ラクウショウ沼地に気根(きこん)春を生く
花冷えや感染症はエンドレス
惜春忌指折る人の多かりし
瞠目し耳欹てて惜春忌
また一歩春の陽射しを背に受けて
■小説「胡蝶の夢」あとがきより抜粋
「胡蝶の夢」を書くについての作者のおもわくのひとつは、
江戸身分社会というものを一個のいきものとして
作者自身が肉眼で見たいということであった。
それを崩すのは、蘭学であった。
蘭学、医学、工学、兵学、航海学といった技術書の叙述に
本質的に融けこんでいるオランダの市民社会のにおいから、
それを学ぶものはまぬがれることができない。
さらに見方をかえれば社会という巨大な容易に
動きようもない無名の生命体の上にとまった
かすかな胡蝶にかれらは過ぎないのではないかと
思えてきたりもする。
ともかくも、私はただひたすらに人と人のゆく
景色を見たいという衝動だけでこの一個の風景を描き続けた。
この風景から何を感じるかは、
作者自身、書き了(お)えてからの作業である。
司馬遼太郎
■ベートーヴェン 曰く
「憎しみは、抱く者の上に返ってくる。」
■スティーヴン・スピルバーグ 曰く
「僕たちは皆、毎年毎年違う人間なんだ。
一生を通じて同じ人間なんてことはない。」
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