2022年3月28日月曜日

旅して短歌クラブ

亀鳴くや嘘と妄想紙一重
ゆきやなぎ茶室の前をうずくまり
山椿ふたりして松風を聞く
永楽家今に土風炉(どぶろ)を風光る
春の風路地を歩きて敷松葉(しきまつば)

旅して短歌クラブ より
判定 栗木京子

テーマ 氷柱
あしがくぼ氷でできた雲海が若き2人を照らし出す朝
カン・ハンナ
青空の秩父に咲いた氷柱は寒さ乗り越え兵の沢に帰す
本髙克樹 添削
空の下青く輝く氷柱は春になったら沢へと還る
くぼみから木をかけ登る沢の水秩父の風が冷え固めてゆく
矢花黎(れい) 添削
くぼみから木をかけ登る沢の水秩父の風が凍らせている

テーマ わらじかつ丼
見下ろせば秩父盆地が笑ってるわらじかつ丼かき込む我を
カン・ハンナ
しょうゆ味衣に沁み込むワラジカツ1.5枚は食べられたのに
矢花黎 添削
しょうゆ味衣に沁み込むワラジカツ1枚だったら食べられたのに
わらじかついたはずの容器眺めては歯の隙に潜むかけらをなぞる
本髙克樹 添削
わらじかつ誰より早く食べ終えて歯の隙に潜むかけらをなぞる

短歌対決 第1戦 テーマ 動物
4位
鐘が鳴り走り始めるモルモット慌てなくていい自分のペースで
矢花黎 添削
鐘が鳴り走り始めるモルモット背中もこもこ自分のペースで
3位
宝登山で出会ったうさぎ三倍の長さの耳を右に傾け
本髙克樹 添削
宝登山のうさぎは僕の三倍の長さの耳を右に傾け
2位
芋めがけ肩でぶつかり合いながら雄叫び高く宝登山の猿
小島よしお 添削
芋めがけ肩でぶつかり合いながらラガーモンキー宝登山の猿
1位
五線紙の格子から口をつきだした子ヤギの角はヘ音記号だ
小沢一敬

短歌対決 第2戦 テーマ 長瀞
3位
こたつ舟午前十時の陽が差して上りは眩しく下りは優しい
小沢一敬
4位
長瀞の底から現れ鎮座した象岩の鼻の皺の深さよ
小島よしお 添削
長瀞の遥か底から現れた象岩の鼻の皺の深さよ
2位
長瀞の日差しを浴びて船頭がガラスの川を割りながらゆく
本髙克樹 
1位
鉄分が朱く染み出た岩畳七千万の時を重ねて
矢花黎

短歌対決 第3戦 テーマ 伝統
2位
今もなお修行の身だと足を踏む俺が最後の秩父の機屋(はたや)
矢花黎
3位
片時も織機の筬(おさ)を離さない昭和平成令和を超えて
本髙克樹 添削
片時も織機の筬を離さない七十年の波いくつ超え
3位 
新井さんの祈りをこめて杼(ひ)が運ぶ玉虫色の秩父銘仙
小島よしお 添削
新井さんの祈りをこめて杼(ひ)が運ぶ秩父銘仙玉虫の光
1位
縦糸が描く模様の花咲いて秩父の街に機(はた)の音がする
小沢一敬

矢花黎君と本髙克樹君には期待大。
懸命な姿に好感を持ちました。
真摯に取り組んでくださいね。

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