谷川俊太郎さんお別れ会(MEMO)
しなやかに孤独を生きた人でした
糸井氏と言の葉のみのコミュニケ-ション
しげちゃんとは言葉だけのキャッチボール
谷川さんと強く抱き合いたかった(糸井重里氏)
生涯通じ独りぼっちを体現す
■
谷川徹三(父 哲学者 三好達治と知り合い) 多喜子(衆議院議員 長田桃蔵の娘)
岸田衿子(岸田今日子の妹 最初の奥さん)
大久保知子(二番目の奥さん)
佐野洋子(三番目の奥さん 「100万回生きたねこ」の著者 息子 広瀬弦)
谷川志野(娘) かい(孫) 夢佳(孫 スタイリスト)
谷川賢作(息子 作曲家・ピアニスト)
参照:https://ehondaisuki.net/tanikawasyunntarou/306/
■100分de名著❝谷川俊太郎詩集❞④こころとからだにひそむ宇宙
若松英輔 伊集院光 阿部みちこ
(谷川)
流行語・外来語・卑語などを全部取り入れて「ことばの冒険家」になりたい
理想的な詩の初歩的な説明
世間からは詩人と呼ばれているけれども ふだんぼくは
全く詩というものから遠ざかっている
飯を食ったり新聞を読んだり 人と馬鹿話をしている時に限らない
詩のことを考えている時でさえそうなのだ
詩はなんというか 夜の稲光にでもたとえるしかなくて
そのほんの一瞬ぼくは見て聞いて嗅ぐ 意識のほころびを通して
その向こうに広がる世界を それは無意識と違って
明るく輝いている夢ともちがってどんな解釈も受けつけない
言葉で書くしかないものだが 詩は言葉そのものではない
それを言葉にしようとするのは さもしいと思うことがある
そんな時僕は黙って詩をやり過ごす すると今後はなんだか
損したような気がしてくる 詩の稲光に照らされた世界では
すべてがその所を得ているから ぼくはすっかりくつろいでしまう
(おそらく千分の一秒ほどの間)自分がもの言わぬ
一輪の野花にでもなったかのよう… だがこう書いた時
もちろんぼくは詩とははるかに距(へだ)たった所にいる
詩人なんて呼ばれて
実生活と詩人としての生活がごちゃまぜになってくるのは問題
人間関係の中で相手の感情を受け止めないで
それを詩人の目でみてしまうということは 実際の人間感情としては問題
詩を書くのにはその方がいいんだけれども 日常の実生活で感じる感情まで
詩の材料として感じてしまうのが不満になってきた
「世界・わが心の旅 アメリカ 今、私の声で伝えたい」1998年5月2日放送
詩人とは何か
感情について伝えた途端にもう既に作り物 伊集院
もっと直接的に彼の心から生々しく出た言葉 若松
「言葉は」を読む
言葉は種子 いにしえからの大地に眠る
言葉は新芽 赤ん坊の唇に生れる
言葉は蕾 恋人たちの心にひそみ
言葉は花 歌われて大気に開く
言葉は枝 風に乗って空をくすぐり
言葉は根っこ ほのかな魂の闇にひろがる
言葉は葉っぱ 枯れて新しい季節にのぞみ
言葉は果実 苦しみの夜に実り喜びの日々に熟して
限りなく深まる意味で味わい尽くせぬ微妙な味で人々の心をむすぶ
「これを書くために6年間沈黙した」と言えるほどの詩 若松
どれぐらい書きかけて止めてやってきた結果なんだろう 伊集院
言葉そのものが変容していく
言葉は受け取ったら自分の心の中で育てて良い 若松
言葉は自分の中で変容させていくことができる
「臨死舟」を読む
知らぬ間にあの世行きの連絡船に乗っていた けっこう混みあっている
年寄りは多いが若い者もいる 驚いたことにちらほら赤ん坊もいる
連れがいなくてひとりの者が ほとんどだが中にはおびえたように
身を寄せ合った男女もいる(中略)
おや どこから声が聞こえてきた 「おとうさん おとうさん」
と言っている どうやら泣いているようだ 聞き覚えのある声だと
思ったら 女房の声だった なんだか妙に色っぽい
抱きたくなってきた もうカラダは無いはずなのに
きょろきょろ見回して女房の姿を探した すぐそばにいたが
幽霊のように影が薄い 手を握るとまるで手ごたえがない
その代り気持ちが手に取るように分かる 本気で悲しんで
いるのはいいが 生命保険という打算も入っているのが気になる
(中略)いい匂いがする 忘れられない匂いがじかに気持ちの中に
入ってくる むかしバイオリニストの恋人がいた
あのあと目の前で弾いてくれた 素裸で細くくねるバイオリンの音と
彼女の匂いがいっしょくたになって皮膚に沁みこんだ(中略)
突然自分が船の甲板から吸い出された と思ったら胸が
締め付けられるように苦しくなった 強い光に目が眩んだ
病院の白い寝台の上だ 「おとうさん おとうさん」また女房だ
ほっといてくれよと言いたいが声が出ない だが安香水の匂いが
ひどく懐かしい(中略)見えない糸のように旋律が縫い合わせていくのが
この世とあの世というものだろうか ここがどこなのかもう分からない
いつか痛みが薄れて寂しさだけが残っている ここからどこに行けるのか
音楽を頼りに歩いて行くしかない
百五十三行の詩 非常に長い 物語
人類の英知にとって死は大きな問題
私たち人類が持っている死に対する態度 若松
徐々に最期なのか バーチャル昏睡状態
心電図が速くなったり遅くなったりしているのを表現 伊集院
「銀河鉄道の夜」の世界 宮沢賢治に影響を受けて詩を書き始めた人が
「臨死船」という形で自分の「銀河鉄道の夜」を書いた
「いのちをうたう言葉」 詩人谷川俊太郎・覚和歌子」2007年7月15日放送
宇宙は不安なところだと若い頃は思っていた でも今は
宇宙は未知のエネルギーに満ち溢れている 「宇宙が自分たちの母」と
思うようになっている それは死後の世界にも通じる この世での肉体が
なくなっても 波動としての魂が宇宙と一体化できるんじゃないか
「闇は光の母」
闇がなければ光はなかった 闇は光の母
光がなければ眼はなかった 眼は光の子ども
眼に見えるものが隠している 眼に見えぬもの
人間は母の胎内の闇から生まれ ふるさとの闇へと帰ってゆく
(中略)ダークマター 眼に見えず耳に聞こえず
しかもずっしりと伝わってくる 重々しい気配のようなもの
そこから今もなお 生まれ続けているものがある
闇は無ではない 闇は私たちを愛している
光を孕(はら)み光を育む闇を その愛を恐れてはならない
「子どもたちの遺言」「生まれたよ ぼく」を読む
生まれたよ ぼく
やっとここにやってきた
まだ眼は開いてないけど
まだ耳も聞こえないけど
ぼくは知ってる
ここがどんなにすばらしいところか
だから邪魔しないでください
ぼくが笑うのを ぼくが泣くのを
ぼくが誰かを好きになるのを
ぼくがしあわせになるのを
いつかぼくが
ここから出て行くときのために
いまからぼくは遺言する
山はいつまでも高くそびえていてほしい
海はいつまでも深くたたえていてほしい
空はいつまでも青く澄んでいてほしい
そして人はここにやってきた日のことを
忘れずにいてほしい
この世に生まれる前から姿が違う形で実在している
私たちは元々大きな流れの中に繋がっている何か
でも私たちはそれを上手に思い出せていない 若松
「生まれて0歳です」と意味が違う 地球でのスタート
得体の知れないどこから来てどこかに戻っていくという感じ 伊集院
そのままを生きてくれ そのままでいてくれ 阿部
経験は少ないはずなのに 存在としてはとても尊い
人間は不思議な存在 若松
持って生まれた芸術性は削がれていく
最初100点で生まれているのに常識を入れることで本能的な絵が
描けなくなっていくけれど また100点に戻っていく 伊集院
人と読みたい 読んで話したい 阿部
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