2020年6月12日金曜日

令和の新星 生駒大祐さん

象と鯨図屏風 向かい合う夏
夏未明 糸杉に吾を 投影す
睡蓮や 光求めて 追いかけて
ゲルニカや コロナ禍で知る 命かな 
ゲルニカや 重き命が ここにあり

NHK俳句 より
令和の新星 生駒大祐さん

夏の木の 感情空に 漂へり   生駒大祐

この句を選ばれた小澤實さんの言葉です。
「この句にアニミズムを感じました。
アニミズムとは万物全てのものには生命があるという考え方です。
アニミズム性を強く出している若手俳人だと思います。」

鉄は鉄 幾たび夜が 白むとも(無季の句)   生駒大祐

鐡を食ふ 鐡バクテリア 鐡の中   三橋敏雄 
生駒大祐さんはこの句を踏まえて作られたそうです。

自分の意志が強く出ていて、スピリッツを感じますと小澤實さん。
この句で思い出した句を小澤實さんが紹介してくださいました。

しら梅に 明る夜ばかりと なりにけり   与謝蕪村

生駒大祐さんは小澤實さん・戸田菜穂さんのコメントを聞き
「俳句は関係しあって続いていくものだと自分の中にあります。
 それを読み取ってくださったことは嬉しく思います。
写生俳句を詠むと心に迫るものがあります。
これから作っていきたい。」と言われました。

生駒大祐さんも東大出身でいらっしゃいます。
私にはちょっと難しい俳句を詠まれる方のようです。

2020年6月11日木曜日

べべんの方丈記

梅雨寒や 孤独を連れて 二ッ岳
夏マスク 嘔吐失神 救急車
チゴガニの ウェービングや 夏の浜
金葎 吾の為にだけ 生くる人
コロナ禍で 多様な価値の 生まる夏

「にほんごであそぼ」
最近、毎日食い入るように見ています。
こんなすごい番組があっただなんて…。
中村勘九郎氏から歌舞伎を、
野村萬斎氏から狂言を見せて貰えるんです。
俳句入門の「ごもじもじ」、「百人一首」、
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」が紹介されるんです。
素晴らしいの一言です。

そして、昨日は鴨長明の「方丈記」が歌われていました。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、
久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。」

べべんの方丈記 曲 うなりやべべん

子供番組で真剣に感動しました。
べべん氏の大ファンになってしまっています。
おおたか静流さんも出演されています。
昨日はじめて拝聴いたしました。
今後が楽しみでなりません。

2020年6月10日水曜日

義母のお見舞いPart2

梅雨晴る 声なき声を ふり絞り
梅雨寒し もう要らないと 目を閉じん
梅雨空や 欲なき人の 美しき
梔子の花 骨に握られ 返す笑み
見えず聞こえず 夏の病棟 独りぼち 

病院で義母は食事はしていないようでした。
骨の上に皮がかぶさっているという状態でした。
点滴だけで尿道に管を通されて
生かされているようでした。
何度も何度も私の手を握り締めていました。
僅か15分という限られた時間の面会だったのですが…。
義母の喜んだ顔が見られて良かった…。
次回、お見舞いに行く時は
温かいタオルを持って行かなくては…。
体中、白い粉が吹いていたのです。
きっとお風呂にも入れて貰っていないのでしょう。
温めてあげると気持ちが良くなるのではないかと思い…。

2020年6月9日火曜日

義母のお見舞いPart1

白蓮へ 吸い込まれゆく 命見ん
滅びゆく 命を見たり 梅雨晴間
残された 握る力や 梅雨晴間 
相応しき 場所を求めて 迷う夏
皐月空 海に聳える 命あり

義母のお見舞いに行ってきました。
入所していた介護施設で骨折してしまったので
病院に入院となっていたのでした。
でも、新型コロナ騒動で施設でも
病院でもずっと会えないまま
2か月が経過していたのでした。
やっと会えるということで行ってきました。
行った時、眠っていたのですが、
目覚めて私の顔を見た途端、
強い力で手を握り締めてきました。
義母は目も耳も悪いので、
人の表情を見て想像で会話をしていたのに…。
施設でも病院でも全員がマスクをしているので
どんなにお寂しいかと想像すると…。
涙がこぼれてきました。
お喋りが大好きな義母!
マスクを外してお喋りがしたかった…。

2020年6月8日月曜日

アルトゥール・ショーペンハウアーの言葉

黒南風や 家の見張りは そこそこに
もっともっとと そそのかせれた 田植時
限界集落となっていた 夏よ
主なき 朽ちた廃屋 夏の山
夏の湯や 「もの皆、仏」と 呟いて

世界の哲学者に人生相談 より

「我々に不安 困惑 おそれなどは
他人がどう思うかということに関係している。」

「完全におのれ自身であることが許されるのは
1人でいるときだけである。
孤独を愛さないものは自由をも愛していない。」

「孤独と人生」より アルトゥール・ショーペンハウアー

哲学者の言葉はいつも難しいと感じていたのですが…。
初めて聞いた瞬間に心に響くものがありました。
ショーペンハウアーに後世まで轟く名声を感じました。

2020年6月7日日曜日

助詞「に」の使い方

夏空や 歳の重みが 下腹に
崩れ落つ どすこい坐り 夏の猫
なわばりの 見回りもせず 若葉風
大の字で 寝落ちした猫 またぐ夏
夏霞 模倣からの オリジナル 

夏井いつきチャンネル より
助詞「に」の使い方について教えてくださいました。

米洗う前 蛍二つ三つ   作者不詳

「に」を使うと蛍は死んでいることになる。
と言われました。
「を」だと空間を動いている蛍。経過しつつある場所となる。
「へ」だと向かっていく感じ。方向を示す助詞。
それぞれで映像、サイズ、動き方が違ってくる。
脳の中に映像を描くことで正しい助詞選択ができる。
「や」だとカット、切り替えになる。

と、言われたのですが…。
「に」に関して止まっている蛍の表現でも
ありえるのではないか?と私は思ったのですが…。
難しい…。とにかく「に」は難しい…。
特に上五での使用は気を付けなくては…。

2020年6月6日土曜日

紙袋で一句

梅雨晴れや 在宅ワークで 自殺者減
花菖蒲 厳しさを秘め 優しくて
たぐさ月 あの日の犬を 死馬に見ん
犬と似た 死馬の毛並みや さつき雨
日勝の 描くポップや 夏を飛ぶ

プレバト纏め 202064

紙袋で一句

永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
桐の花 いつかは来ない 紙袋   
(意外な展開の味わいに、
心を寄せて理解したと夏井いつき先生。)

1位 春風亭昇吉
万緑に 提げて遺品の 紙袋
(これは本当に巧い!万緑と遺品の対比。
 抗いようのない生と死。
 生命感のある「万緑」という季語に託したことに拍手。
 「に」が巧かった。「に」にすることで空間の中に存在する、
生命エネルギー溢れる万緑の中に
ポツンといる存在にスポットをあてた。)

2位 松丸亮吾
炎天下 取手ちぎれて 母の影
(センスはあるが発想がべた。
  中七の「ちぎれる」という動詞に工夫がみられる。)
取っ手ちぎれる 炎天に 母の影

3位 内海崇 ミルクボーイ
夏の旅 荷棚にぎわう 紙袋
(上手ではないが自分の実感を素直に表現している。
  夏の旅と言う季語は良くない。べたな季語。)
夏の旅 荷棚ぎっしり 紙袋
夏の旅 荷棚揃いの 紙袋

4位 高田万由子
夏野菜 摘みし 紙袋の重さ
(素直な実感を書いている事は好感が持てる。
  動詞の選択はもったいない。
  「摘む」ではなく「もぐ」方が重さを表現できる。
  中七の「し」は鮮度を落とす。)
夏野菜もぎて  紙袋の重さ
夏野菜いっぱい 紙袋ずっしり

5位 宮田俊哉 Kis-My-Ft2
荷物持ち 汗ばむ僕と 浮かれし母
(語順が説明的。下五が過去になっている。
  季語の「汗」をクローズアップすべきだった。)
買い物や 浮かるる母と 汗の僕

笑福亭昇吉さんの俳句に拍手喝采。
素晴らし過ぎる。
久し振りにホームランの俳句を見せてもらいました。
「万緑」の使い方が理解できました。
笑福亭昇吉さんの次回の出演が楽しみでなりません。