2019年11月28日木曜日

「様々な声を詠む」加藤楸邨

冬落暉 柔軟性の 日々落ちん
ルーティンを 念じ声とし 冬を舞う
冬日向 背に浴び爪を 切り揃え
不自由に なりし体の 冬めく日
病棟で 熱いたこ焼き 冬の夜

俳句さく咲く 
名句ミュージアム より 堀本裕樹先生の言葉 

テーマ 様々な声を詠む 加藤楸邨

木の葉ふりやまず いそぐな いそぐなよ 加藤楸邨

この句を読み上げて感じるのは、
その独特のリズムだと思います。
木の葉ふりやまずと8音を一息で詠むことで
冬の季語「木の葉」の散っていく様子が目に浮かびます
そして、いそぐなと四音で作者の声がきて、
いそぐなよと五音で畳みかけるように、
その呟きを重ねています。
木の葉に語り掛けるようでありながら、
自分自身にも言い聞かせているように感じますね。
実はこの句を作った時、作者は病に伏せていました。
散り急ぐ木の葉にいそぐなよと語りかけつつ、
自らの早期回復を願いながら焦る思いにも
いそぐないそぐなよと、
自分自身に言い聞かせているのです。
作者の切実でいて力強い
本当の心の声が胸に優しく響いてきます。
皆さんも様々な声や呟きを取り入れて
詠んでみてはいかがでしょうか?

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