2020年12月1日火曜日

NHK短歌 冬の増刊号(下)

恋話は最上の娯楽鴨の声
だぶついたマネー株へと集まらん
北颪(きたおろし)仕掛けられれば受けて立つ
憧れの理解は愚か隙間風
経験は日々スフマート冬ぬくし 

NHK短歌 より
またまた素敵な短歌が詠まれていたので…。

奥多摩ごと釣り上げようと糸垂らす川面頭上を鳶がまわる   小島なお

塩と焦げ炭の香りに紅鱒をまるかじりして大丹波の風   佐佐木頼綱
添削
炭の香にあぶら弾けて紅鱒をまるかじりして大丹波の風

竿高く飛ばして釣られニジマスの赤色に似た奥多摩の落ち葉   カン・ハンナ

木を彫れば木に彫られゆく心あり断面に手は吸い寄せられて   小島なお

杉板に描いたハートが糸ノコで潰れてゆくがそれも私だ   カン・ハンナ

猫たちのしっぽの形描き切る間伐材のそのあたたかき   佐佐木頼綱
添削
猫たちのしっぽの先まで描き終え間伐材のそのあたたかき

身体から身体へ渡る人形の身体からだは時間の鋳型   小島なお

伝承者と呼ばれて車人形を手繰る生徒の頬の桃色   佐佐木頼綱

小河内の日向景清一代記ろくろ車は進む令和を   小沢一敬

NHK短歌の選者をしておられる方々の本気は凄かった!
これくらい本気でないと駄目なんですね…。
私には絶対に足を踏み入れられない世界だと認識しました。
栗木京子先生の平常心で語られる薀蓄に魅了されました。

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