春の陽やマウントとられ「そうですか」
暮の春自分の猫になりました
春の空八朔フェアで品定め
人間の幸せはベタ春の草
子が膝にすっぽり入る春日和
■私のリカバリー 五・七・五が支えたがん闘病 夢枕獏
大山総裁はこの漫画以上のキャラクターでしたよ 2002年8月
「仰天・俳句噺」夢枕獏著
悪性リンパ腫(血液のがん) 五年生存率 約六割
このことを書いたり思ったりすると
加齢臭を発している耳の後ろがひやりと寒くなる
怖いからだ 当時抱えていた連載は殆ど休載 抗がん剤治療に取り組む
闘病生活を支えたのは「俳句」でした
万巻(がん)の書 読み残しておれ ガンになっちゃって
点滴てんてんてん花冷えの夜
荻野アンナ(作家)
10年ぶりぐらいの再会 その間にお互いにがんサバイバーになっていた
連載14本 2020年12月 左右の肺の間に腫瘍が見つかった
仕事が前倒しされる年末進行で精密検査が受けられず翌年に持ち越し
2021年3月精密検査を受けた結果 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
所謂 リンパ腫でステージ3
連載14本のうち13本を休載 抗がん剤治療開始
想像を絶する副作用 全身の毛が抜け落ち 味覚がなくなり 体重は12Kg減
ソファーに崩れ落ちた 動物のはらわたのように うずくまった
時間をやりすごすだけだ 心の地力(じりき)がやつれていく
人間というか 生命体としての根源的な 存在様式の核のような部分を
常に何ものかに 侵されているようなのである
30年以上健康診断を受けていた
縦隔腫大 病名が分かったのが3月末
病名が解るまでのもどかしさに関しては 仕事があったから乗り越えられた
仕事があることによって不安な時間を仕事でやりすごせた
病名が分かってからの方が楽だった
書いているような状態ではなかったが
全部休むと脳の筋肉が戻らないのではないかと思った
アスリートと同じ 一週間休むと三ヶ月かかる 脳の筋肉も同じではと考え
1本だけ残した 才能ある漫画家さんの仕事はそれ一本だった 自分が休むと
その人の仕事がなくなっちゃうと思い 週に一回だけは連載を続けた
かみさんには助けてもらった わがままを言えた 抗がん剤を点滴で入れていたが
食べ物が不味くなる 普段言えないことが言える 「味が分かんないんだよ」
横に弱音をはける人間がいたのは助かった いつもは別々のベッドで寝ているが
一回だけ添い寝をして貰った その時は助かった
荻野アンナさんは病気に対して力んでいた 獏さんは自然体で
弱音を吐く時は吐く 病気との付き合い方が巧い 腕枕獏さんでしたね
「世界一短い定型小説」として俳句でファンタジィを書きたい
「仰天・俳句噺」夢枕獏著
ある俳句との出会い
「おおかみに蛍が一つ付いていた 金子兜太」
ぶったまげたね 凄い 脳を丸太で ぶん殴られたような感じ
こういう俳句なら 作ってみたいと 激しく強く その時おれは思ったのである
今までやってきたのは長編伝奇小説 俳句は簡単な挑戦ではなかった
何十年かやって身につけた技が使えない何故か
定型だから 短いから
つまりこれはとてつもなくおもしろいものに
出会っちゃったということですね
闘病中に新作俳句の創作に挑む
咳ばかりのひと晩で窓しらしら
新緑を凝(じ)つと見ているガンである
おいガンよ蓮華を摘みにいかないか
病に向き合いながら五七五で想像の世界を飛びまわることができました
2021年10月「寛解(かんかい)」医師より告げられた
ガンを告げられてから7カ月が経過していました
20年位前より一年に一日だけ俳句だけを作る日を設けていた
旅先でやるわけですね これが本当のヒッチハイク 荻野アンナ
金子兜太さんの縄文の匂いのする俳句に魅了された
伝奇小説のようなものをそのまま俳句に落とし込むような形が理想
短い小説のつもりで書いている なので季語が入らないときがある
入院中、小説は書けなかったが俳句を作る時は集中し充実していた
リハビリの一環という意味合いもあったかも
文藝の世界にまだいるという安心感を得ていた
俳句がぎりぎり(死に際)まで行けるんじゃないかな
最後まですがることができる文藝が「俳句」
スケールが大きい ガンを擬人化して呼びかけている
私はそこまで大らかにはなれなかった 荻野アンナ
「寛解を迎えるとキラキラ世界が光りますよ」と言われたが本当だった
もう一回やれるということが嬉しかった
寛解からわずか二ヶ月2021年12月
咳が止まらず夜眠れない 立ったり柱に倚りかかったり
どういう姿勢で寝ても息が苦しい
あまりの苦しさに病院へ行ったら
「肺に水が溜まっております。原因は心不全です」
抗がん剤の副作用から引き起こされた事でした。
予定していた社会復帰があっちの方へ遠のいてしまったのである
泣きを入れたくなってくるのである
「仕事を休んで間に全部治そう」
脊柱管狭窄症 鼠経ヘルニアなどの纏めて受けた
闘病は2年に及んだ
病気前と大きく違っているのはただひとつ
約束や仕事を先に延ばさなくなったことだ
おろかでよい ぜひばかばかしく ホットな日々を
できるだけ長く もつことができるのなら それに勝る喜びはない
リハビリは楽しかった リハビりは嘘をつかない
やればやっただけ効果が出る 勉強は分かりませんが
身体に筋肉が言われている通りについてくる
手術は先に延ばすほど治りが悪くなるのは分かっている
いま手術をしたほうが残り時間をよい状態で過ごせる
ガンのお陰 毎年鮎を釣りに行きますが獲れなかった年は
以前は翌年がんばろうと思っていたが 今は翌日行っている
来年は分からないから
カルペディエム:古代ローマの詩人ホラティウスに由来する言葉
「その日を摘め」「今を生きよ」という意味 萩野アンナ
時間に意地汚くなっている 夢枕獏
夢枕獏氏は来年デビューから50年 今書いている連載は終わらせたいなぁ
それが終わったら書きたいものがあるので…。それをやりたい。
現在縄文に凝っていて 蛙とか蛇が大事なモチーフになっています
蟇蛙(ひきがえる)吐き息青く匂ひけり 夢枕獏
(冬眠から覚めて這いずる出た時、冬の間溜めていた
夢を吐き出しているような感じがする
きっと青いだろうなというイメージ)
こんな時間にこんな句を詠めるだなんてもう私カエル 荻野アンナ
ガンに罹患したことを言うと、縄文的に言うと再生復活
0 件のコメント:
コメントを投稿