2019年6月27日木曜日

山田五郎氏の価値観の変貌

生命の 循環を描く 溽暑かな
西日射す 装飾華美に 腰かけて 
旱星 啓蒙主義が 讃えられ
ジャポニズム 逆輸入され 価値を知る(無季句)
老いた目よ 星を探して 夏の来る

「インタビュー」より
山田五郎氏 曰く

「ローマでは、それまで自分を支えていた価値観を
 根底から揺さぶられました。ローマ立しょん事件です。
 イギリスの博物館は世界中から盗んできた泥棒倉庫だと
 イタリア人が言うと、イギリス人はあなたたちに
 任せていたら美術品が全部だめになっちゃうから
 私たちが保管して差し上げているんです。と…。
 実際、イギリス、オランダ、ドイツに行って実感しました。
 フランス、イタリア、スペインは本当にだめでした。
 強ち、あの博物館の学芸員ジョークも
 間違っていないとその時は痛感しました。
 ある日、ローマでジャン・ロレンツォ・ベルニーニの
 彫刻に酔っ払いが立ちしょんをしていたんです。
 私はそのおっさんに注意しました。
 こんな事だからイギリス人に馬鹿にされるんだ!
 と言うと、そのおっさん曰く、イギリス人は
 作れないからそういう事を言うんだ。
 俺たちはこんなのいくらでも作れるんだ。
 駄目になったら、また作ればいいんだ。
 イタリアには新しいベルニーニがいっぱいいるんだ。と…。
 私の胸にこの言葉は刺さりました。
 暮らしとしてどちらが豊かなんだろうと考えました。
 日常の中に当たり前のように美術品があり、
 壊れたらまた作ればいい。と言う考えと
 暮らしは質素でたまに博物館に美術品を
 見に行って教養が身につきました。と言うような生活…。
 どちらが豊かなんでしょうか?」

私が常々考えている事だったので
興味深く聞き入ってしまいました。
私は価格に関係なく好みのものに
囲まれた生活が送れたならと思っています。
現在はお気に入りの陶芸家の作品に
囲まれた生活をしています。
時々、陶器が欠けたりして悲しいことも
あるのですが、大事に使わせて貰うことで
豊かな人生を味わわせて貰っているような気がしています。

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