2023年2月9日木曜日

100分de名著 100分deフェミニウズム③④

(冬を詠む)
時止まる冬の絶景神通滝
氷瀑の神通滝へ十五分
(神通滝)未舗装を六百メートル冬の山
まだ煌めきず朝日待つ草つらら
白き息マスクの中の水滴よ

■100分de名著 100分deフェミニズム③
「心的外傷と回復」ジュディス・L・ハーマン著 中井久夫訳

心的外傷=トラウマ
性暴力性虐待はフェミニズムというアリーナ(舞台)が見える化した
心的外傷研究 3つの流れがある
①ヒステリー
②戦闘神経症
③性暴力と家庭内暴力

ヒステリー⇦子宮=ヒュステロン
ヒステリーは神経症の一種である
ヒステリーとは心的外傷に起因する病的状態
性暴力や幼少期の性的虐待が源泉にある

ヒステリーの心的外傷説が
廃墟と化した中から、
フロイトは
精神分析を創始したのであった。
二十世紀の心理学理論の主流は
女性たちの現実を否認した、
その上に築かれたわけである。

イギリスの傷病兵の40%が精神崩壊を起こした。
「戦闘神経症」
外傷後ストレス障害=PTSD

女性と子どもの劣位と服従とは
私たちの文化に
深く根をおろしており、
女性と児童への暴力が
基本的人権の侵害であるという
認識はごく最近のことである。
殴打、ストーキング、
性的ハラスメント、
親戚知人による
レイプのような脅迫的支配は
いたるところに見られる
行動パターンであるが、
名前さえなく、
犯罪だという認識など
問題外であった。
犯罪とされるようにしたのは
フェミニズム運動である。

今なお女性の従属的地位は
男性のひそかな暴力によって
押しつけられ維持されている。
両性間で戦争が
行われているということである。
レイプ被害者、非殴打女性、
性的非虐待児は
戦死傷者である。
ヒステリーは
性の戦争における
戦闘神経症である。

心的外傷を長期的反復的に受けた人に着目
戦時捕虜 宗教カルトの生存者 家庭内暴力=うつ 解離 自殺傾向がある
複雑性PTSD

儀式の夜にわたしがすることも
それだった。
わたしは自分を鋼にした。
自分が存在していないふりをした。
肉体としては。
この意識の不在、
つまり肉体から
意識が離れて存在している
という状態
「侍女の物語」斎藤英治著

幼少期の性虐待に特徴的なこと
人との新しい結びつき
本人が主体となって回復する
医学的ケア食事睡眠など安全が確保された後
心的外傷のストーリーを語ってもらう
何を感じたかを話す

「語るように励まし
つづけてください。
語る姿を見るに忍びなくても、
です。
信じるまでには
ずいぶん時間がかかります。
私がそれについて
語れば語るほど、
それが間違いなく
起こったと思えるようになり
それを統合できるようになる。
絶えず‟大丈夫だよ“
といってもらうことは
非常に大切である。
独りぼっちの
どうしようもなくか弱かった
少女だったという感じから
遠ざけてもらうことなら
何でも大切である」。
近親姦生存者からの助言

共世界
自分以外の人々とともに
共世界commonalityを作ると、
それに伴って「common」
ということばを持つ
すべての意味がわかるようになる。
Commonということばは
一つの社会に帰属するということ、
一つの公的役割を持つということ、
普遍的なものの一部である
ということを意味している。(中略)
このことばはまた、
些細なことであった、
取るに足らないことであった、
自分の悩み苦しみは
「大海中の一雨滴」であった
という感じをも伴っている。
他の人々との共世界を
つくりえた共存者は
生みの苦しみを終えて
憩うことができる。
ここにその人の回復は完成し、
その人の前に
横たわるものはすべて、
ただその人の生活のみとなる。

性暴力はつながりを断つ
回復への道筋
治癒的関係
性的同意の難しさ
共同体からのサンクション(社会的制裁)がある

■100分de名著 100分deフェミニズム④
上野千鶴子(社会学者・東京大学名誉教授)
男同士の絆 イギリス文学とホモソーシャルな欲望
イヴ・K・セジウイック著 上原早苗 龜澤美由紀訳
ホモソーシャルとは男同士の社会的連帯
ホモソーシャルとホモセクシュアルを区別する用語を作った
家父長制 男同士の社会的連帯 ホモソーシャル
統率権が男性たる家父長に集中
ホモソーシャルな欲望とは
地位や権力 利益を持ち 男同士でつながろうとする 

「家父長制とは」
物質的基盤をもつ
男同士の関係であり、
階層的に組織されてはいても、
男性による女性支配を
可能にする相互依存および
連帯を樹立、
もしくは生み出す。(中略)
ホモフォビアと無縁の
家父長制など
想像できそうにもない。(中略)
それはまさしく…
女性を支配する
法と関係のシステムの
産物なのである。

レヴィ=ストロース
家父長制における
異性愛とは女性の交換
性的であることを抑圧した男同士の絆
ホモフォビア=同性愛嫌悪

性愛の三角形
ライバル間の強固な絆
人(男)が愛の対象(女)を選ぶ時

男性は、
自分たちの間に権力差が
存在する時でさえ、
憐み/軽蔑の対象となる
女性を媒介して、
権力を交換したり
互いの価値を
確認したりすることが
できるものである、と。(中略)
女性は、男同士の絆を
維持するための溶媒であり、
資本主義と金銭交換とともに
育まれた相対的な民主化を
促進するばかりか、
民主化の空白や欠陥を
うまく繕う働きもするのである。

実践に応用が効く

異性愛の男とは
ホモフォビア(同性愛嫌悪)を持っていて
ミソジニー(女性嫌悪・軽視)を通じて
ホモソーシャル(男同士の社会的連帯)を持つ集団に
成員資格を認められた男

女とは男同士の性的欲望を抑制した連帯のなかで
獲物(報酬)として与えられるもの

アルファオス 群れで一位のオス

名誉男性
男社会のなかで男性と同じ地位や立場を与えられた女性

家父長制 セクシュアリティは
歴史や社会背景の影響を受ける
18世紀後半
産業資本主義により家族形態に変化
貴族階級による性的に自由な傾向
生殖中心の性愛=異性愛を重視
ミソジニー(女性嫌悪・蔑視)やホモフォビア(同性愛嫌悪)が強まる
女の分配平等
組織に半身で関わる 正気の関わり方
ホモソーシャルな集団におけるアイデンティティーが
すべてではない

フェミニズムの未来
そんなもの知るか! 上野千鶴子女史の纏めの言葉

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