(冬を詠む)
正直で誠実な語句冬銀河
悲哀ひたらん笑いはじけて春近し
怒りは燃やし赦しは溶かす冬深し
熱燗と豆腐にアイゴ寒き夜
寄鍋や甘き大根やわやわに
■100分de名著 100分deフェミニズム①
肉体的表現としてのSEXの両方を
あわせもつ総体の<おんな>として、
女ととらえない意識である。
男にとって女とは、
母性のやさしさ=母が、
性欲処理機=便所か、という
二つのイメージに分かれる
存在としてある。
伊藤野枝集 森まゆみ編
乞食の名誉 より
女性は「多くの不覚な誤算」に囲まれている
そして全く他人の
中での生活に、
とし子は迫害され
艱難(かんなん)に取り撒かれた。
けれど、
すべては最初から
覚悟していたことであった。
彼女は本当は血が滲むほど
唇をかみしめても、
その艱難には耐えなければ
ならないと思った。(中略)
そして、この頃とし子は
自分の生活を省みるたびに、
そこに余りに多くの
不覚な違算を
発見しなければならなかった。
うかうかしてはいられない
という気が
しきりにするのであった。
友達のHもNもSも
それからYも、
皆んなが熱心に勉強している。
そして一番若い、
一番無知無能な自分が
何も出来ずに家の中で
ぐずぐずしているのだ、と思うと、
何とも言えない情けなさ
不甲斐なさを感ずるのであった。
何の煩いもなく
自由に勉強している人の上が
羨ましかった。
束縛の多い自分の生活が
呪わしかった。
といって、今更逃れることも
出来ないのを
どうすればいいか?
彼女は本当に、
それを考えると、たまらなかった。
自分の握っている
「ジャスティス」を
捨てる訳にはゆかない。
「貞操についての雑感」青踏 女性解放論集より
ああ、習俗打破!習俗打破!
それより他には
私たちのすくわれる途はない。
呪い封じ込まれたる
いたましい夫人の生活よ!
私たちは
いつまでもいつまでも
じっと耐えてはいられない。
階級的反感
私はあの細君達に
どうかして、悪い感じを
持たれたくないと思っている。
悪い感じどころではない、
どうかして懇意に
なりたく思っている。
けれどそれには私のすべてが、
あの細君達から
あんまり離れすぎている。
そしてそれがもう
黙っていてもそれ等の細君達に
決して気持ちの
いいものではない事を、
私は知りぬいている。
それだから、ちょっと井戸端を
通りかかっても、
水を汲みに行っても、
その注視に出遭うと、
私は急いで逃げ帰って来る。
この敵愾心の強い
この辺の女達の前に、
私は本当に
謙遜でありたいと思っている。
けれど、私は折々何だか、
堪らない屈辱と、
情けなさと腹立たしさを感ずる。
本当に憎らしくもなり、
軽蔑もしたくなる。
私の尾行巡査は
あなたの門の前に震える、
そしてあなたは
私に合うのを恐れる。
ちょっと皮肉ですね、ねえ、
私は今年二十四に
なったんですから
あなたの娘さん
くらいの年でしょう?
でもあなたよりは
私の方がずっと
強味をもっています。
そうして少なくとも
その強味は或る場合には
あなたの体内の血を
逆行さすくらいのことは
出来ますよ、
もっと手強いことだってー
あなたは一国の為政者でも
私よりは弱い。
何ものをも焼き尽し溶かし尽すセンチメンタリズム
本当の社会改革家の本質的精神であったのだ
■100分de名著 100分deフェミニズム②
「侍女の物語」マーガレット・アトウッド著 斎藤英治訳
「誓願」マーガレット・アトウッド著 鴻巣友季子訳
我々は女性から
いろいろなものを奪いましたが、
それ以上のものを
与えたんですよ、
と司令官は言った。
かつて彼女たちが
どんな悩みを抱えていたか
考えてごらんなさい。
シングル・バーや、
高校のブラインド・デートが
いかに屈辱的だったかを
覚えていませんか?
肉体の市場のようなものでした。
楽に男を手に入れられる娘と
なかなか男を
手に入れられない娘との
あいだに残酷な差別が
あったのです。
それを忘れましたか?
彼女たちの一部は絶望的になり、
絶食して痩せたり、
胸にシリコンを
いっぱい注入したり、
鼻を削り取ろうとしました。
その人間の惨めさを
考えてごらんなさい。
でも、わたしは悲しく、ひもじく、
惨めなこの物語を、
逸話が多く遅々として進まない
この物語を語りつづける。
結局のところ、
わたしはこの物語を
あなたに聞いてもらいたいから。(中略)
我話す、ゆえに汝在り。
ヴァンは私道で待っている。
両開きのドアが開いている。(中略)
これがわたしの最期なのか、
それとも新しい出発なのか、
わたしにはわからない。
わたしはすでに、
見知らぬ者たちの手に
自分の運命を預けた。
他にどうしようもないから。
そういうわけで、
わたしはステップを昇って
暗闇のなかに入っていく。
そうでなければ、光のなかへ。
娼婦=セックスワーカー
侍女=生殖労働者
ウクライナでは代理出産が合法化されている。
日本でも生殖保護医療法の改正が検討され
代理出産の条件付き容認案が浮上
生殖ワーカー=代理母の是非
分断は一番楽な統治方法
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