2022年3月30日水曜日

究極の短歌・俳句100選

■完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選
冒頭句
桜花ちりぬる風のなごりには水なき空に浪ぞたちける
閑(しずけさ)や岩にしみ入蝉の声

◆短歌 渡部泰明 栗木京子 穂村弘

熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出な
 額田王・飛鳥

2ささなみの志賀の唐崎幸(さき)くあれど大宮人の船待ちかねつ
 柿本人麻呂・飛鳥

3世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば
 山上憶良(やまのうへのおくら)・奈良

4うらうらに照れる春日(はるひ)に雲雀上がり情(こころ)悲しもひとりし思へば
 大伴家持・奈良

5月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
 在原業平・平安

6思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを
 小野小町・平安

7桜花散りぬる風のなごりには水なき空に浪ぞ立ちける
 紀貫之・平安

8黒髪の乱れも知らずうち臥せばまづかきやりし人ぞ恋しき
 和泉式部・平安

9年たけてまたこゆべしと思ひきや命なりけり佐夜の中山
 西行・平安
10玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする
 式子内親王(しょくしないしんのう)・鎌倉

11 夕されば野辺の秋風身にしみて鶉(うづら)鳴くなり深草(ふかくさ)の里
 藤原俊成・鎌倉

12春の夜の夢の浮橋と絶えして 峰にわかるる横雲の空
 藤原定家・鎌倉

13ながめつつ思ふも寂しひさかたの月の都の明け方の空
 藤原家隆(ふじわらのいえたか)・鎌倉

14箱根路をわれこえくれば伊豆のうみや 沖の小島に波の寄る見ゆ
 源実朝・鎌倉

15花の上にしばしうつろふ夕づく日入るともなしに影消えにけり
 永福門院(えいふくもんいん)・鎌倉

16霞立つ長き春日を子供らと手毬つきつつこの日暮らしつ
 良寛・江戸

17たのしみはまれに魚烹(に)て児等皆がうましうましといひて食ふ時
 橘曙覧(たちばなあけみ)・江戸

18春みじかし何に不滅の命ぞとちからある乳(ち)を手にさぐらせぬ
 与謝野晶子・明治

19馬追虫(うまおい)の髭のそよろに来る秋はまなこを閉じて想ひみるべし
 長塚節(たかし)・明治

20後世(ごせ)は猶(なお)今生(こんじゃう)だにも願はざるわがふところにさくら来て散る
 山川登美子・明治 選 風間俊介

白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
 若山牧水・明治

22不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心
 石川啄木・明治

君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ
 北原白秋・明治

24のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり
 斎藤茂吉・大正

25人も馬も道ゆきつかれ死にゝけり。旅寝かさなるほどのかそけさ
 釈迢空(しゃくちょうくう 本名 折口信夫 民族学者)

26濁流だ濁流だと叫ぶ流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ
 齋藤史・昭和戦前

27たちまちに君の姿を霧とざしある楽章をわれは思ひき
 近藤芳美・昭和戦前

28春がすみいよよ濃くなる真昼間のなにも見えねば大和と思へ.
 前川佐美雄・昭和戦前

29軍衣袴も銃も剣も差上げて暁渉る河の名を知らず
 宮柊二・昭和戦前

30早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ
 葛原妙子・昭和戦後

31灼きつくす口づけさへも目をあけてうけたる我をかなしみ給へ
 中城ふみ子・昭和戦後

32かたはらにおく幻の椅子一つあくがれて待つ夜もなし今は
 大西民子・昭和戦後

33マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
 寺山修司・昭和戦後

34大空の斬首ののちの静もりか没(お)ちし日輪がのこすむらさき
 春日井建・昭和戦後

35夕闇にまぎれて村に近づけば盗賊のごとくわれは華やぐ
 前登志夫・昭和戦後

36たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか
 河野裕子・昭和戦後

37あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ
 小野茂樹・昭和戦後

38馬を洗はば馬のたましひ冱(さ)ゆるまで人恋はば人あやむるこころ
 塚本邦雄・昭和戦後

39冬の日の眼に満つる海あるときは一つの波に海はかくるる
 佐藤佐太郎・昭和戦後

40催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり
 道浦母都子(みちうらもとこ)・昭和戦後

41白き霧ながるる夜の草の園に自転車はほそきつばさ濡れたり
 高野公彦・昭和戦後

42夜半(よわ)さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん
 馬場あき子・昭和戦後

43観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(いちよ)
 栗木京子・昭和戦後

44人に語ることならねども混葬の火中にひらきゆきしてのひら
 竹山広・昭和戦後

45手をだせばとりこになるぞさらば手を、近江大津のはるのあはゆき
 岡井隆・昭和戦後

46寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさようなら
 俵万智・昭和戦後

47のぼり坂のペダル踏みつつ子は叫ぶ「まっすぐ?」、そうだ、どんどんのぼれ
 佐佐木幸綱・昭和戦後

48サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい
 穂村弘・平成

49昭和天皇雨師(うし)としはふりひえびえとわがうちの天皇制ほろびたり
 山中智恵子・平成

50ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり
 永井陽子・平成

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◆俳句 復本一郎 宇多喜代子 岸本尚毅

1古池や蛙飛こむ水のをと   松尾芭蕉・江戸

2閑(しずか)さや岩にしみ入蝉の声   松尾芭蕉・江戸
 (元歌 山寺や石にいみつく蝉の声)

3荒海や佐渡によこたふ天河(あまのがわ)   松尾芭蕉・江戸

4竹の子や児(ちご)の歯ぐきの美しき   服部嵐雪(らいせつ)・江戸

5ながながと川一筋や雪の原   野沢凡兆(ぼんちょう)

6うずくまる薬の下(もと)の寒さ哉   内藤丈草・江戸

7おほた子に髪なぶらるゝ暑さ哉   斯波園女(しばそのめ)・江戸

8我が寝たを首上げて見る寒さ哉   小西来山・江戸

9によつぽりと秋の空なる不尽(ふじ)の山   上島鬼貫(おにつら)・江戸

10春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな   与謝蕪村・江戸

11さうぶ湯やさうぶ寄りくる乳(ち)のあたり   加舎白雄(かやしらお)・江戸

12ふらここの会釈こぼるゝや高みより   炭太祇(たんたいぎ)・江戸

13雪とけて村一ぱいの子ども哉   小林一茶・江戸

14柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺   正岡子規・明治

糸瓜咲て(へちまさいて)痰のつまりし仏かな   正岡子規・明治
 (正岡子規辞世の句、亡くなる二日前に詠まれた。)

16赤い椿白い椿と落ちにけり   河東碧梧桐・明治

17遠山に日のあたりたる枯野かな   高浜虚子・明治

18秋風や模様のちがふ皿二つ   原石鼎(はらせきてい)・大正

19木がらしや目刺しにのこる海のいろ   芥川龍之介・大正

20足袋つぐやノラともならず教師妻   杉田久女・大正
 (宇多喜代子先生の感想に拍手喝采!素晴らしい解釈だと思いました。)

21滝の上に水現れて落ちにけり   後藤夜半・昭和戦前

22くろがねの秋の風鈴鳴りにけり   飯田蛇笏・昭和戦前

23雪解川(ゆきげがわ)名山けづる響かな   前田普羅(ふら)・昭和戦前

24金剛の露ひとつぶや石の上   川端茅舎(ぼうしゃ)・昭和戦前

25降る雪や明治は遠くなりにけり   中村草田男・昭和戦前
 (獺祭忌明治は遠くなりにけり 志賀芥子(カイシ)が先に詠んでいます。
  獺祭忌とは正岡子規の忌日。)

26夏痩せて嫌(きら)ひなものは嫌ひなり   三橋鷹女(たかじょ)・昭和戦前

27頭の中で白い夏野となつてゐる   高屋窓秋(たかやそうしゅう)・昭和戦前

28算術の少年しのび泣けり夏   西東三鬼(さいとうさんき)・昭和戦前

29咳の子のなぞなぞあそびきりもなや   中村汀女(ていじょ)・昭和戦前

30苺ジャム男子はこれを食ふ可(べか)らず   竹下しづの女(じょ)・昭和戦前

31囀(さえずり)をこぼさじと抱く大樹かな   星野立子・昭和戦前
 選 ヤマザキマリ

32戦争が廊下の奥に立つてゐた   渡邊白泉(はくせん)・昭和戦前

33すべなし地に置けば子にむらがる蝿   松尾あつゆき・昭和戦後

34爛々(らんらん)と昼の星見え菌(きのこ)生え   高浜虚子・昭和戦後

35方丈の大庇(おおびさし)より春の蝶   高野素十(すじゅう)・昭和戦後

36蝿とんでくるや箪笥の角よけて   京極杞陽(きよう)・昭和戦後
 (ががんぼのタップダンスの足折れて 俳句ではなく川柳であると復本一郎氏)

37七夕竹(たなばただけ)惜命(しゃくみょう)の文字隠れなし   石田波郷・昭和戦後

38水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首   阿波野青畝(せいほ)・昭和戦後

39見えぬ眼の方の眼鏡の玉も拭く   日野草城(そうじょう)・昭和戦後

40滝落ちて群青世界とどろけり   水原秋桜子(しゅうおうし)・昭和戦後

41落葉松はいつめざめても雪降りをり   加藤楸邨(しゅうそん)・昭和戦後

42鉛筆の遺書ならば忘れ易(やす)からむ   林田紀音夫(きねお)・昭和戦後

43彎曲(わんきょく)し火傷(かしょう)し爆心地のマラソン   金子兜太・昭和戦後

44湯豆腐やいのちのはてのうすあかり   久保田万太郎・昭和戦後

45泥鰌(どじょう)浮いて鯰(なまず)も居るというて沈む   永田耕衣(こうい)・昭和戦後

46一月の川一月の谷の中   飯田龍太・昭和戦後

47木にのぼりあざやかあざやかアフリカなど   阿部完市・昭和戦後

48チューリップ花びら外れかけてをり   波多野爽波・平成

49たてよこに富士伸びてゐる夏野かな   桂信子・平成

50石段のはじめは地べた秋祭   三橋敏雄・平成

https://www.nhk.jp/p/tankahaiku100/ts/L8R11WY878/blog/bl/p9eo1jwb1l/bp/pKaAaOOVnK/

風間俊介さん&ヤマザキマリさん 
素晴らしい解釈をお聞かせくださり感動しました。
宇多喜代子先生の講釈に耳を欹てる私がいました。
何度も涙が零れ落ちました。
ありがとうございました。


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