己を知らない肉体や底冷え
まじまじと櫛にごっそり木の葉髪
札束で頬を張る人鎌鼬(かまいたち)
木守柿ついえた目にはぼんやりと
鎌鼬(かまいたち)我が子を脅し従わせ
NHK短歌 題「重」
選者 大森静佳 ゲスト 宇垣美里 司会 有森也実
冒頭の短歌
紫陽花の重さを知っているひとだこころのほかは何も見せない
大森静佳
宇垣美里さんの一番好きな一首
退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らずさよなら京都
栗木京子
宇垣美里さんの思い出のある場所京都御所を詠んだ短歌。
御所の砂利さりさり踏めば永遠と今のあわいに満月が照る
大森静佳
お気に入りの入選短歌
紙皿と重しにしていた割り箸がいっぺんに飛ぶ幸せですか
宮城県石巻市 岩倉曰
重力にひとつ残らず従ってポップコーンが床へと向かう
埼玉県鴻巣市 一戸詩帆
月影に重機が首を垂れている居酒屋だった更地が蒼(あお)い
岐阜県可児市 前川泰信
うっすらと下描きの線の残るごと昨日の君がきみに重なる
大阪府大阪市 栗本悦子
今読みたい愛の短歌
思い出は増えるというより重なってどのドアもどの鍵でも開く
鈴木晴香(はるか)
大森先生のポイントで改作!スケッチを工夫しよう
元歌
亀に亀重なり合って日を浴びて三重塔(さんじゅうのとう)のように動かず
下七七をそれぞれが詠みました。
亀に亀重なり合って日を浴びて二世帯住宅のように動かず
有森也実
亀に亀重なり合って日を浴びてトーテムポールのように動かず
宇垣美里
改作ポイント➀空気感をスケッチしよう。
日を浴びて重なり合った亀たちの三重塔のようなしずけさ
(見えない空気や雰囲気を意識すると奥行きが生まれる。)
改作ポイント②細部を描いて臨場感を出そう。
□□□亀の三重塔は水面にうつる
ぬんと伸びゆく長い首おはよう亀の三重塔は水面にうつる
有森也実
神託を待つ巫女の目は澄み切って亀の三重塔は水面にうつる
宇垣美里
それぞれの甲羅のふちを光らせて亀の三重塔は水面にうつる
大森静佳
(スケッチを工夫するには、一回きりの出会いを大事にしよう。)
一部分をフォーカスすることでより深い部分が表現できる。
一回きりの出会いを描き、その時間を描くことで
言いたい事をより濃厚に表現することができる。
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