分季語ウンチク 火恋し
この火を恋う心
段々寒さが募ってきて
冬が近づいてそろそろ火鉢を出そうか
そろそろ暖炉をつけようか
そんな心持ちになる
そしてそれに備えを始めていく
それが「火恋し」という季語です。
実際に句を作るうえで
注意したいポイントとして
この「火恋し」音数でいったら
ひこいしの4音なのですが
これを時折「ひ こいし」と
1音空白の様に使って
「ひぃこいし」の5音のように数える
というケースもあります。
その場合、この字を書いていいのか
小さい「ぃ」を入れるべきなのか
悩んだりするのですが
その微妙な間をどうするかみたいなことを
考えながら俳句を作っていくというのも
この季語にチャレンジする上での
一つ大切なポイントになってくるのかもしれません。

2022年10月27日木曜日

名言とおしゃべり俳句

言葉にはできない思い寒露かな
冬近しため息ついて項垂れて
言えなくて「もっと愛して」冬隣
行く秋やコードはすでに恋と愛
それぞれの持つ美しさ柿紅葉

■名言
牧野昇 曰く
「回り道が近道のことがある。
 それが人生だ。」

勅使河原三郎氏 曰く
「孤立をすることを選び
 恐れることを選び
 汝自身であれ。」

黒田官兵衛 曰く
「武芸に凝って、
 ひとり働くことを好むのは、
 匹夫の勇といって、小心者の嗜みであり、
 大将の武道ではない。」

■夏井いつき俳句チャンネル
【おしゃべり俳句】子どもが実物のパンダを見たときの気づき

第9回おしゃべり俳句
「おちゅきちゃまがちゅいてきてるよ」どうちて?
看板のあそこにシロアリいるんやな
おせち料理ぼく好き嫌いするで
海の中金色にキラキラしてる(夏の星)
(夏休み)方言っていいよねカッコいい
ねえばあばパンダはあんがい白くない
猿祭りバナナはすてきな月になる

2022年10月26日水曜日

一橋桐子と金子兜太とお役立ち哲学

秋気澄む死と向き合いて生き抜かん
死を想い生を想わん天高し
未練などある筈もなく秋の空
秋の日やイドラの鎧装着し
暮の秋生ごみのごと廃棄せり

■一橋桐子の犯罪日記
青嵐刑務所かいや結婚か   一橋桐子
虹消えて私はただの道化師か   一橋桐子
雷鳴や私が誘拐犯なんて   一橋桐子

■新美の巨人
よく眠る夢の枯野が青むまで   金子兜太

■ロッチの子羊
今日のお役立ち哲学
吉田松陰 曰く
「リーダーに必要なのは
 上からでもない下からでもない
 フラットに相手を見る力なのです。」

フッサール 曰く
「SNSで文字文字しそうになったら
 客観情報をエポケー(判断中止)
 自分の直接の経験を信じましょう。」

懐疑主義においては、
エポケーは“suspension of judgment“
「判断を留保すること」を意味する。
もし真理が到達不可能なものだったり、
到達しにくいものだったりするなら、
判断を急ぎすぎるとかならず
誤ることになるであろうからである。

2022年10月25日火曜日

題「鳥」

蚯蚓(みみず)鳴く人が基本となりにけり
レバナスへ夢を託さん秋深し
秋の京女の曳く人力車
しないことできないことの秋暮れる
イッタラにこころ解けし秋の朝

NHK短歌 題「鳥」
選者 佐佐木定綱 ゲスト 米本学仁(たかと) 司会 星野真里
レギュラー カン・ハンナ 本髙克樹 矢花黎

■冒頭の短歌
棄てられた弁当を喰う自由など深く味わい飛べよ斑鳩(いかるが)
佐佐木定綱

訪れた旅館のマスク入れに短歌が書かれていた。
此の里に悲しきものの二つあり範頼の墓と頼家の墓と
正岡子規

■入選九句
守るべき暮らしを思う鳥の巣をマニュアル通り撤去するたび
溝口のぞみ
「鶴」だけがいつも出しゃばるわが名前羽交い絞めして欄におさめる
大武千鶴子
飛び立てば 群れとなるほかなき雁の列(つら)の一羽が少しはづれる
高原晴子
💮読みかけの本をひらけばゆっくりとふくらみ戻る一枚の羽根
栗本悦子
夏庭の真昼の航海終えた夜はただ湯に浮かぶ黄色のあひる
冨岡照恵
やまどりの黒き胸筋切りひらき取り出されたる銃弾光る
原田浩生
雨に濡れ襟の逆立つ鳩ふたり二号車両のホームに並ぶ
茂木健志
折り紙で子供と作るプテラノドンとぶのが下手な翼竜だった
五十嵐眞佐子
わずかばかり鳥の軌道にのってからゆっくり紙飛行機は墜ちる
西鎮(しゃうちん)

■佐佐木先生の短歌というドラマ
歌に秘められたドラマをひも解き深く味わう
雲雀(ひばり)の血すこしにじみしわがシャツに時経てもなおさみしき凱歌(がいか)
寺山修司
この短歌は読み手によっていろいろな解釈が許される広がりのある歌
今回の歌を深く味わうためのポイント
詠まれる「鳥」を変えて
全く別のドラマを想像するのもだいご味のひとつ

■佐佐木先生からの宿題
真っ暗な天井の黒を解(ほど)いていく雀の声とまな板の上のダンス
米本学仁

■短歌侍武者修行
課題 動きを入れて臨場感を出す(動作を詠む)

ホールドに第一関節引っ掛けて進む勇気か落ちる覚悟か
本髙克樹
ギリギリと削れる爪でつかんでるそり立つ壁の赤いホールド
矢花黎

2022年10月24日月曜日

テーマ「芸術」

秋雲よ記憶の中で育まれ
秋湿り日々美化させて過去を生く
かりそめの筆遊び(ふですさび)せり秋日和
偶然を見落とすなかれ秋意かな
自立した自分が基本秋麗

NHK俳句 兼題「芸術」
「一橋桐子の犯罪日記」とのコラボ月間。
選者 堀本裕樹 ゲスト 木村多江 司会 武井壮

■冒頭の俳句
音楽に乗って檸檬の香りけり   堀本祐樹

■季語から読み解くドラマの俳句
君失せてモノクロの日々昼寝覚(ひるねざめ)   三笠隆

昼寝覚(昼寝の傍題) 夏の季語 けだるさを表現

例題
昼寝覚雲を目に入れまた眠る   大野林火

■入選六句 テーマ「芸術」
毬栗(いがぐり)に絵画教室ざわつきぬ   
西爽子(そうこ) 季語 毬栗(栗の傍題)

指先の秋思煌めくバレリーナ
猪俣ま悠 季語 秋思

朝顔を描く朝顔に囲まれて
谷村高夫 季語 朝顔

彫像の顔に生まるる良夜かな
吉野敬子 季語 良夜

亡き妻のぬり絵は壁に秋の声
禪寳(ぜんぽう)居士 季語 秋の声

特選 秋麗モデルの喉に髪の影
高木統(おさみ) 季語 秋麗

■あなたのエピソード、俳句にします テーマ「芸術」
季語に想いを託す
視聴者のエピソード
子が描きしママはぐるぐる秋うらら   堀本祐樹

木村多江さんのエピソード
ニット着てドラマ撮る間の風涼し   堀本祐樹
風涼し 夏の季語(凉しの傍題)

2022年10月23日日曜日

名言と夏目漱石英訳「方丈記」

秋陽嗅ぎこくりこくりと駐車場
落合集落山肌染める蕎麦の花
秋深む基本はひとり生きていく
秋の蛇脱皮重ねて育まん
秋の音緊張持ちて夕凪へ

■名言
乃木希典 曰く
「人は愚かな者で
 幸福に馴れると幸福を忘れ、
 富貴に馴れると富貴を忘れるものじゃ。」

浅田次郎 曰く
「何を言ってやがる
 手足の揃ったおまえに
 出来ないことはひとつもない
 人間は出来ないと思ったら
 まっすぐに歩くことだって
 できやしねぇんだ。」

本田圭佑 曰く
「サッカーをやめても
 人として周りが慕ってくれるような
 存在でいたい。」

■夏目漱石英訳「方丈記」
資料の部屋
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/shiryoo.htm

英訳 『方丈記』 いわゆる南方熊楠 訳
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/hoojooki-minakata.pdf
英訳 『方丈記』 夏目漱石 訳
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/hoojooki-sooseki.pdf
英訳 『方丈記』 J. M. Dixon 訳
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/hoojooki-dixon.pdf
盤渓永琢 『心經抄』
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/shingyoo-02.pdf
佐藤春夫訳詞 『支那歴朝名媛詩鈔車塵集』
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/shajinshuu-zen.pdf
津田雄次「Sir Gawain and the Green Knight における Old Norse 語彙と物語の解釈について」
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/TSUDA%20YUJI%20ARTICLE.PDF

■夏目漱石 方丈記の英訳の和訳
https://think0298.stars.ne.jp/natsume_souseki_hojioki.html

2022年10月22日土曜日

名言と写真俳句入りカレンダー

踏む秋や音を外したハウスダンス
体重はボールに載せて秋を舞え
連なるヘルの現場検証秋黴雨(あきついり)
なきいすか山へ山へとフルスイング
午後一番の池越えショット秋麗

■名言
ルーシー・M・モンゴメリ
「一生懸命やって勝つことの
 次にいいことは、
 一生懸命やって負けること。」

アントニー・デ・メロ 曰く
「今この瞬間にあなたが
 無常の喜びを感じていないとしたら、
 理由はひとつしかない。
 自分が持っていないもののことを
 考えているからだ。
 喜びを感じられるものは、
 全てあなたの手の中にあるというのに。」

スティーブ・ジョブズ 曰く
「常識?
 あ~凡人が仲良く生きるためのルールか!」

■夏井いつき俳句チャンネル
【2023年カレンダー完成】写真俳句からキスマイの話に?

洞窟の中に野菊を置きにゆく   夏井いつき
みな潮の匂いに干して盆の家   夏井いつき

写真俳句の神髄は掛け算!と夏井いつき塾長。
千賀健永君は写真俳句の中で
「これを実践していた!」と豪語していたそうです。

2022年10月21日金曜日

名言と「鉢の仔」

丸は濃く四角は薄く秋を描く
澄む秋や型に拘ることなかれ
秋の声勝負の好きな日本人
木と鉄の織り成すフォーム秋の空
炎蒸(えんじょう)にしがみつかれた秋の朝

■名言
佐藤愛子 曰く
「何のマイナスもない人生を歩いていたら、
 考えない人間ができちゃう、」

三木清 曰く
「人は軽蔑されたと感じる時によく怒る。
 だから自信のある者はあまり怒らない。」

渋沢栄一 曰く
「事業には信用が第一である。
 世間の信用を得るには、
 世間を信用することだ。
 個人も同じである。
 自分が相手を疑いながら、
 自分を信用せよとは虫のいい話だ。」

■一分季語ウンチク 蜂の仔
地域によってはこの「鉢の仔」を食べる
ということもあるのでしょうけれども
私の住んでいる愛媛県松山市では
そんなにお目にかかる機会はない食材
となっています。
秋の歳時記に収録されている「鉢の仔」は
地蜂、クロスズメバチの幼虫の事なのだそうです。
地中に巣を作っており、それを10月頃に
巣を煙攻めにしてとるのだそうです。
個人的な体験としては蜂の幼虫を食べたことは
あるのですがその時は幼虫を炙った燻ったものを
食べさせていただきました。
試しに食べて見たら豚の脂身とクリームチーズを
こんがり焼いたような味わいでした。
興味のおありの方は是非一食。

2022年10月20日木曜日

藤原信也の旅 死を想え、生を想え。

月渡るまだやれることありますか
秋の星憧れよりも足もとを
稲光暴きださん煩悩が
秋の夢スマホ100%(パー)吾は20
しけ寒(ざむ)や声うら返し笑み作り

日曜美術館より
死を想(おも)え、生を想(おも)え。 
写真家・藤原新也の旅

犬が人の遺体を食べる写真のキャッチコピーに
「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」

死体の灰には、階級制度がない。

遠くから見ると、
ニンゲンが燃えて出すひかりは
せいぜい六○ワット三時間。

ちょっとそこのあんた、顔がないですよ

此の世は彼の夜である。
天国もある。
地獄もある。     

ひとはみな、あまねく照らされえいる。

その景色を見て、わたしの髑髏(しゃれこうべ)がほほえむの

(言葉の写真)

ニンゲンは犬に食われるほど自由だ

祭りの日の聖地で印をむすんで死ぬなんて
なんとダンディな奴だ。

あの人がさかさまなのか、
わたしがさかさまなのか。

ありがたや、
一皮(いっぴ)残さず、骨の髄まで。

光の中で、正気にもどる。

おーい。

こんなところで死にたいと思わせる風景が
一瞬目の前を過る事がある。

母の背は、荒野に似る。

少年の孤独
包み込む
湯気の音聞き耳立てる
老い。

人体はあらかじめ
仏の象(かたち)を内包しています。

寿命とは、切り花の
限りある命のようなもの。

あの人骨を見たとき、
病院では死にたくないと思った。
なぜなら、
死は病ではないのですから。

死のとき、
闇にさまようか
光に満ちるか
心がそれを選びとる。

死とは、死を賭(と)して
周りの者を導く、
人生最後の授業。

死を想え、生を想え。
(プラス思考)

広―い
景色の中
ふたつの
小さな
脈拍。

香港入国‼
自撮りなので
顔がでかい。

ここは金融街のメインストリート。

習近平もこれだ‼

絶食の果て。40回の断食の結果
自分の糖尿病も治り
結果オーライ‼

ケンカがはじまる‼
近づく。

殴り合いのケンカがはじまった。
右の足が気狂い状態。
正面からストロボを炊くとコイツ
は私に向かって来た。

神社札に似ている。

革命は美しい。
そういう点景が至るところにある。
日本の学生運動にはこれがなかった。

追伸
18日裁判所の決定により金鐘の一部(約十メートル四方)
のバリケードの撤去がはじまる。学生側は沈黙。

西の雨傘運動。
東の空傘運動。(Halloween)
どっちも切実なのだ

嗚呼!
目に前に
あの世が
満ちている。

雲に道を訊く。

枯れ逢う。

遺影撮ると
レンズ向け
君の眼
私の命
見ている。

私感
こころに突き刺さる言葉の数々…。
飾られた軽い言葉に辟易…。

2022年10月19日水曜日

名言とお役立ち哲学

山吹に染める銀杏道浄寺
銀杏に埋め尽くされた境内
善知識求めて会える訳もなく(無季句)
野路の秋蛙はいつも座りをり
(仙厓義梵)かすれ文字四角三角丸と印(無季句)

■ロッチと子羊
今日のお役立ち哲学

孟子 曰く
「仁政さえ実践できればきちんと伝わります。」

ジェイムズ 曰く
「恐怖によって
 行動が制限されるのではなく
 行動が恐怖を生み出しているのです。」

エラスムス 曰く
「マジメ過ぎることで
 臆病になるぐらいなら
 時には❝愚か❞になることで
 突破しましょう。」

ベーコン 曰く
「人が正しいイメージを
 得るには❝イドラ❞を
 取り除く必要があります。」
(イドラとは正しい認識を妨げる偏見や先入観。)

■名言
三木清 曰く
「孤独は山になく街にある。
 一人の人間にあるのではなく
 大勢の人間の『間』にあるのである。」

大原敬子 曰く
「すべてを捨てると、
 新しい道が開けます。」

西田文郎 曰く
「他者への感謝、誰かのためにという気持ちは、
 持っている以上の力をその人に発揮させる。」

2022年10月18日火曜日

題「束縛・嫉妬」

経済の動脈硬化秋渇き
秋草や寝そべり族のはびこらん
秋の草アバター越しの自己主張
月の雲アルコリズムを追いかけて
買い場は株安円高北北斗

NHK短歌 題「束縛・嫉妬」
選者 江戸雪 momohaha 司会 星野真里 
レギュラー カン・ハンナ 本髙克樹 矢花黎

■冒頭の短歌
きらきらと君が見つめている虹の悪口を言うぼくのくちびる
江戸雪

■恋のフレーズ短歌
笑ってる隣の子誰じりじりと私だけ見て ハンカチをかむ
    Momohaha    カン・ハンナ 星野真里

■入選九首 テーマ「束縛・嫉妬」
嫉妬などしてないようにひと褒めるハイビスカスの花の陰より
濱田道子
うめ味のガムを噛みつつ微笑んであの子とデートかそれはよかった
原拓
夏の日の藤棚の蔭何でもないどってことない嫉妬なわけない
石井宏子
ラインには既読がつかず折り紙の風鈴がくるくる震え出す
涸れ井戸
あなたから誰かへ宛てたハートマーク挽き肉にして今夜は餃子
甘夏せと香
伏せられたスマホに触れる世界一知らなくていいきみを知るため
星野珠青
💮便箋に筆圧だけで浮き上がる私ではない誰かへの文字
奈々帆
嫉妬して嫉妬して狂いそうな夜は林檎の皮がするする剥ける
吉行直人
おねえちゃん休みたいなという娘をブランケットに包み抱く夜
毛糸

■恋バナ短歌
二人でも楽しめるから無人島の楽園を出ずずっと遊ぼう
カン・ハンナ
恋人になりたいわけじゃない彼の緊急連絡先でありたい
星野真里
終わらないドライブをする僕たちは寄り道しながら星へと向かう
江戸雪

■短歌侍武者修行 テーマ「励ます」
ボルダリングを体験
動作を詠む
体の動きを詠むことで臨場感を伝える
本髙克樹 矢花黎

迷うほど指に食い込むホールドは遠く見えても5cmとなり
矢花黎
(カン・ハンナさんのアドバイス
要素が多すぎて臨場感が薄れる。
「迷うほど」というのが伝わらない。
必死につかんでいる状態の動作が見えてくると面白い。)

元髙克樹
体句を使う。と告げる。
栗木京子先生の「観覧車」
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)
が例として出されていました。
対句とは表現が似ている句を並べる技法。
行き止まるのか離す勇気か。と悩む元髙克樹君。
下の句の繰り返しができてくると面白い。
とアドバイスするカン・ハンナさん。

兼題「星月夜」

団塊の介護難民秋の陣
(中田駅)秋の駅車輪を模した車止め 
朝鳥わたる気が付けばプアジャパン
気がつけば倍速消費夜長かな
鑑賞から消費へと変わる価値観

NHK俳句 兼題「星月夜」
土曜ドラマ「一橋桐子の犯罪日記」コラボ月間!
選者 星野高士 ゲスト 由紀さおり 司会 武井壮

■冒頭の俳句
子のこのみ今シューベルト星月夜   京極杞陽

母からの受け継ぐ小袖こぼれ梅   由紀さおり

■会いたい俳人、12人
京極杞陽(1908~1981)
旧豊岡藩主京極家長男として東京に生まれる。
欧州遊学中に高浜虚子と出会い俳句を始める。俳誌「木兎」主宰

高浜虚子が選んだ俳句
美しく木の芽の如くつつましく   京極杞陽

入選九句 兼題「星月夜」
これからの事を語らふ星月夜   岡部正彦
星月夜言葉足らずの帰り道   そまり
星月夜大河のごとき瀬戸の海   老人日記
ギター背に急ぐ少女や星月夜   田口堯久(たかひさ)
母に聞く父の晩年星月夜   有村次夫
💮小走りに抜けし喧騒(けんそう)星月夜   中野誠一
鍵穴に鍵滑り込む星月夜   堀田福朗
盛り塩の溶けぬ花街星月夜   有坂貴男
地上にもこんなに明かり星月夜   佐々原幸子

一橋桐子の犯罪日記②の俳句
わが夢を取り戻したしぶらんこ漕ぐ   桐子
蔦若葉聖母のように君の愛   三笠隆
悪人は成敗すべし春の雷   桐子
もう一度やり直せたら春の波   桐子
わが罪を知る人は無し夕霞   宮崎知子
春風に笑えば君も微笑むか   桐子
雨に泣き風に笑えよ桐の花   宮崎知子
夏近しいま闘いのゴング鳴る   桐子

2022年10月16日日曜日

令和相聞歌と「茘枝(れいし)」

秋の夜年相応の鑑賞よ
稲雀雑務の価値の真価とは
名ばかりの百円ショップ秋曇
東福寺ぎんもくせいの香のなかへ
秋の雲お玉の住んだ無縁坂

■一分季語ウンチク「茘枝(れいし)」

茘枝は「れいし」と読みます。
楊貴妃も好んだとされるライチは果物。
甘いわけなのですが、歳時記に収録されている
「荔枝」はゴーヤのことなのです。
苦瓜と書くとあの苦い味が蘇ってきます。
読み間違いの多そうな季語。
よいうのも一つ頭に置いておくと
ちょっと知的に楽しい。

■夏井いつき俳句チャンネル
【令和相聞歌】恋多き妹の愛の句は...? より

令和相聞歌の作品応募はこちら↓
https://www.reiwasoumonka.com/

ローゼン千津さんが好きな愛の俳句
蛍草コップに飾るそれも愛   夏井いつき

数少ないローゼン千津さんの愛の俳句
いつのまにこんなに好きに草いきれ   朗善千津

棒アイス舐めているのが夫です   夏井いつき

真実とかポエムは細部を小さく描く
あえて直積的な言葉を入れるとリアルをなくす

令和相聞歌 第3回 最優秀賞
軽率になんの取り柄もないと言う
君はきれいに僕の名を書く   ツナ好

2022年10月15日土曜日

金秋戦決勝 大谷翔平で一句

秋夕焼蒔かれた場所で枯れ行かん
時重ねすだち阿波より羽州(うしゅう)へと
それぞれの11年よさやけかれ
虫聞かん自由と孤独紙一重
秋暁や退屈と言う贅沢よ

プレバト纏め 2022年10月13日
金秋戦決勝 大谷翔平で一句

1位 藤本敏史
大きく振りかぶって秋爽の只中に
添削(「に」がない方が良い。)
大きく振りかぶって秋爽の只中

2位 村上健志
大谷の球大谷が打つ案山子

3位 春風亭昇吉
白秋の雲穿ぐ右投げ左打ち
添削
白秋の雲裂く右投げ左打ち
白秋の雲撃つ右投げ左打ち

4位 横尾渉
総立ちのフェンウェイパーク星月夜
(「フェンウェイパーク」とは、ボストンにある野球場。
 メジャーリーグ球場としては歴史が最も古い球場。)

5位 松岡充
天高し野球ノートの三箇条
(大谷選手の野球ノートに書かれたお父さまの教えとは
 ① 一生けんめい元気に声を出す
 ② 一生けんめいキャッチボールをする
 ③ 一生けんめい走る
 だったそうです。)

6位 千原ジュニア
秋立つや十七画の名を吾子に

7位 梅沢富美男
ポケットにゴミ爽涼(そうりょう)のユニフォーム
添削(1位をドブに捨てた句。「に」では既にゴミが入っている。
   「ポケット・ユニフォーム」の情報が重なっている。

スポーツが分かる名詞を一語「マウンド」を入れる。
マウンドのゴミ爽涼のポケット

8位 森口瑤子
四番打者四球を選ぶ子規忌かな
添削
バッターは四番子規忌四球選

9位 立川志らく
巌流無念しおれた菊人形
添削
巌流無念しおれた菊人形
小次郎の無念しおれた菊人形

10位 皆藤愛子
打ちまくる大谷生姜擦る私
添削(名を片仮名にするとメジャーリーグの空気が出る。)
生姜擦る今日も大谷打ちまくる
今日も打つ大谷私は生姜擦る
今日もつオオタニ生姜擦る

2022年10月14日金曜日

理想的本棚と兼題「椎茸」

秋の夜悲喜交々の無縁坂
海陽のミズトラノオの群れて咲く
星月夜凹凸ありて成り立ちて
振りかざす正義はあるや秋の声
螻蛄(けら)鳴くや我慢する人しない人

■理想的本箱
□「ひどい失恋をした時に読む本」で紹介した3冊
「お目出たき人」武者小路実篤
明治末期の一途すぎる男の片思い。

「くまちゃん」角田光代
風変わりな男にふりまわされる現代女性の仕事と恋愛を描いた表題作のほか、登場人物たちが順番に失恋していく、連作短編集。

「掌の小説」川端康成
スケッチのような掌編として見つめる男の未練の心を描いた「写真」を含む、122遍が収録された掌編小説集。

□「もっとお金が欲しいと思った時に読む本」で紹介した3冊
「贅沢貧乏」森茉莉
“お金に換えられないぜいたく”をつづった女性作家のエッセイ。

「買物絵本」五味太郎
“買物”に付随する諸相をのぞき見られる絵本。

「父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」ヤニス・バルファキス
父親が娘に語るという形式で格差の根源をドラマチックに語る経済書。

https://www.nhk.jp/p/ts/578Q5K3X59/ より

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「椎茸」(秋の季語)

ギュッと!特選
椎茸や典座(てんぞ)の笊(ざる)は陽(ひ)のにほひ   深山むらさき

秀作
椎茸はかんぴょうの横収まりぬ   マーゴとレニー
椎茸を干して知足(ちそく)の暮らしぶり   ひだまり
貧乏や手には夕陽(ゆうひ)と椎茸と   句保田凡
つきだしの椎茸つつき愚痴を聞き   深山ほぼ犬

佳作
椎茸や籠(かご)にあふれる道の駅   吉河好
しわくちゃな干し椎茸と祖母の手と   環
椎茸で泣いた息子がもう二十歳   山とも

ポイント
気持ちは書かないで気持ちを伝える工夫が大切。

2022年10月12日水曜日

瀬戸内寂聴句集と「秋の湖(うみ)」

秋麗人それぞれの役目あり
湯に浸かり秋の深まり虫の声
秋の夜腰にあてた手上下せり
自分だけにしか見えない星明り
カンナ咲く夕日が照らす吉野川

■句集「ひとり」瀬戸内寂聴 より
紅葉燃ゆ旅立つ朝の空(くう)や寂
子を捨てしわれに母の日喪のごとく
御山のひとりに深き花の闇

句集のあとがき
「百年近い生涯、こうして私は苦しいときや辛いとき、
 自分を慰める愉しいことを見いだしては、
 自分を慰め生き抜いてきた」

句集の題名「ひとり」は、
大好きな一遍上人の言葉からもらった。
「生ぜしもひとりなり
 死するもひとりなり
 さればひととともに住すれども
 ひとりなり
 添いはつべき人
 なきゆえなり」

■一分季語ウンチク 秋の湖(うみ)

俳句を始めて何でこの字をこんな読み方をするの
っていう単語に出会う瞬間ありますよね?
独特の読み方をする。
この「湖」の一次に対して「うみ」という
2音で読むということにも俳句をやって
驚かれる方いらっしゃるかと思います。
なぜこの「秋の湖」と言う季語がわざわざ
一本たっているかと言いますと
夏の湖(なつのうみ・なつのみずうみ)
と言う季語もあるのですが
「秋の湖」になった時にはその湖の周辺に
色づいた秋色をした木々にあるいは空や山が
広がっておりその秋めいた景色を湖が映している
その事を特別に扱ってわざわざ一つの季語
となっている訳なのです。
仮にこれが「夏の湖」だと夏の緑の力強さが映っている。
秋は彩の「秋の湖」な訳なのです。

2022年10月11日火曜日

徳島彫刻集団60周年記念野外彫刻展

 「徳島彫刻集団60周年記念野外彫刻展」へ行ってきました。

お気に入りの作品を載せておきます。
























パンフレット⇩



題「調理」

優劣も勝ち負けもなし芸術に(無季句)
秋の声肯定せねば生きられず
秋の空居場所求めて彷徨いて
秋麗内なるものを外向きに
現実か❓非現実か❓秋の夢

NHK短歌 題「調理」
選者 笹公人 ゲスト 水田信二 
レギュラー 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ 司会 星野真里

■冒頭の短歌
紙袋にはみ出す葱見て奥さんに「今夜はすき焼き?」と聞けた昭和よ
笹公人

■短歌の穴埋め挑戦!~グルメで一首~
網駕籠(あみかご)に野菜盛られてキッチンは邪馬台国の宴のごとし
笹公人
カン・ハンナ 中秋節
水田信二 畑座のあと
星野真里 鬼の退治の

■入選九首 テーマ 調理(買い出し含む)
父の求め来し皮付きの牛たんの色と太さに魘(うな)さるる子ら
犬山裕之
オムレツを濡れおしぼりで繰り返し練習した日々昭和の昔
中野賢一
暑い日に限って父は汗だくになりつつラーメン作りはじめる
長谷井慶子
💮調味料実験のごと正確に測りてをれば妻に笑はる
南浦義勝
静謐(せいひつ)な漁師町にある祖母の家海を調理してきた台所
田中佳
弥生人の煮炊きで煤(すす)けた素焼土器昨日焦がした鍋思い出す
稲田新吾
亡き夫の折りしページはそのままに美味しかったよ蛸の天ぷら
簾田淳美
見てくれは味と無縁ぞ大津港吊るし切り見るアンコウ料理
上原厚美
包丁が切れなさすぎと律子さんは研ぎ道具持ちて娘の家へ
三瓶敦子 

■短歌侍武者修行 元髙克樹 矢花黎
ボルタリングに挑戦
動作を詠む
体の動きを詠むことで臨場感を伝える

■歌人のグルメ
大鍋に放り込むのはかつての恋よくもよくもと木べらを回す
松村由利子

■短歌ボナペティ
キーワード 鰯
黒ずんだ今日のイワシ鍋で煮て青く光った昨日を飲み込む
カン・ハンナ
手際よく鰯をつみれに変えてゆく俺を眺める人なき夜に
星野真里
刺身用の鰯をつみれにして食めばひとりの夜も染みてかなしも
笹公人

2022年10月10日月曜日

兼題「流星」

あるがまま思いのままに草の花
秋の声命吹き込む動き在り
秋あわれ倒れ転びて立ち上がり
蚯蚓鳴く尊重し合う動き聞く
星月夜心の中を型とせん

NHK俳句 兼題「流星」
選者 井上弘美 ゲスト 戸田菜穂 司会 武井壮

■冒頭の俳句
星飛んで水瓶(すいびょう)おもき観世音   井上弘美

ドラマ「一橋桐子の犯罪日記」とコラボ。

■一柳桐子の犯罪日記 娑婆(しゃば)に未練なし より
遺されて象は青空ばかり見る
雨に泣き風に笑えよ桐の花   宮崎知子
万引きをしたら刑務所イチゴ大福
捨てる神拾う神ありあたたかし
捨てる神ばっかりなんて春寒し
秋桜が好きよ私は弱いから
風薫るI miss youのEメール   三笠隆
蝶ひらり塀を超えれば極楽ぞ
春の夢娑婆に友なし未練なし

■入選九句 兼題「流星」
白馬鑓(はくばやり)天空の湯に星走る   北岡正幸
この夜のエンドロールや流れ星   木原トモ
星流るなにもかも忘れた祖母に   未補
実朝の海は漆黒流れ星   小髙正子
屋久杉の樹冠掠(かす)むる流れ星   𠮷田靖子
夜通しの流星ゲルの子の寝息   杉浦正恵
💮星飛んで水の地球に届かざる   川上ひと志
流星を溜むる伝説山にの沼   鵜澤(うざわ)正信
獅子座流星群老象が群れを去る   高原良南(りょうなん)

友よさらば二度とは会えぬ夜の流星   戸田菜穂
添削
友よさらば二度とは会えぬ流星よ

2022年10月9日日曜日

俳句甲子園

比類なき今を生き抜くほしづくよ
生き甲斐を持ちて人生秋日和
最明寺見頃の萩や声を聴く
百三十の株を揺らせん萩の花
天高し集団自決いかように

夏井いつき俳句チャンネル
■【俳句甲子園】下五で組長を魅了した高校生の俳句 より

最優秀賞受賞俳句
草いきれ吸って私は鬼の裔(すえ)   阿部なつみ
(元々住んでいた人のことを「鬼」と言う。
虐げられるものである。
裔は「すえ」ではなく「えい」と読むことに拘る先生も…。
「えい」と読むことで精神的柱が建つ。)

小澤實先生の最優秀賞
露草に十年先の来てをりぬ   谷田部慶
(露草自身の強さ、しなやかでしぶとく、したたかで柔らかい花。
それを踏まえての季語の持つ味わいが違ってくる。
ディぺートになりにくい。)

西村麒麟先生の最優秀賞受賞
七月や雲なき空が鳥鍛へ   荒川理生(りき)
(最後の審査に残してくれた喜び、感謝があった。
下五の終わり方が優れている。
オリジナリティーとリアリティーを手にした句。)

■【俳句甲子園】大会を通して組長が高校生に伝えたいこと

岸本尚毅先生個人賞
龍淵に潜む眼鏡に小さき螺子(ねじ)   南幸佑

夏井いつき先生個人賞
熟を出て良夜の中の母に寄る   角田光

神野紗希先生個人賞
朝の駅ゼラチン質の七月です   阿部縁(ゆかり)

2022年10月8日土曜日

店のオープンで一句

円照寺色とりどりの彼岸花
あるがままありのままこそ地虫鳴く
秋景色焦がれた恋も終息へ
空澄むやBe yourself汝たれ
おのおのが生きていくこと天高し

プレバト纏め 2022年10月6日
店のオープンで一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
口開けの客は西瓜と連れ立ちて
(粋な擬人化。助詞「は」の強調のニュアンス。
「連れ立ちて」複合動詞の使い方が上手い。
読み終わった後に余韻を感じる。)

永世名人村上のお手本
村上健志
ピザ窯の奥に小さき火朝寒し
(季語で場面が展開している。
 季語の冷たさや窯に残るほんのりとした熱。
「小さき火」(熾火)が季語を鮮やかに立ち上がげている。)

永世名人への道
横尾渉
ズル休みさやか駅前純喫茶
(「さやか」は秋の季語「さわやか」の傍題。
秋の澄んだ気持ち良い空気。
心情として表現する際にも使う季語。)

1位 森迫永依
いちじくを運ぶ掛け声朝の鐘
(「運ぶ」「掛け声」で複数人と解る。
 収穫の喜びに溢れている。)

ちびまる子ちゃん より
友蔵 心の俳句
孫の手を孫に渡されセナかかく
友蔵の予定はいつも老人会
ひからびたジジイによく似た干物かな

2位 篠原ゆき子
星月夜五畳酒場の笑い声
添削(中七の「五畳」で広さが解る。
   どんな人が集うのかも想像できる。)
星月夜五畳酒場のさざめきに

3位 三浦獠太
赤とんぼ街にひびくはキキの声
添削(物語・映画・小説を元に句を作るのは悪くない。
   新たな世界の中で自身の出会い・発見を詠むとよい。
   創造性を広げて詠むとよい。)
キキの声ひびける赤とんぼ

4位 嶋佐和也
秋茄子の美味い酒場がコンビニに
添削(梅沢名人は「季語が動く」と指摘。
   助詞の使い方で口語体はやめたほうが良い。)
秋茄子美味酒場コンビニに

三遊亭円楽師匠の追悼がありました。
紹介された俳句
チーママの裾はしょりたる梅雨の夜
老いてなほ色変えぬ松芸の道(桂歌丸師匠への追悼句)
添削
色変えぬ松高座に遺す扇子(かぜ)一本
(これを辞世の句にすると円楽師匠。)

私の一番好きだった句が紹介され嬉しかった。
技術はまだまだだったかもしれませんが
題材は最高に素晴らしかったように感じています。
さすが落語家さんだと…。
円楽さん!ありがとう!

2022年10月7日金曜日

パソコンのすご技とお役立ち哲学

伝統の未来拓かん秋を焼く
はばたくや近き未来へ秋意かな
台風禍行き場失ひ鳴く烏
報連相のできぬ人をり秋曇(あきぐもり)
亡き人と佇みし日や萩の声

■パソコンすご技
📝画面のキャプチャを撮る方法

Shift + Windowsロゴキー + S で、
画面のキャプチャを撮ることができます。
「四角形」「フリーフォーム」「ウィンドウ」「全画面表示」モードから
1つ選んでキャプチャできます

■ロッチと子羊 
今日のお役立ち哲学

マルクス・アウレリウス 曰く
「集中するにはどうすればいいのか❓
 不要なことをやめればいいのです。」

「集中には人生を幸福へと導く
 ト・ヘーゲモニコンを知る
 必要があります。」

ト・ヘーゲモニコンとは
指導理性と訳される。生きる道=使命感のようなもの。
集中が持続できない時、ト・ヘーゲモニコンを
思い出すことで集中力を取り戻せる。
ト・ヘーゲモニコンを意識することで
苦手なことも集中できるようになる。
「ト」は冠詞。

キケロ 曰く
「友達を作るのに慎重になることは
 悪いことではありません。
 ただし友情には
 好意と正直さが大切です。」

2022年10月6日木曜日

いつもそばに、17音がいた~俳句甲子園2022~

運動会透明の声響きをり
秋の声時間買われて時間買う
(備前焼)伝統を未来へ継承星月夜
創造は確信持ちて秋麗
髪なびかせてアーチくぐらん空高く

いつもそばに、17音がいた~俳句甲子園2022~
草いきれ子牛身体で呼吸する   藤沢香椎
竜淵に潜む避難区域の町   髙橋ひより

言葉少なきふたりを包む良夜かな
寝落ちして朝寝のそばに君のアイコン
牛舎での疲れを癒す冬銀河   藤沢香椎(かしい)
産声の牛舎に満てる良夜かな   藤沢香椎
草いきれ子牛身体で呼吸する   藤沢香椎

竜淵に潜む避難区域の町   髙橋ひより

予選リーグの季語
七月 日傘 蚊 草いきれ
決勝リーグの季語
竜淵に潜む 良夜 秋刀魚 十

七月や社会を知らぬ選挙箱   新谷桜子
新聞に「侵攻」の文字蚊を打てり   村上綾
夜の蚊の蛇口の下におぼれたり   佐藤光太楼
七月の勇者のHPわずか   佐藤光太楼
更衣(ころもが)へ「善人」の皮着続ける   佐藤光太楼

火ぶくれの地球のただ中に日傘   馬場叶羽(かなう)
祖父の眼は透明な森シクラメン   馬場叶羽
胎内の呼吸へ還る草いきれ   馬場叶羽

猫のいる碑までの距離や夏落葉
切り岸へ波を暑さを一人旅
曇天の海の透明半夏生
対岸に風の抜け殻春浅し
しまなみの雨を孕(はら)んで沙羅(さら)の花
潮の香の密度浜木綿(はまゆう)咲き始む
春分や化石の多い海と聞く

むきだしの七月の腕海を編む   馬場叶羽

龍に潜む眼鏡に小さき螺子   南幸佑
くちびるに雲呑触れて竜淵に   高井彩香
草いきれプロテクターに誰かの血   H君
七月や兄にピアスの増えてをり   村上綾
七月や雲なき空が鳥鍛へ
朝の駅ゼラチン質の七月です

産毛より逞しき蚊の足である
熟を出て良夜の中の母に寄る
露草に十年先の来てをりぬ
絵日傘の人のきれいな鼻濁音
地下鉄が良夜へ顔をだすところ
いつときは日傘を畳む墓の前
秋刀魚焼く地球があって僕がいて   H君

昼の蚊や花瓶の水を入れ替へて   尾崎貫太
四十雀息を継ぐ間のわずかなる   蒋騰

俳句って自分を曝け出すものなのでは…❓
番組の中で見た女子高校生は声を裏返し
自分を作りに作っていました。
うんざりしました。
難し気に言葉を並べる前に堂々と
自分を出して欲しいと思いました。
社会を斜めに見たり他人を批判する前に
まず自分と向き合って欲しく思いました。

2022年10月5日水曜日

プレミアムカフェ 正岡子規と与謝野晶子

螻蛄(けら)鳴くや保守とリベラル時として
葉鶏頭遭う強風や泥被り
電線にしがみつく鳥台風禍
台風禍居場所求めて羽広ぐ
一時間早く目覚めん台風裡(り)

プレミアムカフェ 子規(2009年)
卯(う)の花の散るまで鳴くか子規(ほととぎす)   正岡子規
卯の花とは常規(つねのり) 子規とは結核 

帰ろふと泣かずに笑へ時鳥(ほととぎす)   
漱石が初めて作った俳句

鐘つけば銀杏ちるなり建長寺   夏目漱石
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺   正岡子規

長き夜や初夜(そや)の鐘撞く東大寺   正岡子規

風呂敷をほどけば柿のころげけり   正岡子規
柿くふも今年ばかりと思ひけり   正岡子規

子規の短歌
足たたば不尽(ふじ)の高嶺のいただきをいかづちなして踏み鳴らさましを
足立たば黄河の水をから渉(わた)り崋山の蓮の花剪(き)らましを
足たたば北インヂヤのヒマラヤのエヴェレストなる雪くはましを

牡丹画いて絵の具は皿に残りけり
山吹も菜の花も咲く小庭哉   
紫の布団に座る春日(はるび)かな

吾輩は猫である 夏目漱石 より
僕の俳句における造詣と言ったら
故子規子(こしきし)も舌を巻いて驚いた位のものさ
かつて子規に俳句を学んだことを誇りにしていた。

プレミアムカフェ 与謝野晶子(2002年)
血汐みななさけに燃ゆるわかき子に狂ひ死ねよとたまふ御(み)歌か

道を云はず
後をおもはず名を問はず
ここに恋ひ恋ふきみと我れと見る

やは肌の
あつき血汐にふれも見で
さびしからずや道を説く君

乳ぶさおさへ
神秘のとばりそとけりぬ
ここなる花の紅ぞ濃き

ゆるしたまへ二人を恋ふと
君泣くや
聖母にあらぬおのれのまへに

平塚らいてう
出産育児は女性にとって
大切な仕事であり
権利として国家の保護を
要求する

晶子
まず女性自身が経済的に
自立することが先決で、
出産育児を国家に頼るべきではない

君が恋やがておのれの血となりて
再生の日を早くせしかな

番組の最後には
文化学院の設立について 与謝野晶子

将来私たちの文化学院から
如何なる女子を出すであろうかといえば、
中学部を卒業してそれで止めるにせよ、
進んで大学部を卒業するにせよ、個人として、何かきっと、
一つの創造的な長所を持っていて、功利的な打算を超えた、
高い、清い、正しい境地において、
自分みずからそれを楽むことが出来ます。
その愛は芸術家的の愛です。人をも自然をも、
自分の内に取入れて、我と一体として愛することが出来ます。
これが真の人間性に目覚めざめた人間というものです。
それらの人間から、天分に由って、
専門の文学者、画家、音楽家となる女子も出るでしょう。
また専門の科学者となる女子も出るでしょう。
また職業婦人として経済的に独立する女子、
家庭に入って愛と聡明とに富んだ新時代の
妻となり母となる女子も出るでしょう。
また学界に、政界に、社会改造運動に、
男子と並んで活動する女子も出るでしょう。
また社会の視聴を一身に集めることなく、勤労に堪え、
隣人のために計り、自然を楽んで
穏健な一生を送るような女子も出るでしょう。
一つの個性に一つの新しい文化的な生活が
順当に開展されて行くこと、これが私たちの希望です。
これ以上に狭く考えて、
人間性の自由なる発動を予定したく思いません。

上記の朗読がありました。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000885/files/3645_6548.html より

2022年10月4日火曜日

題「励ます」

秋霖や競争させてさせられて
競争は何も生まない秋黴雨(ついり) 
潰すべき会社は潰せ秋の声
競争はエネルギーと能力の無駄(無季句)
自分を超えて広がる余白秋高し

NHK短歌 題「励ます」
選者 栗木京子 レギュラー 元髙克樹 矢花黎 司会 小沢一敬

冒頭の短歌
弱音吐く人を励ますことできずただうなづきて駅にて別る
栗木京子

Lesson1
歌の展開を意識する
下の句や結句で心情を表したり種明かしをしたり
飛躍させることで歌が単調にならず広がる
下の句・結句が重要となる


メスを置けば励ますことが救急の医師の仕事の八割である
犬養楓

Lesson2
視聴者のエピソードを短歌に
心臓のえぐみを拭うベース音私のために奏でて矢花
元髙克樹
「ゲンゲン」と叫ぶベースに鼓舞された帰り道では鈴虫が歌う
矢花黎 添削
「ゲンゲン」と叫ぶベースに鼓舞された帰り道には鈴虫の声
全身を貫くようなベース音言葉じゃないから励まされている
小沢一敬 添削 結句が字余りなので「い」を省く
全身を貫くようなベース音言葉じゃないから励まされてる

■入選歌紹介 テーマ 励ます
アメ玉と共に置かれたメモ書きのパンダが笑う私も笑う
山田麻記子
後輩が先に昇進した妻をいつもの味噌汁煮立たせて待つ
岩間健太
励ましてくれるのもまた山だつた数多星降る涸沢カール
三玉一郎
「さあみんなしまっていこう」キャプテンの声うら返り円陣ゆるむ
あまりりす
留年が決まったぼくにすり寄って励ますようにふれる肉球
嶋村純
💮キッチンに1mmの蜘蛛ひかりつつぶら下がりをり「生きよ」と思ふ
石川泰平

Lesson3
出演者のエピソードを短歌に
手紙など書いて渡したことはない「リラックス」とただメモしただけ
小沢一敬 添削
手紙など息子に渡したことはない「リラックス」とただメモしただけ
一通の父の不慣れな「頑張れ」を糧に解答用紙を捲(めく)る
矢花黎 添削
父からの初メッセージ「頑張れ」を糧に解答用紙を捲(めく)る
父からの励ます手紙机上からゆっくり落ちるある日の受験も
元髙克樹

■短歌対決
鍵盤で震える小指に親指が「オクターブまであともう少し」
元髙克樹 添削
鍵盤で震える小指に親指が「オクターブまでひと息」と言う
靴音を泣きのギターでかき消せば明日の事も考えられる
矢花黎
「頑張れ」や「あきらめないで」のタイムラインあの人の打った「あきらめさせない」
小沢一敬

■復習侍
小沢一敬さんの短歌は
共感性が高いからおのずと一つの絵が浮かぶ
今回の学び
共感性と大胆な歌の構成

元髙克樹君と矢花黎君の上達が凄い!
超一流の先生について学べるって羨ましいです。

2022年10月3日月曜日

兼題「案山子」

悪いこと間違ったこと秋の雲
海陽町里芋の花二輪咲く
秋夕焼貧困が生む猜疑心
貧しさは忍耐さえも秋の雲
秋の日や単純職は時の無駄

NHK俳句 兼題「案山子」テーマ「俳句と映像」
選者 高柳克弘 ゲスト 松坂慶子 司会 武井壮

■お題の動画で一句詠む
土曜ドラマ「一柳桐子の犯罪日記」より
遺されてあの日の象と秋惜しむ   武井壮
遺されて象は渡れぬ秋の虹   高柳克弘

■入選九句 兼題「案山子」
住民は一人と聞くが案山子多々   中村笙平
案山子翁(おう)ぽきぽき抜かれ摘まれをり   松井ゆう子
奥能登や案山子一家のおんぶっ子   佃久美子
💮地味豊饒(ちみほうじょう)小柄の案山子隠したり   手塚奈津子
顔の無き案山子うつすらわらひけり   久保田聡(あきら)
父ちゃんが還ってきたよ遠(とお)案山子   岩本健一郎
原宿を歩いてさうな案山子かな   阿部八富利(やふり)
案山子立つ漁網に浮子にポリタンク   中村真歩
Uターンなぜとは訊かぬ案山子かな   井野口彰子

■松坂慶子さん 俳句発表
瀬戸内の案山子でむかえこんにちは   松坂慶子

聖地にて元気チャージよ歩き出そう   松坂慶子
添削 滑り台降りて夏空わが聖地

風そよぐロケ終盤の蝉時雨   松坂慶子

来週のゲストは戸田菜穂さん

2022年10月2日日曜日

名言と「馬肥ゆ」

偶然に必要と会う秋の夜
秋懐や苦悩が吐しゃ物のごとく
空澄むや陰翳礼讃星ひとつ
湯に浸かる台風過ぎて虫の声
鳴く虫や湯船の温度2度あげん

■名言

坂口安吾 曰く
「悲しみ、苦しみは人生の花だ。」

村井理子 曰く
「どんな逆境でもねじ曲げて、
 自分にとってプラスにしていけばいい。」

イチロー 曰く
「憧れを持ちすぎて、
 自分の可能性を潰してしまう人は
 たくさんいます。
 自分の持っている能力を活かすことができれば、
 可能性は広がると思います。」

■一分季語ウンチク「馬肥ゆ」

「天高く馬肥ゆる秋」
なんていうフレーズもあったりします。
この「馬肥ゆ」という一かたまりで季語になるわけです。
何で「馬肥ゆ」が秋の季語になってくるかというと
うまは元々比較的寒冷な地域に向いた動物だということで
その馬たちがここから来るべき冬に備えて
皮下脂肪を蓄えていく時期。
それがこの「馬肥ゆ」秋の時期なのだそうです。
皮下脂肪を蓄えていった馬たちは毛並みに艶が増して
美しくなるということなんだそうです。
なんとなく現代人の感覚でいうと
「肥ゆ」というと少しマイナスのイメージになる
言葉かもしれませんが馬が肥えていく
艶やかな美しさというと何とも肥ゆる事も
悪くないなぁという気分になってきますね。

2022年10月1日土曜日

レクイエム 三遊亭円楽師匠

円楽師匠へ
もう一句最後の一句星月夜
(三遊亭)圓生を継いだ姿や夕月夜
襲名という夢持ちて秋に逝く

三遊亭円楽師匠のプレバトでの俳句

み仏の指やわらかく春の風
紫陽花の毬一つ切り軒の下
町会長犬を預かる盆踊り
漣の海を鏡や鰯雲
マスクして目は微笑みの二人づれ
チーママの裾はしょりたる梅雨の夜
夕凪の帆に寝葉巻の老漁師
塩鮭の喋るが如き売り子かな
銭湯で花見の日取り決まりけり
前カゴでチワワ吠え背なで子の泣く暑さかな
老いてなほ色変えぬ松芸の道
段雷に靴紐きつく秋の朝
結露拭くコタツ列車の窓の笑み
これ頂戴鰆の値札舐める猫
秋天に産廃の冷蔵庫口を開け
明くる朝接木に孫の絆創膏
氷壁崩落白玉を掘り出す
サングラス外して探すカードかな
弁慶が時計している村芝居
山里や三橋美智也の春の歌
夕立や尻っぱしょりを犬が追う
白シャツを干すハンガーの骨も痩せ
病院の脂の抜けた蒸し秋刀魚

円楽師匠の俳句が大好きでした。
一番好きな句は「老いてなほ色変えぬ松芸の道」
ここまで生きて欲しかった…。合掌…。

【篠原解説】円楽さん涙の復帰・・・目指す「永久欠番」 落語界統一への思いも(2022年9月8日)
https://www.youtube.com/watch?v=6HiutpQLF4Q