2026年3月22日日曜日

あの人に会いたい 西村京太郎

台湾を詠む

山猫が残す足跡田打かな

山猫や木についた犬の爪痕

親の死後生き延びた山猫の春

山娘稲刈り終えた田で涎

山猫に優しい農業春光

 

■あの人に会いたい 西村京太郎 2022(令和4)年 91歳没

ある場面があるじゃないですか 対決の場面とかなんか

そういうところは大体書き方が分かっちゃっているから

消しゴムは絶対に使いません

Q一日どれくらい書かれるんですか

15枚から20枚ぐらいです

Q犯人の動きとか そういうのも 電車に乗ってから思いつくんですか

そうですね 寝台車なんかに乗って車掌さんに聞くんです

「死体を隠せるところありますか」とかね びっくりするけどね

「隣に戸棚があります」とかね 教えてくれるんです

 

毎日毎日空襲を受けているじゃないですか だから勝てそうもない

気がするわけですよね だけど学校では校長先生が「絶対勝つ」と

言っているから 武器も持っていないんだからね だけど

言われるとそうなっちゃうんです 疑わない ほとんど疑わないです

終戦 1945815

 

当時(松本)清張さんがワァ~っと出てきたころで ずいぶん読みましたよ

清張さんの 「これなら書ける」と思ったんですよね 

本当は書けないんですけど 読むのはできるけど書けませんよね

だけど若かったから このぐらい書けるんじゃないかと思って

辞めちゃって 決心をしたというか 甘くみたわけですね

 

昭和30年代の東京

1年目でダメでお金がなくなっちゃって 全然お金がないじゃないですか

家にも入れなくちゃいけないから 新聞を見たらトラックの運転手を

募集していたから おふくろに「実は本当はもう役所を辞めていたんだ」と

「お金がなくなっちゃったから あしたからトラックの運転手になるから」

と言ったら泣きましたよ 

 

昭和389月号「オール讀物」文藝春秋 

1963年「歪んだ朝」で新人賞を受賞

 

昔は書きたいものを書いていたんです その時は読者をほとんど

意識しないんですよね ある人に「あんたの一応面白いんだけど

読者がついていかないんじゃないか」と言われました

いろいろ考えて自分で書きたいものを書くのは良いんだけど

読者が読んでくれるんだから読者が喜ぶようなものを書くという

そういう気に少しなりました 思考錯誤しながら書いたのが

1966年「D機関情報」

戦争中のスパイの話を書きたくてね いい小説だと思うんです

自分で凄く苦労して書いたんですよ それ売れなくて3000

刷ったのかな「売れ残った」と言われて 「これほど売れない

小説はなかった」と言われて 

 

僕はその頃「いいものは書くけど売れない作家」と言われていたんです

(昭和)53年頃ですか「次にどんなの書く」って言うわけです 不安だから

売れそうなのを向こうは出版したいわけですから その時「昭和7年の

浅草を書きたい」って言ったんです 「それはどう考えても売れません」

と言う そういう古い奴は「ほかに何かないですか」って言うから

東京駅に子どもがいっぱいブルートレインを見ていたわけです

ブルートレインは人気があるからストーリーも何もわからんないけど

「ブルートレインを書きたい」と言ったわけ そうしたら「浅草より

いいからブルートレインを書いてください」って言うから 取材に

行って書いたのが初めなんです 

 

1978年「寝台特急殺人事件」ベストセラーになりました

Q鉄道はどういう所がミステリーの舞台としていいんですか

いろんな人が乗っていますよね 犯人も乗っているだろうし サラリーマンも

乗っている いろんな人が乗っています それが面白いんです 

 

西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ23

ターミナル終着駅殺人事件 人気を不動のものとしました

 

一駅の区間の所要時間が40分なんて書いてある時があるんです

どう考えたって距離が短い所で40分かかるはずがないんだから

なぜ40分かかるのかって見に行くわけです するとそこで

待合せの時間があったりとか いろいろありますから 

それが分かるわけです 「何々駅のトイレから出てきたことにしたい」

となるじゃない 書いている時に トイレを見てこなかったら

見に行かなきゃならない トイレだけ見に行きますね それ間違えると

すぐ指摘がくるんです 「そこにトイレはない」とかね

 

土地の人が乗ってくるといちばんいいんです 話をして子どもなんかが

乗ってくると どんなお菓子を食べているのか 聞いたりして 地方の

お菓子があるわけです それをお菓子をもって死んでいればそれが

何かになるじゃないですか 

 

トラベルミステリーという新しいジャンルを確立した西村氏

手掛けた作品は600以上になります

Q伝えようと思ったものは?

旅の楽しさですかね それからどこへ行ってももっともなんだけど

人生があるという そこに住んでいる人がいますよね そういった

人が好きなんです 山の上に一軒家があって どんな生活をしているのか

思ったり 考えるのが楽しいです そこに人間がいるという

ことじゃないですか いろいろ聞いたりするのが面白いです

2015年「十津川警部八月十四日夜の殺人」より

終戦記念日 戦争を忘れていく危機感

86歳の時 自伝的ノンフィクション 2017

十五歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」西村京太郎著

 

戦争は始まっちゃうと ひたすら国のためで 特攻なんかだと

「死ね」と言われて 本当に「死ね」なんて言ってはいけないんです

人間なんだから 神様じゃないんだから あの怖さとかは分からないもんね

爆撃を受ける怖さとか だから一度書いておいたほうがいいと

思って書いているんだけど 正しくても間違っていても 戦争はだめですよ

 

自分の人生しか生きられない いろんな人の人生を生きたいわけ

Q人間は面白いものですか

そうですね それが極端にいくと殺人までいってしまう

一生懸命愛したり 一生懸命殺したりする どちらも人間

  

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