雪解けよ抑えきれない情動よ
三月や情動呼吸に包まれて
春の霙(みぞれ)随意呼吸に差配され
啓蟄や悲しみなんて無視しちゃえ
涅槃雪不安の中へダイビング
NHK短歌 題「前・後」
選者 大森静佳 ゲスト 伊藤亜紗(美学者) 司会 有森也実
冒頭の短歌
生前という涼しき時間の奥にいてあなたの髪を乾かすあそび
大森静佳
伊藤亜紗女史へプレゼント
偶然の時間を生きる草花を素描して手は明るくなりぬ
大森静佳
(コロナ禍でデッサンした植物たちへ)
今回のお気に入り
最後まで蛍光色に塗られないもっとも無駄な文でありたい
埼玉県鴻巣市一戸詩帆
前向きにならなくて良し咲くすずらんの白き音階
東京都足立区 鏡綾子
いいよって言葉は嫌い目の前に段差をつけ足されたみたいで
東京都世田谷区 川上真央
青空へ身を放ちたる鞦韆は前へ後ろへ宙を動かす
東京都世田谷区 長谷川瞳
後ろ手に蝶々結びをするときに少女と老女のわれが重なる
神奈川県横浜市 久藤さえ
1年間、私とは重なるところのない
選者だと思っていたのですが
今回、初めてお気に入りの句がありました。
良かった…。
今読みたい愛の歌
友の子のひとりにひとつ名前あり日照雨のように名前降りくる
小島なお
大森先生のポイントで改作!
テーマ 比喩を生かし切ろう
元歌
前髪は衣装か鎧か切りすぎた十四の少女は部屋より出でず
改作ポイント①
比喩はひとつにしよう
選者の改作
前髪は鎧だろうか切りすぎた十四の少女は部屋より出でず
ポイント解説
比喩はひとつで主役になる
歌のイメージはすっきり伝えよう
改作ポイント②
比喩を発展させよう
選者の改作
○○○○〇鎧でありし前髪を切りすぎて娘(こ)は部屋にこもりぬ
眼差しの鎧でありし前髪を切りすぎて娘は部屋にこもりぬ
有森也実
風受ける鎧でありし前髪を切りすぎて娘は部屋にこもりぬ
伊藤亜紗
やわらかな鎧でありし前髪を切りすぎて娘は部屋にこもりぬ
大森静佳
ポイントの解説
比喩するもの(前髪)を生かしてみる
鎧=硬い ⇔ 前髪=やわらかい
動詞で少女の心を伝える
出でず⇒こもりぬ
今日のメッセージ
比喩を生かし切るには心を反映させよう
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