2026年8月1日土曜日

あの本、読みました?原田マハ

暑き日よ時の記憶が蘇り

塞がれて生まれくる夏の空間

足元を垂直に掘り夏に合う

夏の空どの絵もみんな堀文子

縦列の旋律放つ夏の夜

 

■あの本、読みました?

世界を旅した気分に浸れる本~NY・パリ・スイス~原田マハ

原田マハ 鈴木保奈美 山本倖千恵

 

「本日は、お日柄もよく」原田マハ著/徳間文庫

OL二ノ宮こと葉が、伝説のスピーチライター

久遠久美の祝辞に感動し弟子入りする物語。

 

旅行中の保奈美にオススメした本 ボストンからニューヨーク

The Modern モダン」原田マハ著/文春文庫

本を読んで旅に深みが 保奈美

森川麻美の出勤を通して描かれたニューヨークの朝の風景

 

鈴木保奈美の新作エッセイ「中途半端な旅人は語る」

 

マハはニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art、通称MoMA)に勤務 

森美術館からの派遣で半年間だった

 

The Modern モダン」の一文 原田マハ著/文春文庫

地下鉄Eラインに乗り、「五番街/五十三丁目」駅で降りる。

地上に出てすぐ目の前にあるドーナツスタンドで、

紙カップ入りの珈琲とドーナツを買う。

ドーナツをかじりながら、コーヒーで流し込んで、MoMAへと向かう。

スタッフ用入り口は六番街寄りにあるのだが、そこに到着するまでに

ドーナツとコーヒーの朝食は終わらせる。

スタッフ用入り口に設置してある大きなゴミ箱に、空になった紙カップを

投げこんで、エレベーターに乗り込む。

それが麻美のニューヨークでの朝食の「儀式」だった。

ニューヨーカーは、それが特権だとばかりに、朝、マンハッタンの

ストリートを早足で歩きながら紙カップのコーヒーを飲むのだ。

麻美も、意気揚々と真似をした。ドーナツスタンドやデリで売られている

コーヒーは、いったい誰がデザインしたものなのか、

皆同じ紙カップに入っていた。青地に白いギリシャの唐草模様と、

茶色の文字―We Are Happy To  Serve You.

喜んであなたにサービスいたします、と書かれたコーヒーカップで、

ミルクと砂糖のたっぷり入ったコーヒーを飲むのがニューヨーカーの

証しのように思われた。

ニューヨーク以外では見たことのない、決してうまいデザインとは

いえないこの紙カップが、麻美は好きだった。

最初は捨てるのに抵抗を感じたくらい、気に入っていた。

 

ニューヨークの朝のコーヒー

描写はリアル それをカッコ好いと思わせるニューヨーカー

 

「楽園のカンヴァス」の一文 原田マハ著/新潮文庫

車はやがてバーゼル市内に入った。バーゼルの市街地では

歴史的建造物が維持され、古いものは十四世紀から

そこにあるままだという。堅牢な石造りの建物の数々は、

町の風情を一層豊かなものにしている。

(中略)

夏の夕刻、バーゼル市街はまだ十分に明るい。徐々にオレンジ色が

増す空を映して、ライン川は滔々と流れている。

川岸にデッキチェアを出して、ワインを飲んで歓談する市民の

姿もちらほら見える。ティムと織絵を乗せたキャデラックが、

ライン川のほとりにたたずむ最高級ホテル「三人の王」の

正面入り口で停まった。ドアマンが後部座席のドアを開け、

ベルボーイがふたり、すっ飛んできた。入り口ではホテルの支配人、

ヨーゼフ・リヒャルがふたりを出迎えた。

(中略)

「夕食のご手配はいかがいたしましょう。当ホテルのレストランか、

あるいは市内のスイス料理店などのご予約も承りますが」

「私は何もいりません。今日はもう、休みたいので」

織絵が弱々しく笑って言った。

「私も…いや、私は、そうだな、橋の近く、ライン川沿いに魚料理の

店がありましたね。あそこで軽く食べようかな。

毎年、アートフェアの時期に立ち寄るんだ。

(中略)

「ああ『トロイメライ』ですね、あそこのフォレレ・ブラウは絶品ですよ。

お時間はいかがいたしましょう」「では八時に」

 

アートの街・バーゼル

最高級ホテルで破産宣告!?

絶品フォレレ・ブラウ

 

「ジヴェルニーの食卓」原田マハ著/集英社文庫

モネ・マティス・ドガ・セザンヌ。4人の印象派の巨匠たちの、

創作の秘密と人生を鮮やかに切り取った短編集。

ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けた

クロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。

制作を続けた彼の眼には何が映っていたのか。

 

「ジヴェルニーの食卓」の一文 原田マハ著/集英社文庫

高さ五メートルほどの天井にはめこまれたガラスの窓からは

早春の淡い陽光が降り注ぎ、室内を白々と照らしている。

アトリエの壁三面には横三、四メートルもあるカンヴァスを

複数枚連ねて描かれた作品が二点、設置されていた。

いま、まさにモネが描き進めている「装飾壁画」、

睡蓮の池を描いた連作である。ひとつの作品は、真昼の池。

鏡のように青く澄み渡り、さかさまの白い雲を映して静まり返る水面。

ところどころにぽつぽつと浮かぶ水連は、空のただなかに花開き、

かすかに呼吸しているかのようだ。もうひとつは、二本のしだれ柳が

並ぶ池のほとり。ごくささやかな風が、長く伸びた柳の枝葉を

揺らして、いましも通り過ぎていくようだ。睡蓮の花々も、

微風を受けようと可憐な白い顔を上げている。

湿気を帯びたやわらかな空気と水のにおい。

漣の上でぴちぴちとはねる光。遠く草原を渡って、

たったいまこの池にたどりついた六月の風。

 

クロード・モネは父親? ファンからの反響 情景描写で意識している事

メモは書き留めない

 

アコヤ貝の外套膜と貝殻を丸く削って作った「核」を

アコヤ貝の体内に移植する作業

「全てが円くなるように」の一文 原田マハ著/幻冬舎
リタと私は海咲さんの肩越しに、その神秘的な作業をじっくりと見た。

作業台の上にあるスタンドにアコヤ貝が固定されている。

少し広げられた口に編針のようなスティックで慎重にピースを載せた

核を入れる。
(
中略)

核入れを完了した貝は湾に戻され、それから二年ほどかけて貝の内部で

真珠が作られる。―ということだった。

作業の様子は「移植手術」そのもので手先の勘も重要なのだろうとわかった。

(中略)

しかしながら海の中で育てられ、貝自体が自発的に真珠を作るのだから、

養殖ではあっても天然の真珠と科学的には変わりはない。

ここへ来るまでに、リタも私も関連書類やネットで調べて、

真珠の形成についてはひと通り頭に入れてきたつもりだったが、

実際に養殖の現場に立ち会ってみると、何か神聖な場面を

目撃したような心持ちになった。

パソコンもスマホもいかなる電子機器もこの場所にはなかった。

青い海と小高い丘と清々しい青空を背景に、素朴な学び舎の

ごとき建屋で、職人たちがひとつひとつていねいに貝を取り上げ、

黙々と手を動かしている。自然の営みと人の手仕事がひとつになって、

あの美しい真珠をこの世にもたらしているのだ。

 

神秘の作業 真珠養殖

作中に海女さんが登場

 

「全てが円くなるように」の一文 原田マハ著/幻冬舎

海の申し子のごとき女性たちと、思いがけずににぎやかな女子会となった。

波留子さんはアワビや岩牡蠣、市場で予約して買ってきたという

伊勢海老までをクーラーボックスから取り出して、私たちの歓声を誘った。

渚さんと海咲さんがそちらを炭火コンロで焼いて、忙しくビールを注いだり

日本酒を開栓したり、精一杯私たちをもてなしてくれた。

パチパチはぜる炭火の上で、アワビと牡蠣がジュージューと音を立てる。

香ばしい磯の香りが部屋いっぱいに漂う。

リタは牡蠣の殻に溜まった焼き汁を吸い上げて、「ほんっとに、最高!」

と何度も口にした。「わたしはなあ、アワビでも牡蠣でもアコヤ貝でも、

貝がかわゆうてかわゆうて。貝はなあ、海からの贈りものなんよ」

ほんのり酔いの回った目をして、波留子さんが言った。

「貝は、私らの人生の一部なんや」「もう。お母さん、大げさやで」

渚さんが笑った。それから、言い添えた。

「人生の一部とちゃうやん。人生の全部やに」

 

タイトルに込めた思い

 

原作・脚本・監督 映画を作った

「無用の人」

50歳の美術館学芸員・聡美の物語。

亡き父から誕生日に届いた荷物をきっかけに父の晩年の姿や

自身への深い愛情を知る。

 

「キネマの神様」原田マハ著/文春文庫

お蔵入りになっていた脚本の発見をきっかけに、ギャンブル漬けの

ダメ親父が映画への情熱を取り戻し、家族と共に再生していく物語。

 

映画の原体験は「男はつらいよ」

文章と映像の違い 原田マハさんは展開型

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