2025年9月22日月曜日

兼題「月・名月」&テーマ「ちいさいもの」

天高し知識やスキル身にまとい

秋晴る学び深めてときめかん

わくわくが止められなくて秋日和

学びとは期待興奮秋陽射し

想像力と好奇心充つ案山子(かかし)

 

NHK俳句 兼題「月・名月」

選者:和田華凜 ゲスト:縣(あがた)秀彦 司会:柴田英嗣

年間テーマ「季語からみるDNA」

 

中秋の名月は旧暦815日の月 その頃の月が最も美しい

月見は東の空から月が登ってくるのを見る習慣

ちょうどいい時間にあがってくる この時期は

丸いお盆のような月が上がってくると目立つ

これが月って素敵だなと思う理由

 

三球儀 月は地球の周りを回っている 一ヶ月で一回転

ひと月というのは月が満ち欠けする秋気が語源

太陽の方に月がやってきた時は

昼間に月があることになる 月が見えない

これが「新月」月が見えない晩 

太陽の方向に月が地球上からかすかに見える

太陽の反対の方向に行っちゃう 太陽の光が全部あたってる

昼間の方向しか見えない 地球からは これが「満月」

 

地球 ちょっと傾いてる 真上の方向から23.4度の傾きがある

月の仕業じゃないかなと研究者は思っている

地球は太陽と一緒に46億年ほど前にできたらしい

その時は地球の近くにも半分ぐらいのサイズの天体が残っていて

それがぶつかった 「ジャイアントインパクト」と言う

巨大衝突です バラバラになったものがお互い引っぱり合う

宇宙では「重力」という「引力」という言葉でもどちらでもいい

「引力「重力」によって集まったのが月 衝突の前は上を向いていた

23.4度の傾きを持っていることが 四季の変化 

春夏秋冬の変化を生んでいるのは地球の傾きのせい 縣(あがた)

 

俳句の季語は四季と深く関わりがあるので 地軸の23.4度の傾きが

とても重要なんだなと知りました 和田

 

お月見文化は日本独特❓

平安時代に中国から「中秋節」が入ってきて

今のお月見文化が始まった

中国では「月餅」を月に見立てて必ず食べる

家族円満の象徴だったり幸せの象徴

日本はお団子 月見団子は江戸時代に定着した文化

米の収穫の時期と重なるので収穫への感謝を込めて

団子を月に見立てて月にお供えする

お月見の文化はアジア全体 アジアの多くの国がお月見する

実は日本だけ特別 日本だけ2回もお月見する

「中秋の名月」のあと 月の満ち欠けがもう一回満月になる直前

「十三夜」「後(のち)の月」とも言います

十五夜はほぼ真ん丸 それより2日前というと

満月になる前ですから少し欠けている

完璧な丸い月よりちょっと欠けているのが

たいへん愛らしいと思って愛されている

日本人の美意識みたいなものでしょうか

 

無月 雨月 十六夜 立待月 居待月 更待月 真夜中の月 後の月

 

「無月」とは「中秋の名月」の夜 雲に覆われて名月が見えない時の事

見えないものを心で想像しながら俳句に詠むそれもまた風流だなという季語

「十六夜」月の出が少し遅れる 

ちょっとためらっている 月からするとためらう

見ている方からするとちょっとじらされている感じ

待たされると人って恋焦がれる そう言う気持ちを込めて詠むといい季語

月の形が毎晩違うのをそれぞれ名前がついている

 

・名句鑑賞

名月をとつてくれろと泣く子かな   一茶

しみじみとした感情を「かな」で表している

 

俳諧は三尺(せき)の童にさせよ   芭蕉「三冊子」より

「三尺の童」というのは78歳の子ども

俳句はやればやるほど難しい言葉を使って詠んでしまう

童心にかえって詠むのが大切

 

・特選句発表 兼題「月・名月」

つり革へ月入れて観る終電車   吉野敬子

海に入る大河の鼓動月今宵(こよい)   大和田弘道

満月やまた丘を成す砂時計   三浦海栗(うみ)

大き月ティラノサウルスうまれさう   山本由佳

泣くことも呼吸のひとつ月出づる   真砂光子

キャンパスやY(わいいこーる)と名月と   椋本望生(ぼうせい)

 

・特選三席

一席 月光の揃ふ御陣乗(ごじんじょ)太鼓かな   中島紺

二席 やはらかき月の匂ひの猫拾ふ   佐藤ゆま

三席 月を待つ京にあまたの鏡池   長谷部信彦

 

・天文学者 縣英彦の一句

月夜には想い出ばかり浮かんでる   縣英彦

「皆既月食」という現象がありまして

満月が地球の影に隠れて でも地球の大気をとおって

赤い光だけ届くので ほのかに薄く赤く赤銅色という

中学時代の友人に「月食あるよ」とメッセージを送った

そうしたら「さっき母が息ひきとった」と中学の頃から

お世話になったお母さんだったので その時月を見て

当時の思い出ばかりが浮かびました 縣

「想い」という字は深い思いとか愛情を表す漢字なので

この「想い出」にしたことで深い関係を表していると思いました 和田

添削 月夜には浮ぶ想ひ出ばかりかな

この「かな」という切れ字はしみじみとした感情を表す

俳句らしいリズムも出ました

 

・はみだせ!教室俳句

静岡県富士宮市立黒田小学校

特別支援学級 奈良部芙由子先生

薫風やまどから転がる笑い声 

 

・柴田の気づき

月のアダ名は30

 

NHK短歌 テーマ「ちいさいもの」

選者:永田紅 ゲスト:板倉龍 司会:尾崎世界観

年間テーマ「“理科のことば”で羽ばたく」

 

小さいものや大きいものは相対的で主観的

短歌を作るときはディテールを詠むことが大事

一方でどこまでも正確に描写すれば良いわけではない

 

「ちいさいもの」が詠み込まれた歌

眠素(みんそ)って眠りの粒のようなもの私から出てあなたへ届く

永田紅

 

・入選九首 テーマ「ちいさいもの」

プランクトンとは総称で雑踏に自分を見失う夕まぐれ

秋野茜

 書き込まれた黒い言葉は砕いても消えないマイクロプラスチックだ

大岩真理

イニシャルを元素記号に置き換えて君をネオンと呼んでいた夏

山口正剛(せいごう)

その薄さ15μm(マイクロメーター)鉋くず若手の挑む宮大工の技

大沼和子

板倉 ウイルスのような狡さも身につけて愛する人に侵入したい

中村聡

一席 見学の子らの歓声背に受けて三万倍にズームしてゆく

坂浦洋一

三席 傷口を一生懸命塞いでる血小板をちゃん付けで呼ぶ

つぼりん

板倉 >の左にいるより右にいる方が楽よ夕日がしずむ

松本淳一

二席 ミジンコは休眠卵で蘇るやっぱり出そう休職届け

椎名ろざな

 

❝理科のことば❞ピックアップ

あかねさす紫野(むらさきの)行きイモリより出るフェロモンはソデフリンという

仲原佳

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

額田王

紫草の生える野を行き、御領地を行きながら、野の番人が見やしないだろうか、

いや見るでしょう。あなた(大海人皇子)が私に袖を振って合図しているのを。

アカハライモリのオスが出すフェロモンを発見しソデフリンと名付けた

 

肉眼では見えない世界をどう伝えていく

ウイルスから見れば細胞は100倍くらい大きい

人は12メートル 100200メートルはビルやショッピングモール

見えないものを言葉を使って表すのはまさに短歌

見えないものを歌にすることで見えてくるようになる

一番ふさわしい表現を探して追求していく意味では科学と短歌は似ている

 

・私の理科のことば

自然の謎解きをする原理がこの小さい日常的な世界に無限にあるのだ

竹内均(科学雑誌Newton創刊者)

中学生の時に物理学者・寺田寅彦の随筆を読んだ

「茶わんの湯」小さな茶碗のお湯から立ち上がる湯気が

地球の上昇気流や雲の仕組みと同じ 日常のさまざまな

自然界の謎解きをする原理がある

 

謎解きにあふれた日常に目を向けるように

誰かの心に火をつけるような雑誌でありたい 板倉

 

物理学者が文学に関わることが結構ある 

物の見方がすごく多角的になる 

日常にあるものを いろんな感覚で捉え直すとおもしろい

短歌も馴染みのなかった言葉を取り入れると自分の感性になる

 

・ことばのバトン

最期の思い出母の元へと

坂野悠己(ゆうき)総合ケアセンター施設長

ひとしずく胸にこぼれて夏が去る

伊織もえ(コスプレイヤー グラビアアイドル)

 

ひとり占めさせてあげますとびきりの緑のワンピースのわたしを

木下龍也「あなたのための短歌集」ナナロク社 

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