2022年3月31日木曜日

題「庭」

余裕もち質素な空きへ春の夕
通い合う心と心日永かな
鉢の梅日々おもてなし淡々と
コロナ禍の不安と怯え温む沼
床の間へ花をあしらい春の風

NHK短歌 題「庭」
選者 佐伯裕子 司会 小沢一敬 メンバー 井戸田潤

ポイント①
時間の経過を詠む

庭先の凌霄花(のうせんかずら)の下くぐりけった(自転車)で出かける書道教室
井戸田潤 添削
庭先の凌霄花の下くぐりけったで出かけた書道教室

十二月むしった草の袋持ち夜行く姿を喜ぶ子供
小沢一敬 添削
十二月むしった草の袋持ち聖夜を行けば喜ぶ子供

今回のお気に入り
雑草が庭に広がるスピードで参考書から生えてく付箋
東京都新宿区 岡部颯馬
この街は俺の庭だとうそぶいて今日もきままにひとりさまよう
神奈川県横浜市 成田幸平
園庭に散る幼子を回収す吾は老練の鷹匠となり
京都府京都市 神守彩枝
手つかずの雪景色からスコップで昨日の庭を探し出す朝
千葉県君津市 八号坂唯一

ポイント②
自宅以外の庭を詠む

日曜の校庭からんと陽に照りて滴る蛇口の下に馬穴(ばけつ)
河野裕子

玄関から納屋に繋がる真ん中で睨みをきかすドーベルマン
井戸田潤 添削
玄関から納屋に繋がる裏庭睨みをきかすドーベルマン

もろこしを並んで食べた縁側に涼しい風を吹くまで待つ盆
小沢一敬 添削
もろこしを並んで食べた縁側に涼しい風を待つ盆の暮れ

ランドセル背負って見上げた庭口の信楽狸はいまだ鎮座す
井戸田潤 添削
ランドセル背負って見上げた庭口の信楽狸は今も鎮座す

鉄の棒突ついて燃やす日々のゴミ楽しげな父の冬の休日
小沢一敬 添削
日々のゴミ突ついて燃やす鉄の棒楽しげな父の冬の休日

2022年3月30日水曜日

究極の短歌・俳句100選

■完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選
冒頭句
桜花ちりぬる風のなごりには水なき空に浪ぞたちける
閑(しずけさ)や岩にしみ入蝉の声

◆短歌 渡部泰明 栗木京子 穂村弘

熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出な
 額田王・飛鳥

2ささなみの志賀の唐崎幸(さき)くあれど大宮人の船待ちかねつ
 柿本人麻呂・飛鳥

3世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば
 山上憶良(やまのうへのおくら)・奈良

4うらうらに照れる春日(はるひ)に雲雀上がり情(こころ)悲しもひとりし思へば
 大伴家持・奈良

5月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
 在原業平・平安

6思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを
 小野小町・平安

7桜花散りぬる風のなごりには水なき空に浪ぞ立ちける
 紀貫之・平安

8黒髪の乱れも知らずうち臥せばまづかきやりし人ぞ恋しき
 和泉式部・平安

9年たけてまたこゆべしと思ひきや命なりけり佐夜の中山
 西行・平安
10玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする
 式子内親王(しょくしないしんのう)・鎌倉

11 夕されば野辺の秋風身にしみて鶉(うづら)鳴くなり深草(ふかくさ)の里
 藤原俊成・鎌倉

12春の夜の夢の浮橋と絶えして 峰にわかるる横雲の空
 藤原定家・鎌倉

13ながめつつ思ふも寂しひさかたの月の都の明け方の空
 藤原家隆(ふじわらのいえたか)・鎌倉

14箱根路をわれこえくれば伊豆のうみや 沖の小島に波の寄る見ゆ
 源実朝・鎌倉

15花の上にしばしうつろふ夕づく日入るともなしに影消えにけり
 永福門院(えいふくもんいん)・鎌倉

16霞立つ長き春日を子供らと手毬つきつつこの日暮らしつ
 良寛・江戸

17たのしみはまれに魚烹(に)て児等皆がうましうましといひて食ふ時
 橘曙覧(たちばなあけみ)・江戸

18春みじかし何に不滅の命ぞとちからある乳(ち)を手にさぐらせぬ
 与謝野晶子・明治

19馬追虫(うまおい)の髭のそよろに来る秋はまなこを閉じて想ひみるべし
 長塚節(たかし)・明治

20後世(ごせ)は猶(なお)今生(こんじゃう)だにも願はざるわがふところにさくら来て散る
 山川登美子・明治 選 風間俊介

白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
 若山牧水・明治

22不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心
 石川啄木・明治

君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ
 北原白秋・明治

24のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり
 斎藤茂吉・大正

25人も馬も道ゆきつかれ死にゝけり。旅寝かさなるほどのかそけさ
 釈迢空(しゃくちょうくう 本名 折口信夫 民族学者)

26濁流だ濁流だと叫ぶ流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ
 齋藤史・昭和戦前

27たちまちに君の姿を霧とざしある楽章をわれは思ひき
 近藤芳美・昭和戦前

28春がすみいよよ濃くなる真昼間のなにも見えねば大和と思へ.
 前川佐美雄・昭和戦前

29軍衣袴も銃も剣も差上げて暁渉る河の名を知らず
 宮柊二・昭和戦前

30早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ
 葛原妙子・昭和戦後

31灼きつくす口づけさへも目をあけてうけたる我をかなしみ給へ
 中城ふみ子・昭和戦後

32かたはらにおく幻の椅子一つあくがれて待つ夜もなし今は
 大西民子・昭和戦後

33マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
 寺山修司・昭和戦後

34大空の斬首ののちの静もりか没(お)ちし日輪がのこすむらさき
 春日井建・昭和戦後

35夕闇にまぎれて村に近づけば盗賊のごとくわれは華やぐ
 前登志夫・昭和戦後

36たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか
 河野裕子・昭和戦後

37あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ
 小野茂樹・昭和戦後

38馬を洗はば馬のたましひ冱(さ)ゆるまで人恋はば人あやむるこころ
 塚本邦雄・昭和戦後

39冬の日の眼に満つる海あるときは一つの波に海はかくるる
 佐藤佐太郎・昭和戦後

40催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり
 道浦母都子(みちうらもとこ)・昭和戦後

41白き霧ながるる夜の草の園に自転車はほそきつばさ濡れたり
 高野公彦・昭和戦後

42夜半(よわ)さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん
 馬場あき子・昭和戦後

43観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(いちよ)
 栗木京子・昭和戦後

44人に語ることならねども混葬の火中にひらきゆきしてのひら
 竹山広・昭和戦後

45手をだせばとりこになるぞさらば手を、近江大津のはるのあはゆき
 岡井隆・昭和戦後

46寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさようなら
 俵万智・昭和戦後

47のぼり坂のペダル踏みつつ子は叫ぶ「まっすぐ?」、そうだ、どんどんのぼれ
 佐佐木幸綱・昭和戦後

48サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい
 穂村弘・平成

49昭和天皇雨師(うし)としはふりひえびえとわがうちの天皇制ほろびたり
 山中智恵子・平成

50ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり
 永井陽子・平成

https://www.nhk.jp/p/tankahaiku100/ts/L8R11WY878/blog/bl/p0QNj2Z96e/bp/pJlzAZvagD/

◆俳句 復本一郎 宇多喜代子 岸本尚毅

1古池や蛙飛こむ水のをと   松尾芭蕉・江戸

2閑(しずか)さや岩にしみ入蝉の声   松尾芭蕉・江戸
 (元歌 山寺や石にいみつく蝉の声)

3荒海や佐渡によこたふ天河(あまのがわ)   松尾芭蕉・江戸

4竹の子や児(ちご)の歯ぐきの美しき   服部嵐雪(らいせつ)・江戸

5ながながと川一筋や雪の原   野沢凡兆(ぼんちょう)

6うずくまる薬の下(もと)の寒さ哉   内藤丈草・江戸

7おほた子に髪なぶらるゝ暑さ哉   斯波園女(しばそのめ)・江戸

8我が寝たを首上げて見る寒さ哉   小西来山・江戸

9によつぽりと秋の空なる不尽(ふじ)の山   上島鬼貫(おにつら)・江戸

10春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな   与謝蕪村・江戸

11さうぶ湯やさうぶ寄りくる乳(ち)のあたり   加舎白雄(かやしらお)・江戸

12ふらここの会釈こぼるゝや高みより   炭太祇(たんたいぎ)・江戸

13雪とけて村一ぱいの子ども哉   小林一茶・江戸

14柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺   正岡子規・明治

糸瓜咲て(へちまさいて)痰のつまりし仏かな   正岡子規・明治
 (正岡子規辞世の句、亡くなる二日前に詠まれた。)

16赤い椿白い椿と落ちにけり   河東碧梧桐・明治

17遠山に日のあたりたる枯野かな   高浜虚子・明治

18秋風や模様のちがふ皿二つ   原石鼎(はらせきてい)・大正

19木がらしや目刺しにのこる海のいろ   芥川龍之介・大正

20足袋つぐやノラともならず教師妻   杉田久女・大正
 (宇多喜代子先生の感想に拍手喝采!素晴らしい解釈だと思いました。)

21滝の上に水現れて落ちにけり   後藤夜半・昭和戦前

22くろがねの秋の風鈴鳴りにけり   飯田蛇笏・昭和戦前

23雪解川(ゆきげがわ)名山けづる響かな   前田普羅(ふら)・昭和戦前

24金剛の露ひとつぶや石の上   川端茅舎(ぼうしゃ)・昭和戦前

25降る雪や明治は遠くなりにけり   中村草田男・昭和戦前
 (獺祭忌明治は遠くなりにけり 志賀芥子(カイシ)が先に詠んでいます。
  獺祭忌とは正岡子規の忌日。)

26夏痩せて嫌(きら)ひなものは嫌ひなり   三橋鷹女(たかじょ)・昭和戦前

27頭の中で白い夏野となつてゐる   高屋窓秋(たかやそうしゅう)・昭和戦前

28算術の少年しのび泣けり夏   西東三鬼(さいとうさんき)・昭和戦前

29咳の子のなぞなぞあそびきりもなや   中村汀女(ていじょ)・昭和戦前

30苺ジャム男子はこれを食ふ可(べか)らず   竹下しづの女(じょ)・昭和戦前

31囀(さえずり)をこぼさじと抱く大樹かな   星野立子・昭和戦前
 選 ヤマザキマリ

32戦争が廊下の奥に立つてゐた   渡邊白泉(はくせん)・昭和戦前

33すべなし地に置けば子にむらがる蝿   松尾あつゆき・昭和戦後

34爛々(らんらん)と昼の星見え菌(きのこ)生え   高浜虚子・昭和戦後

35方丈の大庇(おおびさし)より春の蝶   高野素十(すじゅう)・昭和戦後

36蝿とんでくるや箪笥の角よけて   京極杞陽(きよう)・昭和戦後
 (ががんぼのタップダンスの足折れて 俳句ではなく川柳であると復本一郎氏)

37七夕竹(たなばただけ)惜命(しゃくみょう)の文字隠れなし   石田波郷・昭和戦後

38水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首   阿波野青畝(せいほ)・昭和戦後

39見えぬ眼の方の眼鏡の玉も拭く   日野草城(そうじょう)・昭和戦後

40滝落ちて群青世界とどろけり   水原秋桜子(しゅうおうし)・昭和戦後

41落葉松はいつめざめても雪降りをり   加藤楸邨(しゅうそん)・昭和戦後

42鉛筆の遺書ならば忘れ易(やす)からむ   林田紀音夫(きねお)・昭和戦後

43彎曲(わんきょく)し火傷(かしょう)し爆心地のマラソン   金子兜太・昭和戦後

44湯豆腐やいのちのはてのうすあかり   久保田万太郎・昭和戦後

45泥鰌(どじょう)浮いて鯰(なまず)も居るというて沈む   永田耕衣(こうい)・昭和戦後

46一月の川一月の谷の中   飯田龍太・昭和戦後

47木にのぼりあざやかあざやかアフリカなど   阿部完市・昭和戦後

48チューリップ花びら外れかけてをり   波多野爽波・平成

49たてよこに富士伸びてゐる夏野かな   桂信子・平成

50石段のはじめは地べた秋祭   三橋敏雄・平成

https://www.nhk.jp/p/tankahaiku100/ts/L8R11WY878/blog/bl/p9eo1jwb1l/bp/pKaAaOOVnK/

風間俊介さん&ヤマザキマリさん 
素晴らしい解釈をお聞かせくださり感動しました。
宇多喜代子先生の講釈に耳を欹てる私がいました。
何度も涙が零れ落ちました。
ありがとうございました。


名言 漱石・テンプル・カミュ

一服のお点前の咲く春薄暮
九杓のお濃茶練らん柳の芽
雪囲とる国焼きのうずくまり
鳥帰る旋回重ね鼓翼せん
春夕や緑のかほり聞きながら

夏目漱石 曰く
「あなたが今まく種はやがて、
 あなたの未来となって現れる。」

シャーリー・テンプル 曰く
「ただ存在しただけでなく、
 人生を生きた人物として記憶されたい。」

アルベール・カミュ 曰く
「人生の意味ばかり探している人は
 生きているとは言えない。」

2022年3月29日火曜日

兼題「桜餅」

春北風(はるきた)や風炉(ふろ)と向き合う人のをり
手捏(てづくね)の土風炉(どぶろ)光りて春あした
春の川セグロセキレイ前を見つ
のどかさや庭屋一如(ていおくいちにょ)鳥の声
藪椿距離を縮めて茶室かな

NHK俳句 兼題「桜餅」
顧問 櫂未知子 部長 塚地武雅 部員 櫻井紗季

宿題
塚地武雅
午後三時家族揃ひて桜餅
巴里からの荷物届きし春の夕
いとうまい子
ベランダの雀にぎやか水温む
陽炎や足踏み猫の喉が鳴る
田中要次
顔見せぬ楽屋見舞ひの桜餅
さへず(づ)りの主を探して窓の猫
横たはる猫の並びし菫かな
すすきのに人より高き雪残る

今回のお気に入り
桜餅傘さすほどのこともなし   田中土岐雄
みづうみをはなれぬ舟や桜餅   桜餅
川面よりひかりをもらふ桜餅   桜井教人

俳句、二歩目へ テーマ 小さな旅
桜餅ふたつあがなふ神楽坂   櫂未知子
(「あがなふ」とは買うということ。)

朧月薩摩切子で銘酒飯む   塚地武雅
白檀の香(かざ)かぎたるや春の雨   櫻井紗季

俳句ドリル 3月の課題 
長閑なり○○○○○○も□□□□も

長閑なり鳥鳴く声も波音も   塚地武雅
長閑なり竹の葉擦も鳴くこゑも   桜井紗季
長閑なり流るる雲もバス停も   いとうまい子
添削(長閑なり流るる雲も停車場も)
長閑なり古女房も愛猫も   田中要次
添削(長閑なりよき女房もよき猫も)
長閑なり母の寝息も父の背も   マネージャー
添削(長閑なり母の歩みも父の背も)

2022年3月28日月曜日

旅して短歌クラブ

亀鳴くや嘘と妄想紙一重
ゆきやなぎ茶室の前をうずくまり
山椿ふたりして松風を聞く
永楽家今に土風炉(どぶろ)を風光る
春の風路地を歩きて敷松葉(しきまつば)

旅して短歌クラブ より
判定 栗木京子

テーマ 氷柱
あしがくぼ氷でできた雲海が若き2人を照らし出す朝
カン・ハンナ
青空の秩父に咲いた氷柱は寒さ乗り越え兵の沢に帰す
本髙克樹 添削
空の下青く輝く氷柱は春になったら沢へと還る
くぼみから木をかけ登る沢の水秩父の風が冷え固めてゆく
矢花黎(れい) 添削
くぼみから木をかけ登る沢の水秩父の風が凍らせている

テーマ わらじかつ丼
見下ろせば秩父盆地が笑ってるわらじかつ丼かき込む我を
カン・ハンナ
しょうゆ味衣に沁み込むワラジカツ1.5枚は食べられたのに
矢花黎 添削
しょうゆ味衣に沁み込むワラジカツ1枚だったら食べられたのに
わらじかついたはずの容器眺めては歯の隙に潜むかけらをなぞる
本髙克樹 添削
わらじかつ誰より早く食べ終えて歯の隙に潜むかけらをなぞる

短歌対決 第1戦 テーマ 動物
4位
鐘が鳴り走り始めるモルモット慌てなくていい自分のペースで
矢花黎 添削
鐘が鳴り走り始めるモルモット背中もこもこ自分のペースで
3位
宝登山で出会ったうさぎ三倍の長さの耳を右に傾け
本髙克樹 添削
宝登山のうさぎは僕の三倍の長さの耳を右に傾け
2位
芋めがけ肩でぶつかり合いながら雄叫び高く宝登山の猿
小島よしお 添削
芋めがけ肩でぶつかり合いながらラガーモンキー宝登山の猿
1位
五線紙の格子から口をつきだした子ヤギの角はヘ音記号だ
小沢一敬

短歌対決 第2戦 テーマ 長瀞
3位
こたつ舟午前十時の陽が差して上りは眩しく下りは優しい
小沢一敬
4位
長瀞の底から現れ鎮座した象岩の鼻の皺の深さよ
小島よしお 添削
長瀞の遥か底から現れた象岩の鼻の皺の深さよ
2位
長瀞の日差しを浴びて船頭がガラスの川を割りながらゆく
本髙克樹 
1位
鉄分が朱く染み出た岩畳七千万の時を重ねて
矢花黎

短歌対決 第3戦 テーマ 伝統
2位
今もなお修行の身だと足を踏む俺が最後の秩父の機屋(はたや)
矢花黎
3位
片時も織機の筬(おさ)を離さない昭和平成令和を超えて
本髙克樹 添削
片時も織機の筬を離さない七十年の波いくつ超え
3位 
新井さんの祈りをこめて杼(ひ)が運ぶ玉虫色の秩父銘仙
小島よしお 添削
新井さんの祈りをこめて杼(ひ)が運ぶ秩父銘仙玉虫の光
1位
縦糸が描く模様の花咲いて秩父の街に機(はた)の音がする
小沢一敬

矢花黎君と本髙克樹君には期待大。
懸命な姿に好感を持ちました。
真摯に取り組んでくださいね。

2022年3月27日日曜日

鬱王の名前決定と名言

霾(つちふる)や今日も元気にピロリ菌
春の朝烏(からす)の羽音響きをり
春の草永劫回帰爆破さる
姫すみれその瞬間を切に生く
春の潮礁(いくり)あらわに波の花

■夏井いつき俳句チャンネル
【人生相談スピンオフ】鬱王に名前をつけてみる
なんとうる星やつらのラムちゃんに決まりました。
大雷雨ラムちゃんと会ふあさの夢

■名言
所ジョージ 曰く
「やってることが気楽になるような努力をするとね、
 どんどん楽しく暮らせるようになる。」

柴田 智昭 曰く
「まずは『質より量』。
 量をこなしてこそ
 初めて質が高められる。」

立川談志 曰く
「よく覚えとけ。
 現実は正解なんだ。
 時代が悪いの、世の中がおかしのいと
 云ったところで仕方ない。
 現実は事実だ。」

2022年3月26日土曜日

セルフレジで一句

山笑ふ誠実こそが正義です
(松本明慶氏)仏師からアーティストへと風光る
春の空口血まみれにトルティーヤ
春の野を鳥のごと飛ぶ戦闘機
吾の価値はまだありますか?春の月

プレバト纏め 2022年3月24日
セルフレジで一句

永世名人のお手本
東国原英夫
自動精算機なかでやにわに春祭
添削(「なかで」は説明的。「春祭」は強引な比喩。
   「やにわに」はいきなり、突然、直ちに、たちどころにという意味。)
自動精算機やにわに春吐く音

梅沢富美男
セルフレジだけのコンビニ花曇 
(「花曇」は桜が咲く頃の曇りがちな空。甘やかで美しい憂鬱。
 「だけの」でささやかな困惑、小さな困った気持ちが表現されている。
 花曇と響き合い想像させてくれている。)

1位 マヂカルラブリー・村上
ニラを手に持ってつれなしセルフレジ
添削(植物、生き物は季語として使う時は基本的には漢字使いとする。
   「もって」は捨て石になっている。)
を手に持ってつれなセルフレジ

2位 八嶋智人
非接触薫風に押されすすむ
添削(意味不明。句またがり且字足らずの破調。)
非接触のレジより薫風の空へ

3位 酒井美紀
セルフレジピッと奏でる燕かな
添削(「ピッと奏でる」は擬人化。
   「燕」は比喩。「 奏でる」は不要。
   「かな」という切れ字が効いてない。
   「燕」は春の季語、「子燕」は夏の季語。なのですが組長…。)
セルフレジピッと子つばめ親燕

4位 鈴木福
非接触いつになるやら雪の果
添削(「非接触が終わるのはいつになるのでしょうか」を読むべき。)
雪の果いつ非接触いつ終わる

次回は3時間スペシャル「春のタイトル戦」
お題は「ハプニング」

2022年3月25日金曜日

種選(たねえらび)

遺された思いは深く柳絮(りゅうじょ)飛ぶ
傷ついた檜舞台よ鐘霞む
後悔は人生のスパイス日永
こんにちはミモザの陰からジョウビタキ
何度目の仕切り直しか花菫

一分季語ウンチク 種選(たねえらび)
ジャンルでいえば人事・仲春の季語。

一年を通して農業に関する季語というのは
大変多いのですが、この「種選」も勿論
農業に関する季語です。
前の年に取り入れた籾(もみ)を塩水に入れて
選別用の籠で「種選」という作業を
行っていくということなのです。
歳時記の記述を読んでも私農業高校時代の
先生のお話しいただいた事を思い出しました。
この「種選」をする時に浮き上がってしまう
水の上の方に浮いてしまう籾は中がスカスカだから
それは省いて残ったいいやつを使いなさいと
先生に教えていただきました。
ちなみに小豆や大豆を「種選」する時には
お盆にのせて転がしその転がり具合によって
良い種かどうかを選ぶのだそうです。
人間の英知って凄いですね。

2022年3月24日木曜日

名言と赤尾兜子の句

今日も今日とてKeepSmileうらら
(清水寺)用と美の檜舞台や花開く
山桜舞台支える束柱
春を聞く緊張の中香満ちる
リコールは集団虐め春疾風

夏井いつき俳句チャンネル
【人生相談】「恵まれているのに、突然死にたくなる」そんなあなたにこの一句

大雷雨鬱王(うつおう)と会ふ朝の夢   赤尾兜子(とうし)

原因を見極め対応していかれては?
鬱王に可愛い名前をつけて付き合っていかれたは?
と、夏井いつき組長のアドバイスでした。

アンソニー・ロビンズ 曰く
「『口先だけの多数派』に対して、
 求めるものを明確にし、犠牲をいとわない人を
 『行動する少数派』と呼ぶ。」

オードリー・ヘップバーン 曰く
「死を前にしたとき、みじめな気持ちで
 人生を振り返らなくてはならないとしたら、
 いやな出来事や逃したチャンス、
 やり残したことばかりを思い出すとしたら、
 それはとても不幸なことだと思うの。」

L・A・セネカ 曰く
「自分で怒りを抑えるには、
 他人の怒る姿を静かに観察することである。」

2022年3月23日水曜日

題「前・後」

雪解けよ抑えきれない情動よ
三月や情動呼吸に包まれて
春の霙(みぞれ)随意呼吸に差配され
啓蟄や悲しみなんて無視しちゃえ
涅槃雪不安の中へダイビング

NHK短歌 題「前・後」
選者 大森静佳 ゲスト 伊藤亜紗(美学者) 司会 有森也実

冒頭の短歌
生前という涼しき時間の奥にいてあなたの髪を乾かすあそび   
大森静佳

伊藤亜紗女史へプレゼント
偶然の時間を生きる草花を素描して手は明るくなりぬ
大森静佳
(コロナ禍でデッサンした植物たちへ)

今回のお気に入り
最後まで蛍光色に塗られないもっとも無駄な文でありたい
埼玉県鴻巣市一戸詩帆
前向きにならなくて良し咲くすずらんの白き音階
東京都足立区 鏡綾子
いいよって言葉は嫌い目の前に段差をつけ足されたみたいで
東京都世田谷区 川上真央
青空へ身を放ちたる鞦韆は前へ後ろへ宙を動かす
東京都世田谷区 長谷川瞳
後ろ手に蝶々結びをするときに少女と老女のわれが重なる
神奈川県横浜市 久藤さえ

1年間、私とは重なるところのない
選者だと思っていたのですが
今回、初めてお気に入りの句がありました。
良かった…。

今読みたい愛の歌
友の子のひとりにひとつ名前あり日照雨のように名前降りくる
小島なお

大森先生のポイントで改作!
テーマ 比喩を生かし切ろう
元歌 
前髪は衣装か鎧か切りすぎた十四の少女は部屋より出でず

改作ポイント①
比喩はひとつにしよう
選者の改作
前髪は鎧だろうか切りすぎた十四の少女は部屋より出でず
ポイント解説
比喩はひとつで主役になる
歌のイメージはすっきり伝えよう

改作ポイント②
比喩を発展させよう
選者の改作
○○○○〇鎧でありし前髪を切りすぎて娘(こ)は部屋にこもりぬ

眼差しの鎧でありし前髪を切りすぎて娘は部屋にこもりぬ
有森也実
風受ける鎧でありし前髪を切りすぎて娘は部屋にこもりぬ
伊藤亜紗
やわらかな鎧でありし前髪を切りすぎて娘は部屋にこもりぬ
大森静佳

ポイントの解説
比喩するもの(前髪)を生かしてみる
鎧=硬い ⇔ 前髪=やわらかい
動詞で少女の心を伝える
出でず⇒こもりぬ

今日のメッセージ
比喩を生かし切るには心を反映させよう

2022年3月22日火曜日

名言と凡人ワードに挑戦

(渡辺省亭を詠む)
春の野邊(のべ)未完の蝶となりにけり   
春の野邊二羽の蝶々や未完成
春の野邊三羽の鳩のスリーD
春の野邊戯(たわむ)る蝶を追いかけて
絶筆に色の移ろい春の野邊

夏井いつき俳句チャンネル
【天才的な凡人句】これ以上の凡人句ある!?
『プレバト!!』総合演出 水野さんの一句

木漏れ日にふと気付く春無人駅   水野さん
プレバト!水野総合演出氏がTwitterに投稿!
この下には「凡人ワードにご注意を。」と
記しておられたとか…。

ここで凡人ハンバーガーに挑戦!
凡人ワードを4つ入れる。

母の背を偲べば秋の夕日燃ゆ   夏井いつき
少し舞う雪に故郷思い笑む   家藤正人

孫正義氏 曰く
「人生はドラマだ。
 悲劇なのか喜劇なのか。
 ただし面白いのは己の心構えで
 筋書きが途中から
 如何ようにでも変わる事だ。」

勝海舟 曰く
「上がった相場は、
 いつか下がる時があるし、
 下がった相場も、
 いつか上がる時があるもの。
 その間十年、焦らず屈んでおれば、
 道は必ず開ける。」

2022年3月21日月曜日

兼題「雛(ひな)」

春めくやう゛っと膨らむジョウビタキ
精悍に森を目指してジョウビタキ
三椏(みつまた)や違和感持ちた黄花かな 
新苗の三椏の花満開に   
はんなりと都をどりの幼顔

NHK俳句 兼題「雛(ひな)」
選者 岸本尚毅 ゲスト 金の国・桃沢健輔 司会 中田喜子 

冒頭の俳句
雛の間よ背広吊すも飯食ふも   岸本尚毅

俳句と想像力 季題「雛」
草の戸も住替る代ぞひなの家   芭蕉

今回のお気に入り
枕辺の薬リモコン紙雛   佐々木慈子
雛の間に子を丸々と育てけり   平田あい
炭鉱王浮名と雛を残しけり   村山佐夜子
(柳原白蓮のお相手だった伊藤伝右衛門を連想しました。)

岸本教官の添削道場
一寸の雛飾る男の書斎かな
添削(飾るはいらない。)
一寸の雛を男の書斎かな
一寸の雛や男の書斎にて

ブロカント母国の雛の笑みかすか   中田喜子
添削(ブロカントとは古道具市のこと。
   笑まふとはふわ~っとにっこりという意味。)
フランスの骨董市に笑(え)まふ雛

雛祭並べて冷やすビールかな   桃沢健輔
添削
缶ビール並べて冷やす雛祭

桃沢健介氏の深い読みに驚きました。
岸本尚毅先生にはもっと面白い句をご紹介くださると
思っていたのに残念でなりません。
中田喜子さん、これをばねに益々上を目指してくださいね。
でも算数の俳句は魅力がないように思います…。
人それぞれですが…。
岸本尚毅先生、中田喜子先生お疲れさまでした。

2022年3月20日日曜日

階段orエスカレーターで一句

春の空河津桜に眼白かな
おどおどとキクイタダキが歩く春
枯れた木々つぐみ怯えて春の雪
鵯(ヒヨドリ)と梅の共演さんざめく
オレンジの胸張る春のジョウビタキ

プレバト纏め 2022年3月17日
俳句タイトル戦 2022春光戦予選 C&Dブロック
階段orエスカレーターで一句

Cブロック
1位 村上健志
卒業や階段に階段の影
(階段と季語との接点。
 別れの切なさと未来と過去が表現させている。)

2位 千賀健永
静けさや一貫校の春休み
(静けさという抽象名詞をやで詠嘆。上五に難あり。)

3位 ミッツ・マングローブ
ダイヤ改正春恨の昇り降り
添削(春恨とは春の日にどことなく愁う。物思い。)
春恨の改正駆け上るホーム
春恨の改正2番ホーム鳴呼

4位 岩永徹也
初虹の窓辺プランター葬の鉢
添削(兼題の二者選択の意が汲み取れていない。)
プランター葬はつ虹の大きな窓
プランター葬を選べば春の虹

Dブロック
1位 森口瑤子
春愁をエスカレーター地下へ地下へ
(「を」の選択が見事。
リフレインも字余りも思い心が表現できている。)

2位 春風亭昇吉
春雷すストレッチャーを急かす駅
添削(「す」は詠嘆すべき。
    Sの音を韻を踏んだことが裏目に…。)
春雷ストレッチャーを急かす駅

3位 皆藤愛子
春帽子手に駆け上るあと5段
添削(間に合うか?否か?のニュアンスが欲しい。
   二択のイメージが欲しかった。)
発車ベルあと5段春帽子手に

敗者復活戦にて千原ジュニアが本戦へ
春光戦決戦のお題は「ハプニング」

2022年3月19日土曜日

山椒の皮とは

春の陽や蜂須賀桜ゆっさゆさ
蜂須賀桜春の雨にもこせつかず
蜂須賀桜今が盛りと熊谷寺
春菊の香るお椀や抱くよに
春の鳥花粉纏いて蜜を吸い

一分季語ウンチク 「山椒の皮」
山椒は植物の山椒なのですが、この「山椒の皮」は
ジャンルでいえば仲春の人事の季語となっています。
植物として扱われている訳ではないのです。
なぜ人事かというと、この「山椒の皮」は
料理であるということなのです。
別名「辛皮」とも言って山椒の木の皮を
10㎝程度の長さに切って櫛に刺してあるのだそうです。
それを佃煮のようにして食べる。
この料理の事を「辛皮煮(からかわに)」とも言って
京都鞍馬山の名物となっているのだそうです。
どんな味がするのだろうかと想像するばかりですが
お酒に映えそうな香気と匂いとピリリとした辛さ
そんなものが口の中に広がってきますね。

2022年3月18日金曜日

夏目雅子の俳句

春光や法服姿の地蔵菩薩
青き空藤を眺めん五尾の鯉
藤棚のゆるりと泳ぐ鯉と鯉
杉の花根元で栗鼠は嚙みこなし
(横山)大観の梅花に負けず梅薫る

夏井いつきの俳句チャンネル
人生相談スピンオフ~正人の結婚後の生活は?

結婚や夢の続きやひな祭り   夏目雅子

下五を変える事で大違い…。
結婚や夢の続きや隙間風
結婚や夢の続きや日向ぼこ

家藤正人さんは結婚九年目…。
夢の続き感より現実感が強過ぎるようです。
子供ができたらひな祭りなんて言ってられないとか…。
下五にいろんな言葉が入れられる
人生を送れることが幸せだよね。
と、組長は纏められたのでした。

2022年3月17日木曜日

サーチライト より

鍵握る長短金利(差)春の宵
生涯をキュビズムで生く風光る
艶を出し湯を継ぎたさん水温む
蕩けゆくお濃茶甘し山笑う
母の見た(岡崎)海岸を見る春の風

俳句はいま 神野紗季(俳人) 寄稿
西川火尖 第一句集「サーチライト」(文学の森)より

花を買ふ我が賞与でも買へる花を
非正規は非正規父となる冬も
何もいらないのに雪が降りにけり
自粛即棄(き)民の国の春惜しむ
いかのぼり広場の誰も彼も正気
子の問いに何度も虹と答へけり
芒にはならぬと何度も言はせるか
スパゲッティメジャー必ず小鳥来る
ふうせんのここからキケン未来です
おからだをつよくおひきください鮫(さめ)
草泊(くさとまり)みんな生きるのは初めて
葱と若布買って楽園まであるく
ういるす籠りの銀河系をごらん
苦瓜(ゴーヤー)の種とって詰め込む核兵器
無関心が呼ぶよ陽炎の火種

2022年3月16日水曜日

題「チーム(仲間)」

日本には春日信仰風光る
コロナよりインフレ怖し春嵐
我により祖先断捨離龍天に
太陽を日々待ちわびんよなぼこり
クリミアをテンプレートに春疾風

NHK短歌 題「チーム(仲間)」
選者 佐佐木頼綱 ゲスト 伊藤剛臣 
司会 星野真里 レギュラー カン・ハンナ

冒頭の短歌
我が明日をはじめるために合コンを終へた仲間で啜るラーメン
佐佐木頼綱 

今回のお気に入り
八人のオールが揃いしぶき上げチーム一丸漕ぎ出して行く
栃木県さくら市 青木一夫
(八人の男が揃い掴み合いチーム一丸前へ前へと 伊藤剛臣)
古文書の集いに初めて顔を出し古文書みたいな人たちに会う
群馬県館林市 長谷川清
(ラグビーの集いに初めて顔を出しラグビーみたいな人たちに会う 伊藤剛臣)
入浴の介助はすすむF1のピットクルーに似た素早しさで
千葉県千葉市 芍薬
春からチームを離れ散ってゆく銀杏並木に冬の訪れ
千葉県船橋市 片井俊二
派閥あることを知らない先生が「仲間」を連呼する運動会
兵庫県神戸市 野添まゆ子
残された家族が生きていくことでチームとなった旅立ちの朝
高知県高知市 古田知子

選者のお話 スポーツと日常
全身で聞くボールの音仲間の声信じ蹴り込む歓声よ湧け
葭(よし)原慈男
(信頼関係なくしてチームスポーツは成り立たない。)

頼綱さんの!短歌かかって来なさい!
短歌の題「伊藤剛臣」さん
キーワード「チーム」

💮頭からタックルしゆく百六十八回桜の勇士なり。見よ
佐佐木頼綱
笛なれば敵も味方もない世界いびつなカタチのボール弾んで
カン・ハンナ&星野真里

ついに勝ち負けに関係のない短歌をご披露くださいました。
やはり、勝ち負けの短歌は1年間ずっと苦手でした。
終わってくれてほっとしました。

2022年3月15日火曜日

兼題「摘草」

春の空歴史を語る石碑かな
語り部の描く歴史や春の闇
水温む主張しつつも響き合い
雁帰る当たり前こそ難しき
春茜DNAは消えるのみ

NHK俳句 兼題「摘草」
選者 阪西敦子 ゲスト 村雨辰剛(たつまさ) 司会 岸本葉子

冒頭の俳句
鳥声(ちょうせい)に水声(すいせい)に草摘み続く   阪西敦子

テーマ 季題あるがまま 摘草
「摘草」の名句紹介
摘草や空はしづかに時を食み   八田木枯
摘草の人また立ちて歩きけり   高野素十

今回のお気に入り
摘草や隣に人のゐるごとく   梅澤春雄
摘草のいつしか雲の中にゐる   村田一広
草摘みし夜(よ)の眼裏のうすみどり   真砂光子
摘草や手にしんなりと生きてをり   城内幸江

季題アップデート「摘草」
一口よ躯(く)は摘草の日に満ちて   阪西敦子

「日本の美的センスは自然由来のものが多い。
俳句も同じということを今日認識できました。
今後、日本庭園を見る目が変わりそうです。」
と、村雨辰剛さん。

2022年3月14日月曜日

兼題「桜鯛」

愛の限界宇宙の無限春意かな
春融や愛す喜びもう飽きた
ロシア人のキエフは京都春の長雨
ビー己(おのれ)エンジョイと記し挑む春
風車有事の金が現実へ

ギュッと!四国 夏井いつき俳句道場
兼題:桜鯛(さくらだい)

兼題の季語「桜鯛」とは、春の真鯛のこと。
四国では桜の時期、瀬戸内海沿岸に産卵のため集まってきて多く獲れる。

選句ポイントは桜鯛らしい めでたさと豪華さを詠まれているか否か?

ギュッと!特選
千秋楽終え桜鯛待つ席へ   はなぶさあきら

放送で詠まれた「秀作」
上京の前夜の椀(わん)の桜鯛   くぅ
長生きの褒美堂々さくらだい   野菊
信之は受かって桜鯛らしい   平良嘉列乙
杉香る箸に水引さくら鯛   三緒破小
食ひ初めの箸の螺鈿(らでん)や桜鯛   あずお玲子

私のお気に入りだった秀作
花嫁の名前読めない桜鯛   ギル
うろくづをはじく墨汁桜鯛   げばげば
朗報を静かに待つや桜鯛   ねじり花
海面は喝采めいて桜鯛    一斤染乃
桜鯛抗(あら)がふことも凄まじき   三泊みなと
柳刃の細く桜鯛のほのと   巴里乃嬬
結納の口上朗々桜鯛   柚木みゆき

NHK松山放送局さま ありがとうございました!
勉強になります…。感謝です…。
https://www.nhk.or.jp/matsuyama-blog/gyutto/haiku/

2022年3月13日日曜日

夏目雅子の俳句

春景色思ひ出にただ支えられ
春の朝同じ種ども花違ひけり
春景や銃をシャベルに変え植樹
風光る北京の空をゴリラ飛ぶ
春の夜愛よ宇宙よ無限なり

夏井いつき俳句チャンネル
【人生相談】勢いで人生を決めるのはどうでしょうか?

結婚は夢の続きやひな祭り   夏目雅子

夏井いつき組長は夏目雅子と同じ1957年生まれ。
加根兼光氏は松田優作氏と同じ1949年生まれ。
勢いで人生と決めて良いです。
大体の人は勢いが重なって人生を生きている。
下の句が変化していく人もいます。
例えば「隙間風」…。
一生懸命誠実に生きていたら
どこかで辻褄が合って来て
どこかで納得する日がやってきます。
勢いのない人生の方が
寂しい人生なのかもしれません。
明るく腹をくくって
この句を唱えて生きていきましょう。

2022年3月12日土曜日

春光戦予選

うららけしをちこち重ねど悔い多き
(アジール自由領域)月朧アサイラムへと逃れけり
永き日や五感を放ち指折らん
春重ね有象無象となりにけり
尾瀬沼の一人静や群れを舞う

プレバト纏め 2022年3月10日
俳句タイトル戦「春光戦」予選
ライスorパンで一句

Aブロック
1位 馬場典子
選ばざる道過(よぎ)る独活ほろ苦し
添削(独活という季語にはほろ苦いの向こうに清々しさがある。)
独活ほろ苦し選ばざりける道もまた

2位 千原ジュニア
トラクター祖父の膝乗る春休み
(この句の背後には「耕す」という季語が見えてくる。)

3位 松岡充
「where you go?」機窓に春の星あまた
(できている句。私はこの句が好きでした。)

4位 パックン
寒明のキャンプごはんはアルデンテ
添削(技が増えた。2つの季語を合体させ季重なりにしている。
   句またがりを習得した。)

Bブロック
1位 藤本敏史
公開録画当たった浅蜊開いた
添削(何の関係もない言葉を取り合わせることで
   言葉同士が花火を飛び散らせて詩が生まれる。
   それが俳句。日常のちょっとした幸せの二択の
   結果が蓄積されて人生は構成されていく。
   「あ」韻を踏むという工夫で一段高いところへ…。)
公開録画たった蜊口けた

2位 筒井真理子
春昼やこんどの人はパンが好き
(中七下五が素晴らしい。人生のドラマを幾つか想像出来る。)

3位 向井慧
春眠しパンで拭ったソース跡
(日常の些細なを書いても季語の力で詩となる事がある。
「春眠し」は別の季語に変える事でもっとよくなるのでは?)

4位 中田喜子
花追風(はなおいて)見知らぬ町の握りめし
添削(「花追風」は中田喜子さんの自作の季語。
   花追風とは花の香りをほのかに伝える風。
   中七が漠然としている。)
花追風吹いて三日の握りめし
花追風梅かこんぶか握りめし

2022年3月11日金曜日

河合薫と中村天風と山田洋次の言葉

白椿たらちねの背の凛として
柳絮(りゅうじょ)飛ぶ同じ重さを感じたく
春の夜や余白の中の巳を俯瞰
春の鷦鷯(みそさざい)居つきてふんばりて
椿落つ独りの時間向き合わん

河合薫 曰く
「9割は笑い飛ばし
 1割の出来事と
 正面から向き合おう!」

中村天風 曰く
「どんな名医や名薬といえども、
 楽しい、面白い、うれしい、というものに
 勝る効果は絶対にない。」

山田洋次 曰く
「自分が下手だということを知っている俳優は、
 何とかして高い目標に近づくべく懸命の努力をする。
 すると観客に伝わるんですね。
 そのめざしている高みが。」

2022年3月10日木曜日

朧月夜と名言

深き闇影へ影へと春の夜
掃き清む石に寄り添ふ春の草
避け切れず思わず声を春の泥
俯(うつむ)いて視線合わさず春の風
ゲルニカの続く地球や春遅し

■一分季語ウンチク 朧月夜
朧月は天文・三春の季語でした。
朧月夜は事項・三春の季語です。

朧月の方はかかっている月そのものを言うのに対して
朧月夜はその朧月が出ている周囲の光景も含めた
広い映像になってくるからです。
辺りに見えている山や川、そんな自然も
朧の月のもとにあるよと、全てが水を含んで
潤んでいる、そんな夜を指す季語なのです。

■忌野清志郎 曰く
「大人になると
 人生がつまんなくなっちゃうって思ってる方が、
 若者の中にもすごく多いと思うんですけど、
 そんなことはないです。」

■後藤清一 曰く
「やり直しも修正もできない過去の事が
 人の信用を左右するのなら
 いま現在に全力投球して
 これから黄金の過去をつくるほかない
 それがあなたの過去を黄金の過去に彩る
 唯一の方法なのだ。」

2022年3月9日水曜日

名言と椿の俳句

幻覚の中の優しさ春意かな
母の愛知らずに育ち朧月
(ギュスターヴ・モローへ)春の色感じるものを信じをり
カンバスの視点を変えた春の夜
夜にしか見えぬ闇あり春の燭(しょく)

■「彫刻家 ミケランジェロ」訳 森田義之
永きにわたる深求と試みの果て
死近くして
心の中の良き意想に
生きる像を与えることができる
高く新しい作品に達するのは
人生も残り少なくなってからなのだから

■夏井いつき俳句チャンネル
【いい、つばきの日】句会ライブの様子が一面に!

ベトナムの椿の肉の厚さかな   立花ばとん
赤い椿白い椿とおちにけり   河東碧梧桐
つばきつばき寂しい病で死ぬ椿   夏井いつき
乱切りにすればきれいな椿かも   夏井いつき

■ヨハネ・パウロ一世 曰く
「大多数の決定が、
 いつでも正しいとは限らない。」

2022年3月8日火曜日

題「食べる」

黙に伏す伝わることや水温む
春半ば夜の帳(とばり)は下りたまま
地味な机に頬杖ついて春月夜
春の夜や疲れた女とアプサント
春愁う夜にも闇と光あり

NHK短歌 題「食べる」
選者 田村元 ゲスト 石塚英彦
司会 星野真里 レギュラー カン・ハンナ

冒頭の短歌
アジフライ箸で小さく切り分けて午後に重たき一仕事あり
田村 元

今回のお気に入り
パクチーと知らずに食べたパクチーは天王星まで飛べそうな味
青森県八戸市 夏野あゆね
食べ頃の西瓜を選ぶゆびさきがノックしている夏へのとびら
東京都八王子市 早月くら
串だんご一番奥を食むときは野武士顔して咥え引き抜く
神奈川県厚木市 篠﨑俊二
美味(うま)そうに食べると聞いてもう好きになってしまった息子の彼女
大阪府羽曳野市 西村真千子

熱血!短歌ノック!
まだ生えてこない前歯でかぶりつくハンバーガーから覇気がこぼれる
星野真里

梅干しもべったら漬けも食べられる日が訪れて春風が吹く
カン・ハンナ
添削
梅干しもべったら漬けも食べられるようになった日春風が吹く

石塚英彦さんからの題「健康」

健やかでなくとも健やかに笑う人に届いてほしい春風
星野真里
添削
健やかでたとえなくとも健やかに笑うあなたに届春風

深夜二時体の声をよく聞いて濃厚なチョコアイス摂取す
○カン・ハンナ

選者のはなし 歌人、この一軒
泪いづるまでなつかしむわが若くビールを飲みしところはここぞ
佐藤佐太郎

短歌 あなたならどうする?
ポテサラとキャベツの前のポークカツ◯◯◯◯◯◯◯△△△△△△△

ポテサラとキャベツの前のポークカツまず野菜から食べたいですが
カン・ハンナ

ポテサラとキャベツの前のポークカツ2人は僕の敷布団
石塚英彦

ポテサラとキャベツの前のポークカツみたいな家族写真を飾る
星野真里

元歌
ポテサラとキャベツの前のポークカツ明日からのわが盾として立つ
田村元

星野真里さんの短歌大好き!司会大好き!
来年もよろしくです。

2022年3月7日月曜日

兼題「卒業」

春の草防草シートそこかしこ
(半田素麵)春北風(はるきた)や白さに磨き天日干し
鳩の巣や可愛いままに逝った(青江)三奈
春埃フロントガラスを流れをり
春驟雨しがみつく塵あっけなく

NHK俳句 兼題「卒業」
選者 片山由美子 ゲスト 捧(ささげ)雄介 司会 武井壮

冒頭の俳句
雲あふれ卒業の日の水たまり   片山由美子

テーマ 見直し「俳句の常識」
今回は「ただごと」
ただごと俳句の名句紹介
三つ食へば葉三片や桜餅   高浜虚子

「当たり前のことが俳句というかたちを得た時に当たり前ではない別のものになる」
と、片山由美子さん

×母の背の丸くなりたる夜なべかな
○太陽が沈めば日暮冷し酒
○一夜明け一夜干しなる針魚(さより)かな

今回のお気に入り俳句
マルクスに少し染まりて卒業す   仁和 亮
部室には部室の匂ひ卒業す   星 揚子
戻り来(こ)ぬ一冊の本卒業す   長谷川 瞳
卒業の日は坂道をゆつくりと 髙岡敏子

ただごと俳句に挑戦
あたたかや日記に晴れの印(しるし)記す   武井壮
添削
あたたかや日記に晴れと記したる

俳句もスイーツも一緒!
後味でもう一度味わえるものでありたいと私も思いました。

2022年3月6日日曜日

SDGsと名言

春疾風ピカソの痛み後世へ
(1937年)模索するピカソプロセスは未完(無季句)
ゲルニカと不協和音と春嵐
消えぬ傷痛みと共に暮かぬる
心なき涙溢れて桜貝

夏井いつき俳句チャンネル より
【SDGs句会ライブ】俳句を通してSDGsについて考える

貧しさは恥ではないが春霙(みぞれ)   朝月沙都子

夏井いつき組長は「平常心で生きていけることが平和!」
と、思っておられるそうです。

有り金を持って出て行け春の昼   嶋村らぴ
まだ離婚してない春を十九年   どいこい
春野行く膝の運動してください   喜多輝女
春は来ぬ君は私を手放さない   カラビンカ
二着続きに応援馬券を春の風   Rx
違ったらまた考えるだけ山笑う   安

永六輔 曰く
「生きているということは誰かに借りをつくること。
 生きてゆくということはその借りをお返してゆくこと。」

糸井重里氏 曰く
「『ていねいなことば』は、
 どんなにおしゃれな服よりも、
 身につけている人を
 よく見せてくれますよね。」

焼き立てパンをいただきました❣
ごちそうさまでした❣







2022年3月5日土曜日

おもちゃ屋さんの雛人形で一句

本能の赴くままに暮れかぬる
永き日や言の葉遊びつらつらと
(樋口一葉へ)春の水一枚の葉に達磨乗せ
春光や良き遺伝子を育みて
踏まれし芽浴びる春陽よちょっと伸び

プレバト纏め 2022年3月3日

夏井いつき先生が最近出版された「鶴」より
梅沢富美男劇団本日は虫干し

おもちゃ屋さんの雛人形で一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
お歯黒のかすかにのぞく雛かな
添削(説明を映像に)
お歯黒のかすかに雛の笑まひけり

特待生昇格試験
横尾渉
春夜のおもちゃ屋プラレールのやわやわ
(五七五で詠め!
 やわやわとは列車を連結する時の減速を指示する掛け声。
 発想の展開が良い。時間軸を動かしている。)

立川志らく
流し雛目があったのよ、本当よ
添削(句読点を使った会話より表情を詠め。)
流される雛と目が合ったと言い張る

1位 早見あかり
ラスト公演差し入れは雛あられ
(それぞれの言葉がお互いを邪魔しないよう配慮されている。
語順が良く、焦点が絞られている。)

2位 HAN-KUN(湘南乃風)
言えぬまま飲み込む恋と雛あられ
添削(可能性のある凡人。「と」が誤解を生んでいる。)
雛あられ言えないままの恋ひとつ

3位 ユースケ(ダイアン)
お雛様見向きもせずにミニ四駆
添削(場所が解らない。)
雛売り場かけぬけミニ四駆売り場

4位 津田篤宏(ダイアン)
あと何度行くなと思い雛をだす
添削(中七、感情を書き過ぎている。語順が悪い。)
雛をあと何度飾れば嫁に行く

春光戦の組み合わせが発表なりました。
さてどのような俳句を詠んでくださるのでしょうか❓
楽しみ…。

2022年3月4日金曜日

名言

春の野や花を咲かせることもなく
春の啄木鳥まどろいて急かされて
春の夜や不安と不惑抱きつつ
陽炎や女の夢を天秤に
死と生きる残された日々春の月

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー 曰く
「人生は、
 地球上で過ごした年数で測られるのではない。
 どれだけ楽しんだかで測られるのだ。」

スティーブ・ジョブズ 曰く
「私がしたいのは性能の良いコンピューターを作ることではない。
 コンピューターを使って感動を巻き起こすことなのだ。」

ヘレン・ケラー 曰く
「はじめはとても難しいことも、
 続けていけば簡単になります。」

■令和相聞歌 https://www.reiwasoumonka.com/
締め切り11月11日 
3首投稿しました。

〇舞う枯葉始まらなかった恋も恋
〇冬野菜恋したことも塩漬けに
〇朱夏の恋引きずり生きて共に古稀

入選させてもらいました。
嬉しかった…。
最高のおまけとなりました。



2022年3月3日木曜日

朧月と西洋のことわざ

春愁う僻む心よ重たさよ
恥知らぬ深き嫉妬やよなぼこり
平凡を選びし女たびら雪
淡雪よ母に断たれた憧れよ
春の風願い事にも見放され

■一分季語ウンチク 朧月
朧月は三春の天文の季語です。

天にかかるお月様
その朧な様子になっているものを
「朧月」といいます。
なぜ「朧月」が春の季語かというと
春になると空気中の水分量が増えるために
滲んだようなボンヤリとした映像になってくる
ということです。
なぜそういった事が起きるのかというと
南の方から湿った暖かい空気がやって来て
それが夜間冷えることにより
蒸発して水分が増えていく。
そういう科学的な仕組みになっているようです。
朧に滲む月の輪郭そんなものが見えてくる季語ですね。

■西洋のことわざ 曰く
「ある男がはじめて君をあざむいたときには、
 彼を辱めるがいい。
 しかし、その男がもう一度君をあざむいたとしたら、
 君自身を恥じるがいい。」

2022年3月2日水曜日

りかさみしい

(篠田桃紅へ)空間に解き放たれた春の線
春色の百円ワイン快し
木の芽時二人の愛に鍵かけん
風車形容できぬ悲しみと
長閑なり通リ過ぎゆく雨を待つ

夏井いつき俳句チャンネル より
【りかさみしい】助動詞「り」学校で学んだ覚え方が違います

春めけ+りについて
けりは過去の助動詞だったのですが、
「り」は完了の助動詞、接続になる。
どういう動詞とくっつくのかが限定されている。
完了の助動詞「り」は上の接続が2パターンしかない。

完了(か)の助動詞
り 四段活用(し) 巳然形(い)
  サ変活用(さ) 未然形(み)
四段活用の巳然形しか接続できない
「春めく」の巳然形だから「け」「春めけり」
サ行変格活用の未然形に接続 
この2パターンしかない

覚え方は「りかさみしい」
ここで新説現る!
四段活用巳然形だという風に習っていたにも関わらず
巳然形ではなく命令形らしい!という結論に達した

ここで変わってくるのが「りかさみしい」が違ってくる
「りかさみしめ(!)」となる

■マルコムX 曰く
「もし君を批判する者がいないなら、
 君はおそらく成功しないだろう。」

2022年3月1日火曜日

題「寝室」

春の木々斑に反射する光
春の朝そっと大地に触れてみた
大事な家族とおばあちゃんのうらら
醸し出す危険な明かり朧月
うららけし心の形不定形

NHK短歌 テーマ「寝室」
選者 佐伯裕子 司会 小沢一敬 ゲスト 小島よしお

冒頭の短歌
何千回ふとんを上げてまた下ろし寝室と呼ぶ部屋はもたざり
佐伯裕子

ポイント①ユーモアのある短歌
春眠より覚めるわたしはチョコレートのカシュウナッツのように曲がって
杉崎恒夫

短歌の題材になる寝室でのエピソード
幼き日鼻をつまんで父親と同じ匂いが枕からする
小島よしお
添削
幼き日鼻をつまんで父親の匂いが僕の枕からする

恋人に抱かれる夢を見た朝に隣で寝ている子猫のはなび
小沢一敬
添削(少しの対比が良い。やりすぎは良くない。)
恋人にほのぼの抱かれる夢を見た朝隣で寝ている子猫

今回のお気に入り
寝室のあかりが照らす横顔はぼくが見つけたしあわせのかたち
中村彬裕
この部屋のどこにも君はいないのにシングルベッドの右端に寝る
久保ハジメ(なくなってしまった習慣の悲しさを見事に表現している。)
寝室の明かりを消すと光出す娘と貼った星空シール
山田真人

ポイント②下の句への展開
別にいい気にしてないよほんとにねベッドの7割妻が占めてる
小島よしお

寝室でチョコを頬張るルーティン目覚めの口のまずさを忘れて
小沢一敬(共感を呼ぶ可笑しさ)
寝室でチョコを頬張るルーティン目覚めの口が苦くなるのに

昼起きた珍事を話す枕元君の音色が聞こえてくるまで
小島よしお

ずっしりと体を襲う悪夢から布団で居座る子猫
小沢一敬
添削
胸苦しく襲われている悪夢から布団に居座る子猫