2023年2月28日火曜日

題「火」

春の雲三本松を照らす月
黄昏て寺を目指さん遍路傘
凛とした静寂まとい遍路杖
雪囲とるほのかに聞こゆ土の香(こう)
春空を河鵜軍団旋回中

■NHK短歌 題「火」
選者 佐佐木定綱 ゲスト きじまりゅうた 司会 星野真里
レギュラー 本髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ

▪冒頭の短歌
梅の火を抱えた女が乗り込んで四角い春となる路線バス
佐佐木定綱

短歌と料理は似ている。
できなくても生きていけるけどできると幸せの種が増える。

▪入選九首 題「火」
別にしか言わない子供を座らせて生木に火を点けようとしている
前川泰信
きじま 線香もあたりめも同じライターの火でゆらゆらと炙(あぶ)る夜のこと
アカマツヒトコト
星野 鍋底をはみ出る強火火加減のわからないまま続く子育て
小林礼歩
九十の舅(ちち)がドラム缶で燃やしてた日記と手紙半日かけて
岡本和子
カン 💮 山盛りのポテトは崩れ女らの焚火の跡を残すファミレス
北谷雪
尖底(せんてい)の縄文土器に煤(すす)見えて夕餉(ゆうげ)の支度に談笑聞こゆ
高橋富久美
ぬばたまの夜が孤独を飼わぬよう真っ赤な金魚の火をともす部屋
雨雨雨汰(あまさめうた)
玄関を出てセッターに火をつけて祖父は夜空を見る日が増えた
ナカムラロボ(セッターとはセブンスターのこと)
やわらかな薪の火を見て語り合う時間はゆっくり膝をかかえる
嶋洋子

▪佐佐木先生の短歌というドラマ
歌に秘められたドラマをひも解き深く味わう
ああ皐月(さつき)仏蘭西(フランス)の野は火の色す君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟
与謝野晶子「夏より秋へ」

与謝野晶子のイメージ
肉体的 立体的な恋愛 すべてを歌っている

雛罌粟とはひなげしのフランス語読み
ひなげしではなく「雛罌粟」と詠んだ所に歌の面白さがある
ひなげしではなく「雛罌粟」だと硬質な音 軽やかになる
意識的に漢字を使っている
字面と音のイメージで読む人のスピードをコントロールしている
夫・鉄幹が仏に渡った、半年後晶子も仏へ
ずっと会いたかった夫に会う
子どもが7人いる
自分の世界に相手を入れてしまっている 巻き込んでいる

今回の歌を深く味わうためのポイント
言葉の「見た目」や「音の響き」にも注意することで
詠み手の心情をより深く想像できる

▪宿題
昼ながく祖母の煮しめに思いを馳すとろ火のゆらぎが急くなと制す
きじまりゅうた
「馳す」「制す」⇨「す」で韻
「急く」「制す」⇨「せ」で韻
「とろ火のゆらぎ」がとんでもなく巧い

▪短歌侍武者修行!
今回の課題 スポーツを詠む
台の端大きく跳ねたワンスター「負けるものか」と右手を伸ばす
矢花黎

カンさんの空振りをした白球をコンマ1秒バックハンドで
元髙克樹

2023年2月27日月曜日

兼題「春の兆し」

あざと可愛い仕草しきりと余寒かな
AR駆使する応挙春の浪
虚と実の一体化春の借景
春の灯やゆらゆら動く孔雀かな
風光る十年先の見える人

■NHK俳句 兼題「春の兆し」
選者 堀本裕樹 ゲスト 石原良純 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
犬ふぐり星のまたたく如くなり   高浜虚子

石原良純氏の好きな季語 霾(つちふる)
平安時代、都が東京にあったならこの言葉はなかった。
西日本に都があったからこの言葉ができた。
東京には霾はあまりない。

▪あなたのエピソード、俳句にします テーマ「春の兆し」
バイク駆(か)り野焼きの丘に香る風   はるおのぱぱ
添削(体感を伝える 躍動感 疾走感)
バイク駆り風に野焼きの香りけり

薄氷(うすらい)を透かして見ゆる小宇宙   野茨
添削(感じたことをそのまま 小宇宙は使われ尽くしている)
薄氷(うすらい)を透かして卵らしきもの

▪入選六句 テーマ「春の兆し」
一日(ひとひ)ごと春めく母の独り言   今西富幸
(季語 春めく)
村人の盆梅(ぼんばい)飾る診療所   小寺佳光
(季語 盆梅 梅の傍題)
いぬふぐり今日を限りの定期券   寺内紀代
(季語 いぬふぐり)
山笑うお別れ会の皆が泣く   久保田洋二
(季語 山笑う)
薄氷のもうぢき水になる震へ   風花まゆみ
(季語 薄氷)
💮早春の出窓のならぬオルゴール   花瀬玲
(季語 早春)

▪ゲストのエピソード、俳句にします テーマ「春の兆し」
朝の道手袋ぬいでも痛くない   石原良純

あたたかや手袋を脱ぐ朝の道   堀本祐樹
(あたたかは春の季語⇦主季語 手袋は冬の季語)

2023年2月26日日曜日

夏井いつきのよみ旅❣in鳥取(後編)&白魚飯&春淡し

答えなき問いと向き合う春の霜
春の雲なんでやねんとええやんか
朧夜や人の仕事の終わりあり
愛包むバーンスタイン春の星
春の月祭りを神がやるでなし

■夏井いつきのよみ旅!in鳥取(後編)
テーマ ハッピーニュース・バッドニュース

起き抜けのポストの下や夜兎(やと)の跡   山本焼子

盂蘭盆(うらぼん)四千人の傘の華   陸谷ヒロ子
(盂蘭盆は秋の季語)(鳥取しゃんしゃん祭 鳥取最大級の祭り)
添削 「に」を「や」か「の」にすれば良かった。勿体ない。
(傘踊り 2014年同時に1688人が踊りギネス認定)

瞬刻(しゅんこく)の砂丘写す手は悴(かじか)み   小椋宣洋

未来が見えてしまった瞬間がもっと怖い   ROLAND

冬の星相撲で掴むぞ大金星   鳴海旭十

ぶつかりで転んで起きて雪だるま   松田天

冬たのもし突き出す五杯目の丼   夏井いつき

漁火の先の祖国や宵涼み   チェブラコワ・イリーナ

一周忌ふるーと響く冬の虹   アゾースキー
(大好物のとうふちくわを広めるため2006年から演奏)

■一分季語ウンチク 白魚飯(しらうおめし)
「白魚」が春の季語になるのですが
歳時記 特に大きい歳時記を見ると
別の項目として「白魚飯」が
単独で項目がたっています。
本家となる「白魚」の方を見ると
「白魚」という魚 「白魚」を捕まえる「白魚漁」などが
季語として傍題として載っています。
その獲った「白魚」の食べ方まで
わざわざ季語にたっているところに
人々の食への愛着というものでしょうか
それを季語として扱おうという食欲の業が見えてきます。
「白魚飯」と言うのは炊きあがった味付けご飯に
生の「白魚」を乗せた料理だそうです。
段々ご飯の熱によってゆっくり蒸れて
その「白魚」がちょっと白く濁り始めてきます。
旨そうですね。

え~っ!これだけはご勘弁。絶対に食べたくありません。

■一分季語ウンチク 春淡し
「春淡し」という季語のニュアンス
難しいな、面白いな、と
歳時記をめくりながら見ていました。
「春淡し」というのはあくまで傍題になっていまして
メインとして据えられている季語は
「早春」となっています。
何故この「早春」のことを「春淡」と言うのか
あくまで感覚的なことになりますが
徐々に春らしい兆しというのでしょうか
いろんな草が萌え出てきたり少し大気の中に
光の分量が増えてきたりとそういった感覚を
「淡し」と言っているのかなと推測いたします。
かなり似た季語として「春浅し」という言い方もあります。
これはまた別の項目としてたっています。
「春浅し」の方がまだちょっと寒さの実感が
残っているというそんな使い分けになってくるでしょうか。

2023年2月25日土曜日

兼題「富士山」

春北斗没入俯瞰繰り返し
愛おしく生きてきた日々朧月
薄絹をまとった如く春を生く
まだら雪光包みてきらきらと
仙桃や全て気泡に覆われて(板谷波山 無季句)

■プレバト纏め 2023年2月23日
兼題「富士山」

▪永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
沸点の富士に近づく暮れの春
添削(詰め込み過ぎ。自分を真っ直ぐ見つめる勇気が大事。)
沸点の低き怒りや老いの春

▪永世名人 村上のお手本
村上健志
富士山の胴へふらここ漕ぐ少女村上健志
添削(「胴」を活かすなら「蹴る」など強い動詞を持ってくる。)
富士山の胴を蹴らんと漕ぐぶらんこ

▪永世名人への道
藤本敏史
春の山ひつじに空の名を与へ
(後半の措辞に対する季語が良い。)

1位 山本千尋
中華街の少女の旋子(シュエンズ)風光る
添削(オリジナリティーがある。
   技名に「シュエンズ」とルビを打つ。
   語順。季語と少女を一緒に表現する。)
技の名は旋子(シュエンズ)風光る少女

2位 寺田心
山笑う白髪の父と観覧車
添削(父の年齢を読者に伝わるようにする。
   この季語選択には無理がある。)
観覧車の春よ白髪の増えた

3位 きむ
風光る車掌誘なう窓の富士
添削(誘なうは説明的。)
風光る車窓よ富士のアナウンス

4位 新浜レオン
春一番富士のいただき捕まえて
添削
頂を掴まん春一番よ吹け

次回は春光戦 予選Aブロック!お題は「卒業」

2023年2月24日金曜日

ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場

空高く呻吟のごと花見鳥
春陽射し茶筅すっくとダイニング
温暖化袋田の滝冬を落つ
満腹な子と腹ぺこな子と落椿
佐川町バイカオウレンほころびて

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「椿(つばき)」
傍題には「紅椿・白椿・一重椿・八重椿・乙女椿・藪椿・山椿・雪椿・玉椿・つらつら椿・落椿・散椿」などがある。

ギュッと!特選
子規といふ椿や律といふ椿   モッツァレラえのくし
選句のポイント あいさつの心

▪秀作
菓子箱の棺(ひつぎ)に椿白白しろ   紫水晶
ゆらめける水面(みなも)へ乙女椿かな   藤白真語
献灯台(けんとうだい)ふるはせ落椿の緋(ひ)   津島野イリス

▪佳作
車で五分墓前に今日は椿   レモンとミモザ
添削
車で五分墓前に今日は白椿

落椿音を聞いたと吾子(あこ)が言う   あきら君
落椿波紋の澄ます水たまり   渡辺香野

▪賞なし
明日入試庭の椿にふと気づく   長月憂
添削(つぼみが膨らむことをふふみたると言う。)
明日入試庭の椿ふふみたる

▪秀作への道
風をよび海へ海へと落つ椿   佐川碧
添削
風をよび海へ海へと落椿

静謐(せいひつ)の敦盛塚に落つ椿   朝日雫
添削
椿落つ敦盛塚の静謐に

参照:NHK松山
https://www.nhk.jp/p/gyuttoshikoku/ts/7MXVZZ52K3/blog/bl/pKyjJXApJB/bp/pdwJVrVe9E/

2023年2月23日木曜日

ディオールと佐伯祐三と名言

春光や新町川のアカエイへ
サップより何度落ちたか春の川
ケンチョピアサップ悠々春の風
周遊船とサップの交わす春の声
春の川落ちて沈みてまた落ちて

■「新美の巨人たち」
ディオールが愛した日本 より
天井まで届く大きな日本画が
階段の壁を飾っていました
そこに広がる歌麿や北斎さながら
私のシスティーナ礼拝堂
何時間もじっくり眺めていた
子どものころの姿が目に浮かびます

大恐慌で家が破産してしまいます。
食い繋ぐ為に描いていたドレスの
スケッチが認められて41歳でようやく
デザイナーになるチャンスを摑んだのです。

■佐伯祐三の自画像のデッサン裏の直筆メッセージ
クタバルナ
今に見てろ
水ゴリをしてもやりぬく、きっと俺はやりぬく
やりぬかねばをくものか
死 病 仕事 愛 生活

■名言
チャールズ・ダーウィン 曰く
「生き残るのは変化に対応できる者。」

アイリス・マードック 曰く
「苦しみは成長から生まれる副産物。
 それだけで終わってしまうことはありません。」

ゲーテ 曰く
「われわれの持っている天性で、
 徳となりえない欠点はなく、
 欠点となりえない徳もない。」

2023年2月22日水曜日

板谷波山の言葉&夏井いつきのよみ旅in鳥取(前編)

菜の花忌医師のあるべき姿とは
上をへつらい下を貪る春埃(はるぼこり)
凍返る(いてかえる)病の前の平等よ
花筏医者の本意ぞリアニスト
医師ならば死してはならぬ菜の花忌

■日曜美術館 完璧なやきものを求めて 板谷波山の挑戦

私の父はいささか茶道の
たしなみがあったので
私は幼児から陶器や諸道具に
接する機会が多かった。
「波山焼」東京タイムズ(昭和28年より)

釉下彩(ゆうかさい)を波山は彩磁(さいじ)と呼んでいました。

自分の製作について、
私は何から何まで自分自身でやらないと
気が済まない。
窯に火を入れるとことも私自身でする。
薪を燃やす時の楽しさは
また格別である。
私は幼少の頃から、
火を燃やすことが好きであった。
私は世の中のことは何も考えないで、
土をいじり、窯を燃やしていたい。
これが私の志願だ。
楽しさは自ずとその中にある。
「わたしの仕事場」美乃国(昭和8年より)

■夏井いつきのよみ旅!in鳥取(前編)
テーマ ハッピーニュース・バッドニュース
「別れよう」我が心持(こころもち)氷点下   加藤朋記
帰路につくとなりの君も息白し   加藤朋記

説明できる好きは本当の好きじゃない   ROLAND

冬茜沖を滑るや船の影   安田智恵子

干し柿に陽ざし映して母の愛   雲内(うんない)恭子
(干し柿 冬の季語)

冬楽し目玉のやうな太陽も   夏井いつき

物の怪(け)に招かれ綿繰(わたく)る初冬かな   徳毛(とくも)文孝

帰漁(きりょう)船大橋くぐる冬うらら   花本愛羅

朋記君と愛羅ちゃんが成就できますように…。(祈)

2023年2月21日火曜日

題「未練」

よしず張り灯りともして春の夕
がっちゃ~ん茶器転がらん春の夢
星朧亜欧の描いたコピーとは
孜々(しし)として生きてきました春の朝
草むらで練習重ねん花見鳥

■NHK短歌 題「未練」
選者 江戸雪 ゲスト すがちゃん最高No.1 司会 星野真里
レギュラー 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ

▪冒頭の短歌
泣きながら西陽へずっと歩いたのあの道に火を焚(く)べればよかった
江戸雪

▪恋のフレーズ短歌
未練のイメージを七音のフレーズで表すと?
カン・ハンナ 時がたったら
すがちゃん 残雪を踏む
星野真里 夢に出てきて

さよならは時がたったらきさらぎの夢に出てきて 残雪を踏む

▪入選九句 テーマ「未練」
ほどほどの幸せの日に考える選ばなかったもしもの続き
門田祥子
透きとおる春のあなたを乗せたまま八度目となる免許更新
菅澤真央
振り返りふりかえりつつ野ギツネは橋の向こうの野に帰りたり
松下英秋(えいしゅう)
②すがちゃん 私 マンモスは氷の中で夢を見る叶わなかった恋の行方を
藤平怜(倒置法)
星野 眉引けば母に似てきて「おかあさん」寂しく響く言葉になった
乃の
💮このところ買うのはいつもあの時に選ばなかったフルーツタルト
須山暢彦(指示代名詞 普遍的)
カン・ハンナ こんな時みんなはきっと髪を切る忘れたくない私このまま
鈴木彩加(あやか)
「バー・未練」の看板だけがよく見えた常盤線の三河島辺り
上原厚美
袖口がひどくほつれたセーターを着ている理由がもうわからない
小倉るい

▪恋バナ短歌
あの夜に可愛い寝息聞けたから未練はないぜ辛い明太子
カン・ハンナ 添削
あの夜に可愛い寝息聞けたから未練はないぜないぜ明太子

無防備な寝息が答えだったんだ友達のまま終わった夜の
星野真里 添削
無防備な寝息が答えだったんだ友達のまま遠かった夜の

告白は借りっぱなしの本のよう胸に立てかけ春を待ちおり
江戸雪

▪短歌侍武者修行!
今回の課題「スポーツを詠む」

カンさんに振り回されるラケットを超えた白球にヘッドスライディング
元髙克樹(振り回される⇨空振り)

台の端大きく跳ねたワンスター
矢花黎(後半の展開を思案中)

2023年2月20日月曜日

兼題「草の芽」と名言

春かなし防衛ならずささくれて
春光や生々流転葦簾(よしず)巻く
春の夜テンペのパワーふしぶしへ
風光る畳表を粛々と
春の風打てば響かん鉦鼓洞(しょうこどう)

■NHK俳句 兼題「草の芽」
選者 星野高士 ゲスト 細谷喨々(りょうりょう) 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
甘草の芽のとび〱(とびとび)のひとならび   高野素十(すじゅう)

▪会いたい俳人、12人 高野素十
高野素十、水原秋櫻子、平畑静塔、中田みづほは医師だった。

細谷喨々氏の言葉
医学と俳句は相性が良かったのでは?
何かを表現したかったのでは?
俳句は恥ずかしくなく表現できるからだったのでは?
あいまいにできるから面白いと思われたよう。

高野素十 曰く
「俳句の道はたゞこれ写生。これたゞ写生。」

方丈(ほうじょう)の大庇(おおびさし)より春の蝶   
高野素十
(星野高士氏の好きな句 龍安寺で詠んだ句
 蝶々が春を連れてきたと虚子は評価いていた)

たんぽぽのサラダの話野の話   高野素十
(細谷喨々氏のお好きな高野素十の俳句)

▪入選九句 兼題「草の芽」
細谷 並びゐる雨後の夕べの名草の芽   佐伯恵美
草の芽やしゃがんでいれば見つめられ   久保政子
草の芽の径(みち)やはらかに歪(ゆが)みたる   ふくじん
草の芽やどこからも人現れて   森𠮷庸
草の芽や来ぬ人を待ちかねてをり   若林瑠香
②私 生き急ぐことはによと名草の芽   有村次夫
園児みな令和生まれや名草の芽   前田幸久
💮草の芽のそのうち歩き出しさうな   さとうナッツ
武井 草の芽や地球を少し重くして   松本弓子

星野高士氏の好きな句
雛菓子の血の色医者をやめたき日   細谷喨々

悲しき時の詩をたまふ神雁渡(かりわたし)   細谷喨々
(ご本人のお好きな句
 雁渡とは秋の季語
 秋に吹く北風 雁が渡る頃の風なので雁渡という)

俳句は人生のしおりと言っておられた細谷喨々氏。
お優しいお心に触れられ最高の時間を過ごさせて貰いました。
感謝を込めて…。

■名言
大平光代 曰く
「できると思うことからはじめれば、
 行動と結果はついてくると思っています。」

石角完爾 曰く
「過剰な用心は良い結果を生まない。
 『心配』ではなく『判断』をせよ。」

孫正義 曰く
「うまくいかなくても
 やったことは全部
 将来の自分のプラスになります。」

2023年2月19日日曜日

お役立ち哲学

春かなし貼ってあげたし絆創膏
春の雷アダニショックが世界を襲う
春景色足のしびれもごちそうと
風光る他人も我をもリスペクト
(アンディ・ウォーホル)春寒し五十八歳召されゆく(2月25日)

■ロッチと子羊 より
お役立ち立ち哲学
▪究極の選択
ベンサム 
功利主義とは幸福は寮で表せる
生存を幸福と考えると最大多数の最大幸福
問題点 少数者が犠牲になる

カント
カント倫理学
人間の尊厳が大事
人間は人間である限り尊い
みんなを救えるとしても人の命を奪ってはいけない
問題点 多くの犠牲を出しかねない

困ることで哲学的思考が深まる

ミル
幸福は量ではない 質が大事
こういう問題に正解はない
それぞれの理屈を自分なりに考えて決めることが大事

▪お悩み目安箱①
ケージ思想の要約
会話がないことを
恐れることはありません
沈黙こそ最高の音楽なのです。

沈黙は無音ではない
偶然生じた音が存在している状態
沈黙を無と思わず豊かさに気づくこと

▪お悩み目安箱②
ベーコン哲学の要約
常に悩み悔やんでいる人こそ
その道の達人なのです

養生法について
患者の言うことを聞き過ぎる医者や
医学に忠実すぎる医者はダメで
その中間の医者が一番いい

■ロッチと子羊 より

人が哲学に目覚めるのは
人生の岐路に立った時

▪究極の選択 追いQ!
パトナム
水槽の脳 
哲学の疑問の大ボスを
解き明かそうと考えられた思考実験

古くて新しいテーマ 意識とは何か
人生とは何か?
実体がないと人生は虚しい
意識があれば人生は幸せ なのか❓

メタバース
インターネット上に作られた三次元仮想空間
買い物やイベント参加などができる

哲学的に考えることがこれからの人生をつくる
自分たちの望む未来をつくっていけるかもしれません
来たるべき未来につながっている

▪お役立ち立ち哲学

カント哲学の要約
自分を律することは
実は自由を得ることなのです

ヒルティ哲学の要約
不幸は幸福の源泉なのです

2023年2月18日土曜日

つまずくで一句

春の三日月知性の平等性
花蜂ハニカム構造の敗因
薬屋の紙風船や今いずこ
海棠に集まる眼白無心かな
鳥つがう邪魔する猫の忍び足

■プレバト 2023年2月16日纏め
つまずくで一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
赤チンの膝の記憶や養花天
添削(赤チンと季語の取り合わせは良い。
   
本当に言いたい事が欠落している。
   養花天とは桜が咲いた頃の曇り空のこと。)
赤チンとイジメの記憶養花天

永世名人への道
横尾渉
靴脱げたランナー春塵の入賞
(春塵とは乾燥した早春の大地に強い風が吹き塵や埃が舞い立つ様子。)

名人10段を目指す試験
森口瑤子
覚えなき青痣きっと春のせい
(青春・甘さ・挫折を想像させている。強引さが良い。)

特待生昇格試験
森迫永依
春風のマーチ擦り傷にマキロン 
添削(名人を狙うための語順。季語を引き立てる語順。)
擦り傷にマキロン春風のマーチ

1位 本上まなみ
あの崖の上がわらびの萌える野と
(最後の「と」の一音で誰かが誰かに言った言葉だと解る。
 見えない季語を主役に描く高度な技。
 中七に季語を入れる技も高度。)

2位 こがけん
鍵失せてファミレスにいる春の月
(店と夜空の明るさの対比が良い。
 「て」「いる」で時間経過を意図的に表現している。)

3位 勝村政信
つまずいて春を見つけた排水溝
(春の陽気で臭くなっている排水溝の中にも
 小さな芽吹き・生命が動き出している事を表現している。
 私はこの俳句が一番好きでした。)

4位 久代萌美
原稿に「摘出手術」春の虹
添削(私には意味が全く理解できません。)
「摘出手術」噛まずに言えた春の虹
嚙みそうなニュース原稿春の虹

次回のお題は富士山。

2023年2月17日金曜日

渋沢敬三&古武術

春光や天使が降りてくるような
日向ぼこ何か見つめてジョウビタキ
星朧我が人生の奇譚かな
春の闇百才あって一誠なし
春光や神を勧請(かんじょう)した社

■もうひとりの渋沢 栄一の孫・敬三が挑んだ改革
敬三が好んで使った言葉
水流任急境常静
(すいりゅうきゅうなるにまかせきょうつねにしずかなり)

澁澤家と岩崎家
三菱人物伝 
幣原喜重郎(しではらきじゅうろう) 岩崎彌太郎の四女雅子と結婚
渋沢敬三の妻登喜子は岩崎彌太郎の次女磯路の次女、したがって幣原の妻雅子は叔母にあたる
https://www.mitsubishi.com/ja/profile/history/series/people/12/

幣原喜重郎
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%A3%E5%8E%9F%E5%96%9C%E9%87%8D%E9%83%8E

渋沢敬三
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%8B%E6%B2%A2%E6%95%AC%E4%B8%89

■古武術
古武術の姿勢
足を少し開いて立つ
顎を引き首を上下に伸ばす
骨盤を後傾させる(膝が緩く曲がる)
胸を沈めて踵を踏む

スワイショ
体の軸を意識して腕を回す ゆっくり往復10回
プランク(体幹を鍛えるトレーニング)
ポイント
肩甲骨を開くイメージ
骨盤を後傾させる(立ち姿と同じ)
太ももから踵までまっすぐにするイメージ
ゆっくり10秒数える

2023年2月16日木曜日

ウクライナ 俳句交換日記

春寒し言いたき事の多かりき
寒き春共振できぬしみったれ
冴返る時空を生きる夢幻能(世阿弥)
古代人の記憶の欠片風光る
少年の心を持ちて寒き春

■ウクライナ 俳句交換日記
灯火管制生まれて初めて見た銀河   ブラジスラワ・シーモノワ

眠る子は屍(かばね)の重さ月朧   神野紗希

破れ屋の穴より望む星はるか   ブラジスラワ・シーモノワ

一夜(ひとよ)の雨昨日と違う家の庭   ブラジスラワ・シーモノワ

迷彩の軍服を着て春の樹々   ブラジスラワ・シーモノワ

隙間風に燭(しょく)の火震え戦火の夜   ブラジスラワ・シーモノワ

家遠く離れて水も違う味   ブラジスラワ・シーモノワ

他郷(よそ)の街に迷う私と秋の風   ブラジスラワ・シーモノワ

海へ剥(む)く蜜柑よ光なら此処(ここ)に   神野紗希

戦争が廊下の奥に立ってゐた   渡邊白泉

この闇に一つの窓の灯が奇跡   ブラジスラワ・シーモノワ

懐中電灯紙の上に俳句は蛍   ブラジスラワ・シーモノワ

凍ててなお息する星の光かな   神野紗希

私感
ブラジスラワ・シーモノワさんの髪の色は
彼女なりの未来への希望の表現なのでしょうか❓
あの状況下でピンクとは…。
強い彼女の意志、媚びない生きざまを見せつけられました。

2023年2月15日水曜日

広上淳一氏によるバーンスタインの言葉

笑み咲くや春の腰掛待合(こしかけまちあい)の
春陽射し一足石(いっそくいし)へゆっくりと
春の庭わたり六分(ろくぶ)に景四分(よんぶ)
飛び石の先の中門(ちゅうもん)春の茶事
苔深き外露地(そとろじ)目指し春の夕

■クラシックTV より
広上淳一氏 バーンスタインのアシスタントを経験

▪広上淳一氏が音楽を辞めたくなった時
バーンスタイン氏に言われた言葉
バーンスタインは問う 君は音楽が好きか?
広上淳一氏の答えは‎Probably多分…。
だったら お前の足のサイズで歩き続けろ
いつか音楽がお前に微笑むようになる
ただし オレはお前の歳には1000倍勉強した

▪広上淳一氏 曰く
バーンスタインとカラヤン 指揮者としての違いは?
カラヤン先生は本番は目を閉じているイメージ
本番で楽団員とコミュニケーションを閉じるのはご法度
自分の思い描く作品の理想はリハーサルででき上っている
リハーサルでは目を開けている
目をつぶるコンサートの段階では仕上がっていて
エネルギーだけを入れる指揮のスタイルだと思う

バーンスタイン先生は逆
目の前のミュージシャンが欲しているものを察し
ミュージシャンが満足する時間と音楽を提供する
最後に本番でもう一度一緒に汗をかく

▪2人が同じことを言っています
なんて指揮をするってすてきな時間なんだって

▪バーンスタイン 曰く
優れた音楽家になるには、
ただ技術的な練習をすればよいものではない。
音楽が生まれた歴史的・思想的・文化的な背景を深く理解し、
知性と感受性を備えた人間としての素養を積むことが必要だ。
吉原真理著「親愛なるレニー」より

▪天野和子さんとの交流はバーンスタイン氏が亡くなるまで続いた。

▪バーンスタイン 曰く
もし音楽家になりたいのなら心から
音楽家になりたいと思うことです
並の音楽家になることはたやすいことだし
うまく乗っかって音楽を演奏するだけなら
誰だってできる それは昼と夜ほどの違いがあります

▪広上淳一氏の言葉
バーンスタイン氏は愛と同時に
平和にものすごい執着があった
人類愛 ベートーヴェン先生みたいな
彼のスピーチには「国」は出てこない
Earth 地球と出てくる
What a Wonderful EARTH
地球は何と素晴らしいのか
彼の残したレガシーは
次の世代に伝えていかないと…。

2023年2月14日火曜日

題「ラーメン」

春浅し古都に佇む奈良ホテル
六連の指輪に込めん春の朝
ふくよかな香りと甘味とうじ蕎麦
とうじ籠蕎麦温めん奈川かな
きときとの鰤をしゃぶしゃぶ春の夜

■NHK短歌 題「ラーメン」
選者 笹公人 ゲスト 岡田康太 司会 星野真里
レギュラー 本髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ

▪冒頭の短歌
ラーメン・オブ・ザ・イヤーのラーメン食べるときに緊張してた君が好きだよ。
笹公人

▪短歌の穴埋め挑戦!~グルメで一首~
自粛性かつ五十日目の寂しさはカップラーメンに□降らす
笹公人
□の中
飛沫を   カン・ハンナ
時間を   岡田康太
溜息    星野真里
金箔    笹公人

▪入選九首 テーマ ラーメン
親指を汁に微妙に入れながら店主が運ぶブラックラーメン
浦上紀子
ラーメンかラーメン以外か毎日の部活の後の食の境界
古関聰(あきら)
💮星野 三分間ふたをおさえた漱石のこころほんのりあたたかくなる
紺屋小町
ラーメンの無料ライスを断って若くはないと気づいてしまう
安原健一郎
腕を組みタオルを巻いて斜に構え険しい顔でラーメン屋なり
夏目そよ
ラーメンを趣味にしようと食べ歩き気づいたことは大好きじゃない
宮野祐子
③カン 音立ててラーメンすする技を持つ外国人も現れ来たり
やまな
岡田 真面目さが取り柄と言われシンプルな醤油ラーメンみたいな僕だ
ナカムラロボ
行列に並んだあの日思い出す麵の味より手の温かさ
井田里紗

▪短歌侍 武者修行!
今回の課題
スポーツを詠む 躍動感を伝える
酷過ぎる卓球対決でした。

▪歌人のグルメ
ラーメンに矩形(くけい)の海苔が一つ載りて関東平野冬に入りたり
髙野公彦

▪短歌ボナペティ
温故知新を体現したようなラーメン。
見た目はノスタルジック。
最近ラーメンが細分化され多様化しています。
どんどんコモディティ化していく中で
脱コモディティを目指しているラーメン。
パラドック(逆説)によって脳内に
カオス(混沌)が広がるという部分を評価しています。
と、岡田康太さん。

奇を衒うことなきそばに溶け込んだ歴史の中の渦巻くなると
カン・ハンナ
「ラーメン」とそいつは名乗る中央になるとをのせて高ぶる湯気で
星野真里
ラーメンのナルトが時を巻き戻し創業の味よみがえる昼
笹公人

2023年2月13日月曜日

兼題「浅蜊」

春の道一足ごとに山深く 
内露地(うちろじ)や漱ぎ清めん春の風
春のつくばい口をゆすぎて手を洗い
きらきらとにじりの氷春の朝
世俗のちりを払い捨てたる春日和

■NHK俳句 兼題「浅蜊」
選者 井上弘美 ゲスト 和田明日香 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
ひと摑み濡れて浅蜊の量り売り   井上弘美

▪春の食材を詠む 浅蜊
水とばす浅蜊勝気に生きたしよ   宮坂静生

しじみ さざえ はまぐり とり貝 は春の季語
あわび は夏の季語

▪入選九句 兼題「浅蜊」
武井 水ぬれて木星色の浅蜊かな   常幸龍(じょうこうりゅう)BCAD(びしえど)
和田 追憶は白濁の中浅蜊汁   中村起一
 江戸文字の屋号提灯浅蜊めし   長谷川淑子
 浅蜊汁ひとつの記憶閉ぢしまま   奥村ほおずき
💮 赤人(あかひと)も詠みたる島の浅蜊とり   木下秀信(しゅうしん)
浜名湖の湖底遺跡や浅蜊舟   中川勇太
浅蜊より真砂ラジオよりサザン   古関聰(あきら)
富士白しフェリー待つ間の浅蜊汁   細谷忠男
覆刻(ふっこく)の浅蜊定食品川宿   吉田康子

▪俳句ナビ 添削コーナー
二日酔い後悔とかしてあさり汁   和田明日香
台の隅つもるつもるよあさり塚   和田明日香

ナビゲーションポイント
食べ物の句はおいしそうに詠む

ぬた浅蜊ごま油足し香り聞く
添削
ごま油足したる香りぬた浅蜊

浜焼きや開いた浅蜊へ地の醤油
添削
浜焼きの浅蜊に垂らす地の醤油

酒蒸しは浅蜊アサリはワイン蒸し
添削
酒蒸しにワイン蒸しにも浅蜊かな

ふるさとの海をうつすのあさり模様   和田明日香
添削
ふるさとの海を模様に浅蜊かな

和田明日香さんの才能には吃驚しました。
料理以外にも俳句をくわえて欲しいと思いました。

2023年2月12日日曜日

小説家を見つけたら&文字と言葉&花火

水仙の甘き香よキビガ谷
ランニングコストかけずに春を生く
ぼろ隠し纏って春の街闊歩
山笑うライカカメラでフォーカスす
デジタルの拓く未来や春の雪

■「小説家を見つけたら」
フォレスターからジャマールへ送った手紙より 

ある者が
「人は夢に背を向ける」と
「挫折を恐れ 時には 
 夢がかなうことを恐れるから」
私は君が夢を実現することを
疑わなかったがー
私までも再び
夢を実現できたとは!
季節は移り変わる
私は人生の冬に君と
ああいう時と分かち合えた
君が現れなければ
私は朽ちていただろう

「日没」
ウィリアム・フォレスター著 (Sean Connery)
序文 ジャマール・ウォレス (Rob Brown)

やっぱり映画って凄い!
忘れかけていた感情を蘇らせてくれました。
最高の映画でした。

■ヒューマニエンス選 「❝文字❞ヒトを虜にした諸刃の剣」より

書き方で印象が全く変わる
美味しい(重厚感、歴史観、厚み、深み)
オイシイ(都会的で洗練されている)
おいしい(プレーンで優しくて温かい)
絵文字から誕生した文字はそれ自体が進化し
様々な表現ができるようになった。

高橋源一郎氏の言葉
「文字と言葉は違うということが解った
この全然違うものがくっついているところが
よく考えれば異常
言葉は自然に覚えて基本的には誰もが使える
残すのが文字
これは人類がある限り滅びることはない
残す、伝えていくのが文化だとすると
文字がいちばんだなと言うのが作家としての実感」

■昨夜、眉山上空に花火が打ち上げられていました。
「びざん どどんぱ!!2023」の企画だったようです。
ハートの花火がい~っぱい宙に舞っていました。
頭の中で確りとシャッターを切りました。
23日にも打ち上げられるとか…。
楽しみにしています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000096281.html

2023年2月11日土曜日

冷蔵庫のメモで一句

春の茶事躙(にじり)石より腰かがめ
世俗捨て目指す茶室や春の朝
それぞれの石の役割春日和
のどかさや露地で浄めてにじりいる
夜咄(よばなし)へ足もと照らし春の露地

■プレバト纏め 2023年2月9日
冷蔵庫のメモで一句


永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
お三時は固めのプリン春の雪
添削(中七と季語の取り合わせは良い。)
甘すぎる固めのプリン春の雪
あの頃の固めのプリン春の雪

永世名人千原ジュニアのお手本
千原ジュニア
サンタへの手紙貼られたままの春 
(読めば読むほど奥行きが広がる。
読む人によっていろんなストーリーが生まれる。
これこそが名人の俳句だと思いました。素晴らしい!)

特待生昇格試験
中田喜子
春立つや桃色のメモ退院日
添削(季語の選択と中七の具体性の判断はよい。
  三段切れのようなリズムと語順は「桃色」からとすべし。)
桃色のメモ春立つ退院日

1位 伊原六花
春立つやダンス部活の予定表

2位 二階堂高嗣
初虹レッスン場に向かうメモ見る
添削(塾長からの指摘を全く理解していない。お気の毒。)
初虹レッスン場に向かうメモ

3位 山﨑ケイ
バレンタイン娘らが正の字父の数
添削(句材は良いのに意味不明。言葉の選択を間違えている。
   「愛の日」はバレンタインの日の傍題。
   覚えておくと使い勝手が良い。)
愛の日の正の字父のチョコの数
愛の日戦果よ父のチョコの数

4位 YOU
開運を願う初春にメモ外す
添削(意味が解らない。作者の意図に沿うように言葉を選択する。)
  「冷蔵庫のメモを外せ」と初みくじ

次回のお題は「つまずく」

2023年2月10日金曜日

夏井いつきのよみ旅in島根後編&渋沢敬三について

飛び石の先の中門山椿
春時雨外露地の苔しっとりと
春の鳥内露地で待つ亭主かな
また一歩春の山へと踏み入らん
つくばいの柄杓を持ちて春の風

■夏井いつきのよみ旅in島根 後編

ローランドにほれてえだらか竜の玉   高木房代
(竜の玉 冬の季語 多年草のジャノヒゲの種子)

鎧ぬぎよう参ったと照紅葉(てりもみじ)   楠馬之介

春は来ぬ揺(ゆ)するたましいはずむ笑み   ジロー今村

先人の情熱と技しじみ掻き   福間弘幸

晴ればれとやまとしじみの湖(うみ)に生く   夏井いつき

龍神が飛ぶかの如く秋の雲   迫光徳(さこみつのり)

洗濯物背負(しょ)って息衝(つ)く冬の宵   谷田愛莉

小手先のテクニックよりも自分が楽しそうにしゃべる   ROLAND

俳句は自分を客観視する練習をする文芸(ツール)なのでやってみて   夏井いつき

隠岐弁のかたまりがゐる炬燵船   野津理恵

あんたも ほんにもう ようきょんさりよって ほんにもう うれしいわあ
(訳 あなたも 本当に よく来てくださいまして 本当に うれしいです)

■渋沢敬三(渋沢栄一の孫)について
https://shibusawakeizo.jp/about_keizo/



2023年2月9日木曜日

100分de名著 100分deフェミニウズム③④

(冬を詠む)
時止まる冬の絶景神通滝
氷瀑の神通滝へ十五分
(神通滝)未舗装を六百メートル冬の山
まだ煌めきず朝日待つ草つらら
白き息マスクの中の水滴よ

■100分de名著 100分deフェミニズム③
「心的外傷と回復」ジュディス・L・ハーマン著 中井久夫訳

心的外傷=トラウマ
性暴力性虐待はフェミニズムというアリーナ(舞台)が見える化した
心的外傷研究 3つの流れがある
①ヒステリー
②戦闘神経症
③性暴力と家庭内暴力

ヒステリー⇦子宮=ヒュステロン
ヒステリーは神経症の一種である
ヒステリーとは心的外傷に起因する病的状態
性暴力や幼少期の性的虐待が源泉にある

ヒステリーの心的外傷説が
廃墟と化した中から、
フロイトは
精神分析を創始したのであった。
二十世紀の心理学理論の主流は
女性たちの現実を否認した、
その上に築かれたわけである。

イギリスの傷病兵の40%が精神崩壊を起こした。
「戦闘神経症」
外傷後ストレス障害=PTSD

女性と子どもの劣位と服従とは
私たちの文化に
深く根をおろしており、
女性と児童への暴力が
基本的人権の侵害であるという
認識はごく最近のことである。
殴打、ストーキング、
性的ハラスメント、
親戚知人による
レイプのような脅迫的支配は
いたるところに見られる
行動パターンであるが、
名前さえなく、
犯罪だという認識など
問題外であった。
犯罪とされるようにしたのは
フェミニズム運動である。

今なお女性の従属的地位は
男性のひそかな暴力によって
押しつけられ維持されている。
両性間で戦争が
行われているということである。
レイプ被害者、非殴打女性、
性的非虐待児は
戦死傷者である。
ヒステリーは
性の戦争における
戦闘神経症である。

心的外傷を長期的反復的に受けた人に着目
戦時捕虜 宗教カルトの生存者 家庭内暴力=うつ 解離 自殺傾向がある
複雑性PTSD

儀式の夜にわたしがすることも
それだった。
わたしは自分を鋼にした。
自分が存在していないふりをした。
肉体としては。
この意識の不在、
つまり肉体から
意識が離れて存在している
という状態
「侍女の物語」斎藤英治著

幼少期の性虐待に特徴的なこと
人との新しい結びつき
本人が主体となって回復する
医学的ケア食事睡眠など安全が確保された後
心的外傷のストーリーを語ってもらう
何を感じたかを話す

「語るように励まし
つづけてください。
語る姿を見るに忍びなくても、
です。
信じるまでには
ずいぶん時間がかかります。
私がそれについて
語れば語るほど、
それが間違いなく
起こったと思えるようになり
それを統合できるようになる。
絶えず‟大丈夫だよ“
といってもらうことは
非常に大切である。
独りぼっちの
どうしようもなくか弱かった
少女だったという感じから
遠ざけてもらうことなら
何でも大切である」。
近親姦生存者からの助言

共世界
自分以外の人々とともに
共世界commonalityを作ると、
それに伴って「common」
ということばを持つ
すべての意味がわかるようになる。
Commonということばは
一つの社会に帰属するということ、
一つの公的役割を持つということ、
普遍的なものの一部である
ということを意味している。(中略)
このことばはまた、
些細なことであった、
取るに足らないことであった、
自分の悩み苦しみは
「大海中の一雨滴」であった
という感じをも伴っている。
他の人々との共世界を
つくりえた共存者は
生みの苦しみを終えて
憩うことができる。
ここにその人の回復は完成し、
その人の前に
横たわるものはすべて、
ただその人の生活のみとなる。

性暴力はつながりを断つ
回復への道筋
治癒的関係
性的同意の難しさ
共同体からのサンクション(社会的制裁)がある

■100分de名著 100分deフェミニズム④
上野千鶴子(社会学者・東京大学名誉教授)
男同士の絆 イギリス文学とホモソーシャルな欲望
イヴ・K・セジウイック著 上原早苗 龜澤美由紀訳
ホモソーシャルとは男同士の社会的連帯
ホモソーシャルとホモセクシュアルを区別する用語を作った
家父長制 男同士の社会的連帯 ホモソーシャル
統率権が男性たる家父長に集中
ホモソーシャルな欲望とは
地位や権力 利益を持ち 男同士でつながろうとする 

「家父長制とは」
物質的基盤をもつ
男同士の関係であり、
階層的に組織されてはいても、
男性による女性支配を
可能にする相互依存および
連帯を樹立、
もしくは生み出す。(中略)
ホモフォビアと無縁の
家父長制など
想像できそうにもない。(中略)
それはまさしく…
女性を支配する
法と関係のシステムの
産物なのである。

レヴィ=ストロース
家父長制における
異性愛とは女性の交換
性的であることを抑圧した男同士の絆
ホモフォビア=同性愛嫌悪

性愛の三角形
ライバル間の強固な絆
人(男)が愛の対象(女)を選ぶ時

男性は、
自分たちの間に権力差が
存在する時でさえ、
憐み/軽蔑の対象となる
女性を媒介して、
権力を交換したり
互いの価値を
確認したりすることが
できるものである、と。(中略)
女性は、男同士の絆を
維持するための溶媒であり、
資本主義と金銭交換とともに
育まれた相対的な民主化を
促進するばかりか、
民主化の空白や欠陥を
うまく繕う働きもするのである。

実践に応用が効く

異性愛の男とは
ホモフォビア(同性愛嫌悪)を持っていて
ミソジニー(女性嫌悪・軽視)を通じて
ホモソーシャル(男同士の社会的連帯)を持つ集団に
成員資格を認められた男

女とは男同士の性的欲望を抑制した連帯のなかで
獲物(報酬)として与えられるもの

アルファオス 群れで一位のオス

名誉男性
男社会のなかで男性と同じ地位や立場を与えられた女性

家父長制 セクシュアリティは
歴史や社会背景の影響を受ける
18世紀後半
産業資本主義により家族形態に変化
貴族階級による性的に自由な傾向
生殖中心の性愛=異性愛を重視
ミソジニー(女性嫌悪・蔑視)やホモフォビア(同性愛嫌悪)が強まる
女の分配平等
組織に半身で関わる 正気の関わり方
ホモソーシャルな集団におけるアイデンティティーが
すべてではない

フェミニズムの未来
そんなもの知るか! 上野千鶴子女史の纏めの言葉

2023年2月8日水曜日

100分de名著 100分deフェミニズム①②

(冬を詠む)
正直で誠実な語句冬銀河
悲哀ひたらん笑いはじけて春近し
怒りは燃やし赦しは溶かす冬深し
熱燗と豆腐にアイゴ寒き夜
寄鍋や甘き大根やわやわに

■100分de名著 100分deフェミニズム①
肉体的表現としてのSEXの両方を
あわせもつ総体の<おんな>として、
女ととらえない意識である。
男にとって女とは、
母性のやさしさ=母が、
性欲処理機=便所か、という
二つのイメージに分かれる
存在としてある。

伊藤野枝集 森まゆみ編
乞食の名誉 より
女性は「多くの不覚な誤算」に囲まれている

そして全く他人の
中での生活に、
とし子は迫害され
艱難(かんなん)に取り撒かれた。
けれど、
すべては最初から
覚悟していたことであった。
彼女は本当は血が滲むほど
唇をかみしめても、
その艱難には耐えなければ
ならないと思った。(中略)
そして、この頃とし子は
自分の生活を省みるたびに、
そこに余りに多くの
不覚な違算を
発見しなければならなかった。
うかうかしてはいられない
という気が
しきりにするのであった。
友達のHもNもSも
それからYも、
皆んなが熱心に勉強している。
そして一番若い、
一番無知無能な自分が
何も出来ずに家の中で
ぐずぐずしているのだ、と思うと、
何とも言えない情けなさ
不甲斐なさを感ずるのであった。
何の煩いもなく
自由に勉強している人の上が
羨ましかった。
束縛の多い自分の生活が
呪わしかった。
といって、今更逃れることも
出来ないのを
どうすればいいか?
彼女は本当に、
それを考えると、たまらなかった。

自分の握っている
「ジャスティス」を
捨てる訳にはゆかない。

「貞操についての雑感」青踏 女性解放論集より
ああ、習俗打破!習俗打破!
それより他には
私たちのすくわれる途はない。
呪い封じ込まれたる
いたましい夫人の生活よ!
私たちは
いつまでもいつまでも
じっと耐えてはいられない。

階級的反感
私はあの細君達に
どうかして、悪い感じを
持たれたくないと思っている。
悪い感じどころではない、
どうかして懇意に
なりたく思っている。
けれどそれには私のすべてが、
あの細君達から
あんまり離れすぎている。
そしてそれがもう
黙っていてもそれ等の細君達に
決して気持ちの
いいものではない事を、
私は知りぬいている。
それだから、ちょっと井戸端を
通りかかっても、
水を汲みに行っても、
その注視に出遭うと、
私は急いで逃げ帰って来る。
この敵愾心の強い
この辺の女達の前に、
私は本当に
謙遜でありたいと思っている。
けれど、私は折々何だか、
堪らない屈辱と、
情けなさと腹立たしさを感ずる。
本当に憎らしくもなり、
軽蔑もしたくなる。

私の尾行巡査は
あなたの門の前に震える、
そしてあなたは
私に合うのを恐れる。
ちょっと皮肉ですね、ねえ、
私は今年二十四に
なったんですから
あなたの娘さん
くらいの年でしょう?
でもあなたよりは
私の方がずっと
強味をもっています。
そうして少なくとも
その強味は或る場合には
あなたの体内の血を
逆行さすくらいのことは
出来ますよ、
もっと手強いことだってー
あなたは一国の為政者でも
私よりは弱い。

何ものをも焼き尽し溶かし尽すセンチメンタリズム
本当の社会改革家の本質的精神であったのだ

■100分de名著 100分deフェミニズム②
「侍女の物語」マーガレット・アトウッド著 斎藤英治訳
「誓願」マーガレット・アトウッド著 鴻巣友季子訳

我々は女性から
いろいろなものを奪いましたが、
それ以上のものを
与えたんですよ、
と司令官は言った。
かつて彼女たちが
どんな悩みを抱えていたか
考えてごらんなさい。
シングル・バーや、
高校のブラインド・デートが
いかに屈辱的だったかを
覚えていませんか?
肉体の市場のようなものでした。
楽に男を手に入れられる娘と
なかなか男を
手に入れられない娘との
あいだに残酷な差別が
あったのです。
それを忘れましたか?
彼女たちの一部は絶望的になり、
絶食して痩せたり、
胸にシリコンを
いっぱい注入したり、
鼻を削り取ろうとしました。
その人間の惨めさを
考えてごらんなさい。

でも、わたしは悲しく、ひもじく、
惨めなこの物語を、
逸話が多く遅々として進まない
この物語を語りつづける。
結局のところ、
わたしはこの物語を
あなたに聞いてもらいたいから。(中略)
我話す、ゆえに汝在り。

ヴァンは私道で待っている。
両開きのドアが開いている。(中略)

これがわたしの最期なのか、
それとも新しい出発なのか、
わたしにはわからない。
わたしはすでに、
見知らぬ者たちの手に
自分の運命を預けた。
他にどうしようもないから。
そういうわけで、
わたしはステップを昇って
暗闇のなかに入っていく。
そうでなければ、光のなかへ。

娼婦=セックスワーカー
侍女=生殖労働者

ウクライナでは代理出産が合法化されている。
日本でも生殖保護医療法の改正が検討され
代理出産の条件付き容認案が浮上

生殖ワーカー=代理母の是非

分断は一番楽な統治方法

2023年2月7日火曜日

テーマ「先輩・後輩」

(羽田より)
雲海を突き抜け進む冬の旅
まっしぐら冬の機内は日の入りへ
機内カメラに釘付けとなる冬の旅
雲見続けた一時間春やは遠き
冬の空ゴルフビデオの一時間

■NHK短歌 テーマ「先輩・後輩」
選者 栗木京子 司会 小沢一敬
レギュラー 本髙克樹 矢花黎 

▪冒頭の短歌
「先輩」と呼ばれて五十年ぶりによみがえるなり美濃の青空
栗木京子

短歌侍への道
▪Lesson1
人物描写をしてほしい
作者の人物像や関係性がわかるように詠んで欲しい。
コマつきの椅子転がして質問に来る後輩の後輩らしさ
北辻一展

▪Lesson2
視聴者のエピソードを短歌に
ポイント 人物を描写する
新入りの笑顔と共に出た語尾に同じく「だよね」返す私
矢花黎 添削
新入りの笑顔と共に出た語尾に合わせて「だよね」返す私

先輩に発したタメ語が着く前に「ごめんなさい」が届けと連呼
元髙克樹 添削
先輩に発したタメ語の着く前に「ごめんなさい」が届けと連呼

ジャニーズの話に夢中後輩が時折はさむ「だよね」の可愛さ
小沢一敬
ジャニーズを語り続ける後輩が時折はさむ「だよね」の弾む

▪入選歌紹介 テーマ先輩・後輩
日曜日選挙に行ったという彼と十五になったばかりの私
髙橋あすか
胃カメラを呑む寸前に「高校の後輩でした」と医者に告げられ
上前三博(うわまえみつひろ)
恋愛は好球必打で行けという何でも野球で例える先輩
三月(さんがつ)とあ
新入りの猫をあしらう家のボス気付けば二匹日向の窓辺
南博人
後輩に第2ボタンをねだられる友人の脇ささっと通る
藤瀬こうたろー
💮インカレは敗けて終わりぬ帆をおろし先輩海へ深く礼せり
比見眞理子

▪Lesson3
出演者のエピソードを短歌に
頼られる喜び教えてくれたのは違う世界で夢追う後輩
小沢一敬

いつもより早くて高いキーだった黎先輩との2分の雑談
元髙克樹 添削
いつもより早くて高いキーだった黎先輩(と)の2分の助言

後輩の憂いが消えた顔を見て「また聞かせて」と会計すます
矢花黎

▪短歌対決
「大丈夫、ここが居場所」と先輩に背中押された僕は侍
矢花黎

メイク中順番待ちの先輩を鏡越しから察した起立
元髙克樹 添削
メイク中順番待ちの先輩を鏡の中に見つけて起立

飲み屋では愚痴ばかり言う後輩が舞台の上では笑いだけ生む
小沢一敬 添削
飲み屋では愚痴ばかり言う後輩が舞台に立てば笑いだけ生む

今回の学び テクニックに走りすぎない

2023年2月6日月曜日

兼題「猫の子」

(房総にて)
冬日没るいなげの浜のグランピング
立礼(りゅうれい)の濃茶点前や美浜園
冬に見たANAとJALでは雲泥の
写真だけでも言葉だけでも冬旱(ひでり)
冬の月おどれすどれのメッセージ

■NHK俳句 兼題「猫の子」
選者 髙柳克弘 ゲスト サンシャイン池崎 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
鞄から子猫のかほや川まぶし   高柳克弘

俳句と映像
スリツパを超えかねてゐる仔猫かな   高浜虚子

ヤスリ舌我が顔削る子猫かな   サンシャイン池崎
添削
ぺろぺろと我が顔削る子猫かな

▪入選九句 兼題「猫の子」
毬ひとつひとひを遊ぶ子猫かな   野口時晴(ときはる)
どう見ても子猫夜雨(よさめ)の磨硝子(すりがらす)   宮本いずみ
厄介をふはふはにしたのが子猫   元野(もとの)おぺら
池崎 説教の爺のふところから仔猫   西岡青波(せいは)
💮草叢(くさむら)が世界の初め仔猫跳ぶ   岸田朋香
積ん読を読ませておくれ猫の子よ   澪那(におな)本気子(まじこ)
パーカーのひも仔猫との時間かな   岩本実佳
武井 残業は無理です子猫生まれそう   後藤明美
どの鼻の寝息子猫の詰め合わせ   田中勲

猫の子の籠城せしは紙袋   武井壮
耳の奥迷宮めきて子猫かな   高柳克弘

2023年2月5日日曜日

節分で一句

(房総にて)
冬ぬくし木更津庵の天ぷら蕎麦
凍る街雲に隠れた富士の山
アクアラインより冬のスカイツリー
冬日向満面の笑みこぼしけり
幼子のぎゅっと握る手冬陽射し

■プレバト纏め 2023年2月2日
節分で一句

永世名人村上のお手本
村上健志
立てかけて清(すが)しき巻き簾(す)節(せつ)替り
(節替りとは冬の季語
季節の変わり目特に立春の前日のこと。
洗って立てかけて干してある巻き簾、立春の前日を歌った句。
読者に謎を解く楽しさを提供。
「恵方巻」正しい答えにほとんどの人が辿り着ける。)

俳句は季語とあと一つの物があれば材料として十分。
材料を描写するだけでちょうどいい分量が俳句の器に盛れる。

永世名人への道
立川志らく
もうちょいと生きてみるよと豆を撒く
添削(誰に向けた句なのか❓追悼したい人の特徴を描く。
   職業を入れる。)
もうちょいと生きてみるよと田を植うる(夏の季語)
もうちょいと生きてみるよと鰯引く(秋の季語)
円楽師匠になら
もうちょいと落語に生き豆を撒く
もうちょいと笑いに生き豆を撒く

特待生昇格試験
犬山紙子
福豆拾い子のコップで晩酌
添削(17音にしたい気持ちが強過ぎた。
   「福豆」に「を」を入れると1音字余りとした方が勘違いされない。
   「コップ」の詰まる音、「晩酌」の音が入っているとある種のリズムが出来る。)
福豆拾い子のコップで晩酌

犬山紙子さんの句は一句に詰め込み過ぎ。
立川志らくさんの句は一単語足りない。

次回のお題は「冷蔵庫のメモ」

2023年2月4日土曜日

夏井いつきのよみ旅in島根前編&「竹馬」

(羽田へ)
冬の旅二時間前をときめかん
冬陽射しついに出発重装備
寒波来る機内カメラに無我夢中
機体傾き市内一望冬の旅
雲海へ突き進み行く冬の朝

■夏井いつきのよみ旅 in島根 前編
テーマ ご縁
ほっかほか恋人出来た神在月   荒木てるみ
(神在月 旧暦10月「神無月」に
 全国の神々が集う出雲は「神在月」となる。)

出雲でもボールひとつでご縁の輪   島村公美子
湿った薪に火を灯せる選手   ROLAND

松手入れの人の左手音払ふ   馬庭あつ子
(松手入れ 秋の季語
 築地松 冬の季節風から家を守る防風林)

蝶になる田舎の町の子守歌   下山嘉真
(蝶 春の季語)

100人全員が間違っていると証明すればいい   ROLAND

きらきらしき冬よ湯の沸く町に生く   夏井いつき

湯気の立つ丼抱「早上好(ザオシャンハオ)」   原彩衣(さえ)
(湯気立て 冬の季語 早上好はおはよう。)

あめたくさんしばふがそらへおどりだす   上川木乃芽(このめ)

冬ざるる咲かせていたい笑顔花   増田明美
(安来節 江戸時代から続く島根を代表する民謡。 
 どじょうすくい踊り 小川でどじょうをすくう様子をユニークに表現)

■一分季語ウンチク 竹馬
今回の季語は季語っぽくない季語 竹馬です。
季語っぽくないと季語と言えば春の「ブランコ」
季毎は知らなかったという人が多い季語ですね。
「竹馬」は冬の季語になっていて冬の間の
子どもの遊びとして扱われているようです。
同様に冬の時期の子どもの遊びが季語になっている
ケースがあり他にも「縄跳」や「綾取」等も
季語として扱われています。
「竹馬」は比較的近代になってから季語と
認識されていった歴史の新しめな季語となっています。
「竹馬やいろはにほへとちりぢりに」
久保田万太郎の句などは代表的な「竹馬」の句として
歳時記に収録されていることも多いようです。

2023年2月3日金曜日

お役立ち哲学ときらめき大賞

晩冬や頑張るだけを生き甲斐にして
指紋なき手と爪なき足と冬の虹
春となり腰掛持合(こしかけまちあい)笑みと笑み
踏みしめん一足石へ冬陽射し
寒日和わたり六分に景四分

■ロッチと子羊
お役立ち哲学
アウグスティヌス哲学の要約
「弱みを見せるのは
 相手に親しみを持ってもらうためではありません
 コンティネンティアを意識して告白すれば
 心が整理されるのです」

告白心を落ち着かせる機能=コンティネンティア

アウグスティヌス 曰く
「弱みを見せるのは
 相手に親しみを持ってもらうためではありません
 自分と向き合いながら告白することで
 心が整理されるのです」

フランクル思想の要約
「人間はみなホモ・パティエンスなのです
 だから人に対して
 過度の恐れる必要はありません」

ホモ・パティエンス=人間は苦悩する存在

「人間はみな苦悩する存在です
 だから過度の恐れる必要なないのです」

■夏井いつき俳句チャンネル より
【まつやま景観賞】伊月庵がきらめき大賞を受賞しました
おめでとうございます!

2023年2月2日木曜日

ギュッと四国!「焼藷」&よみ旅(徳島・鹿児島・愛媛・奄美大島)

初釜や背すじ整え瑞巌寺
どんど焼き勢いつけて燃え上がり
冬釣りや選ぶ潮向きあとは運
寿司始め大根人参柚子の香
オタフクナンテン霜降り化粧したごとく

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「焼藷(やきいも)」冬の季語

「藷」はさつまいも・甘藷(かんしょ)、「芋」は里芋、
「薯」はじゃがいも・馬鈴薯(ばれいしょ)
傍題には「焼藷屋・石焼藷」などがある。

ギュッと!特選
焼藷のこれはわざとじゃない半分   ギル
(選句のポイント リアリティに徹した可笑しさ)

佳作
焼藷の香りが残るエレベーター   舛田順一
来るたびにこぶしをきかせる焼藷屋   せのおあまん
焼薯や月食(を)待つベランダで   鈴木れんたろー
二階からタタタ父やきいも買いに   奇跡
金髪とグレーヘアと焼薯と   おかめ媛

秀作
焼藷はまだか窓枠拭き終わり   和香子

秀作への道
佳作
焼藷や「待っておじさん」疾走す   海野郎
秀作
焼薯の売り声突っ掛け右左   らん丸
つっかけが脱げそう焼芋屋が遠い   綾竹あんどれ

3月の兼題は鰆(さわら)

NHKさんに感謝!
https://www.nhk.jp/p/gyuttoshikoku/ts/7MXVZZ52K3/blog/bl/pKyjJXApJB/bp/plN7kyAjGJ/

□ギュッと四国!&よみ旅「ファン感謝祭」
■ギュッと四国! 兼題「焼藷」
▪俳句上達への道
焼藷よホロリほどけて頬の中   花はな
添削
焼藷よホロリほどけて失恋す

焼いもを分け合ふ二人ほほゑまし   玉井令子
添削
焼いもを分け合ふ二人失恋す

俳句は筋トレ

手のひらに焼芋熱し笑み多し   藤田誠司
添削
手のひらに焼芋熱し失恋す

▪秀作発表
スーパーのやきいも食べる駐車場   岡村理江
焼藷をぷつりと話さぬ子と分けて   ゆすらご
焼き芋のねっとり喧嘩別れの夜   ピアニシモ
新聞の番組表と焼藷と   だてゆうこ
焼藷を巻いた新聞読みふける   やまさち
焼藷やぢんぢんと鳴るトースター   しほ女
筋トレのジム焼藷を売り始む   前川雪花
泣かされて帰る焼藷香る家   津島野イリス
ヒューイヒュイ星撒いてゆく焼芋屋   あいむ李景
金髪とグレーヘアーと焼薯と   さえずり句会おかめ媛
焼きいもを包むインクの香りかぐ   キャラメルナッツ
焼藷やばらのかをりに似たりける   渋谷晶
東スポに包(くる)まれ焼藷の微熱   のりのつばさ

▪最優秀句
一身上と書いて焼藷に詰まる   あねご
焼いもは小さな雲を生む装置   古賀
💮焼藷が焼けた匂いやチェーンソー   花紋

■よみ旅
徳島編 鹿児島編 愛媛編 奄美大島編 

十年を生きて俳句は寒燈(ともし)   坂本梨帆
授業中ノートの余白に冬銀河   田頭京花
西村浩子先生へのROLANDさんからの言葉
(知りすぎなかったからチャレンジできた。)
「知らないことも一個の武器になる」
(チャレンジしない理由が見つかってきちゃう
 怖がらないで挑戦しろと言ってあげてください。)

2023年2月1日水曜日

柳田国男と大正デモクラシー

青空へ蠟梅日和深呼吸
河川敷凧揚げ競う走る父
椋鳥の整列見事胸を張る
平等に味わいてこそ冬桜
平等に失わん死よ冬星座

■知恵泉 柳田国男と大正デモクラシー より
柳田国男の言葉
記録にもなんにも現れない人の
生活というものが
日本には80%以上
あるんですよ。
悪いことも良いことも
両方ともしなければ
記録に残りはしないですからね
つまり埋もれてしまって
一生終るであろう
訴える道がなくてしまうだろう
犯罪もしなければ
よいこともしないでいる
というような人がね
ただなんとなくその息吸って
いくのを惜しがって
それに関する知識を
残そうとしたのが
フォークロア(みんぞくがく)って
言葉なんですよ

知恵その一
長く伝わるものには必ず理由がある!

近代化した明治の世の中でありながら
幻想とファンタジー妖怪が併存している

荒又宏氏
日本もちょっと前まではこれがリアルだった
今の世の中をどうしようかとみんなが考える
一つのきっかけを「遠野物語」に求めた

菊池暁氏の知恵
因果(原因と結果)はおさえなくてはいけないが
これからも必要かは考えたほうがいい

知恵その二
自らのベースを深く知ること
それが力になる!
常民にこそ民俗学が必要

柳田邦夫の言葉
人が何ゆえに
貧苦を脱し得ないのか
村がどうしていつまでも
衰退感のために
悩まされているのか
選挙がどういう訳で
この国ばかり
まっすぐに民意を
代表させることができぬか
というような
さし迫った
一国共通の大問題なども
必ず理由は過去にある…

天文学なども亦(また)そうだと思ふ
あのきらきらと光る
小さなものの一つを
右から左へ置きかへたら
どうなるかは面白い空想で
あっても之を試みる途は無い
長期も又何度か
繰り返さるる
観察を以(もっ)て
之に代へて居るのである
この種の実験ならば
新しい史学に於(おい)ても
きっと出来る
柳田国男著「郷土研究と郷土教育」より

この事を柳田は実験の史学と名付けました

荒又宏氏
フィールドワークは学問でも教育でもなく
まさに自分自身がルーツを発見する
柳田が民俗学をこの国に持ってきて
一般の人が一番実感する方法論として開発した

フィールドワーク(宮本常一 民俗学者)
菊池暁氏
あるく・みる・きく
あるく
意識的に時間を変えたり
いつもと違う道を通って歩いてみる
みる
自分が見ている世界を
言葉で名付けて置き換えてみる
きく
ちょっとした会話でも
おもしろいなと思ったらノートに書きとめる

荒又宏氏の知恵
俳句や短歌なども
フィールドワークに取り入れる

菊池暁氏
柳田はネット以前に使えた
あらゆるメディアを活用していた

柳田国男の言葉
未来を愛すべきこと
(今がどういうふうにしてでき上がったのかを
ちゃんと知りなさい)