2025年9月8日月曜日

兼題「案山子(かかし)」&テーマ「音」

つるぎ町「折目邸遊懐(おりめていゆかい)」を詠む

秋澄むや本瓦葺きずっしりと

秋高し交互に置いた平・丸瓦

秋の風春慶(しゅんけい)塗りの箪笥かな

掛軸に書かれた阿吽秋の宿

秋の空阿吽を載せて悠々と

 

NHK俳句 兼題「案山子(かかし)

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間テーマ「俳句のコリをほぐします」

 

今週のテーマは「音」

良い俳句は音も工夫されてることが多い

俳句のリズムとラップには共通点がある

 

押韻(印象的に音を繰り返す技法)

頭韻(頭の音を2つ以上同じ音で合わせる)

   見えてゐる水の音を聴く実梅かな   田中裕明

実梅:夏の季語 1つの情景の取り合わせ 切字 「み」が多い

脚韻(五・七・五の末尾の三箇所で脚韻を踏んでいる)

   目の中に芒原あり森賀まり   田中裕明

森賀まりは奥さまのご芳名 ア(a)とイ(i)の音が重なっている

nakani raari gamari  

孑孑(ぼうふら)に生まれ棒振るほかはなし   名村早智子

その他

   ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに   森澄雄

u ku yururu yu u no 

普通じゃない数 音が繰り返されるのも印象的

音通

   古池や蛙飛びこむ水の音   芭蕉

 (「む(mu)」と「み(mi)」は子音「や(ya)」「か(ka)」母音が同じ)

ワードペインティング

(音楽用語 音楽で歌詞の意味や情景を音の動きやリズムで表現する技法)

   蛇穴を出て靴の音風の音   稲畑汀子

蛇穴を出づ:春の季語 初めて蛇が外の音に気づく

 Kの音が連続で強く感じる 蛇が気づいたことが音でわかる

 内容を音で表現する 内容と音やリズムを合わせる

 

ツボポイント 

効果的な音を選び、句を響かせる 

句の内容も響いてくる 覚えやすくなる

 

実践

A ゆさ〱と大技ゆるゝ桜かな   村上鬼城

B みづうみのみなとのなつのみじかけり   田中裕明

C 残雪を引き出でたる熊笹(くまざさ)   小澤實

 

まとめ

声に出して句を読み 最適な音を考えよう

 

・今週の兼題「案山子(かかし)(秋の季語)

特選六句発表

「かかしだ」「そうだね。もうすぐ着くからね」   濱野ジョニー

見つめ合ふ案山子と案山子そんな恋   加藤西葱(せいそう)

ママ、ウチのおさがり案山子に着せないで   水蜜桃

ふるさとの駅より案山子数へつつ   中田かおり

 余震千回六十五度を立つ案山子   はぐれ杤餅(とちもち)

笑顔の案山子よほっといてくれないか   笑姫天臼(えひめてんうす)

 

・柴田の歩み

田中裕明さんはラッパー

庄司の歩み

韻をいっぱいいれちゃうよ YEAH

 

NHK短歌 テーマ「音」

選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河&横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ:「三十一音で扉が開く」

 

・三十一音の扉

今回のテーマ「五感を取り入れよう」

薄荷飴ふくみておればすうすうとしだいに喉(のみど)おおきくなれり

江戸雪「カーディガン」

飴をなめた時の感覚をリアルに捉えている

読み手側も自分の体験としてよみがえらせて共感することができる歌になる

 

わが胸に残りていたる幼稚園ながれいでたりろうそくの香に

内山晶太「窓、その他」

この歌の香りはクレヨン 匂いや香りは記憶と結びつく

想像がふくらむような歌が嗅覚(きゅうかく)の歌には多い

 

ふた月を離れゐてけふわが手首を諦()めたる銀の時計つめたし

横山未来子「とく来りませ」

修理に出していた時計を戻った時の歌 季節の変わり目を詠んだ

触角を取り入れると読み手も自分の経験に照らし合わせて場面を

共有できるのでとても臨場感がある歌になる

感情にはばらつきがあるが五感は比較的同じ感覚を持ちやすい

 

・入選六首 テーマ「音」

池の端()にひとり目を閉じ佇めば水面に触れる落葉(らくよう)の音

柳六三四(むさし)

がりがりと爪研ぐ音が聞こえきて十八歳の猫よおはよう

伊東澄子

音まねを交えて祖母は語りけり焼夷弾この町に降りし夜

富見井高志

湧きましたメロディーはいつも明るくてお風呂で泣いてるわたしを知らない

小松百合華

信号が郭公(かっこう)の声奏でれば盲導犬は渡りだしたり

河合正秀

一席 両の手で大きく開けるカーテンのまっさらな日のはじまりの音

荒木文子

 

・菊池銀河&横田真子 歌人への道

音をテーマに歌を詠む!

アラームの鳴く寸前に目を覚ましトントントンと朝ごはんの音

菊池銀河 添削⇩

アラームの鳴く寸前に目覚めればトントントンと朝ごはんの音

 

真夜中に小さく鳴らしたギター音月だけが知るメロディーがある

横田真子 添削⇩

真夜中に小さくギター鳴らすとき月だけが知るメロディーがある

 

眼を閉ぢてわが聞きをれば波の音風の音天体自転の音も

小見山輝「春傷歌」

身近な音から聞こえない音まで想像力を飛ばして

歌うこともできて壮大な歌にすることもできる

 

歌人へのポイント

五感にアンテナをはって歌を作ってみよう

 

・ことばのバトン

まあるいコロッケ今日は満月

東京学館新潟高校

快速の流れる景色街灯り

岩手県立盛岡第三高校・文芸部

本間史子・田中陽菜・窪田明

題「本」

肺のふちだけ焼けていく本番のラバーの音は乾いたままで

窪田明 見事個人賞を受賞

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