2021年12月28日火曜日

兼題「炭」

年流るジャストボーイと呼びませう
あるがまま歩む人生去ぬる年
愛される人間となれ冬麗
北風や祖谷で脈々蕎麦すべし
粛々と褒め道を行く冬の景

NHK俳句 兼題「炭」
選者 櫂未知子 部員 いとうまい子 進行 塚地武雅

宿題提出
(炭は材料を蒸し焼きにし燃料などに使用する。
 季語「炭」は俳句では料理用ではなく、
 暖をとるためのものを詠む。)

塚地武雅
冬の水山容確と映しけり
可惜夜(あたらよ)に炭に話も尽きにけり
(「可惜夜」=あたらよ。明けてしまうのが惜しい夜。素晴らしい夜。)
佇みて瞬きしたる兎かな
行く年や薄き日めくり見つめをり
(薄き日めくり⇨古暦)

いとうまい子
手も足も長き影なり冬茜
つややかに天を切り取る冬の水
湯豆腐や昨日の言葉重ねつつ

田中要次
備長炭鋼の如く響きけり
巣穴より夜空見上げし兎かな
郷の夜青女が外にいた気配
(「青女」=せいじょ。雪や霜を降らせる女神の事で
 霜を表す季語ともなっている。)

今回のお気に入り入選句
炭継いで枕草子諳(そら)んじる 宮澤朝子
埋火(うずみび)や五分遅れの掛け時計 平岩ひろみ
炭ついで二人の黙(もだ)をかがやかす 阿部千保子

俳句、二歩目へ 句を引き立てる「名前」
「しばれる」と訳す倫敦(ロンドン)塔真裏   櫂未知子
公園の噴水凍(い)つる紐育(ニューヨーク)    塚地武雅
(噴水は夏の季語)
しぐるるや滑る羅馬(ローマ)の石畳   いとうまい子

俳句ドリル 12月の課題
季語「冬の海」と「夕星(ゆうづつ 金星のこと。)」を詠む。

夕星と月ともにあり冬の海   塚地武雅
波の間に夕星かかぐ冬の海   いとうまい子

田中要次さんの俳句は最初から魅力的だったので
最近のご躍進は嬉しいです。
益々楽しみにしています。

1月2日は「歳時記食堂~おいしい俳句召し上がれ~新年」
宇多喜代子先生、小林聡美さん、
夢枕獏さん、ビビる大木さんがご出演!楽しみ…。

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