2021年10月31日日曜日

孫正義と加藤央之の言葉と豺獣を祭る

カヌー漕ぎこうのとりを探す秋
秋冷や手間をマネーに変えられず
星月夜古書と楽譜は時空超え
蓄積がキャリアとならん秋北斗
悪ガキと呼ばれし男星流る

■孫正義 曰く
「雨と晴れは必ずやって来る。
 大切な事はその両方を幸運だと捉える心構えだ。」

■加藤央之 曰く
「自分の思ったことを率直に表現しよう。
 それができないのは自分に自信がないから。」

■一分季語ウンチク 豺獣を祭る(おおかみけものをまつる)

七十二候の一つだなと予測が
つくようになってきた人も
いらっしゃるかもしれませんね
「豺獣を祭る」は二十四節気の第一節
霜降(そうこう)にあたります。
十月二十三日から二十七日までの期間にあたります。
「豺」という字は普段目にする
「狼」の漢字とは違っていますね。
正確にはこれは「狼」ではなく
「山犬」を咲く漢字なのです。
大枠としては同じものとして捉えられているのですが
より残忍な獣というような意味にもなるようです。
獣を祭っている少し幻想的な趣もある七十二候ですね。

2021年10月30日土曜日

待ち合わせで一句

ふわっふわ秋に埋もれたエゾタヌキ
(2021年秋)ブレークスルー感染へそぞろ寒
イスラエル・インドの後追いか寒露
いずこも同じ菊人形「天を衝く」
執心の鬼滅や五輪菊人形

プレバト纏め 2021年10月28日
待ち合わせで一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
伝言板くせ字も愛し秋うらら
添削(少々雑。「も」も不可。季語もとってつけたような)
秋麗やくせ字愛しき伝言板

永世名人への道
藤本敏史
背にホルンケース秋寂(さ)ぶのハチ公前
(「秋寂ぶ」とは去りゆく秋を惜しむ思いの季語。
 作者の意図通りに言葉とリズムが整っている。
 「背に」の位置が良い判断。)

特待生昇格試験
千原ジュニア
夕月夜名の無き猫と君を待つ
添削(君は省いた方が良い。季語が効果的でない。)
まだ名前なき猫待つ夕月夜

1位 小倉優子
紅白帽脱いで焼きたて林檎パイ
(林檎パイの季語問題。栗の傍題にマロングラッセはある。
 「スポーツの秋、食欲の秋」というニュアンスが出ている。
 この句のどこが待ち合わせなのでしょうか?疑問!)

2位 神谷明采(あさ)
来ぬ君を金木犀の香に赦す
(季語の選択にそつがない。)

3位 薬丸裕英
待ち合わせカフェが満席初冬かな
添削(三段切れ、「が」は「は」に。「かな」が効いてない。)
待ち合わせのカフェ満席冬はじめ

4位 宮田俊哉
ハチ公を挟み会えずの冬隣
添削(「季が動く」という典型的例。説明的。)
ハチ公を挟み冬隣の苦笑
ハチ公を挟み冬隣の不覚

次回のお題「富士と紅葉」

2021年10月29日金曜日

俵万智と池田澄子の歌

貴船菊好み色々メルニコワ
風呂上り大きなくしゃみ夜寒(よさむ)かな
紅葉と霧氷織りなす剣山
干潟に生きる絶滅危惧種秋深む
園児の奇声十月の干潟より

俵万智 短歌
この国の未来のサイズ思うとき脱いだっていい1枚の空
制服は未来のサイズ入学のどの子どの子も未来着ている 
好きすぎてどこが好きかはわからない付箋だらけの歌集のように 

池田澄子 俳句
町内に鶯の居る濃い空気
飛ぶ花と英語のところどころかな
夏は嫌この珈琲がうすいから
葦咲いてわが命けっこう永し
逢うやこの秋たましいは体内に
ボジョレ・ヌーボーちがうこと思っているのね 
おはようと写真に言って夏に入る
また夏を賜る朝のおでこかな

天命を待ちくたびれて枯紫苑 塚本邦雄
山男紫苑の丈を眩しめる 石田郷子
紫苑揺るをりをり目にもとまらずに 京極杞陽
紫苑とは紫そつけなかりけり 後藤夜半
瀬戸内の紫苑日和のよかりけり 宮原青也
紫苑晴九月の空をおもふべし 宮原青也

宮原青也@nHVHYxHnb16oYfW より

2021年10月28日木曜日

タンカツ 日本航空高校編(前編)

義母の育てん紫式部たわわなり
忘却も時として幸秋深む
土方の夢と覚悟や色葉散る
恋愛のバブル崩壊そぞろ寒
恋愛もインフレ強し冬隣(とな)る

NHK短歌 「タンカツ 日本航空高校編(前編)」
選者 佐伯裕子 出演者 カン・ハンナ ホリ 司会 小沢一敬
テーマ「航空機」

空の下握ったパドルの一振りに人の命を思う少年
カン・ハンナ
添削
空の下黄色いパドルの一振りに人の命を思う少年

飛行機を前にゆっくりすすませる十八才の描く航路図
ホリ
添削
飛行機を前にゆっくりすすませる十八才の君の航路図

飛行機をパドルを使い誘導す パイロットとの呼吸を感じて
岡田嵐

山梨の轟音響く滑走路先輩の言葉帽子にのせて
池石翔太

飛行機の垂直尾翼と前輪が一体になる三十回目
早川夕月(一席)

ゆっくりと機体をプッシュバックする焦る事なくその進路「よし!」
小沢一敬
添削(プッシュバックとは車両と航空機を
連結棒でつなぎ誘導路まで押し出す)
ゆっくりと機体をプッシュバックする焦るな焦るなその進路「よし!」

■スポーツ強豪校女子バスケットボール部との短歌競演
テーマ「バスケットボール」

山梨にナイジェリアからやってきたルースをに走れバスケ部
ホリ (一席)

マスク付けジャンプシュートを放つ輪よ山梨の空を飛び立ってゆけ
カン・ハンナ

シュート前Wチームをはねのけて絶対に決める私が決める
荒井しおん


コロナ禍で出られなかったインターハイ切り替え放つジャンプシュートを
小林遥
添削
コロナ禍で出られなかったインターハイ思い切り放つジャンプシュートを

スピードでディフェンス抜きさりゴールまでみんなで行くぞベスト8へ
吉岡桜
添削
ディフェンスを素早く抜きさりゴールまでみんなで行くぞベスト8へ

キュッと鳴きダンッと弾んで走り出し仲間の声でゴールに届く
小沢一敬

入選歌 テーマ「ソファ」「リビング」でしたが…。
今週はお気に入りがなしでした…。残念…。

2021年10月27日水曜日

兼題「棉」

樹木は夜育みて背伸びせん(無季句)
星飛ぶや17歳のアントニオ(ポルトガルバレエダンサー)
十月や傷つけられてさようなら
朝熊(あさま)山の一輪のアサマリンドウ(無季句)
折句に秘めた心通じず露時雨

NHK俳句 兼題「棉(わた)」
顧問 櫂未知子 部長 塚地武雅 部員 いとうまい子

「棉」は植物の季語で秋。「綿」は生活の季語で冬。

行き止まり人の入れぬ花野かな   塚地武雅
添削(行き止まりをあくまでも、どこまでも)
新蕎麦を食べて下山の準備せり   塚地武雅
添削(新蕎麦やそろそろ下山すべきかと)
ガラス戸にうつる人影秋ともし   いとうまい子
添削(秋灯や玻僂璃戸(はりど)映る人の影)
キーボード乗る猫下ろし夜なべかな   いとうまい子
添削(キーボードに乗る猫下ろし夜なべかな)
かはたれに栗菓子求む客の列   田中要次
添削(かはたれや栗菓子求め客の列)

入選句 大賞おめでとうございます!
棉の実や遊子(ゆうし)愛(かな)しむ空の色
徳島県徳島市 鈴木マリ子
遊子とは旅人のこと
雲白く遊子愛(かな)しむという詩がある。

棉を摘むときをり遠(おち)に目を休め 東京都大田区 阿部千保子 
をちこちの意味は あちらこちら。
遠近(おちこち) 遠い所と近い所。あちらこちら。という意味。

俳句、二歩目へ 「や・かな・けり」
稲妻箒に残る母の癖   櫂未知子
をりとりてはらりとおもきすすきかな   飯田蛇笏
秋晴れの何処かに杖を忘れけり   松本たかし

注意点
① 「や」+「けり」「や」+「かな」に注意!
② 三音の季語+「かな」を試そう
③ 下五に「けり」は使おう

俳句ドリル
□□冬支度

靴下を厚手にするも冬支度   いとうまい子
添削(厚手にするを入れ替へたる)
信楽の土鍋選ぶも冬支度   塚地武雅
添削(土鍋を器)
ぽっちゃりと猫も我が身も冬支度   田中要次
添削(ぽっちゃりとをふつくらと)
透明な器仕舞ふ冬支度   マネージャー
(素晴らし過ぎるマネージャー)

2021年10月26日火曜日

紅白俳句合戦と立石大河亞の言葉

行く秋や残った癖の愛おしく
「ここを去ること遠からず」照紅葉
浄土は足下に紅葉かつ散る
農村で育った女秋を描く
慈愛満つ沈黙の中薄散る

【紅白俳句合戦】第二回 紅白俳句合戦
皆さんに審査員のジレンマを味わって欲しい

鶏のゆかへ上りぬ秋のくれ   正岡子規
土間に人畳の上に羽抜鶏(はぬけどり)   岸本尚毅

夏井いつき組長は岸本直樹先生の俳句に
僅差で旗を挙げると…。本に記してあるそうです。
しかし64歳になり読み返すと正岡子規の
俳句の良さをしみじみ嚙み締めておられるとか…。
状況としては似ていますが、季語及び
やろうとしていることが違っていて味わいも違う。
どっちも良いのですが、そのジレンマを
楽しんでいただき味わって欲しい。

私は正岡子規に一票です!
奥行きが感じられるからです。
写生から言葉では表現できない
何かがそこにあるからです。

■立石大河亞 曰く
「大人になるってことは一つのことを
 違った角度から見れることだと思うんです。
 でも、中々大人になれない。
 それを見るためのいろんな角度の鍵を
 持っていることが必要で
 僕らがやんなきゃいけないことは
 新しい鍵を作って見せてあげる
 という気がするんです。」

2021年10月25日月曜日

斎藤一人と無窓疎石の言葉

目に見えるものへの批判暮の秋
古酒飲まんあらゆる文字は美しく
火恋し常識的な視野持たず
制約が佳き結果へとまるめいら
制約の中の競ふ美菊合(あわせ)

斎藤一人  曰く
『神様は、「あなたが乗り越えられない問題」は
 絶対に出しません。
 だから、どんな問題も
 乗り越えられるようになっているんです。
 安心して、「乗り越える方法」を考えてください。
 すぐわかりますよ。
 もし、すぐ思い浮かばなかったら、
 ほっとけばいいんです。
 時間が勝手に解決してくれますから。
 結局、解決できない問題なんてないんですよね。』

無窓疎石(むそうそせき) 曰く
「山水に得失なし。
 得失は人心にあり。」
「石組には力量・人間性が全て出る。」

2021年10月24日日曜日

10月の子規

台風の風と一緒に(オキナワビロウド)セセリ来る
舞う(タイワンアオバ)セセリ蜜吸うセセリ息飲まん
温もりと使い勝手を知った秋
宗悦の字に韓を見んそぞろ寒
秋深む使って壊れ修理して

夏井いつき俳句チャンネル より
【10月の子規】漱石は小説に書き、子規は句を作った遊郭とは...

色里や十歩はなれて秋の風   正岡子規

この句がどこで作られたのかは
すごくハッキリと分かっています。
この句が作られたのは愛媛県松山市宝厳(ごん)寺
伊月庵の3軒隣にあります。歩くと20歩の所。
明治28年10月6日
愚陀仏庵に居候していた子規が
漱石と一緒に吟行に出かけて
宝厳寺へ上る坂の両側が元々妓楼だったのです。
愚陀仏庵とは夏目漱石が英語の先生として
松山中学に赴任していた時借りていた下宿。
そこに子規が帰省してきて転がり込むわけです。
妓楼すなわち遊郭だったのです。
「上人坂」の両サイドは遊郭がビッシリ並んでいました。
この事は夏目漱石の小説「坊っちゃん」の中で
書いている一説があります。
北へ登って町のはずれへ出ると
左に大きな門があって「宝厳寺」と
刻んだ大きな石碑があります。そこのことです。
「門の突き当りがお寺で左右が妓楼である。
山門のなかに遊郭があるなんて前代未聞の現象だ。」
と、記されています。
2人は散策をして後に、
漱石は「坊っちゃん」という小説に書き
子規はこの句を作りました。
宝厳寺駐車場は朝日楼という
一番大きな遊郭が建物として残っていました。
その建物がコの字型にあって中庭みたいなところに
大きな桜があって、その桜がそこに残っています。
(上人坂の)両サイドの家は間口に比べて奥行きが長い。
この敷地の取り方が遊郭の敷地の取り方で
その反対側の裏道に必ず小道がありました。
裏側の細い道はお客を逃がすための抜け道だったのです。
イタリアのアルベロベッロのあたりに同じような
作りの家が立ち並んでいたという話を正人さんが…。
(京都の町屋の事情が知りたくなりました。)
この句碑は宝厳寺の門を入ったところにあります。
帰りには「伊月庵」を覗いて貰ったら嬉しい。

2021年10月23日土曜日

一休和尚と正観の言葉 ランキング席で一句

秋の朝意の伝わらぬIH
空き家占領セイタカアワダチソウ
まばらです小さめの十月桜
参道や落ちた銀杏拾う人
朝靄よ棚田と薄包み込み

プレバト纏め 2021年10月21日
プレバトのランキング席で一句

東国原英夫
怖るるな最下位怖るるな夜長
添削(私はこの添削で全く意味が解らなくなりました。)
怖るるな詩を怖るるな長き夜を

立川志らく
歯車の音が聞こゆる秋の空
添削(これも私にとっては意味不明の添削でした。)
歯車や秋空軋むほど青し

河合郁人
デビュー曲一位行きつけの新蕎麦
(実感が一番。
 「一位」「行きつけ」の「い」の韻を踏んでいるのが良い。
 華々しい「一位」から地味な「行きつけ」への
 展開は落ち着きの味がある。)

次回のお題は「待ち合わせ」

一休和尚 曰く
「ナルヨウニナル シンパイスルナ」

小林正観 曰く
「あれが欲しい、
 こうしたい、
 こうなりたいという
 思いが強ければ強いほど
 『苦』は大きくなります。
 悩み苦しんでいる人ほど
 強い思いを
 抱いているものなのです。」

2021年10月22日金曜日

サン・テグジュペリとカールライスと囮

ディエゴのためのソロに見る秋北斗
秋夕焼トルソーに見る才気かな
人間の業の肯定天高し
秋あわれ老いの初心者足取らる
なめるなよ気概むなしく身に沁むや

サン・テグジュペリ 曰く
「愛することは、
 けっしてたがいに見つめ合うことではなく、
 いっしょにおなじ方向を見ることだ。」

カールライス 曰く
「健康な人は自分の健康に気がつかない。
 病人だけが健康を知っている。」

一分季語ウンチク「囮(おとり)」
警察のおとり捜査みたいな話は
よくドラマで目にしたりしますね。
この「囮」は秋の小鳥狩りの際に使われる
囮のことをさす秋の季語となっております。
一概に囮といっても色んな狩猟に用いられまして
小鳥狩りの際の声のよく鳴いて他の鳥たちを
呼び寄するためのものであったり
囮を入れた籠を木につっておく
その隣の枝に鳥もちを仕掛けておく
囮に呼び寄せられた鳥がその鳥もちに
くっついたのを捕獲するなど
色んな猟法があるようですね。
この囮にはよく鳴いて他の鳥を呼び寄せるように
訓練したものを使うそうです。

2021年10月21日木曜日

題「ペット」

形容詞多き反逆児は流星
天高しまだあの人の残光が 
秋の朝談志の藝に見る余韻
余剰エネルギーの放出残菊
笑いとは緊張と緩和清秋

NHK短歌 題「ペット」
選者 大森静佳 ゲスト 秋山寛貴 司会 有森也実

冒頭の短歌
クレオパトラの子孫のような猫がいた屋上に前髪をそよがせ 
大森静佳

秋山寛貴さんの短歌
「拳一つ」今も閉じられぬ夜のドアいまにも君が顔出しそうで
あの子ならこうしていたねと笑い合う今はなき猫なお福招く

秋山寛貴さんのために作った大森静佳さんの短歌
秋風がやさしい腕をまんべんなくひろげる場所できみは育った
あき や     ま     ひろ     き
このように名前を入れて詠んだ句を「折句(おりく)」と言うそうです。

今週のお気に入り
椋鳥に命名すれば西窓が鍵のかからぬ鳥籠となる
神奈川県川崎市 山口正剛

今、読みたい短歌
纖(ほそ)き月眸に宿りわが飼へる木菟(みみづく)は高貴なる計算をせり
葛原妙子

ポイントで改作
(元歌)夕焼けで長く伸びてるわが影の中で戯れる愛犬チョコ

改作ポイント①
犬のチョコ□夕焼けに長く伸びゆくわが影のなか
「戯れる」を別の動詞で表現するなら?
有森也実
犬のチョコロンド奏でる夕焼けに長く伸びゆくわが影のなか
秋山寛貴
犬のチョコ踊るステップ夕焼けに長く伸びゆくわが影のなか
大森静佳
犬のチョコ小さく跳ねる夕焼けに長く伸びゆくわが影のなか

改作ポイント②
気持ちを動詞で表現しよう(行動)
跳ねまわるチョコのからだを夕焼けに伸びてゆくわが影は□
有森也実
跳ねまわるチョコのからだと夕焼けに伸びてゆくわが影はとろける
秋山寛貴
跳ねまわるチョコのからだを夕焼けに伸びてゆくわが影は包み込む
大森静佳
跳ねまわるチョコのからだを夕焼けに伸びてゆくわが影は抱きしむ

ポイントはイメージに気持ちを託す
愛の「まなざし」を生かすには動詞に愛を込めよう。

さっぱり解りませぬ…。なんだかなぁ~。

2021年10月20日水曜日

兼題「秋の暮」

秋澄むや余韻とともに踊る人
秋の声そこに心はありますか
秋朝や睡眠負債また増やし
秋霞未練多くして生かさる
秋の夕焼無駄金は使わない

NHK俳句 兼題「秋の暮」
選者 岸本尚毅 ゲスト 紺野ぶるま 司会 中田喜子

冒頭の俳句
くつきりと黒々と皆秋の暮   岸本尚毅

「秋の暮」の例句。
日のくれと子供が言ひて秋の暮   高浜虚子

テーマは「俳句と想像力 人の心の中を想像する」でした。

今週のお気に入り
砂浴びのあとの窪みや秋の暮   神奈川県横浜市 前沢五郎
出漁のもはや見えぬ灯秋の暮   富山県富山市 中島平太
ホスピスの母へたこ焼秋の暮   兵庫県西宮市 奥村ほおずき

問題提起(夏井いつき先生は添削されたと思います。)
頬杖に水の雲見る秋の暮   福島県白河市 佐藤佳夫
滝に来てしぶき冷たき秋の暮   東京都北区 伊藤憲次

岸本教官の添削道場

しづまりて物の影より秋のくれ   投稿句
添削
しずかなる物の影より秋のくれ

鳥の背の小さき雨粒秋の暮   中田喜子
添削(夏井いつき先生だったらこうは添削しないのでは…?)
鳥の背に雨粒を見し秋の暮

寒いねと言いたいベンチ秋の暮   紺野ぶるま
添削ではなく案として…。
寒いねと思うベンチや秋の暮
寒いねとつぶやくベンチ秋の暮

2021年10月19日火曜日

アインシュタインとハーランと如月真菜

秋の星緩急をつけたエナジー
香り効きグラスに注ぐ今年酒
秋の川鳥飛び立ちており立ちて
トルソーの創るダンスや秋を跳ぶ
神の祝福受くダンサーよ秋麗

夏井いつき俳句チャンネル より
北窓開くおまえとは別れたい   如月真菜

アインシュタイン 曰く
「男は結婚するとき、女が変わらないことを望む。
 女は結婚するとき、男が変わることを望む。
 お互いに失望することは不可避だ。」

パトリック・ハーラン 曰く
「butでなくandを使おう。
 『友達と遊びたい。でも、宿題がある』でなく
 『友達と遊びたい。そして、宿題がある』にすると
 両立させる方法を考えるようになる。」

2021年10月18日月曜日

ジェームズ・アレンとマーフィーの言葉



書道特別展 文字の美 柳宗悦がみたもの
松井健(東京大学名誉教授)講演

藤袴サツマニシキの集まらん
阿南ではサツマニシキが群れて飛び
無駄な自己犠牲多過ぎて冬ざれ
行く秋や浮かんだ景色写生せん
心中へ秋には風が透き通る

ジェームズ・アレン 曰く
「能力の限界を感じているなら
 このことを知るといい。
 あなたの能力の限界は
 あなたの思考がもうけた境界線であり、
 あなたが自ら築いた壁である。」

マーフィー 曰く
「あなたの運命を決めるのは
 あなたの心に張られた帆であって
 
風ではありません。」

2021年10月17日日曜日

尻文字三角パス第2回

やや寒し汚れ落とさぬ洗濯機
ぼんやりとした不安の中冬隣
あるがまま見せてください星月夜
秋澄むや愛も知らずに召され逝く
蚯蚓鳴く根っこに多いとは真

夏井いつき俳句チャンネル より
【尻二字三角パス】ゲスト登場!夏井いつきの妹と尻二字三角パス!

今回のゲストはローゼン千津さん!

青梅をかきはじめなり菓物帖   夏井いつき
張といふ男とすする夜の無花果   夏井いつき
蝶々や過去帳開く和尚さん   ローゼン千津
ぢくぢくと残暑を抉(えぐ)る猫の爪   家藤正人
爪痕のありて桜の紅葉かな   ローゼン千津
かなしみの青なり露草の青は   夏井いつき
オハイオのトウモロコシとかナッツとか   家藤正人
とか言って又酒を吞む曼殊沙華   ローゼン千津
しゃげるとは尻に敷いたる花衣   夏井いつき
(悄気ている和尚に自然薯を下げて)
炉も雪も仕舞いの音になりにけり   家藤正人
ケリーバッグに一枚櫨紅葉   ローゼン千津
みじんこの水夏空のちりぢりに   夏井いつき
理に適うからががんぼはこはれます   家藤正人
鱒(ます)鮨の割箸小さし母の家   ローゼン千津

楽しかった!
意地悪をしないで良句にしてくれればもっと良いのに…。
「いえ」をリスナーにコメント欄で詠んで貰い
第3回【尻二字三角パス】の優秀句が尻文字になるとか…。
楽しみにしています!

2021年10月16日土曜日

弁当の店頭販売で一句

都合良く弄ばれて秋の声
秋日和自分本位に生きて逝く
分身はねずみバンクシーは稲妻
流星やマーケティングのバンクシー
行く秋や静止したままのパソコン

プレバト纏め 2021年10月14日
弁当の店頭販売で一句

永世名人英夫のお手本
東国原英夫
林檎のうさぎ雲梯を二段飛ばし
(私には前半と後半の繋がり、展開が解りません。)

特待生昇格試験
村上健志
ふりかけに詳しきナース黄落期
(上五中七は巧いと思いました。しかし、
 季語の取り合わせが私には解りません。)

馬場典子
居酒屋の定食鹹(から)く鰯雲
(ご自分の心情を巧く表現されていたと思います。
 「く」と「し」との違いを背景の目線で説明。納得!)

1位 星野真里
鯖雲と無人弁当販売所
(サブリナル効果の勝利。「と」を使った並立句。
 私は勉強になりました。)

2位 犬山紙子
朝寒や唐揚げ渡す火傷の手
(季語と内容が合っていた。)

3位 高島礼子
紅葉をお箸で彩るおべんとう
(内容を聞くまでの添削 箸を持て紅葉彩るお弁当)
添削
紅葉弁当わたくし色に詰め直す

4位 くっきー!
葉の隙間溢(こぼ)れ蟲(むし)くる歯の隙間
添削(「木漏れ日」が凡人ワードとは知りませんでした。)
木漏れ日やこぼるる飯にたかる虫

次回のお題は「ランキング席」

2021年10月15日金曜日

高橋泥舟&山本周五郎&小鳥狩

ありのまま生きて傷つき破芭蕉(やればせう)
秋暮る記憶辿りて指を折り
秋の池心静かを映し出し
秋の月波立てど心動かず
酔芙蓉朝から夕へ移ろわん

▪高橋泥舟 曰く
「欲深き人の心と降る雪は、
 積もるにつれて道を失う。」

▪山本周五郎 曰く
「この世で経験することは、
 なに一つ空しいものはない、
 歓びも悲しみも、みんな我々に
 よく生きることを教えてくれる。」

▪1分季語ウンチク 「小鳥狩」
この季語すでに絶滅寸前季語かもしれません。
現在はすでに禁じられた猟法だからなのです。
秋に遠くを旅して渡っていく小鳥をですね
山の高い木立に霞綱(かすみあみ)をはって
その下に囮(おとり)を置いておくのです。
その囮に呼び寄せられてやってきた小鳥たちを
一網打尽にその網でガバッと捕まえてしまうという
そういう猟法になるのですねぇ。
やや残酷な気もいたします。
この狩猟法 歳時記ではですね
もう2000年代ですでに
禁じられているということですので
ひょっとしたらもう完全なる
絶滅寸前季語かもしれません。

2021年10月14日木曜日

紅白俳句合戦

朝寒し我慢できないお年頃
秋の暮女は待つと思うなよ
もう二度としくじらないわ秋旱
秋寒し愛を知らずに生きてきて
死が繋ぐ命ありけり冬隣

夏井いつき俳句チャンネル より
【紅白俳句合戦】第一回紅白俳句合戦の結果発表をします

赤 あやまって林檎落としぬ海の上   正岡子規
白 川を見るバナナの皮は手より落ち   高浜虚子

赤は色彩の対比が綺麗である。
悔い、執着を含めて印象に残る。
「あやまって」二つの考察ができる。誤るか謝るか!
説明的あるいは状況把握に役立った。
林檎は子規自らの吐血をイメージしているかもしれない。

白はダジャレと思った人が多かった。
これは問題句。痴呆俳句と言われている。
禅の境地、無の境地という人もいるとか…。
道徳的な読みから皮を捨てるな!と言った人も…。
倒置法が効いている。
手に持っているものを落とすくらい何かに
驚いたと言うドラマであると言う解釈。
空虚!季語が作者の動作を受け止めている。

赤の方が大きい映像、白は焦点が定まっている。

結果 赤145票 白115票 子規が勝利!

白は写生の境地!と赤から白に移ったと家藤正人氏!
私は最初から白でした!(9月17日記載)

2021年10月13日水曜日

題「挑む」

秋の竹林10本のソライロタケ
秋の暮手暗がりとなる書簡
秋の風家賀(けか)集落で育つ藍
ソラと呼ぶ家賀(けか)集落の藍の花
空高しカヤを施用す棚田かな

NHK短歌 題「挑む」
選者 佐佐木頼綱 ゲスト 小池祐貴 司会 星野真里

冒頭句
出鱈目に光をゆらす樗(おおち)の葉を病に挑む君と見ている 
佐佐木賴綱
樗(おおち)は栴檀(せんだん)の古名。

今週のお気に入り
青空へぐるんと落ちてみたくなり十年ぶりに挑む鉄棒
青森県八戸市 夏野あゆね
ギリギリを攻めろと鏡の言うままに際の際まで引くアイライン
神奈川県横浜市 久藤さえ
(頼綱先生!誤読だと思います。お水の女性の感覚では?)
頂点に挑むすがたが次々と画面のなかに現れて立つ
兵庫県神戸市 杉村芳美

選者の話では「スポーツと日常」
迫る壁にペダルが重い我が脚と晴眼者(パイロット)の背に祈る我武者羅(がむしゃら)
葭原(よしはら)滋男

「頼綱さんの!短歌かかって来なさい !」
題「小池祐貴さん」

💮自らに挑むゆうきの胴体(トルソー)がフィニッシュフィンを白く染めあぐ 
佐々木頼綱

考える肉体となり走り抜け景色消えゆくOn Your Marks 
星野真里&カン・ハンナ組
(「on your mark(s)」は競技用語で「位置について !」という意味。)

SPORTSの挑戦とは他人と競うものではないと思います。
あくまで自らとの闘いではないでしょうか?
佐佐木頼綱さんは間違っていると思います。
番組中、ゲストも語られていたのですが…。
いい加減、気が付いて欲しいです。

2021年10月12日火曜日

兼題「新酒」

Y路地で方向違う秋意かな
交差する時間少なし秋の暮
キャンパスを痛みと共有秋麗
栗おこわ腱鞘炎となりにけり
秋暁や日々の努力は惜しまない

NHK俳句 兼題「新酒」
選者 阪西敦子 ゲスト 若林英司

冒頭の俳句
夕さりて雨に新酒の匂ひかな   阪西敦子

阪西敦子先生のテーマ「季題あるがまま」
「新酒」は元々は、秋の季題。近来は技術の
進歩により他の季節に造られるようになった。
特に酒造りには気温の低い冬が適している。

二三子(にさんし)の携(たずさ)へ来る新酒かな   高浜虚子(秋)
風花の高窓仰ぎ新酒唎く   中井余花朗(冬)

今週のお気に入り
ただ山と川ある暮らし今年酒   可笑式(おかしき)
この国のこの時代生き新走(あらばしり)   渡辺しゅういち
新酒抱きにやりにやりとチャイム押す   丸田征男
今年酒男励ます男たち   加藤ゆめこ
筋肉に随意不随意今年酒   板倉一光

「季題アップデート」は「新酒」
阪西敦子先生の即吟は…。
眺めては口へ運びて新酒かな   阪西敦子

阪西敦子先生の俳句は好きかも…?
ただ、今回は私は酒を嗜めないので…。
ちょっと理解できなかったのですが…。

2021年10月11日月曜日

兼題「鹿」

引き寄せられる事実は一つ秋の風
固きものぶつかり合って秋の暮
あるがまま流れのままに椋鳥死す
エモーショナルな空間を作り出す秋
秋気澄むいかに生きるか問うてみる

ギュッと!四国 2021年10月9日
https://www.nhk.or.jp/matsuyama-blog/gyutto/haiku/ より

兼題「鹿」
「鹿」の交尾期は8月から10月頃まで。
牡鹿(おじか)が、牝鹿(めじか)を「ピュー」と呼ぶ
高い声が哀切(あいせつ)で、「妻恋う鹿」という傍題もある。
花札でも紅葉と配されているが
牝鹿(めじか)を恋う声を愛でて「秋の季語」とされている。
季語「鹿」の傍題は、「牡鹿」「牝鹿」「鹿の声」
「鹿鳴く」「妻恋う鹿」「鹿の妻」
「夜の鹿」「しし」「かのしし」「神鹿」など。

選句ポイント
「鹿」らしい特徴を観察&描写

ギュッと!特選
群れ鹿の眼(まなこ)あまさず吾を見たり   深山むらさき
(鹿の群れを観察しての「一物仕立て」
鹿たちの様子を「眼あまさず」と描写した点が秀逸。)

放送でご紹介した「秀作」
ぽぷぷぷと糞する鹿と目が合(お)うて   いさな歌鈴
曉の霊気ふるはす神の鹿   佐川碧
せんべいをせがみし鹿の息荒し   たむらせつこ
ぐずぐずと鹿引き返す谷の淵(ふち)   吉野川

放送でご紹介した「佳作」
光る眼(め)を上下させつつ鹿寄り来(く)   じゅん
山道は渋滞鹿の仁王立ち  まるこ
曲がり角光る鹿の目クラクション   大薮ハナミズキ
宝殿に鹿の出迎え人まばら   ハナショウブ

私のお気に入り
倒木や薄き光を浴ぶる鹿   いたまきし
寺の影もあり鹿の影もあり   まるかじり
微熱めく鼻突き出して鹿の声   花紋
夕さりや神社の杜に鹿の鳴く   じょいふるとしちゃん
縄文より人は何代鹿の声   久留里61
後ろより近づいてくる鹿の息   紗千子

2021年10月10日日曜日

文法と解釈「ぬ」

降(くだ)り月強く握らん掌(たなごころ)
後ろから強く抱かれ星月夜
身に入むや何でもありの人生か
秋の声見て見ぬ振りな大人かな
ドーパミン多き人に振り回されて(無季句)

夏井いつき俳句チャンネル より
【文法と解釈】「サタン離れぬ」の解釈について考えましょう

われにつきゐしサタン離れぬ曼殊沙華   杉田久女
サタンが離れました?離れません?
どちらに受け取るかが「ぬ」を
どう解釈するかによって分かれてくるのです。
何をヒントに解釈したらよいのでしょうか?
「ぬ」がポイントになってきます。
パターンA:完了の助動詞「ぬ」の終止形
パターンB:打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」
次に名詞・体言が来る
パターンB´:口語の打消の連体形「ぬ」
文語で揃えるBは文語・口語が共存するB´

中七の部分が口語としてのつぶやき
パターンC:口語の打消の終止形「ぬ」
この弱点は「つきゐし」という文語の形との整合性
文語・口語が同居してしまう
「し」は過去の助動詞「き」の連体形

一句の中に文語と口語が混在するのは許容される範囲
歴史的仮名遣いと現代仮名遣いが混在するのは駄目。

ABCの3つの解釈の中、皆さんはどれを選びますか?
「離れました」「離れません」をまず考えましょう。

一応、私は「離れない」を選択しました。
しか~し、私には難し過ぎました。

2021年10月9日土曜日

猿酒とは

一針に百徳着物願い込め(無季句)
悦びの下ごしらえや秋高し
半切をまたぎ伸ばす背秋日和
レム睡眠めくパラドキシカルな秋 
謂れあり紅白競う彼岸花

1分季語ウンチク 猿酒(さるざけ)

この二文字で「ましら酒」と読むこともあります。
4音が使いやすいか?5音が使いやすいか?
それぞれの状況にあわせて使えます。
猿が木の実をとって木のうろや岩の窪みなどに溜め込む。
その溜め込んだ木の実たちが
雨や露を吸っていって発酵しお酒になっていく。
というそういったものが
「猿酒」になってくるんですねぇ。
やや、伝説的なというか浪漫に近いような
そんな季語でもありますね。
本当にこの季語をみたことが有る無しに関わらず
結構俳人的には人気の季語
作ってみたくなる一句、やってみたくなる、 
そんな季語でもありますねぇ。

2021年10月8日金曜日

セリエとアウグスティヌスの言葉

好物も目で味わいて秋の月
月渡る茶渋がくすみ味となる
欠けたら修理して掌(たなごころ)秋気
骨董は移ろいの中秋の川
百徳着物寺に預けん秋望む

ハンス・セリエ 曰く
「すべてのストレスは、
 私たちに傷跡を残していきます。
 でもそれは同じようなストレスに襲われた時に
 今度は私たちを守ってくれるのです。」

A・アウグスティヌス 曰く
「まもなく君は死んでしまう。
 それなのに君はまだ単純でもなく、平静でもなく、
 外的な事柄によって害を受けまいかという
 疑惑から解放されておらず、
 あらゆる人に対して善意をいだいているわけでもなく、
 知恵はただしい行動をなすことにありと
 考えることもしていないのだ。」

2021年10月7日木曜日

ヘッセとロスキンとローリングの言葉

見落とされ踏まれそうです秋の草
やり場なき心ぶつけん秋黴雨(あきついり)
豪奢(ごうしゃ)を生きる人と泡黄金菊(あわこがねぎく)
歳重ねるも傷痕深く秋の声
秋晴れや手にはお気に入りの茶碗

ヘルマン・ヘッセ 曰く
「人生に対抗する最善の武器は
 勇気とわがままと忍耐です。
 勇気はあなたを強くします。
 わがままは冗談を言わせます。
 忍耐は落ちつきを与えます。」

レオ・ロスキン 曰く
「弱き人こそ薄情である。
 本当の優しさは強き人にしか期待できない。」

J・K・ローリング  曰く
「どんな人かを知りたかったら、
 その人が下の立場にあたる人を
 どう扱うかを見れば分かる。」

2021年10月6日水曜日

正岡子規のこぼれ話

澄む秋や消えることなき蟠り
爽籟(そうらい)達観致したく候
人生は苦渋とみたり秋北斗
秋旱焦燥感に煽られて
さりげない仕草でみせる秋意かな

夏井いつき俳句チャンネル
【正岡子規こぼれ話】病床で子規が見たかったものとは?

正岡子規は明治35年9月19日に亡くなっています。
明治35年5月から「病牀六尺」という文章を書き始めました。

その中のエピソード
5月26日記述
「病に寐(ふし)てより既に六、七年車に載せられて
 一年に両三度出ることも一昨年以来全く出来なくなりて
 ずんずんと変って行く東京の有様は僅かに新聞で読み
 来る人に聞くばかりのことで何を見たいと思ふても
 最早我が力に及ばなくなった。そこで自分の見た事の
 ないものでちょっと見たいと思ふ物を挙げると…。」
と、言ってリストを作っています。

正岡子規の好奇心の強さが伺えます。
この文章は亡くなる1年3か月前に記されたものです。
活動写真・自転車の競争及び曲乗・動物園の獅子及び駝鳥・
浅草水族館・浅草花屋敷の狒(ひひ)及び獺(かわうそ)・
見付の取除け跡・丸の内の楠公の像・自働電話及び紅色郵便箱・
ビアホール・女剣舞及び洋式演劇・鰕(えび)茶袴の運動会

内藤鳴雪は子規の学校の寮の舎監さんで
当時学生だった子規の弟子になった人。

妄想で考えたからこそ楽しめたのかもしれないと塾長。
コロナ磨年の現在の状況に近いものがあると正人さん。
その通りだと頷きました。

2021年10月5日火曜日

題「仕事」

独りぼち秋の夕日を追いかけん
鷹匠の見つめる先や秋高し
偏りを投影させて月の暈
人生は神の意のまま星月夜
誤魔化すも分相応の老いの秋

NHK短歌 題「仕事」
選者 田村元 ゲスト 黒沢かずこ 司会 星野真里

冒頭句
サラリーマンは太鼓持ちではないけれどときをり持ちて叩くことあり 
田村元

今週のお気に入り
出張のホテルの風呂は目が暇でシャンプーボトルの裏を五度読む
千葉県千葉市 芍薬
部屋中に手作りの花咲きみだれ一輪五円の母の内職
岐阜県多治見市 野田孝夫
水出しのパックが容器の中で浮くまだ馴染めない九月のオフィス
大分県大分市 梅鶏

類想類句ばかりな気がしました。

熱血!短歌ノック!
何をして遊ぶ?2233日目の業務內容
星野真里
添削
何をして遊ぼうか?2233日目の業務內容

仕事するあなたの肩も夜なれば柔らかくなりそういえば秋
カン・ハンナ
添削
仕事するあなたの肩も夜気(やき)のなか柔らかくなりそういえば秋

黒沢かずこさんの出題「ラジオ」
今日もまだ寝込む体を基地として電波信号受けたる鼓膜
星野真里
添削(詰め込み過ぎ。)
今日もまだ微熱で横になりながら鼓膜で触れる電波信号

ラジオからささやく声が秋雨の夜に溶け込み眠りに落ちる
カン・ハンナ
添削(主語が変わっている。)
ラジオからささやく声が秋雨の夜に溶け込み眠りに誘う

選者の話「歌人、この一軒」
ひらがなでものを思ふは吾一人英語さんざめくバスに揺れゆく 
河野裕子

短歌 あなたならどうする?
つゆ少し付けてもり蕎麦啜るとき□□

つゆ少し付けてもり蕎麦啜るとき君を忘れる勢いがつく
カン・ハンナ

つゆ少し付けてもり蕎麦啜るとき残りの蕎麦を見ながら食べる 
黒沢かずこ

つゆ少し付けてもり蕎麦啜るときずるずるずると弾むひらがな
星野真里

つゆ少し付けてもり蕎麦啜るときずずつと師走が近づいてくる 
田村元

星野真里さんの短歌が大好きです。
背伸びせず等身大で経験を詠っておられるから…。

2021年10月4日月曜日

兼題「夜長」

通り雨めく恋に憧れ秋を舞う
信頼も覚悟もなしの夜長かな
やまじ風生暖かく頬に髪   
園児よりでっかくなったコスモスよ   
コスモスや園児隠してゆらゆらと   

NHK俳句 兼題「夜長」
選者 片山由美子 ゲスト 平田俊子 司会 武井壮

冒頭句
長き夜をひとりのために使ひけり   片山由美子

平田俊子女史の朗読
「音信不通」
何か怒ってるの ?
それとも病気
または旅行中
ひょっとして監獄
もしや手足を縛られている
電話が故障ということもある
のんびりお風呂に入っているか
眠りっぱなしということも
でなけりゃ
わたしのことなんて
とっくに忘れたのだろう
でも
そもそも誰かいたのだろうか
内緒でこの世に棲んでるわたしに
電話をかけてくる人が
いるとすればおかあさん
あるいは大家さん
もしくは探偵
ひょっとしていたずら
または何かのセールスの人
それとも
遠い日の自分

機織や古き旅館の乱れ箱   平田俊子
(機織=はたおり。キリギリスの別名。)

見直し「俳句の常識」今回のテーマは「助詞」
「も」の効果的な使い方
文月や六日常の夜には似ず   芭蕉

片岡由美子先生の説明
この句は七夕一夜前の日を詠んでいます。
本来は七夕の7月7日が特別な日です。
前日から普段とは違う気分になっているという句。
「六日は常の夜には似ず」であったら、
原句のような味わいは失われてしまっていた。
「も」が曲者。微妙な表現を醸し出している。

露草も露のちからの花ひらく   飯田龍太

片岡由美子先生の説明
この句は、「露草露のちからの花ひらく」と詠める。
「は」では表せないものを表現している。
「も」を使い曖昧にすることで
小さな露草の花でさえもと言ったものまで表現。
「は」では表し切れないものを「も」で表現した。

×店先の和菓子の色の春めきぬ
店先の和菓子の色春めきぬ

×長梅雨や櫛の通りもままならず
長梅雨や櫛の通りままならず

×秋天へ声の揃ひて木遣歌(きやりうた)
秋天へ声て木遣歌

今週のお気に入り
長き夜や目覚むる度に雨の音 福島県白河市 佐藤和子
百年の記憶をたどる夜長かな 静岡県富士宮市 後藤勝子(99歳)
亡き母を語れば長き夜となりぬ 兵庫県たつの市 田口早百合

武井壮さんの常識破りの句
黒葡萄黒き選(よ)りて掌に 武井壮
(「を」が効果的。画数の漢字が多くて
その重さが葡萄の重さをも表現している。)

選ばれた句は後藤勝子さん以外の句は
連想類句のように感じました。
あまり連想類句に目くじらは立てなくて良いのでは…。

2021年10月3日日曜日

無人駅の優秀句

秋の宙独り善がりのダンディズム
秋気迷惑危険なダンディズム
秋の風もてはやされるダンディズム
責任のない自由はない秋冷
真夜中の月自分を愛し歩む人

【大人の凡人あるある】
凡人を脱出した「無人駅」の優秀句を発表します
https://youtube.com/watch?v=dkO10NWK03s…

蜩を一時間半無人駅   映湖陶月
葛踏みてキセルのをとこ無人駅   A-no-hito
(季語が主役になっている。)
茸狩り終え百人の無人駅   石井一草
桜蘂降る世田谷に無人駅   多喰身デラックスa.k.a
夏蝶の糞干からびて無人駅   後藤佳子
門松のすくと立をり無人駅   平本漁水
煮大根の香が何処からか無人駅   おーちょー
蜩や出臍のごとく無人駅   あいちぷるうと
木の実落つ切符小箱へ無人駅   爽花
団栗とキツプを箱へ無人駅   Haruyo
万緑の小腸当たり無人駅   磐田小
猫じやらしじやらじやり砂利の無人駅   北藤詩旦

家藤正人さん一押し
野は焼けて阿蘇の余熱の無人駅   いさな歌鈴
塾長一押し
磯蟹を踏みたる朝の無人駅   染井つぐみ

2021年10月2日土曜日

秋のタイトル戦「金秋戦」

秋の川皿を持ち寄り食らわんか
骨董の美とはあわれと秋の声
使い込み日々成長とげる器かな(無季句)
山かぼちゃハイカラさんへ七変化
秋の声伊万里は鶴岡で探せ

プレバト纏め 2021年9月30日
秋のタイトル戦「金秋戦」
バッテリー切れ間近で一句

1位 北山宏光
スマホ死す画面に浮かぶ指紋と月
(おめでとう!あなたの等身大の俳句が大好きでした。
 楽しみにしています。頑張ってくださいね。)

2位 横尾渉
フリードリンク夜学子の電子辞書

3位 立川志らく
静かに文を破くふと秋蛍
提案(私はいっそ自由律を詠めばよいのにと思いました。)
静かに文を破く秋蛍ふっと
静かに文を破く秋蛍ほのと

4位 藤本敏史
まず雁の飛来を尋ね長電話
(最近、連想類句が多いような気がします。)

5位 村上健志
発電機運ぶ赤鬼村祭
(村上健志さんはお祭りがお好きみたい…。)

6位 梅沢富美男
龍淵に潜む充電切れスマホ
添削(「龍淵に潜む」は、中国の言葉「龍は春分に天に昇り、
   秋分に淵に潜む」に由来する秋の季語。)
真っ黒な液晶画面龍淵に

7位 東国原英夫
携带をタコ足充電夜学校
添削(今回の俳句にはがっかり…。発想を飛ばして欲しかった。)
タコ足充電夜学の携帯のとりどり

8位 中田喜子
秋雷や絶縁破壊長き闇
添削
秋雷や絶縁破壊の闇長し

9位 千原ジュニア
夜半の秋次子に授乳の妻ZZZ
添削
次子に乳あきの夜半なる妻ZZZ

10位 森口瑤子
秋蝉や仰向いてなほぎぎと鳴く
添削
仰向いてぎぎと鳴きけり秋の蝉

今回はちょっと期待外れでした…。
このお題では大きく詠めなかったのかも…。
発想を飛ばして欲しかった。

2021年10月1日金曜日

渡辺貞夫と山本寛斎の言葉

葛掘るや寡黙な背なでまた見つけ
スコップと鍬を担いで葛根掘る
手の中で変わる陶器よ夜長かな
移ろいを心に刻む秋の声
天晴れはもののあわれぞ秋高し

渡辺貞夫 曰く
「練習とは追究。そして、
 本番を楽しむための準備。」

山本寛斎 曰く
「すべての運命、
 すべての現実を受け入れること。
 そこから再び歩き出せばいい。」