2022年12月7日水曜日

凩と場所を示す助詞「で」「に」

いつの世も世を儚(はかな)みて冬の靄(もや)
小さきこと儚んどるな北颪(おろし) 
冬耕(とうこう)や儚んどりてなんとする
斜線上の夢追いかけんたま風
露凝る(つゆこる)や抑える人に育まれ

■一分季語ウンチク  凩
この漢字一字で「こがらし」と読む場合もあれば
木に枯れると書いて「木枯」と
二文字で表記する場合もあります。
冬の訪れを告げる寒く厳しく吹き付けてくる
冷たい風、木も枯らすばかりの冷たい風です。
この「凩」は非常に俳人心を
刺激する季語でもありまして
歳時記を見ると錚々(そうそう)たる例句が
たくさん並んでいます。
その中でも芥川龍之介の
「木枯らしや目刺しに残る海の色」
なんかの句はとても有名です。
「凩」という季語は情報量を含んだ季語でもあり
立ったこの一字によって冷たさ、厳しさ
その風の吹きつけてくる強さなんかも
伝わってくる季語です。
うっかり俳句初心者なんかだと
「凩が吹く」とか「ピューピュー」とか
そんなベタなところやってしまいそうな
恐ろしさもあります。

■夏井いつき俳句チャンネル
【添削】プレバト!!ではすごい考えて添削をしている?

助詞の解説
時雨るるやジュニアシートで待つポテト   藤本敏史
おぼろ夜や荷馬車で眠る象使い   藤本敏史

米洗ふ前蛍の二つ三つ
(へ、をではなく「で」比較)

場所を示す助詞 で 活動の場所 動作 飛んでいる
        に 持続行為の行われる場所 存在 静 止まっている

荷馬車で眠る ⇨ 荷馬車に眠る
ジュニアシートで ⇨ ジュニアシートに 待つは静的な動作だから

2022年12月6日火曜日

題「イベント」

冬の夜独りで食べるチョコレート
カピバラと柚子の共演露天風呂
冬日和近くて遠きわが心
冬の雲街のリビング丸の内
北窓塞ぐ黄昏は憧れへ

NHK短歌 題 イベント
選者 栗木京子 レギュラー 元髙克樹 矢花黎 
司会 小沢一敬

■冒頭の短歌
ベルリンの壁崩壊し二十年チョコの壁割るイベント見たり
栗木京子

強い意思を表す
(例)~だ ~ではない ~するぞ
状況説明をする部分をいかに抑えるかが大事

■Lesson1
強い意思を表す
もう二度とこんなに多くのダンボールを切ることはない最後の文化祭
小島なお

■Lesson2
視聴者のエピソードを短歌に
汗滲む鉢巻そっと締め直しカメラ片手に君へと走る
元髙克樹

心臓が飛び出しそうな私など知る由もなし君との写真
矢花黎

体育祭忘れることない片思いこの先誰かに恋したとしても
小沢一敬 添削
忘れない体育祭の片思いこの先誰かと恋に落ちても

■入選歌紹介 テーマ イベント
吟行を兼ねる短歌のイベントに遊覧者で皆指を折る
中谷眞理
ドーランで顔を白くし友達と河原町まで歩いたハロウィン
酒井柚秋(ゆずき)
会場を埋める人波想像する祭り前夜の役場のデスク
イトウカンタ
ペンライト緑つくかと確認し明日は彼らと初めての地へ
石井七海(なつみ)
ギター弾く君が浴びてる歓声に粉れて呼び捨てするよ今日だけ
藤原はるか
💮秋晴れのクラシックカーフェスタへと令和の車が列を成したり
水沢穂波

■NHK短歌×らじらーSATURDAY コラボ企画
あなたも短歌侍 ベスト3発表 テーマ 幸せ

元髙克樹の上の句
つけ麺を覆い尽くしたトッピング

3位
部活後の胃はブラックホール   川越羽流(はる)
2位
明日この子を寮まで送る   ふるのさわ
大賞
見てるあなたが私のカロリー   石田萌
番外編
ラー油にうずら自家製チャーシュー   菅田琳寧(りんねい)
行列耐えた先のオアシス   佐々木大光(たいこう)

矢花黎の上の句
眠い目をこすりながらも家を出る

3位
洗面所から父の遠吠え   早川和博
2位
ポーロッポーポうお座が一位   相内あみ
大賞
チャリで帰れぬとこへ飛び発つ   サザナミインコ
番外編
頂点取りに「いってらっしゃい」   菅田琳寧
オレンジロード子供が笑う   佐々木大光

■短歌対決!
泣き叫び震える母の手を父が握りしめた日僕の誕生日
元髙克樹 添削
泣き叫び震える母の手を父が握りしめた日僕が生まれた

リハの後作業進めるデスクでも僕にとってはステージなのだ
矢花黎 添削
リハの後作業進めるデスクこそ僕にとってはオンステージだ

頑張った通信簿見せる食卓で褒められるまで箸は持たない
小沢一敬

2022年12月5日月曜日

兼題「狸」

冴える星マッキンゼーに物申す
冬ぬくし果蔬涅槃図(かそねはんず)に見る成仏(じょうぶつ)
軋む声つくり笑顔の霜夜かな
冬の陽やあたためらるる背と心
独り食ぶ納豆汁の熱きこと

NHK俳句 兼題 狸
選者 髙柳克弘 ゲスト パンク町田 司会 武井壮

■冒頭の俳句
子と待つや檻(おり)の狸の腹鼓(はらつづみ)
高柳克弘

テーマ 俳句と映像
冬の季語 狸罠(たぬきわな) 狸汁 狸狩(たぬきがり)

狸汁座中の一人ふと消えぬ   佐藤紅緑(こうろく)

洗熊(あらいぐま)里を求めて狸霧中(たぬきむちゅう)   パンク町田

■入選九句 兼題「狸」
切手買ふ狸の町の郵便局   近藤恵美子
まんまるがつぼまってこの狸穴   馬場ひろみ
駐在の逃げ腰見抜き狸の子   田中由紀子
夜に弾む缶ぽっくりは狸かな   橘美和
💮狸住む校庭に花いちもんめ   平井修一
武井そこに雪あるかに歩く狸かな   佐藤研哉
パンクぢいちゃんの狸のはなし椹(さわら)風呂   梁田(やなだ)輝子
狸供養して県道のパトロール   佐藤茂之
木々に天狭く狸の道案内   田中勲

■お題動画で一句
海ゆけば小舟のごとき狸かな   武井壮

身震いに水溜まり出来濡れ狸   高柳克弘

2022年12月4日日曜日

サイエンスZERO「エアロゾル」

冬に逝く鳥インフルのこうのとり
冬の雲カメラ目線のツキノワグマ
冬の星ポジション取りの巧い人
動機あり実行集合深雪晴(みゆきばれ)
隙間風佳き経験は忘れけり

■サイエンスZERO
エアロゾルとは空気中を漂う小さなほこり
異常気象を予測するカギとなるかもしれないらしい。
エアロゾルは雲の芯となる。

霾(つちふる)やからくれなゐの日を溶かし   風慈音
(季語は霾 黄砂のこと)
声のなき粒子の集ふ秋の空   ギル

雲粒を並べて秋の見本帖   夏井いつき

好物はおしろい春の雲ふえる   片野瑞木
雪は色失ふ刹那(せつな)たなごころ   浦野紗知
理科室の秋思を雲にする実験   高尾里甫
(季語 秋思 秋の頃の物思い)
星のくず燃えて溶け込み幾千里   足立光司
エアロゾルの溢るる泪流れ星   葦屋蛙城
(季語 流れ星 秋)
霾(つちふる)やからくれなゐの日を溶かし   風慈音
(季語 霾 春 黄砂 
 太陽に光は空気の分子やエアロゾロで散乱される。
エアロゾルが多いともっと強く太陽が真っ赤になる。)
数時間生きた粒子や夏怒涛   そまり
街を雹雲は孤独の集合体   いさな歌鈴
(季語 雹 夏)
野を焼きて草木虫のエアロゾル   けーい○
柚子のこのしぶきのつぶにあるうしは   古瀬まさあき
なにもかもあなた任せの秋の雲   Early Bird
満月が赤銅色になる不思議   いとみ
ひとりなのいつしよにはるのくもにならう   青海也諸

漂へるものに秋冷とびつきぬ   夏井いつき

井上咲楽!うるさすぎ!耳が痛い!
二度と使わないで欲しい!

■夏井いつき俳句チャンネル より
【謝罪】北山くん、ごめんね。
ポロポロと食べ放題だ雪あられ   北山宏光(初登場)

サングラス外して対す海の青   横尾渉
高めから紫陽花覘く俺634(むさし)   北山宏光(2回目)

Kis My-Ft2のプレバトの出演は北山宏光君が最初でした。

2022年12月3日土曜日

カラオケで一句

振り抜いた堂安決めん同点弾(無季句)
諦めぬ三苫と田中の止めかな(無季句)
冬の靄(もや)判断下すホークアイ
最前線を前田奔走冬日和
森保の支配的中冬青空

プレバト纏め 2022年12月1日
カラオケで一句

永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
榾(ほた)の宿主十八番の夢芝居
添削(榾とは囲炉裏やかまどの薪のこと。画角が緩(ゆる)い。)
くべて主十八番は「夢芝居」
くべて十八番といふを唸り出す

永世名人 村上のお手本
村上健志
暖房や(間奏約30秒) 
添削(「約」を削り季語に情報を入れると面白みが増す。)
暖房が熱い(間奏30秒)

永世名人への道
千原ジュニア
カラオケの二番の途中コート脱ぐ
(強いリアリティーがある。季語「コート」を主役に立てている。)

1位 村上佳菜子
忘年会1人のためにラブソングを
添削(「を」は気持ちを強調している。作者の意図を尊重。)
忘年会人のためにラブソングを

2位 山口もえ
初雪やこの恋届け歌にのせ
添削(「よ」で詠嘆を重ねる。)
初雪に歌うよこの恋よ届け

3位 徳光和夫
指先に沈む夕陽やママの冬
添削(沈まない夕日はない。
   スナックのママである事を詠み込む。)
「再会」を絶唱ママの冬夕陽
「再会」を絶唱ママの冬夕焼

4位 那須川天心
ひと晩で忘れるからOK年の暮れ
添削(添削しようにも季語以外の材料がなさ過ぎ。)
忘年会

次回のお題は「たい焼き」

2022年12月2日金曜日

女の一生&人生とは?&名言

一体化できるや否や冬の陣
チューニング点も線をも波とする(無季句)
木の天辺で鳴く笹鳴(ささなき)やじゃっじゃっじゃ
ヤマガラや雨の止み間の枯野かな
雨に濡れ輝くもみじきらっきら

■女の一生
二十代は美しく
三十代は強く
四十代は賢く
五十代は豊かに
六十代は健康に
七十代はしなやかに
八十代はつややかに
九十代は愛らしく
そしていぶし銀のように
美しい百歳へ

■人生とは…。
心、更に、答ふる事、無し。「方丈記」
(生きる意味はとうとうみつからなかった。方丈記の結論)

一人(いちにん)の主にも逢わなかった。森鴎外「妄想」

遍(へ)歴(めぐ)りていづくにか行く
わが魂(たま)ぞはやも三十(みそじ)に近しといふを
中島敦「遍歴」

読書だけでは人生の真実には辿り着けない。
というのが結論。

■名言
アラン 曰く
「我々は、今だけ耐え忍べばよい。
 過去はもうないし、
 未来はまだないのだから。」

スティーブ・ジョブズ 曰く
「過去を振り向いてばかりではダメだ。
 自分がこれまで何をして
 これまでに誰だったのかを受け止めた上で、
 それを捨てればいい。」

ロングフェロー 曰く
「感情は深く静まっている。
 表面に浮かぶことばは、
 怒りのかくされている場所を教える
 浮標である。」

2022年12月1日木曜日

よみ旅!In岩手(後編)&納豆

そちこち破壊神仏分離しぐれ月
冬凪や象に腰掛け仏さま
懸命に命生ききる帰り花
冬の陽や一番乗りの駐車場
十分の冬空遙か逆さ虹

■夏井いつきのよみ旅!In岩手(後編)

秋空に白球とどろくホームラン   野球少年A の父
秋の風追い風のって伸びる球   野球少年B

子等の分人畝(ひとうね)増やし大根まく   小野伊豫(いよ)
鰯雲たばこ休みのカレーパン   髙橋まゆみ
秋風に揺れるササラは稲穂かな   菊池浩之
秋の暮れ思いもつまるタンスかな   及川洋
未知探し遠くに望む天の川   酒井大裕
晩秋も人手不足のハンバーガー屋   菊池良太

聞かない耳を持て   ROLAND
(知りすぎないことが個性を持つ方法)

秋夕焼け工事だらけの陸奥よ   鈴木萌晏(もあ)

■一分季語ウンチク 納豆
塩辛納豆と呼ばれる種類のものが
冬の季語にあたります。
この塩辛納豆と言うのは
蒸した大豆に麹黴とつけ
発行させて作るやり方になります。
「納豆を作る」という夏の季語もありますが
夏に麹黴をつけて作った納豆
仕上がってくるのが3~4カ月後にあたる
この冬になります。
この乾燥させて作るタイプの「納豆」
大徳寺納豆や寺納豆などと呼ばれるようです。
かつては寺院で作られていたことから
この名前がついたようです。