2018年11月22日木曜日

益岡茱萸女史の60秒の物語

小春日や 声の知的な 立子かな
水鳥や 潜って跳んで 陽射し浴び
羽根休む水鳥 川面で顔洗い
水鳥や 孤独を包み 凛と生き
水鳥や 声をかけても 知らぬ顔
              
NHK俳句 20181118日 放送より
ゲストの益岡茱萸(ぐみ)女史の60秒の物語を記しておきます。

“立子はこめかみを押えた。
日々の疲れは、時折小さな痛みとなって、この場所に現れる。
しかし、休む訳にはいかない。
思えば、娘が生まれた年、「もう俳句は、作れそうもない。」
という立子に、父はあえて、俳句の雑誌の創刊を薦めたのだった。
それほどまでに、立子の才能を惜しんだ、父・高浜虚子。
立子は疲れを振り払うように、きりりと帯を締め、
句会へと向かった。

着いてみれば、公園は晴れ晴れとして、
梅の香りに満ちていた。
その時、すっと言葉が浮かんだ。
来てみれば・・ 来てよかりしよ・・
急ぎ句帳を開き、書き留める。
「来て見れば、来てよかりしよ、梅椿」
一句を、授かった。

心を尽くせば、疲れる事もあるけれど
自分を元気にしてくれるのもまた、俳句なのだと思う。
父は多分、その事を知っていたのだ。

梅の向こうで、句友達が、手を振っていた。”

あまりの素晴らしさに物語に引き込まれていきました。
立子Worldに、茱萸Worldに・・・。
さすが第一線で活躍されているコピーライターの作品ですよね。
光景が確りと浮かび同化していく自分がいました。
60秒の物語!今なお心に渦巻いています。


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