2021年12月31日金曜日

正岡子規シリーズ おまけ回

冬服やウエストだけがふくよかに
笑うのも面倒なのよ日向ぼこ
息白し予測と違う現実へ
リスペクト無く怒り持ち北颪
みんな好きみかんと林檎干し柿も

YouTube『夏井いつき俳句チャンネル』 
正岡子規シリーズ おまけ回

来年はよき句つくらんとぞ思ふ   正岡子規

うかうかと鴨見て居れは年くるる   正岡子規
(鴨と年くるる 季重なり 理想的俳人的年の暮れ)

年の暮財布の底を叩きけり   正岡子規
(年の暮れのおかしみがある。
 子規は類相類句を気にしなかった。
 分析はしても、自己否定はしないほうがよい。)

居酒屋に今年も暮れて面白や   正岡子規
(「面白や」がリフレインされるかも?)

最後の太陽、最初の太陽の提案がなされました。
去年今年を味わうって素敵…。格調が高い…。

来年も俳句を楽しみたいと思う大晦日(おおつごもり)なのでした。

2021年12月30日木曜日

令和相聞歌web投票

冬銀河死人(しびと)の歌を死に人が
元気という病気とともに冬を行く
つまらないことに拘り鎌鼬
冬夕焼一日がまた過ぎてゆく
我が儘と初志貫徹や冬の色

夏井いつき俳句チャンネル より
【令和相聞歌web投票】あなたの一票が10万円の行く末を左右する!

4500分の71に選ばれていたんだ!
https://www.reiwasoumonka.com

当選句
冬野菜恋したことも塩漬けに
https://www.reiwasoumonka.com/vote_smp.asp

落選句
舞う枯葉始まらなかった恋も恋
朱夏の恋引きずり生きて共に古稀

レベルの高さにびっくり。
よくぞ残してくださいました…。
嬉しい…。生きていて良かった…。

2021年12月29日水曜日

題「○○会」



















仕事納めの折り詰め❣美味しかったです。

冬日没(い)る痛みの記憶くっきりと
生き飽きた迎えはまだか冬日かな
冬畑アオサギの飲む牛蛙
冬の浜達磨朝日の隠れをり
雪晴れ落合集落輝かん

NHK短歌 題「○○会」
選者 佐伯裕子 ゲスト 濱田龍臣、小澤愛実 司会 小沢一敬

冒頭句
千年の源氏の恋を読む会に恋はさておく夜の酒盛り
佐伯裕子

◆今回のお気に入り入選句
我々は大人になってもたんぽぽをふーっ推進協議会です
神奈川県川崎市 岡奎那

勉強会それよりましな言い訳が今はまだ無い君と僕には
新潟県新潟市 中村聡

◆「短歌の基礎」
■ポイント①=具体的な名前を入れる。
例歌
年一度集ふ従兄弟会(いとこかい)しんがりの二十七人目われも還暦
松尾祥子

パープルのドレスに母の名前入りリップを付けて舞踏会気分
小澤愛実 添削
パープルのドレスに母のよく光るリップを塗れば舞踏会のよう

オンラインゲーム飲み会馬鹿騒ぎビデオ通話で繋がりながら
濱田龍臣 添削
オンラインゲーム飲み会空騒ぎビデオ通話で繋がりながら

毎クール始まるドラマを見る会の感想を聞いて一話で終える
小沢一敬 添削
毎クール始まるドラマを見る会の感想を聞き一話だけ見る

■ポイント②=数字を入れる。
例歌
六人が一人減りたる「六の会」修行仲間が今年も集う
大下一真

三脚の目の前に立ち一時間リズムに合わせ動画撮影
小澤愛実 添削
三脚の前に立ちつつ一時間リズムに合わせ動画撮影

大晦日家族四人で鍋つつくすき焼き会は毎年恒例
濱田龍臣 添削
大晦日家族四人で鍋つつくすき焼き会は今年もつづく

ゾロ目会10月10日の誕生日祝ってくれる3月3日
小澤一敬 添削
ゾロ目会10月10日の誕生を3月3日に祝われている

ティーバッグ2つで作る贅沢な紅茶とともに弾む女子会
小澤愛実 添削
ティーバッグ2つで作る贅沢な紅茶の香り弾む女子会

門限の五時が近づく帰りの会先生がする無駄話のせい
濱田龍臣 添削
門限の午後五時せまる帰りの会先生が長い無駄話して

午後2時の日差しが残る12月駐車場では野良猫の会
小沢一敬

2021年12月28日火曜日

兼題「炭」

年流るジャストボーイと呼びませう
あるがまま歩む人生去ぬる年
愛される人間となれ冬麗
北風や祖谷で脈々蕎麦すべし
粛々と褒め道を行く冬の景

NHK俳句 兼題「炭」
選者 櫂未知子 部員 いとうまい子 進行 塚地武雅

宿題提出
(炭は材料を蒸し焼きにし燃料などに使用する。
 季語「炭」は俳句では料理用ではなく、
 暖をとるためのものを詠む。)

塚地武雅
冬の水山容確と映しけり
可惜夜(あたらよ)に炭に話も尽きにけり
(「可惜夜」=あたらよ。明けてしまうのが惜しい夜。素晴らしい夜。)
佇みて瞬きしたる兎かな
行く年や薄き日めくり見つめをり
(薄き日めくり⇨古暦)

いとうまい子
手も足も長き影なり冬茜
つややかに天を切り取る冬の水
湯豆腐や昨日の言葉重ねつつ

田中要次
備長炭鋼の如く響きけり
巣穴より夜空見上げし兎かな
郷の夜青女が外にいた気配
(「青女」=せいじょ。雪や霜を降らせる女神の事で
 霜を表す季語ともなっている。)

今回のお気に入り入選句
炭継いで枕草子諳(そら)んじる 宮澤朝子
埋火(うずみび)や五分遅れの掛け時計 平岩ひろみ
炭ついで二人の黙(もだ)をかがやかす 阿部千保子

俳句、二歩目へ 句を引き立てる「名前」
「しばれる」と訳す倫敦(ロンドン)塔真裏   櫂未知子
公園の噴水凍(い)つる紐育(ニューヨーク)    塚地武雅
(噴水は夏の季語)
しぐるるや滑る羅馬(ローマ)の石畳   いとうまい子

俳句ドリル 12月の課題
季語「冬の海」と「夕星(ゆうづつ 金星のこと。)」を詠む。

夕星と月ともにあり冬の海   塚地武雅
波の間に夕星かかぐ冬の海   いとうまい子

田中要次さんの俳句は最初から魅力的だったので
最近のご躍進は嬉しいです。
益々楽しみにしています。

1月2日は「歳時記食堂~おいしい俳句召し上がれ~新年」
宇多喜代子先生、小林聡美さん、
夢枕獏さん、ビビる大木さんがご出演!楽しみ…。

2021年12月27日月曜日

Pavarottiとハイデッガーとロランの言葉

幅を持つ一瞬の継続の垂(た)る
冬日和時間の意識薄がりて
冬夕焼時間の幅を持ち歩き
個よりも社会に合わさん声冴ゆる
雨音や冷たし頬に手をあてて

Luciano Pavarotti 曰く
「音楽を聴くのに頭なんて必要ないのさ。」

ハイデッガー 曰く
「経験を積んだ人は、
 物事がこうであるという事を知っているが、
 なぜそうであるかということを知らない。」

ロマン・ロラン 曰く
「少しのきまじめさは恋愛においては結構だ。
 しかしあまり真面目すぎては困る。
 それは重荷であり、快楽でなくなる。」

2021年12月26日日曜日

12月の子規

クリスマス時を繋げん昨日今日
0.1秒の今を行く寒し
ポケットの中暖かいから遠廻り
冬銀河ゾーンを俯瞰できた日々
それぞれのゾーンの感じ方凍る

夏井いつき俳句チャンネル
【12月の子規】子規シリーズ最終回!?
1月から始まったシリーズがついに...

穴多きケットー疵(きず)多き火鉢かな   正岡子規
ケットーとは毛布の事
この時期はまだ季重なりは厳格ではなかった。
1897年明治30年の句
明治28年子規は大連から帰る船の中で吐血した。
子規は便所にも火鉢を抱えていくほどで
愛用のケットーには火の粉が飛ぶことなんぞ
日常茶飯事だったろう。

冬の日の筆の林に暮れて行く   正岡子規
碧梧桐の語りの一節。
「原稿や分類で普通人の何十倍か筆を使われる。
 十本ずつ買いだめの筆も時には二か月ぐらいで
 お終いになったかとも思われる。」
この時、子規が使っていた筆は
十本十銭か十五銭くらいの筆。

画室成る蕪を贈つて祝ひけり   正岡子規
「不折(ふせつ 画家)ニ寄ス」という前書きのある俳句
子規庵から200mほどのところに
新しい画室を不折が開いた12月26日の画室開きには
祝宴に湯婆(ゆたんぽ)かかへて参りけり   正岡子規

何はなくと巨燵(こたつ)一つを参らせん   正岡子規
夏目漱石がお見舞いに来てくれた時に送った俳句
「明治二十八年漱石来る」との前書きのある句。
漱石が松山を出発した理由は見合いだった。
見合いした3日後二人はあった。
この見合い相手がのちに漱石と夫婦になる鏡子さんだった。

次回は「付録」だとか…。楽しみ…。

2021年12月25日土曜日

夏井いつきのよみ旅!in・宮城・気仙沼 前編

庭枯れる近寄りたくはないけれど
雪催(ゆきもよい)片寄せ合いてもんじゃ焼き
独りぼち釜揚げうどんふうふうと
手足荒る心も荒れてEverything.
湯豆腐や心温めほっこりと

夏井いつきのよみ旅in宮城・気仙沼 前編
宮城で俳句旅 夏井いつき&ROLAND

光射すがれきの湾(うみ)に帰る漁船(ふね)   気仙沼つばき会 斉藤和枝
避難所に届けし柚子湯抱きしめる  菊田三恵子
冬の海箱眼鏡から見る未来   藤田純一
冬めく日歌って踊る半袖で   佐藤健
冬の宵笑顔で食すはリピーター   村上力男
枯草が枯木かき分け生えている   三浦雅哉
幼くも伝え続ける雪の日を   熊谷操
はっと汁見てみよ未来の気仙沼   畠山菜都

君たちのことばは冬青空である   夏井いつき

季重なり=下手と断定するのは如何なものか?
違和感を感じました。

2021年12月24日金曜日

吹雪倒れ 

望ましい欲そうでない欲墓囲ふ
冬晴や嫌こと言わず無視すべし
冬麗許し許され生かされて
無視以外問題回避できぬ冬
言うべきか言わざるべきか寒威かな

一分季語ウンチク 「吹雪倒れ」

これは非常に恐ろしい季語です。
現在は昔よりはそういうケースは
少なくなったかもしれませんが
北国の強烈な吹雪に倒れ人が亡くなること
これも季語として生まれていった。
それだけ人の生活の中ではこういうことが
あったと、そういう季語です。
かなり古く、まぁ由緒ある季語とも
いうことができるかもしれません。
江戸時代の雪国の民族を描いた
「北越雪譜(せっぷ)」という書物の中に
この「吹雪倒れ」の様子が描写されています。
これが非常に迫力がありまして
「夫は蓑笠を吹き取られ妻は帽子を吹きちぎられ
髪も吹きみだされ咄嗟という間に眼、口、襟、袖はさら也
裾へも雪をふき入れ全身凍え呼吸迫り助くる人なく
手足凍て枯木のごとく暴風雨に吹き僵(たお)され
夫婦頭を並べて雪中倒れ死けり」
と描かれているとのことです。
自然は本当に恐ろしいものですね。

2021年12月23日木曜日

文田聖二と種田山頭火の言葉

ちっぽけな吾と向き合わん冬銀河
言われた者の気持ち解るか冬の月
冬の夜あなたの声が琴線に
冬の朝時間が通り過ぎていく
見たかった流星群の冬の舞

文田聖二 曰く
「本物に触れることで 自分のDNAを呼び起こす時間が必要。
 美意識もその一つ。」

文田聖二 曰く
「誰かに指示されたり注意をされてからやることは、面倒くさい。
 誰かのために積極的に自分で判断してやることは
 人に喜ばれ、やりがいになっていく。
 『やりがい』と『面倒くさい』は紙一重。」

種田山頭火 曰く
「理解のない人間に会うよりも、山を見、樹を眺め、
 鳥を聞き、空を仰ぐ方がどのくらいうれしいかは、
 知る人は知っている。」

2021年12月22日水曜日

カール・ヒルティとジェームズ・アレンの言葉

年の空流星群を待ちわびて
十二月パヴァロッティ―を聞きながら
神楽月同じ時間はもう持てず
クリスマスローズ飾りて灯をともし
花屋ではポインセチアがそこここに

カール・ヒルティ 曰く
「挫折したことのない人は役に立たない。」

ジェームズ・アレン 曰く
「あなたは、自分が密かにもっとも愛しているものへと
 常に引き寄せられることになる
 あなたは、あなたの抑制された願望と同じほどに小さなものに、
 また、あなたの自由な熱望と同じほどに大きなものになる。」

2021年12月21日火曜日

題「眠り」

不機嫌なパソコン宥(なだ)め年賀状
冬の鳥雲なき空を悠々と
選択の自由奪わる声冴る
価値観を押し付けられし霜夜かな
歩むべき道を失う冬銀河

NHK短歌
題「眠り」
選者 大森静佳 ゲスト 長井短 司会 有森也実

冒頭句
やわらかなきみの寝顔を眠りたい寝顔のなかを岸まで泳ぐ 
大森静佳

夫婦でリレーした短歌
(亀島)チョコレート
(長井)それよりおかき
(亀島)食べたいな
(長井)きつね色した
(亀島)君の鼻声   長井短&亀島一徳

長井短さんのお好きな一句
湖だいつか巨大なてのひらがきみ押し倒す力のことも 
大森静佳

今回のお気に入り
鳩尾(みぞおち)へ伏せた文庫もぷかぷかときみの寝息の波にたゆたう
久藤さえ
明け方の夢を日記に書きとどめ現(うつつ)のことは何も記さず
梶田有紀子
今日は風明日は光に夫はなる永遠の眠りは退屈すぎて
桑原鶴代
母はもう兄と出会ったにちがいない私の夢から二人は消えた
小山睦美
冬眠の熊の寝姿おもひつつ手先が熊となるころねむる
加藤マスミ

今読みたい愛の歌
夜ごと君は先に眠れり眠剤の真っ白を飲みてあとを追ふなり 
大口玲子(おおぐちりょうこ)

大森静佳のポイントで改作!
テーマ 訪れる感覚を楽しもう
(元歌)片栗粉誰入れたのか全身にとろりと眠気の回る午後あり
改作①疑問形を生かそう
全身にとろりと眠気の回る午後われに片栗粉を入れたのはだれ
改作②あえて「誰か」を登場させよう
眠い昼からだとろりと溶けてゆく○○に片栗粉をかけられて

眠い昼からだとろりと溶けてゆくバッハに片栗粉をかけられて
有森也実
眠い昼からだとろりと溶けてゆく留守に片栗粉をかけられて
長井短
眠い昼からだとろりと溶けてゆく天使に片栗粉をかけられて
大森静佳(見えない存在をあえて描く)

選者からのメッセージ
訪れる感覚を楽しむためには違う視点で自分を見てみよう

2021年12月20日月曜日

兼題「枯れ野」

息とめて面相筆の描く冬
神帰月(かみきづき)鉄線描で描く心
匙加減してもされても雪見月
建設的選択をなす仲冬
札束で頬を張る人冬ざるる

NHK俳句 
俳句と想像力 兼題「枯れ野」
選者 岸本尚毅 ゲスト 立川こはる 司会 中田喜子

冒頭句
枯野人バナナを出して子をあやす   岸本尚毅

むさゝびの小鳥はみ居る枯野哉   与謝蕪村
(残酷な俳句。
 むさゝびは冬、小鳥は秋、枯野は冬の季語)

今回のお気に入り
青い海夜に現れ枯野かな   入澤大陸(小学校4年生)
海黒くうねる岬の枯野かな   堀内照美
スナフキン真似て枯野をハーモニカ   上田一樹
「花」の名の山羊は枯野の柵に棲み   内野悠

岸本教官の添削道場
枯野には大観覧車聳え立ち
添削(中田喜子添削 枯野なる)
枯野あり大観覧車聳え立ち

枯野ゆく白洲次郎のハンチング   中田喜子
添削(人物を大きく、目立たせるための添削。)
ハンチング枯野を白洲次郎かな

駆けくらの子らよどこ行く枯野かな   立川こはる
添削(解りやすく現代仮名遣いにした方が良い。)
駆けっこの子らよどこ行く大枯野(おおかれの)

季重なりを避ける必要はない。
主たる季語が確りしていれば問題はない。
伸び伸び作り仕上がりを見て季語が食い合っていれば捨てれば良い。
兼題はたしなみとして詠まなくてはならない。

2021年12月19日日曜日

種田山頭火の代表作

冬ざるる人それぞれの感じ方
渇筆や和紙を削りて金太郎(無季句)
掠筆(かっぴつ)で込めた思いの霜夜かな
越前麻紙の筆のにじみや冬ぬくし
冬日和(藤田)嗣治の白の影響か 

種田山頭火の代表作

分け入っても分け入っても青い山
まっすぐな道でさみしい
どうしやうもないわたしが歩いてゐる
濁れる水の流れつつ澄む
窓あけて窓いっぱいの春
ごろりと草にふんどしかわいた
いつもつながれてほえるほかない犬です
あるがまま雑草として芽をふく
いつも一人で赤とんぼ
いつでも死ねる草が咲いたり実つたり
なければないでさくら咲きさくら散る
生死の中の雪ふりしきる

焼き捨てて日記の灰のこれだけか

辞世の句
もりもり盛りあがる雲へあゆむ

晩年の日記より
無駄に無駄を重ねたやうな一生だつた、
それに酒をたえず注いで、
そこから句が生まれたやうな一生だつた

種田山頭火の名言
理解のない人間に会うよりも、山を見、樹を眺め、
鳥を聞き、空を仰ぐ方がどのくらいうれしいかは、
知る人は知っている

https://ii-hon.com/tanedasantouka/ より

日に日に種田山頭火に惹かれていきます。
You-Tubeさんが紹介してくださったお陰です。

2021年12月18日土曜日

ヒートテックで一句

冬ぬくし獅子ベジタリアンに非ず
熱燗や喜怒哀楽を肴にして
寒潮に見る黒の中の濃淡
鎌鼬(かまいたち)群れて自由を失いて
冬の朝雪見障子の竹の影

プレバト纏め 2021年12月16日
ヒーテックで一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
薄明り杜氏のすする粕の汁
添削(粕の汁は音数調整。季語が弱い。)
杜氏らのすする粕汁明けの星

永世名人への道
村上健志
冴ゆる夜やショウウインドウに黄の鞄

特待生昇格試験
北山宏光
衣装替え耳元爆ぜる静電気
添削(衣装替えは名詞か?動詞か?静電気は最近季語となりつつある。)
衣装替え耳元爆ぜる静電気

1位 トシ
着膨れてスープカレーの香りたつ
(着膨れないためのヒートテックではないのでしょうか?)

2位 ゆうちゃみ
落葉風渋谷を闊歩生脚で
添削
生脚の闊歩渋谷の落葉風

3位 徳光和夫
悴みがふと懐かしきティショット
添削
懐かしきものに悴むティショット

4位 原田龍二
着心地にあぁ身を捩(よじ)る冬麗(ふゆうらら)
添削
冬麗(とうれい)のごとし肌着の着心地は

次回のプレバトは2022年1月6日
2022年1月冬麗戦

初日冴ゆ着物の衿の紅椿   浅野ゆう子

寒明けや君の「お疲れさま。」の声   あんり

冬の朝チュロスを食べに映画館   嶋佐

カレーにトマト浮かぶ夏昼の鮮やかよ   村上

春寒し一人で座るカウンター   ミキ亜生

泥靴や頑張る君の夏近し   田辺

朧夜や四つ目のガム母まだか   福田麻貴

日盛りや母の二の腕は静謐   犬山紙子

子と昼寝顔に日よけのぐりとぐら   菊池桃子

ちびリュック中身はおむつ山笑う   本上まなみ

アイフォンに桜蘂降るハチ公前   石野真子

発表会シニヨン結ぶ春の朝   高橋克実

上京の春や深夜のユッケジャン   佐々木久美

リハ帰りのプラットホーム氷菓子   朝日奈央

扇風機持つ手甘噛む仔猫たち   中川翔子

やりくりも万策尽きて梅雨ごもり   加藤登紀子

濡れ鼠(ねずみ)せめてどこぞの喜雨であれ   伊集院光

住み込みの夜のケーキの苺かな   IKKO

十円のもやしで晩餐春を待つ   武尊

紅白帽脱いで焼き立て林檎パイ   小倉優子

鯖雲と無尽弁当販売所   星野真里

独立の夜やゴッホの星月夜   堀未央奈

殻破る閃閃秋の朝つれて   勝村政信

伊集院光さんと勝村政信さんは出場して欲しいなぁ~。
大好きな句です!こんな句が詠みたいです。

2021年12月17日金曜日

冬草

ガス足りず物価高騰社会鍋 
懸命に砂をついばむ冬の鳩
あっけなく実家売却柚子湯かな
冬の暮イーロン・マスク独り勝ち
フェミニズム感じず生きん冴ゆゴリラ

一分季語ウンチク 冬草
冬になると段々、草木も元気がなくなってきて
そこら辺に生えている雑草なんかも
段々しおれて枯れていくわけです。
しかし、この「冬草」という季語には
注意するポイントがあります。
これは枯れ草の意味ではないのです。
「冬草」という季語の本意は
冬になってもまだ青味を残している状態の草の
総称、それら全体を「冬草」と言う訳です。
もし自分が俳句を作る時に
すっかりと枯れてしまったしおしお
もう茶色くなって全体の青さの
残っていない光景を言うのであれば「枯草」
冬になってきて侘びしい光景の中で
まだでも青さを残した野原だったり
畦だったり、そういった草の光景を
言いたいのであれば「冬草」を
使う必要があるということです。

2021年12月16日木曜日

文田聖二氏の言葉

再エネ導入しっぺ返しの冬
(2021年)天然ガス不足深刻霜月
子の月排出権価格高騰
嫌われる石炭火力神帰月(かみきづき)
ガス価格高騰必至冬至かな

文田聖二 曰く
「芸術家は十人十色で、それぞれが違った生き方をしています。
 それだけ生き方にはたくさんの選択肢があるということです。」

文田聖二 曰く
「人の所為にしない。
 自分にある問題点から発見して、
 解決していく方が前進できる。
 相手に依存するほど、
 その状況に不満が湧き出てイライラする。
 その状況を楽しめばいい。
 現実を受け入れながら、自分の思いはあきらめないで
 できることで努力していけばいい。
 自分の好きなことをやればいい。」

2021年12月15日水曜日

題「声」

(種田山頭火)行乞(ぎょうこつ)と卑下、エポケーと写生の冬
冬夕焼どんどんと懐かしき道
大歩危や雪降る中のラフティング
冬日和八十八の謎抱え
(2021年)十二月エネルギー価格高騰

NHK短歌 題「声」
選者 佐佐木頼綱 ゲスト 植草歩 
司会 星野真里 レギュラー カン・ハンナ

冒頭短歌
我が知らぬ我が心身が新生児室のベッドに大声で鳴く
佐佐木頼綱

今回のお気に入り
決勝の余韻も消えたスタンドで夕風が聞く声の跡形
神奈川県川崎市 山口正剛
付き合いで「お幸せに」と言う時はわたしの声が鈍色になる
静岡県松崎町 鈴木真智子
いまひとつ満足できぬこの夏が虫の声もて押しやられゆく
愛知県半田市 佐藤幸
ここまでと栞はさみて書を置けばかなかな蝉の声ちかき窓
山口県防府市 木原樹庵
なにを感じてるのかわからずに声をさらわれ立ちつくす浜
福岡県筑紫野市 桂仁徳

選者のお話 スポーツと日常
宙に舞うシュートの行方歓声が俺の心を引き戻したり
根本慎志

頼綱さんの!短歌かかって来なさい!
題材は植草歩さん!

中段突きへ踏み込む半歩今日までの己の正中線を突くため 
佐佐木頼綱
祖母の声私の声と重ねあい歩んでゆこう空手の道を 
💮カン・ハンナ&星野真理

2021年12月14日火曜日

兼題「マスク」

うみ柿へ顔をうずめる野鳥かな
水素バス過疎から過疎へ冬デビュー
連綿かアラビア文字か冬の蝶
解読困難変体仮名よ侘助よ
冴る夜や体丸めて縮こまり

NHK俳句 兼題「マスク」
選者 阪西敦子 ゲスト ざわちん 司会 岸本葉子

冒頭の俳句
俯(うつむ)きて揺れてゐてみなマスクして   阪西敦子

「季題あるがまま」今回は「マスク」
マスクして人の背なかが前にある   加倉井秋を
(自分がしているマスクの俳句)
マスクかけ仄かに彼の眉目(びもく)かな   高浜虚子
(人がしているマスクの俳句)

今週のお気に入り
マスクして半分だけの人となる   野地垂木
先生のマスクが数式を唱ふ   岡一夏hg
マスクして外して一日(ひとひ)暮れにけり   宍野宏治

阪西敦子先生の即吟句 
眉へ足すうれひマスクの隠す分   阪西敦子

2021年12月13日月曜日

兼題「柚子湯」

日向ぼこほうれん草の青々と
ドローンの農薬散布冬田かな
冬田面(ふゆたのも)スマート農業の進化
冬迎へたるスカイブルーの鏡地 
大麻町心願の鏡地冴ゆ

ギュッと!四国
夏井いつきの俳句道場
兼題「柚子湯」

選句のポイント
柚子湯の豊かさ・心地よさ

■ギュッと!特選
あふるるを許す柚子湯の日なりけり   おきいふ

■放送で紹介された「秀作」
潰す派と潰さない派の柚子湯論   堀アンナ
おもさうに子は湯のゆずをしづめては   高尾里甫
ぶよぶよの柚子をつっつく柚子湯かな   猫雪すあま
しくじりしけふのおはりの柚子湯かな   ピアニシモ
カピバラの潜る柚湯のぽかんぽかん   綾竹あんどれ

■放送でご紹介された「佳作」
一年(ひととせ)の思いが浮かぶ柚子湯かな   なおひとさん
ライオンの湯口柚子のタップダンス   織部なつめ
「サクラサク」ほつこりふはり柚子湯の香   紫菜子
ふるさとの柚子湯や吾子(あこ)の笑顔満つ   雪たらば
仕舞(しまい)風呂柚子もほとびぬ午前二時   岡井稀音
柚子湯より馴染(なじ)みの客の弾む声   岡田まさこ

◆過去の助動詞「し」の使い方
「し」は過去の助動詞「き」の連体形、
基本的には過去の意味になるため注意して使う必要がある。

■お気に入り
きょうという何も無き日のゆず湯かな   サワコの娘
月色の匂ひほのかに柚子湯かな   すずさん
家族とは面倒なもの柚子湯沁(し)む  たむらせつこ
大抵のことは赦(ゆる)そう柚子湯の夜   れんげ咲く
小さき湯に漲(みなぎ)る柚子の浮力なる   綾竹あんどれ
柚子風呂のしまい湯ゆらり今日生きた   小川さゆみ

NHK松山放送局様 ありがとうございました。
勉強になります。感謝を込めて…。

https://www.nhk.or.jp/matsuyama-blog/gyutto/haiku/

2021年12月12日日曜日

紅白俳句合戦 第2回戦

分担のゼロサムゲーム冬の星
冬茜ロダンなくして民藝なし
アドバンテージ持つ鉄道列車凍土
息白しモノをことを大切に
休耕田赤蕎麦の花寄り添わん(無季句)

夏井いつき俳句チャンネル
【紅白俳句合戦】第2回戦の結果発表!いつきさんの予想は白!

赤 鶏のゆかへ上りぬ秋のくれ   正岡子規
白 土間に人畳の上に羽抜鶏   岸本尚毅

赤は時間の流れを白は一瞬の時間を切り取っている。
白は情景が浮かぶ、赤はゆっくりとした秋の景が浮かぶ
白の一瞬の滑稽さを感じる。
秋のくれは他の季語で代用できるが羽抜鶏はできない。
白の「の上」がいる理由が解らない。
組長は「の上」は必要だと…。目線がフラットになるので…。
秋のくれ(映像のない時候の季語)を主役に押し上げている。
季語の「秋のくれ」で目線が鶏から外へ向き
秋の冷気や薄暗さが感じられる。
鶏という生き物の温かさを感じさせることで
秋の夕暮れの冷たさ寂しさが際立たせている。

やはり赤が優勢という結果になったそうです。

2021年12月11日土曜日

冬の信号待ちで一句

枯れた技術の水平思考寒昴
冬の景自然のままを生きて行く
エコに優れし鉄道小春日和
テスラの株価うなぎのぼりぞ冬北斗
茶道こそSDGs冬日向

プレバト纏め 2021年12月9日
冬の信号待ちで一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
冬ざれや交差点蹴る明け烏(からす)
(明け烏とは一夜の恋をした男女が朝方別れるさま。
 時間や情景が鮮明に描かれている。)

永世名人への道
藤本敏史
陸橋を渡れば熱を持つマスク
(マスク本来風邪の季語としてのリアリティーと
 現在のコロナ禍の扱われ方のリアリティーが詠まれていた。)

特待生昇格試験
皆藤愛子
オリオンと重機の湯気と土煙
(助詞「と」「の」「と」を選択したことで
 見事な映像化が出来ていた。
 オリオンという自然物と重機という人工物の対比。
 白い気体と土色の粒子との対比。
 言葉選びと語順が秀逸だった。)

1位 こがけん(おいでやすこが)
朝ロケの信号待ちに脱ぐコート
(きちんと配置されている。)

2位 YOU
口ずさむ歌もかじかむ赤信号
添削(「も」だと説明になっている。詠みてに想像を…。)
口ずさむ歌かじかむ赤信号

3位 ウルフアロン
信号待ち見えぬ相手に息白し
添削(中七に読者が想像できる言葉を…。「し」韻を踏んだ。)
試合近信号待ちの息白

4位 島崎遥香
交差点視線ぶつかり頬カイロ
添削(頬カイロでは季語としての力を発揮していない。弱い!)
交差点君の視線とぶつかる冬

次回のお題は「ヒートテック」

2021年12月10日金曜日

新渡戸稲造と中村天風の言葉

北颪梯子を外すパウエル氏
天狼やテクノロジーに期待せん
冬の靄ルール持たない日本人
冬潮や自分のルール持ちてこそ
己を持たず迎合す冬日没(い)る

新渡戸稲造 曰く
「いかに苦しいことがあっても
 ヤケになるのは短慮の極みである
 逆境にある人は常に
 『もう少しだ』と言って進むといい
 やがて必ず前途に光がさしてくる。」

中村天風 曰く
「なにか悲しいこと、辛いこと、
 そのほか消極的な出来事があったら、
 努めて『笑う』ようにしてごらん。
 どうだい、これならあなた方でもできるだろう?」

2021年12月9日木曜日

初氷

満ち足りた愛ゆえの孤独露凝る
しぐれ虹木喰仏(もくしきぶつ)と目が合わん
冷たし陶器流し釉(くすり)に身を任せ
独り生くダンスはふたり冬銀河
金融引き締めの相場へ冬ざれ

一分季語ウンチク「初氷」

その年に初めてはった氷のことを言います。
気象庁で観測を出していて
気象台で直径20センチの金属盥(たらい)の蒸発計の
中の水の凍結によって結氷を観測するのだそうです。
この結氷の時期は結氷を観測された日を「結氷初日」
春になって最後に氷の観測された日を「結氷終日」
といい結氷初日から結氷終日までが結氷期間と
いうことになるのだそうです。
気象庁のまとめたデータによると1961年から
1990年までの平均によると東京の結氷の平年日
12月2日だったものが最新のデータ
1991年から2020年のデータ この平均値を見ると
随分遅くなっています。
1991年から2020年の平年日は12月24日とのことです。
これも温暖化の影響ということでしょうか。

2021年12月8日水曜日

ヘッセ&アリストテレス&ニクソンの言葉

名状し難き声あぐ冬雲雀(ひばり)
残り鷺天空を舞う息遣い
20メートル満月銀杏色付きて
神山の満月銀杏はらはらと
焼芋や口の中にはねっとりと

ヘルマン・ヘッセ 曰く
「愛されることは幸福ではなく、愛することこそ幸福だ。」

アリストテレス 曰く
「欲望は満たされないことが自然であり、
 多くの者はそれを満たすためのみで生きる。」

リチャード・M・ニクソン 曰く
「人間は負けたら終わりなのではない。
 辞めたら終わりなのだ。」

2021年12月7日火曜日

題「団地・マンション・家」

いつの日か昔ばなしへ寒昴(すばる)
暮易し笑い話へいつの日か
冬苺元に戻らぬ恋も恋
冬日向失恋の傷深まりて
失ひて知る寂しさや冬紅葉

NHK短歌 題「団地・マンション・家」
選者 田村元 ゲスト 岡田結実 司会 星野真里
レギュラー カン・ハンナ

冒頭の短歌
ダンボールの剣が団地に落ちてをり手に取りてわれも振り回したり
田村元

■今回のお気に入り
公団の駐輪場でアキレス腱伸ばすついでに月を見ていた
宮城県石巻市 岩倉曰
ふと見やる向かいの棟に灯る窓同じテレビを見る他人(ひと)がいる
千葉県船橋市 小田川直子
ベランダを伝いひょこりと来たる猫抱けばふわりシャンプー香る
静岡県浜松市 河田琴栄

■熱血!短歌ノック!
死ぬかもと白い布団をにぎりしめた微熱の手のひら、1Kアパート
星野真里
(添削)
死ぬかもと布団をにぎりしめていた微熱の手のひら、1Kの部屋

この家の午後5時に注ぐ柔らかい日差しを最後にカーテン外す
カン・ハンナ
添削
この家の午後5時に注ぎあふれゆく日差しを最後にカーテン外す

水風呂とサウナがありて遠くからどちらも天国なのかと眺める
星野真里
添削(この添削は解釈が違っているのでは…?)
水風呂とサウナがありて湯舟からどちらも天国なのかと眺める

100度ほど熱い蒸気に包まれて汗も未練もさらっと流れる
カン・ハンナ
添削
100度ほど蒸気にひとり包まれて汗も未練もさらっと流

■選者の話「歌人、この一軒」
鰻好きの斎藤茂吉がよく行ったという店をご紹介くださいました。
銀座の「竹葉亭」

これまでに吾に食はれし鰻らは仏となりてかがよふらむか
斎藤茂吉

■短歌 あなたならどうする?
粒立ちのよき米、照りのよき鰻、□□

カン・ハンナ
粒立ちのよき米、照りのよき鰻、ソウルの母もよき日になれば

岡田結実
粒立ちのよき米、照りのよき鰻、ああ泳いでた泳げ鰻よ

星野真里
粒立ちのよき米、照りのよき鰻、とらえどころのない湯気が立つ

田村元
粒立ちのよき米、照りのよき鰻、腹に納めて五重丸なり

2021年12月6日月曜日

兼題「綿虫」

冬銀河抱き寄せられん厚き手で
寒落暉飛び降りるわよ受け止めて
冬の景言い出す勇気なくし散る
傷つけて傷つけられて冬夕焼
憧れた恋とは遠く冬の色

NHK俳句 兼題「綿虫」
選者 片山由美子 ゲスト 東直子 司会 武井壮

冒頭の句
綿虫の翅(はね)とはいへぬほどのもの   片山由美子

綿虫やつまさき立ちに見た未来   東直子

見直し「俳句の常識」動詞(の使い方)
一句に動詞はひとつが原則だが例外もある。
動詞はなくてもよい。

苺はや出しと妻いふうなづきぬ   森田峠
(3つの動詞が使われていて主語が全部違っている。)

この動詞〇or×?!
明日着(ちゃく)で林檎送ると知らせ来て
添削
明日着で林檎送るといふ知らせ

ビルは窓すべて灯(とも)して暦売る
添削(「暦売る」季語 その動詞が必要か否か)
暦売るすべて灯りてビルの窓

くるぶしを落葉に埋(うず)め山の道
添削(自然に埋まっている状況を詠んだ方が良い。
   他動詞、自動詞は明確に。)
くるぶしの落葉に埋まり山の道

今回のお気に入り
綿虫の飛びて日暮の早くなり   佐藤和子
綿虫や工事場にとぶ外国語   鈴木ひさみ
綿虫や庭の手入れはきりもなく   小嶋千代
指差してゐて見失ふ雪蛍   安藤美智代

「この動詞、成功してますか?」
傍(かたわら)に蝉の骸(むくろ)の凍(い)てにけり   武井壮
添削(場所を特定した方が良い。)
樹下(じゅか)になほ蝉の骸の凍(い)ててをり

2021年12月5日日曜日

アンリ・ベルクソンとエッカーマンの言葉

室の花ですが咲かせてくれますか
冬薔薇(そうび)弄ばれて捨てられて
「途上」を彷彿とする寒茜
失った恋鮮明に冬銀河
寒茜せめても夢で逢えたなら

アンリ・ベルクソン 曰く
「どこまで行けるか、確かめる方法は唯一つ。
 すぐにでも出発して、歩き始めることだ。」

エッカーマン 曰く
「人は青春の過ちを老年に持ち込んではならない。
 老年には老年自身の問題があるのだから。」

2021年12月4日土曜日

映画館で一句

震度4独り車中の冬の朝
冬天や昨日と違う色魅せん
感謝祭ターキー価格2割高
戸惑ひに満ちた初恋浅き冬
冬の靄ずっと脅され育まれ

プレバト纏め 2021年12月2日
映画館で一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
名画座のフィルムの傷の雪雑(まじ)り
添削
名画座のフィルムに雑(ま)ざる雪の傷

永世名人英夫のお手本
東国原英夫
この人が父ちゃん銀幕に雪烈(はげ)し
添削
父となる人と雪夜の映画館

特待生昇格試験
1位 向井慧
母の余命知る冬の日のレイトショー
(強いリアリティーがある。
 レイトショーで表情心理が伝わってくる。
 拍手喝采してしまいました!)

1位 嶋佐和也
冬の朝チュロスを食べに映画館
添削(切り口が素晴らしかった!)
冬の朝チュロス目当ての映画館

2位 黒崎レイナ
銀幕の涙色ある冬の星
添削(「涙色ある」は散文的。)
銀幕の涙の色の冬の星
添削(散文的とは詩的な情景に乏しいこと。)
映画館涙冬の星めきて あるいは 星みたい

3位 堀未央奈
冬霧や画面切り裂く「貞子」の手
添削(本歌取り 元の作品に手を加え別の作品にすること)
冬霧画面切り裂く貞子の手

4位 小手伸也
映える画にマスクも透かす君の笑み
添削
映画楽しマスクに透けて子の笑みは

次回のお題は「冬の信号待ち」

2021年12月3日金曜日

天風と藤尾聡充と孫の言葉

桐の水殿の点前や冬ぬくし
しぐれ虹種まく人へ祝福を
冬めくや孤独と不安道連れに
追悼も時代とともにからっ風
寒紅や窓に映して微笑まん

中村天風 曰く
「人生あまり難しく考えなさんな。
 暗かったら窓を開けろ、光がさしてくる。」

藤尾聡允 曰く
「人間の心は奥深いところに
 様々な感情が幾重にも沈殿しています。
 隠れた自身の想いに気づいてあげることが
 苦悩から解き放たれる糸口になります。」

孫正義 曰く 
「前向きに悩む事。それが成長の第一歩。」

2021年12月2日木曜日

金子兜太の句と「火事」

小さき声氷の溶けるごと変化
寒昴芯まで冷えた洗い髪
冴ゆる星キアラスクーロの明と暗
満ち足りたゆえの不安と孤独かな(無季句)
冬の靄(もや)主従関係ありありと

夏井いつき俳句チャンネル より
【人生相談】人間関係を長く続けられない…ほどほどの関係からみんな離れていく

二階に漱石一階に子規秋の蜂   金子兜太

居心地のいい空間を作ったらいい!と組長!
知らず知らず私は実行していたような…。
嬉しい…。

一分季語ウンチク 火事

冬になると火事が多くなると言われています。
空気が乾燥することや冬になって火を使う機会が増える
それも火事の原因になっているようです。
昔からある火事なのですが案外、季語としては
古い季語を言う訳ではないようです。
歳時記のよると一茶の作った句の中に季語と、
「蚤(のみ)」とが混在しているような句があったりします。
当時は火事はまだ季語ではなかったということです。
因みに冬に多い火事ですが歴史に残る大火、
町中が焼失してしまうような大火は
むしろ春の嵐に煽られることによって
引き起こされることが多いようです。
冬!火事が多くなる季節ですが
火事には気をつけてまいりましょう。

2021年12月1日水曜日

題「書店」

テロリストを美化する日本雪催(ゆきもよい)
現世を天国とする冬の月
涅槃があるみたく生きる冬の月
鐘氷る修道院のこうのとり
冬ぬくし心のメロディー五線譜へ

NHK短歌 題「書店」
選者 佐伯裕子 出演 小沢一敬 小島よしお

冒頭の短歌
籠(こ)もり居(い)に買い込みて来るミステリー北欧の地に凍る事件を 
佐伯裕子

今回のお気に入り
書店にて健康本を手に取るは健康そうな人しかいない
東京都武蔵野市 下田大樹

海の無い街の書店におさなごをのみ込むような図鑑の鯨
兵庫県新温泉町 田中佳

短歌の基礎を学ぶ、今回のポイントは「直喩」
直喩とは「~のような」「まるで~みたい」など
注意することは当たり前のことは表現しない。
空間を広く表現する。

例歌
ぐらぐらの乳歯を剥いでやるやうにビジネス本を手に取ってゐた 
伊豆みつ

正座してぐりとぐら読む兄弟を我が子のように眺める店長
小島よしお
添削(ありきたりな直喩は避ける。)
ぐりとぐら正座して読む兄弟を子を見るように眺める店長

窓 太宰 扉 文豪芥川 グリムのような本屋の家だ
小沢一敬
添削
窓 太宰 扉 文豪芥川 グリム童話のような本屋だ

平積みの目当ての本を買うときはジェンガのように中を抜きさる
小島よしお
平積みの新刊本を買うときはジェンガのように中を抜きとる

背伸びして美術本見ている僕は大人の男のようにふるまう 小沢一敬
添削
背伸びして美術の本をながめてる僕は大人の男のように

懸垂で背中に浮かび上がらせる鬼の顔のような筋肉
小島よしお
懸垂で背中に浮かび上がらせる怒った鬼のような筋肉

朝四時に枕でゴロゴロ唸ってる教師のように見つめる猫だ
小沢一敬
添削
朝四時に枕の上で唸りだし教師のように見とがめる