2022年8月28日日曜日

究極の短歌・俳句100選ベストセレクション 恋

花芙蓉過疎のバス停見え隠れ
秋の夕焼また使い捨てられん
秋の陽や今日は烏も山籠もり
吉野川咲いた花火の音遠く
ベッドから満天の星時流る

究極の短歌・俳句100選ベストセレクション(3)
第3回 恋

■恋短歌
恋の和歌 
思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢としりせばさめざらましを
小野小町・平安
月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
在原業平・平安
玉の緒よ絶えねば絶えぬながらへば忍ぶることの弱りもぞする
式子内親王・鎌倉

青春の恋
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)
栗木京子・昭和戦後
あの夏の数かぎりなくそしてまたたつた一つの表情をせよ
小野茂樹・昭和戦後
たちまちに君の姿を霧とざし或る楽章をわれを思ひき
近藤芳美・昭和戦前
君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ
北原白秋・明治
手を出せばとりこになるぞさらば手を、近江大津のはるのあはゆき
岡井隆・昭和戦後

恋の終着点
馬を洗はば馬のたましひ冱(さ)ゆるまで人恋(こ)はば人あやむるこころ
塚本邦雄・昭和戦後
寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさようなら
俵万智・昭和戦後

今日の推し短歌
桜花ちりぬる風のなごりには水なき空に浪ぞたちける
紀貫之・平安
ながめつつ思ふも寂しひさかたの月の都の明け方の空
藤原家隆・鎌倉
大空の斬首ののちの静もりか没ちし日輪がのこすむらさき
春日井建・昭和戦後

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